デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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更新……遅くなりすぎた……
オバロの二次が書くの楽しすぎた……


こっちもこっちで頑張るです……

前回の内容を簡単に書くと

神夏、ヘラクレスを宿してジャックちゃんフルボッコ

です

それではどうぞ


76話 神夏ギル Rエンド

「ガッ、グゥッ…ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!」

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 

死にそうなほど痛い。

痛すぎて何も考えることができない。

 

 

インカムからは何か声が響いてるけど、自分の声のせいで聞き取れない。

もう何もかもを激痛に身を任せ壊し尽くしてしまいたい程だった。

 

 

「ハッハッ……エゼ…キ…エル……」

 

 

体に宿していたヘラクレスを、エゼキエルと自身の中にある聖杯を使って消す。

それでようやく--激痛はなんら変わりなかったが--かなりマシにはなってくれ、なんとか立ち上がることができた。

 

「(クソッ……やっぱり無理がありすぎた。むしろ今まで王様が中にいて平穏だったのが異常だったんだ…)」

 

『ルナ、大丈夫かい?』

 

「だいじょ、ぶ、も、んだ、い、ない」

 

『悪いが、そうは見えない。一度簡易的でいいから手当を受けてくれないか』

 

「そんな、暇、ないで、しょ?よし、の、反転し、て。他の、子、も」

 

『そちらは私たちが対処している。大丈夫だ、信じてくれ。私たちは君たちを救うための組織なんだ』

 

「デ……モ……」

 

『そのまま進んでしまっては…死んでしまう。お願いだ。一度帰還してくれ……』

 

令音さんらしからぬ弱々しい言葉でのお願いにビックリしてしまう。それ程までに今の私は酷いのだろう。

 

「…………。わか、りました。ひろえ、ます、か?」

 

『問題ない。ありがとう、ルナ』

 

「治療、どれくらい、かかりま、すか?」

 

『多く見積もっても10分以内には済ませる。無論、全力を尽くすが万全にはできないだろう。それでも現状よりはマシになるはずだ』

 

「じゅう、ぶん、です」

 

『では……ッ⁉︎ルナ!すぐにそこを…』

 

令音さんの叫びが聞こえると同時、目の前に何かが飛来してきた。

未だ激痛が走っていた為、すぐに戦闘態勢に入ることができず、痛みに備えたが、不思議なことにいつまで経っても予測していた痛みが来ない。

 

「……?なにが……」

 

 

 

「だい、じょうぶ?かみ、や」

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

は・・・・・・?

 

 

 

 

え、今の声。

いや、そんなはず。

 

そんなわけがない。

 

 

そんなことがあるはずが

 

 

不意に聞こえた声の主を、脳は理解しても感情が受け入れるのを拒む。

 

体を無理やり起こし、目の前に立っている生物へ目を向ける。

見た目はどこをどう見てもラフムそのもの。

それに間違いはなかった。

 

 

でも

 

 

ラフム特有の顔とも口とも取れる場所の下に在る人間の顔を見て

 

 

もうどうしようもなく----

 

 

壊れてしまいそうだった

 

 

「なるほどね。そりゃ見つからない訳だ」

 

「……」

 

「元来の人間の自我を持つよう改造したのは私だが、まさか反旗を翻すとは」

 

私の後ろから聞こえるルシフェルの声すらも、インカムから響く声やアラームも、全てが通り抜けていく。

そんな時に顔をガシッと掴まれ、強引に向きを変えられる。

視線の先にいたのは、ルシフェル。

 

けどもう、それすらどうでもいい。

 

「おお、いい絶望(かお)してるじゃないか我が宿主。だが……反転まではもう一歩、というところか。ほら、逢いたがってただろ?再会のハグをしてやりなよ」

 

更に強引に動かされ、ラフムについていた人間の顔と目と鼻の先になる。

その顔を見るたびに、心の奥底から、心臓が灼けそうなほどに憎悪が湧き上がってくる。

 

「あれ、おーい我が宿主?反転する前に壊れたかい?」

「離……せ。ルシフェル」

「ん?」

光齎王(エゼキエル)……!」

 

 

こいつは

 

 

 

 

 

 

殺す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーおー。ズタボロのボロ雑巾より酷い体のくせによく動くもんだね」

 

今しがたぐちゃぐちゃのバキバキに折られてしまった右腕を見ながら、我が宿主だった神夏ギルの天使【光齎王(エゼキエル)】の攻撃を【堕天王(ルシフェル)】で相殺し続ける。

 

