デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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エイプリルフールに投稿するから番外編かと思った?

残念ばちばちに本編進みます

それではどうぞ


74話 子供達の怨霊

「ストップ2人とも」

 

「「?」」

 

定期的に沸いてくるラフムを倒し、進もうとした瞬間、嫌な気配を感じて2人を止める。

 

「何かいる」

「え?」

「どこに?」

 

「わからない。けど、確実にいる」

 

そう、何かいるのは察知できた。だけどそれ以上のことが何も掴めない。

 

「ラタトスク。何か観測できない?」

 

『いや、私たちの索敵には何も引っかかっていない』

 

ラタトスクからの観測にも引っかからない。となると…気配遮断ができる反英雄。……候補が多すぎるから誰かなんて後回しにしよう。

 

「わかった。じゃあここからは私は単独行動に戻る。真那と鳶一折紙には先行してもらうけど、問題ない?」

 

「…?どういうこと?」

「私としては構わねーですが」

『ルナ、簡潔に教えてくれるかい?』

 

「ラタトスクでもわからないから、気配遮断って能力持ちだと思います。多分アサシンと呼ばれる反英雄…わかりやすいのだとジャック・ザ・リッパーとか酒呑童子、あの辺りだと思う。けど候補が多すぎて絞れない」

 

『ふむ…』

 

「だから、初手だけ後手には回っちゃうけど、大体は対応できる私が相手する方がいい。相手がアサシンってのなら、姿を確認したと同時に2人が殺されてもおかしくない」

 

「私たちがそんなヤワとでも?」

「私たちを、馬鹿にしてるの?」

 

「全く、これっぽっちもしてない。だけど『英雄』だとか『反英雄』ってのはそういう奴らなんだよ。規格外ではあるけれど、()()王様を何度も見てるんだからそのヤバさはわかるでしょ?戦力を減らさないためにも、手っ取り早く士道の戦力を増やすためにも、私と2人は別れた方がいい」

 

『……わかった。くれぐれも気をつけてくれ。特にルナ、君の……』

 

「分かってますって。無理はしませんよ。いざとなれば奥の手もありますから。で、2人とも、答えは?」

 

「……。わかりました。兄様の戦力を増やすってのには賛成でいやがりますから」

「私も、問題はない」

 

苦しそうにOKを出した令音さんとは真逆で、冷静に判断を下してくれる真那に、願ったり叶ったりみたいな声で返事をする鳶一折紙。

そんな2人を苦笑いしながら見送り、見えなくなった頃に光齎王(エゼキエル)の錫杖を顕現させる。

 

「ほら、もう私しかいないよ?いい加減出てきなよ」

 

問いかけるけど、未だ反応無し。

 

なら……

 

「エゼキエル。【英雄達の譚歌(パンテオン・サーガ)

 王様、少しだけお借りします」

 

願望器の力を使い、嘗て王様を宿したときのように英雄の魂、その一部を呼び寄せる。

 

「ゲホッ…。さぁて…」

 

気配が動いた。

 

 

「……」

 

 

静かに、全神経を研ぎ澄ませる。

 

 

「ッ!そこっ!」

 

 

感じたほんの僅かな殺気。瞬間に後ろを振り向き雷を落とす。

 

「(当たった手応えは無し。流石にこの程度じゃ無理か…)やあ、初めまして、でいいよね。アサシンの反英雄サマ?」

 

「けほっけほっ。びっくりしたぁ。おかしいなぁなんで分かったの?」

 

聞こえてきたのは少年だとか少女とか、そんなレベルの幼さじゃない声。姿を確認するために砂煙を取っ払うと、そこにいたのは--

 

「……。あーらら、真面目に先に行かせて正解だったね」

 

黒い外套を纒う、まだまだ幼い子供。年齢的に10歳未満のように見える。

白髪に、何よりの特徴は右頬と左目に大きく走る傷痕と、両手に持つ逆さナイフ。

 

「お初にお目にかかるよ、【子供達の怨霊(ジャック・ザ・リッパー)】」

 

「うん、初めましてお姉さん!」

 

