デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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刻々帝(ザフキエル)

とある場所で、巨大な時計板と二丁の銃が現れる。
それを顕現させた本人は銃口を()()()()()()()()()()()

八の弾(ヘット)

何の躊躇いもなく引き金を引き、銃弾が発射される。するとクローンのような全く同じ人物が生成される。

八の弾(ヘット)八の弾(ヘット)八の弾(ヘット)八の弾(ヘット)

続けて何度も何度も自らのこめかみを撃ち抜く。その度に数を増やしながら。

「ペッ。やっぱりラフムは()()()

辺り一面に転がるラフムを踏みつけながら人類の敵は行動を開始する。


「さあ!心ゆくまで!全力で!

死ぬまで!

我が運命人の争奪戦と行こうじゃないか!
マガイモノ!我が同胞!そして…


我が親愛なる母君!」


70話 各地の戦い 十香side

「こんなものか」

「こちらも、コレで最後のようです」

 

十香とアルトリアは互いに背中を預け、目の前のラフムを斬り伏せた。数にして30体ほどだったが2人からしてみればまだ楽な部類だった。

 

だがアルトリアはともかく、十香は少なからず元人間かも知れないラフムを殺すことに躊躇いや嫌悪感を見せていたが今はそんなことはなく、一切の躊躇なしにラフムを切り伏せていた。

 

その心境の変化の原因を知っていたアルトリアは複雑な感情を抱きながらも頭の中を切り替える。

 

『十香、アーサー王。無事かい』

 

「令音か。勿論大丈夫だ!」

「この程度に遅れをとるほどヤワではありませんよ。それと令音。私のことはアルトリアとお呼びください。今の私は王ではなく一介の騎士ですから」

 

『了解した。琴里とホームズもラフムに襲われているため今は手が離せない。だから私から指示を出すが、いいかな』

 

「うむ!」

「わかりました」

 

2人は周囲に何があるのかを聞かれ、一つずつ答えていく。令音は他の場所では次のエリアに進むための条件が見つかっていることから、このエリアにもそれがあると踏んでいた。

 

『市街地…。では、民家とは明らかに違う建物はあるかい。そこから見える範囲で構わない』

 

「家ではない建物……」

「見つけました。ここより北西方向に凡そ1キロと言ったところでしょうか。恐らくは市役所のような公共施設と推測できます」

 

『ではそこに向かってくれ。道中くれぐれもラフムには気をつけてくれ』

 

「うむ!」

「承知しました」

「あっ、令音!シドーや他のみんなはどうなのだ?」

 

『今の所はみんな無事だよ。他の精霊たちも、シンもね』

 

その情報に胸を撫で下ろす。そして令音の指示通りの場所へ向かい2人は歩き出した。

 

 

 

 

「しかし…手合わせをしていたから分かってはいたが、想像以上にアルトリアは強いのだな」

 

「それはこちらのセリフです十香」

 

それから2人は北西方向にある少し大きな建物へ、ちまちまと思って現れてくるラフムを倒しながら向かっていた。

 

「私も幾度も強者と戦ってきました。無論、その中には他の英霊もいます。その中で比べても、十香はかなり強い部類です」

 

「うむ!そう言ってもらえると嬉しいぞ!そういえば、ひとつ聞きたいことがあるのだが」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「アルトリアや他のえいれい?達はなぜ、協力をしてくれるのだ?」

 

「…嫌でしたか?」

 

アルトリアはその質問を、自分たちのような得体の知れない者がなぜ協力するのか、という内容だと解釈をした。それは彼女達『精霊』が人間から幾度も命を狙われていたのに、ぽっと出の自分たちが協力するなんて虫が良すぎる、何か企んでいるのではと思われても不思議ではないと考えたからだ。

 

だが十香は勢いよく首を横に振る。

 

「違う!決してそのようなことは思っていない!むしろとてもとても有難い!だが…ラタトスクで神夏ギルからも説明は受けてもなお、私はあまり理解ができなかったし、何より見ず知らずの私たちのために死ねと言っているようなものだと…そう感じてしまったのだ」

 

アルトリアはそこまで言われ、ようやく十香の言っていることを理解する。

 

突如呼び出され戦場へ送り出される事に嫌悪感がないのか、というのを十香は憂いているのだと。

 

「心配してくれてありがとうございます十香。ですが心配には及びません。我らは人類の守り手。その為ならば命など惜しくありません。ですが…そうですね。無事乗り切った後には十香の言うシドウの料理を共に堪能しませんか?」

 

「おお!それは良い提案だ!シドーの料理はそれはもう美味しいからな!期待して欲しい!」

 

和気藹々としながら2人は目的地へ向かって進んでいく。

 

 

 

 

「(……()()()()。気配からして剣士でしょうか)」

 

アルトリアは十香と雑談をしながら目的地へ進んでいく途中、明らかにラフムではない気配を感じていた。

 

「(ワザと私にのみわかるよう気配を漏らしていますね)」

 

『アーサー王、聞こえる?』

 