攻撃そのものは苛烈だが、実のところ赤子の手をひねるよりもか弱い。

 

そんな私の態度が癪に障ったのか、より殺意を滲ませながら攻撃をしてくる。

 

「ほらほら。愛しの()()()()()()()()が見てくれてるんだぜ?もっと頑張れよ我が宿主」

 

「だ……ま、れ!お前、お前はッ!絶対に……」

「殺すって?死にかけの癖に口だけは達者だね」

 

攻撃の隙間を縫って神夏ギルに近づき、腹に一撃ぶちこみ、吹っ飛ばす。

普段ならこんな攻撃ものともしないはずだろうに、全く踏ん張れることなくまるでボールのように跳ねていく。

 

「ヘラクレスを宿したのは失敗だったんじゃないのかい?もう少し格の低い存在なら多少はいい線イケたかもしれないのにねぇ。少しは自分の…」

『アー、マイテスマイテス』

 

続けて煽ろうとした瞬間、見計らったかのように通信機から声が響く。名前を聞かなくても誰かなんてすぐにわかる。

 

『マイクテストォー。ヨシ!聞こえるカナ、マスター』

「今すぐ殺してやろうかクソジジイ」

『おかしくないカナ⁉︎()()()()ができたら連絡しろって言ったのマスターじゃないノ!』

「じゃあ()()()()。お前、分かってやってんな?」

『ギクッ』

「………」

 

よし、次会ったら全力で骨抜きしてやる。

 

「もう()()()用は無いね?じゃあな、さっさとくたばれクソジジイ」

『隠す気すら無くなってるネ。そんなだから…』

 

続けて言われる前に通信機を破壊する。

これ以上聞いてるとマジで思わず殺してしまいそうになる。

 

「さて……休憩は十分かな我が宿主」

 

必死に起きあがろうとしている嘗ての運命共同体、それのなんとも無様なことか。

もう一度腹へ(今度は蹴りを)ぶち込む。綺麗なくの字に曲がりながら後ろにあった壁にぶつかり、そのまま瓦礫に埋もれる。

 

「おいおい。もう少し楽しませてくれよ。エゼキエルの権能とルシフェルの権能の力比べが出来ると思ってたのにさ」

 

「…………」

 

「あれ?おーい?死んだか?」

 

瓦礫は動かず、声も聞こえず。

とうとう死んだか?なんて思ってると私の前に一匹のラフムが立ちはだかる。

 

 

それは、マイラ・カルロスを素材にしたラフム。

 

 

元々は我が宿主に絶望してもらうために作ったが、いつの間にか姿を消していた失敗作。

 

「なんだ?文句でもあるのかな?」

 

「かみや……まも、る」

 

「へぇ、生みの親である『私』に逆らう訳?」

 

「おまえ…ちがう。かみや…かなしませる、おまえは……」

 

「あっ、そう」

 

何かを言い切る前に、コアにあたる--人間の名残である心臓がある部分--を貫く。ラフムの口から紫色の液体が溢れ出て私の腕にかかるが、更に何かが突き刺さってくる。

 

「こんなもの……おっ?」

 

腕を引き抜こうとするが、どうにも動かない。

更に追撃と言わんばかりに蜘蛛のような四肢を用いて串刺しにしようと動いていた。

 

が、マガイモノ共と比べたらなんともノロマなことか。

 

踏みつけ、殴り、切断し、全ての腕を動作不能にし、心臓部で固定されてしまった腕を思い切り振りかぶり、地面に叩きつける。

 

「ふーむ、まだ取れないか。……あまり使いたく無いけどしょうがない」

 

霊力を左手に、鋭い刃物のような形状に纏い、固定されてしまった右腕の肘から先を切り落とす。

流石に痛いし噴水のように血が出てほんの少し倦怠感が生じたが、まあ許容範囲だろう。

 

 

 

さてさて

 

予定通り進めるとしよう

 

 

 

 

 

 

「ふーむ。いい眺めだ。そう思わないかな我が宿主」

 

「は……な、せ……。おま、え、ころ……」

「かみ、やぁ……ごめ……まもれ……ごめ……」

 

「ちょっとくらいは質問に答えようぜ。あ、答えれるほど目が見えてないか。失敗失敗」

 

あんなに綺麗な顔は惨めで笑えるくらいに傷だらけだった。かわいそうに。

 

あ、やったの私か。

 

ビルの屋上で眼前に広がる廃墟の街を眺めながら、神夏ギルと裏切り者(ラフム)の首元を掴み、いつでも落とせる位置へ。

 

 

 