元気よく返事してくれる健気な子、という印象は抱いてしまうけど、イギリスのロンドンで世間を騒がせた、女ばかりを狙った連続殺人鬼ジャック・ザ・リッパー。

 

その正体は、娼婦などによる堕ろされた、本来産まれることのできたはずの子供の怨霊が集まって実体を持った…とかだっけ。

 

「それで、私を解体する(殺す)ように言われた、そんな感じ?」

 

「うん、そうだよ?」

 

「へぇ……。舐められたもんだね」

 

しっかしまあ…精霊を狙う上での最適解を出してきたね。

女しかいない精霊に対して、女を殺すことに()()()()()()反英雄ときた。しかも見た目は幼い子供なんだから、いくら敵とはいえ殺す事に躊躇してしまう精霊がほとんどだろうね。

 

 

だけど……

 

 

「それじゃあお姉さん。解体するね?」

 

「できるもんならやってみな。クソガキ」

 

 

ぶつける相手を間違えたね。

 

 

 

 

「クルーの皆さん、私の前に現れた子供は『ジャック・ザ・リッパー』。女を殺すことに関して右に出る者がいない反英雄。他に目移りされる前にここで仕留めに行きます」

 

『分かった。こちらからも出来うる限り支援させてもらう』

 

「いえ、観測機1つ以外は全部他に回してあげてください。ラタトスクの観測に引っかからない以上、複数台回す意味もない」

「なに話してるの?私たちも混ぜてよっ!」

 

ジャックは独特な緩急で距離を詰めてくる。咄嗟に錫杖を振り、雷を落とす。だけど避けられたようで目の前から消える。

 

「(隠れる場所が多すぎる…。一回隠れられたら肉眼で見つけるのは諦めた方がいいね…)」

 

住宅街の中、馬鹿正直に地面で迎え撃つ利点は無い。

ここは精霊としての利点を存分に使わせてもらおうか。

 

精霊の力を使って空に--

 

「もーいぃ、かーい」

 

「⁉︎」

 

「ばぁっ!つーかまえた!」

 

「うぐっ⁉︎」

 

かくれんぼの掛け声が聞こえてきたと思うと、背中に乗っかられた。振り払おうとするも、脇腹を冷たい感触が貫く。

 

「グッ、ガァッ!」

 

突き刺されたナイフをぐりぐりとされる。激痛が走り、暴れてしまいそうになるが何とか我慢し、ジャックの腕を掴んで強引に引き剥がす。

ジャックを地面に向かって勢いよく振り下ろすが、叩きつけれておらず、力がちょっと抜けた瞬間、スルスルと抜け出された。

 

「が、はっ…。チッ……」

「いったーい!私たちみたいな子供は大事にしろって、教わらなかったのー?」

「生憎、お前みた、いな、生意気なクソガキは、ちゃんと躾けろって、教わっ、ゲホッ、痛っぅ…」

 

痛みには慣れてるつもりだった。けど王様のおかげだという事が今更ながらに自覚できた。

お腹刺されるのめっちゃ痛い。

 

苦痛(いた)そうだね。苦しそうだね。可哀想だね。でも安心してよ。お母さんから、お姉さんを解体して楽にしてあげてって言われてるの!」

 

新しいオモチャを与えられた子供のように、モノを愛でるようにこちらを見て無邪気な笑顔とナイフの切先を向けてくる。

 

「ハハッ…楽に、してくれる、ねぇ…」

 

それはそれは……。

そんな事をしてくれるなら、そんな人がいたならどれほど良かったか…。でも……

 

「私だけ先に、楽にな(にげ)る訳には…いかない、から、ね」

 

 

マイラを救う事ができるかもしれないのに。

士道が覚悟を示してくれたのに。

王様が私に慈悲をくれたのに。

 

 

みんなが私のことを、私の罪も何もかもを全部纏めて受け入れてくれると、そう言ってくれたのに。たとえそれが叶わない願いだとは分かっていても。

 

みんなが覚悟を示したというのに

 

 

私1人が我先に楽な道を選ぶ訳には行かない。

 

 

「はぁーっ、はぁーっ。ぐうっ…」

 