そんな時に召喚主-神夏ギルから連絡が入る。

 

『はい聞こえています神夏ギル』

 

『オーケー。通信機器は無事、と。それでそっちの現状は?』

 

『特に問題ありません。出てきているのは比較的弱いラフムばかりですので。ですが1つ問題が』

 

『?』

 

先ほど感じた気配をそのまま神夏ギルへ伝える。

 

『〜〜という状況です』

 

『剣士…ねぇ。勝てる?』

 

『神夏ギル、そこは『勝て』と命令するんですよ』

 

『私が英雄サマに命令ねぇ…荷が重いな』

 

ギルガメッシュ(アーチャー)からの命令は嬉々と受ける人が何を今更』

 

『確かに』

 

神夏ギルは少し笑ったあと、声色を切り替えアルトリアへ命じる。

 

 

『真名【アーサー・ペンドラゴン】。必ず勝利を掴み取れ。そして十香を絶対に死なせるな』

 

『承知しましたマスター。お任せください』

 

『それじゃ、噂に違わぬ実力を見せてくれることを期待してるよ』

 

 

 

 

 

「ふむ…」

「これは…」

 

2人が辿り着いた場所は市役所のような場所。

令音の指示に従いながら建物の中に入り、中心部に辿り着く。

 

扉を開け中に入ると、先程まで建物の中だったはずが外に出る。

しかも入ってきた扉は消え、辺り一面に荒野が広がっている。

 

 

ズサッ  ズサッ

  ボトボト    ズドン

 

「「!」」

 

 

「けつは」「かすづ」「しをそ?」「づや」「ぬぎば?」「きくうすぎぐ」

 

 

何かが落下する音が聞こえそちらを振り向くと、ラフムが数十体落ちてきていた。

大半が意味のない言葉を喋っていた。2人はそれに不快感を感じていた。そんなときラフム達の中から明らかに異質な行動をしながら一体のラフムが、まるで代表とでも言わんばかりに前へ出てくる。

 

 

「みんな ころしちゃ だめだよ。おかあさんに おこられる」

 

 

「……!」

「外道が…!」

 

()()】を見て、アルトリアはこめかみに血管が浮でそうなほど力が入り、十香は言葉が発せていなかったが鏖殺公(サンダルフォン)の柄がミシミシと鳴るほど力を込めていた。

 

「おれたち あれ ころさず もってかえる めいれい」

「「「「ギィ!」」」」

 

 

「十香」

「わかっている。アレは…もう人ではないのだろう?」

 

そのラフムは、所々に人間らしき面影が残っており、人間の腕が変なところから突き出ていたり、耳が足の付け根に生えているなど、まだ普通のラフムの方がマシなほどに気持ち悪さを感じさせる。

 

だが何よりも違うのは、ラフムの顔の下に()()()()()()()()()()()()事。生命を悪戯に(もてあそ)んだ結果の産物を目にした2人は嘗て無いほどの怒りを抱いていた。

 

『はぁーい我が同胞。順調に進んでいるようで何よりだ。それにおめでとう。次のエリアに進む扉への到達第一号だ』

 

「っ!ルシフェル!このラフムはどう言うことだ!貴様!一体何をしているのだ!」

 

十香達とラフムの間にモニターが降りてきて、そこにルシフェルが映る。

開口一番に異質なラフムのことを問いただすが、ルシフェルはニヤリと君の悪い笑みを浮かべた。

 

『どういうことも何も、見たまんまさ十香。ここにいるラフム達は一体の例外もなく()()()()()()()()()()()()()。そこでちょいと私の方で手を加えただけさ。

 

より一層君たちに絶望を与えれるようにね』

 

「……貴様がここまでの外道だとは思いもしなかったぞルシフェル」

 

『あっはっは!それはどうも!『人類の敵』にとっては最高の褒め言葉だ!

さて時間もないしここの部屋のルールを説明しよう。君たちが部屋を移動出来るようになるには2つの方法がある。

 

1つ目はその部屋にいるラフム…その部屋は大体500体くらいかな?ソレを殺し尽くすこと。

 

2つ目はラフムどもに捕まらないようにしながら自ら出口を探し出すことだ。

 

一応ラフムどもには『夜十神十香は殺すな』と命じてあるが、どこまで効力があるかは私も知らないんでね。間違っても死ぬなよ?我が同胞よ。

 

それでは2人の健闘を祈ってるよ』

 

 

開始の合図のつもりか、モニターが突如爆発する。アルトリアは反射的に十香の前に出て剣を振るい粉塵を吹き飛ばす。

 

「た、たすかった!ありがとうアルトリア!」

「どういたしまして。それで十香。()()()()()()()()?」

 

アルトリアの言葉に十香はすぐに答えることができなかった。

場合によっては元とは言え人間を殺すことを今更ながらに自覚してしまったから。

 

 

 

いや、本来は事前に説明は受けていたが、とある精霊からかけられた暗示のせいで有耶無耶にされていた、が正しい。

 