「さて、最期くらい遺言は聞いてあげるよ。何か言い遺すことは?」

 

「地……獄、堕……ち、ろ」

 

「オーケー。確りと聞き遂げたぜ。我が運命人にも伝えておこう。それじゃ、サヨナラ。神夏ギル」

 

 

 

 

 

 

 

こんなのが私の最期か。

精霊の力を使うこともできず、浮かぶことすらままならず、重力に引かれどんどん加速しながら下に落ちていく。

 

もう走馬灯すら見え始め、色々なことが思い起こされるような、そんな感覚が私の中を巡った。

 

ああ、十香にちゃんと謝れなかったな。

 

四糸乃は、ちゃんと反転から戻れるのかな。

 

狂三、手伝うって約束、守れなかった。ごめんね。

 

琴里は……きっと、しっかりと司令官を続けるんだろうな。

 

八舞の2人は……きっと、これからも士道を守ってくれるよね。

 

美九は歌を聞かせてくれるって言ってくれたのに、結局聞けず仕舞いだなぁ。

 

 

 

士道は……きっと、私の死すら哀しみ、どうにか無かったことにできないかとか考えて、しばらくは引きずるのかな。

 

 

 

 

嗚呼……でも……

 

 

 

「なんで……この気持ちは、無くなってくれないの……ちくしょう……」

 

 

それ以上に、目の前で一緒に落ちていたラフムに張り付いていた顔を見て、抱き付かずに入られなかった。

 

 

本当に、なんで最期の最期に思い浮かぶのが、散々助けてくれていたはずの士道じゃなく、かつての片想い(マイラ)の顔なんだろう。

 

殺したいほど憎くて、憎くて、臓腑が焼き切れそうだったはずなのに。

マイラへの恋心なんて、とうに捨てたはずなのに。

 

 

「ごめんね……ごめんね……マイラ」

 

 

わかってる。こんなの私のエゴだって、わかってる。

 

私が両親に反発して家出しなければ、精霊の力を望まなければ、いい子にしてれば

私の大好きな人は、こんな姿にならなかった。

 

 

今更謝っても遅すぎるけど、謝らずにはいられなかった。

 

 

もうすぐ、地面に叩きつけられる。せめて、せめてこの人だけは……

 

姿形が変わっても、私の大好きなマイラに違いはない。

洗脳から解かれていてもいなくても、この人だけは死なせたくない。

 

ラフムなら普通の人間より頑丈なはず。

私が間に入ってクッションになれば、少しでも無事でいられる可能性があるかもしれない。

 

 

 

 

「ばいばい。士道、十香、……みんな。マイラ。君たちに会えて、私は……」

 

 

 

幸せでした

 

 

 

 

 

 

「かみ……や……」

 

ずっと頭の中と自分の体の目的が一致しなかった。

止めたくても、止められなかった。

 

ようやく自分の意思で動けるようになったかと思うと、体はすでに化け物へ変えられていた。

 

でも、神夏を守りたいという心だけは、死んでも保ち続けた。

 

その結果、多少は自分の意思で動けるようになった。

 

周りにいる自分と同じ姿に変えられた化け物たちから逃げるように隠れていたら、赤と黒のドレスを着た女の子に手助けされて、もっとわかりにくいところに隠れて、ずっとずっとそこにいた。

 

何日経ったかもう数えるのもやめた頃、神夏が同じ部屋に入ってきた。

 

同じ姿をした化け物がたくさんいて、神夏に襲いかかっていたけど、神夏は辛そうな顔をしながらも全部を殺していた。

 

途中からは白い髪の子供と戦ってて、神夏は頑張っていたけれど死んでしまった--と、思ってたら、起き上がった。

 

そのまま白い髪の子供も、神夏の叔父さんや叔母さんだったバケモノも、全部を倒した。

 

安心したけど、束の間、神夏はすごく、すごくすごく泣き叫んでいた。

その声を聞いて、いてもたってもいられなかった。

 

 

でも、結局何もできなくて。

 

 

あの紫髪の神夏によく似た女の子に、殴られ蹴られて切られて、最後にビルの屋上から落とされた。

 

どうにか守ってあげたかったけど、身体中が悲鳴をあげて動いてくれなかった。

 

「ごめんね……」

 

神夏が抱きついてきて、謝ってくる。

 

ちがうよ。謝るのは……

 

「マイラ、君たちに会えて……」

 

やめて。生きるのを諦めないで。

 

神夏、僕を守ろうとしないで。

僕はもう、生きる資格はないんだ。

 

 

生きるべきは君なんだ。

 