エゼキエルの力で刺された箇所を焼き、無理やり止血する。あぁくっそ、めっちゃ痛い。

後でルシフェルにも同じことやってやるちくしょう。

 

「第2、ラウンド、いこうかジャック」

「うんっ!」

 

 

 


 

 

〜フラクシナス艦内 司令室〜

 

「……。村雨解析官、どう思われますか?」

 

「そう…だね。恐らく……」

 

モニターを見ながら、神奈月の言葉に思考を止めず様々な場所に観測機を回すよう指示を出していく。

 

「解析官!モニターが……」

 

「ああ、ブラックアウトしたね。だが音声や霊力の探知は出来る…。見られたくない何かがある…。つまり……。……。すまない、観測機を2機ほど指示する場所の真上に回してくれないか」

 

「了解しました」

 

見られたくないナニカがある。そういうことなのだろう。だが…なら何故このタイミングで?

例の歪なラフムのことは既に確認している。だがその時は映像は受信できていた。それ以上に見られたくないものがある…ということか?

 

「解析官…!こ、これは……」

「ひっ…」

「んなっ……」

 

「……?ッ⁉︎」

 

観測機を回すよう指示した--最も霊力反応が大きい--場所は、映像を受信することが出来ていた。

だからこそ、そこで何が起きていたのか見えてしまった。

 

「2つの杯…?中に溜まっているのは…」

 

「こ、れは……。そんな!」

 

「中津川君。これが何かわかるのかい?」

 

置かれていたのは二つの杯。その中でナニか黒いものが蠢き、ラフムがそれを守っていた。

黒い泥とでも言うべきソレを見た瞬間、中津川が焦燥の声を上げていた。

 

「……簡潔に申しますと、アレは周囲を蝕み、かの英雄達すら狂気の道に堕としかねないものです」

 

「なら、破壊する方がいいね」

 

「はい、その通りです」

 

「神奈月君、ここから狙い撃ちを…」

 

「いけません。もし失敗してしまうと、あの黒い泥が周囲に広がってしまいます。1つで最低1つの町があの黒い泥に…呪いに飲み込まれ、大火災に見舞われ、呪いに直接触れてしまった人間は口にするのも悍ましい死に方をしてしまう…そんなシロモノです。しかもそれを引き起こしかねないモノが2つ。一体どんな被害が出るか……」

 

「そう…か。ではどうするのが正解なんだい?」

 

「ルナさんが召喚してくださった英雄の方々にあの場所に集まってもらい、確実な破壊をしてもらう…でしょうか」

 

最も詳しいであろう中津川君の助言を受けながら、琴里とシャーロック・ホームズに連絡を試みるよう指示を出す。

 

「ダメです!繋がりません!」

「他の子達はどうだい?」

 

しかし繋がることはなく、事実上こちらから干渉できるのは音声による確認のみ。

 

「中津川君、改めて確認させてくれ。あの杯に溜まっている黒い泥のようなものは何だい?」

 

「【この世全ての悪】即ちアンリ・マユと呼ばれるものです。人類を滅ぼしかねない呪い、とお考えください」

 

「まだ溢れていないようだが、故意に溢れさせようと思うとどのような手順を踏む必要が?」

 

「完全な破壊…つまり一撃で消滅させることをせず一部のみを壊す、もしくは英雄達の魂を飲み込ませること。この場所でどう言った判定をされるのかは不明ですが、ルナさんが喚び出した英雄達、またルシフェルが喚び出したと思われる反英雄達の魂、更には精霊の皆さんも対象の可能性があります」

 

つまり…ルシフェルはルナの召喚したと言う英傑すら利用しようということか…。

 

「わかった。各自、どんな手段でも良いので連絡を試み続けてくれ。もし繋がったら状況を簡素に説明しやられないよう最新の注意を払うように通達を。また映像が出力できるようになった場合も直ぐにみんなの安否の確認を」

 

指示を飛ばし、もしものときはラタトスクからの援護もできるようにするべきか…。

 

「辛いが、信じるしか……ないな」

 

彼女達の心の強さを、覚悟を、信じるしかないというのは…なんとも辛いものだ。

 

 

 


 

 

「エゼキエル。【神の雷(デウス・カムイ)】」

 