暗示が解けてしまったのは、その精霊にとっても誤算だろう。

 

 

 

「……アルトリアは、()()を知っていたのか?」

 

「ラフム自体は知識としてありました。ですがあのような個体は私も神夏ギルも知らないものです」

 

「では…あのラフムを人間に戻してあげることは出来るのだろうか」

 

「おそらく……不可能です」

 

「……そう、か。わかった」

 

十香は苦しそうな顔をしながら深く深呼吸をする。

 

 

「すまない、覚悟を決めきれていなかった。もう大丈夫だ。進もうアルトリア」

 

「…!ええ、十香。共に進みましょう」

 

苦しそうな、哀しそうな顔をしながらも覚悟を決めた十香の顔を見てアルトリアは自分の浅はかな考えを恥じ、それと同時に夜十神十香へ多大なる敬意を払っていた。

 

「(とは言え…十香に人殺しはしてほしくありませんし、ここは私が罪を背負うべきでしょう)」

 

だこらこそ、目の前の人間でもラフムでもない存在は自分が殺すと決める。罪を十香が背負わなければならない道理など、あってはならないから。

 

「十香、あのラフムは私が引き受けます。貴女は他のラフムをお願いできますか」

「うむ。承った。……ありがとう、アルトリア」

 

そのお礼の意味を言葉はなくとも感じ取ったアルトリアは、十香の果てのない優しさに思わず笑みが溢れてしまう。

それと同時にこの元凶を必ず討ち取ると、心に決め、目の前の脅威を排除しにかかった。

 

 

「みんな あっち つかまえろ ぼく こっち やる」

『『『ギィギイギィ!』』』

 

アルトリアが異質なラフムへ向かうと同時、他のラフムは十香へ殺到する。

十香は至極冷静に、怒りを抱えながら自らの背後20メートルほどの()()()()()()

 

鏖殺公(サンダルフォン)・【最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)】!」

 

ルシフェルが用意した霊力に満ちたフィールド。それを思う存分発揮し、十香は必殺の天使である剣で召喚した玉座を真っ二つに斬り、玉座の破片が剣へ集まっていくことで10メートルの巨大な剣になる。

 

「…すまない。私達にもっと力があればお前達を助けてやれたかもしれない」

 

鏖殺公を構えた十香は悲哀に満ちた目で、向かってくる無数のラフムを見る。

 

「……………。ハァッ!」

 

十香が鏖殺公を振り抜くことで、粉塵が舞う。一寸先すらロクに見えないほどの粉塵だったが、十香はもう一度剣を振るうことで払う。

 

そこには両断されていたラフムのみが地面を埋め尽くすように転がっていた。

 

「〜〜……ッ」

 

人間ではないと頭ではわかっていても、吐きそうなほどに気持ち悪く、それ以上にルシフェルへの怒りを募らせる。

 

「十香!」

「む…アルトリアか」

 

アルトリアは十香の元へ駆けつける。

 

「アルトリア、あのラフムは……」

「ご心配なく。ちゃんと倒しておきましたから。……それで、大丈夫ですか?」

「うむ。勿論だ。…早く、いこう。これ以上ルシフェルが残虐なことをする前に」

 

ルシフェルを止めるために2人は次のエリアへ足を進める。




「……」

令音はフラクシナスの中で情報を整理しながら一つの違和感を覚える。
それを確認するためにもう一度最初から情報を確認していき、確信に至る。

「おかしい…」

「どうされました?」

「中津川君、一つ質問だがこのラフムは君や神夏ギルの考えているラフムで合っているのかい?」

「え?ええ、はい。そうです」

「ふむ…。ならば余計に解せないな」

「と言いますと?」

「クルーの皆、ルシフェルの目的を今一度確認してみてくれないか?」

そう言われ、クルーの全員が思い返す。
そして神無月が代表して答える。

「士道くんを手に入れること。そして十香さんとルナさん以外の精霊を殺すこと、ですね」

「そうだ。ラフムはそれを確実にするための戦力かと思っていたが…あまりにも杜撰すぎる」

「……。ああ、なるほど。理解しました」
「あっ…!」

最初に神無月が理解し、続いて中津川が、さらに続々とクルーが理解し始める。

「ラフムの強さは彼女たち精霊にとってはどうとでもなる程度の強さだ。魔術師(ウィザード)の方がまだ厄介だろう。それをルシフェルがわからないわけが無いし、ラフムの強みは死への恐怖心などが全く無く、且つ無尽蔵にも思える数の暴力だ。だが…」

「十香さんを始め、精霊たちの前に姿を現したラフムは多くて30体ほどですね」

「そうだ。それに加えて精霊のみんなの力は基本的に対多数に特化しているものだ。更に言うなら、精霊たちに完全な天使を顕現させていることも不可解だ。四糸乃たちを殺そうと言うのに自ら難易度を跳ね上げる意味がわからない。

…このゲームも不可解すぎる。こんなことをするメリットが一切ない。


一体、彼女は何を考えているんだ?」

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