 

気を失ってしまった神夏を、傷つけないように優しく抱き返し

 

()()()()()()()()

 

 

「が……」

 

その直後、言葉では言い表せないような、全身が砕けたかのような痛みと衝撃が身体中を駆け巡った。

いたい

 

死にそうだ

 

 

 

 

けど、そんなことはどうでもいい。

 

 

 

 

化け物の腕を神夏の胸にそっと押し当てるとドク…ドクとか弱く、けれど確りとした鼓動を感じる。

 

嗚呼、よかった……。

 

「お見事ですわ。マイラ・カルロスさん」

 

聞き覚えのある声が聞こえてくる。

その女の子は影の中から出てきた。けれど驚くようなことじゃ無かった。()()()()()()()、似たような方法で出てきてたから。

 

()()()()()()()()()()。ですので、こちらも約束を果たしますわ。何を望まれますか」

 

そんなもの、決まりきっている。

 

「かみや……たすけ、あげて……」

 

「……少々お待ちくださいまし」

 

その女の子は神夏の体を何度か触り、こっちを見た。

 

「ここまで消耗しているとなると、()()()寿()()()()でギリギリいけるかどうか……と言ったところでしょうか。どうされますか」

 

「わか……た、おね、が……」

 

「後悔しませんわね?」

 

最期の問いかけに、かろうじて動く首を縦に振る。

 

「………………。わかりましたわ。貴方の覚悟を、決意を。貴方の生き様全てに敬意を表します。貴方の全てを決して無駄には致しません。どうか……安らかにお眠りくださいまし」

 

直後、全身から力が抜けるような感覚がしたと思うと、意識を保つことが難しくなった。

でも不思議と辛くなく、むしろ感じたのは--

 

 

「あ……り、が、と……う」

 

 

最期の最期に、腕の中で微かに動き目を覚ます神夏を見て、そう言わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

「さて……どうなるか。ルナさん、どうか気を確りと保ちくださいまし」

 

死にかけとはいえラフムの脅威的な生命力を全て吸い取り、【四の弾(ダレット)】に込めてルナさんを撃ち抜いた。

あのジャック・ザ・リッパーと戦った直後くらいまでは戻ったとは思われますが……。

 

「…………。マイラ?」

 

すぐ後ろに立っていたわたくしにも気づかず、すでに事切れてしまったマイラさんへか弱い幼子のようにすり寄っていた。

 

「マイラ……なんで、ねえ、なんで……」

 

何度も何度も揺らすが返事はある訳がない。

次第に感情が決壊したのか涙を流しながら、段々と強く揺さぶっていた。覚悟はしていましたが、実際に目にしてしまうと気持ちが揺らいでしまう。

 

「ルナさん」

 

冷静を装いつつ名前を呼ぶと、縋るようにわたしくを見つめてきた。

 

「狂三……?ねえ、マイラが……動かない。助けてよ……ザフキエルの力で。あの時間を巻き戻すやつで……。私の命全部使っていいから……」

 

「申し訳ありませんが、それはできません」

 

絶望そのものが、顔に張り付いたような。そんな表情になるが怨みは不思議と一切読み取れない。

 

「なん…、約束……したじゃん……どうして……」

 

()()をしたならば、彼の、マイラ・カルロスさんの総てを--人生も、覚悟も、決意も、生き様も

 

何より貴女を最後まで愛した殿方の気持ちを、侮辱することに他ならないからですわ」

 

わたくしの言葉の意味を理解できなかったのか、或いはしたくなかったのか。

 

もう一度事切れたマイラさんを見たと思うと、思い切り抱きついていた。

 

 

「なんで……なんで、私、まだ、何も伝えれてないのに……。ごめんねって、言ってないのに……大好きだって、伝えてないのに……なんで、なんでなんでなんで……」

 

 

自身への呪いのように、ずっと後悔を吐き出す様を見て居た堪れなくなってしまった。

 

「ルナさ……いえ、神夏ギルさん。まだ戦いは続いております。わたくしは戻りますので、どうか、どうか心を持ち直してくださいまし」

 

念の為分身体を1人造り出し、逃げるようにこの場を離れてしまった。

 

 

 

 

でも、この選択は間違っていたと、わたくし自身の身をもって知ることになってしまった。

 

 

 

 

 

「もう、どうでもいい。ルシフェル……お前は……」

 

 

 

殺す




神夏ギル Runaway(暴走)エンド

次は……十香か狂三かな?

頑張って話を考えていきますよぉ


それでは読んでくださりありがとうございました
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