「!」

 

錫杖を床に打ち付け、辺り一面に雷を落とす。円形に広がっていきながら住宅街を破壊していき、更地にしていく。

 

「かくれんぼできなくなった!ひどーい!あ、でもでも。次は鬼ごっこができるね!」

 

「アサシンのお前が鬼ごっこ?私に勝てると思ってんの?」

 

決してジャックから目を離さことの無いよう空へ浮かぶ。

いつでも仕掛けれるよう構えていたが、私なんか気にも止めず、耳に手を当てながら何かを話していた。

 

「うん!おじさんわかった!みーんな!出番だよー!」

 

「?」

 

みんな?ジャックに複数人になる能力なんて無いはず…。使ってるのは私の知識なはずで…。いや、固定観念に囚われるな。何があっても不思議は……

 

 

 

 

 

 

「……………………は?」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

目の前に現れたのは百体はくだらないであろう数のラフム。ジャックの呼び声に呼応し、まるで軍隊アリかのように地面を紫色で埋め尽くしていく。

 

そう、ラフム。それには違い無い。

 

だけど()()()()()()()()()がジャックの周りに数体集まっていた。

 

「あれぇ?どうしたのお姉さん。怖いの?その気持ちわかるよ。私たちもこの子達、正直苦手」

 

『ッ⁉︎村雨解析官!ルナさんの霊力が限りなくマイナスに近く…!』

『え…?一体何が……』

 

ラフム自体に違いはない。だけどありとあらゆる部分に人間の手足やら耳やら鼻、名残のようなものが見えた。

それだけならまだいい。

 

ラフムの口の下に有るモノ。

 

 

「るなぁ…。あいた、か、た」

「よかか、たた。げんき、そう」

「また、へん、かっこう、してるの、ね」

 

 

 

「嘘だ……」

 

 

 

これは、嘘だ。夢だ。

 

ルシフェルの権能で喚び出した反英雄の能力で、幻覚を見せられているだけだ。

きっと、そうだ。

 

 

『ルナ!気をしっかり持つんだ!』

『ルナさん!落ち着いて!何があったんですか⁉︎』

 

インカムから聞こえる声が、酷く煩わしい。聞こえれば聞こえるほど、目の前の光景を現実で有ると認識してしまう。

 

 

「るなぁ、なんで、そんなかお…」

「いつ、のまにかえって、きたんだ。ほら、いっしょに」

「ほん、と、あんた、きらい。ずっと…そう、よ」

 

 

心の奥底から夢だと願ってしまっても、聞こえてくる声がそれを否定してしまう。

 

 

「レイン叔母さん……。叔父さん…。それに……。何で……」

 

『やあ、サプライズプレゼントは喜んでもらえたかな?我が宿主』

 

 

目の前の空中に、ホログラムの映像が投影される。そこに映っていたのはラフムの死体の山の頂上に鎮座するルシフェルだった。

 

「おま…え…」

 

『アハッ!良ーい絶望(かお)をしているねぇ。よほど嬉しかったと見える。ほら、ハグしてきたらどうだい?親愛なる叔父さんと叔母さん、そして最後までマイラ・カルロスを想って、お前のことを考えて行動してくれていた恋敵(クラスメイト)だぜ?』

 

 

嘲嗤う声を聞くたびに臓腑が焼き切れそうなほどに憎たらしくなる。ああ、今すぐ…。

でも、叔母さんたちを…助けないと……。でも、どうやって…

 

 

 

 

『ジャァーック。それと醜いティアマト神の子供達。殺さない程度にいじめてあげな。じゃ、我が宿主。生きていたならまた合間見えよう』

 

 

 

 




レイン叔母さん再登場!さあさあ楽しくなってきたゾォ(鬼畜
おい誰だ人の心無いんかとか言ったやつ。
怒らないから正直に感想欄へ来なさい(

神夏ギルが見たものについて、イメージ的にはそうですね
わかる人向けに説明すると FGO第1部7章で出てきたあの方を更に最悪な見た目にした感じですね

わからない人は『FGO7章 トラウマ ラフム』あたりで検索かけよう



それでは読んでくださりありがとうございます
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