インフィニット・ストラトス~皇室の楯~(凍結) 作:のんびり日和
護衛部隊が編成され幾日が経った。時雨、秋、あずみ、美哉は智哉達の傍で主に登下校をお守りし、夜架、鴉羽、紅翼は智哉達が外へと遊びに行かれた時などの護衛として付いた。ホロウは身体能力を生かし高台から高台へと移動しながら智哉達を見守っていた。
護衛部隊編成から数ヶ月後、智哉達の学校は夏休みに入った。
そんな時、天城家の門の前に水色髪の着物女性と大きな荷物を持った4人の子供達がやって来て、中へと入った。
「御免下さぁ~い!」
入口の扉を開け、女性は奥まで聞こえる程の声で呼ぶと、従者の一人が入口へとやって来た。
「はい、どちら様で……! これは更識藍様。いかがなさいましたか? ご息女様達もお連れになって」
「実は颯馬様に折り入ってお願いが有って参りました。お目通りをお願いできませんでしょうか?」
藍は朗らかな笑みを浮かべながら、颯馬に会えないかとお願いすると従者は少々お待ちを。と言い奥へと向かった。従者は颯馬の部屋の前へとやって来て襖越しに颯馬に声を掛けた。
「颯馬様、更識家の藍様とご息女様達が颯馬様にお会いしたとのことで参られました」
『分かった。応接間の方にご案内するように』
「御意」
従者は了承の言葉を口にした後、玄関へと戻った。従者は玄関で待っていてもらった藍達を応接間へと案内し、待っていただくよう伝え部屋から退室していった。
暫くして颯馬が部屋へと入って来て、藍達は姿勢を正した。
「突然来訪して申し訳ありません、颯馬様」
「いやいや、構わんよ。それで、今日はどういった御用で参られた?」
颯馬は用件は何かと聞くと、藍が天城家に来た経緯を語った。
「はい、実は今現在我が夫、楯無は仕事の関係でしばらく家を留守にしております。主人が居ない間は私が子供達の世話をしていたのですが、主人から昨日連絡が入り急遽私も応援に向かわねばならなくなったのです。それでこの子達を暫くの間颯馬様の下で預かって頂きたく思い参った次第です」
藍がそう言うと颯馬はなるほど。と納得した表情を浮かべた。
「……用件は分かった。それで、何時までその子達を預かっていればいい?」
「出来ればこの子達の夏休み一杯の間は預かって頂きたいと思っております」
「ふむ、分かった。では、そちらの仕事が終わるまで此方で預かっていよう」
颯馬は朗らかな笑みを浮かべ、了承の言葉を口にする。
「ありがとうございます! ほら、貴女達も暫くお世話になるんだから」
「暫くお世話になります」
「よろしくお願いします」
「し、暫くの間お世話になります」
「宜しくお願いしまぁす」
刀奈、簪、虚、本音は緊張した面持ちで挨拶する。颯馬はその顔を見て笑みを浮かべながら、ある事を告げた。
「そう言えば今、智哉達が部屋で遊んでいるはずだ。伝えに行って貰って来てもいいかね?」
颯馬は刀奈達に智哉達へ、刀奈達が暫くお泊りする事を伝えに行って欲しいと頼む。
「は、はい! 伝えに行ってまいります!」
そう言い刀奈達は荷物を持ち、一礼をしてから部屋から退室していった。
「では、暫くの間あの子達の事をどうかお願いいたします」
藍はそう言い頭を下げると、颯馬は分かった。と了承の言葉を口にした。
その頃応接間から智哉達の部屋へと向かおうとした刀奈達はというと
「……迷子だわ」
絶賛迷子中であった。
「ど、どうしよう簪ちゃん! このままじゃあ智哉君達に会いに行けない!」
「だから天城家の従者の人に案内してもらおうって言った。それなのにお姉ちゃんが『智哉君のお家って初めて来たから直ぐに行かずにちょっと見て回ってから行きましょ!』て言った所為じゃん」
「はぁ~、どうするんですか、お嬢様。このままですといずれ従者の方々が智哉君達に、私達が家に泊まりに来ている事が伝えられますよ」
「えぇ~。折角ともともにサプライズしようと思ってたのにぃ」
刀奈はアワアワと慌て、簪は姉の突発的な思い付きの所為で智哉の元に行くのが遅れることに少しイラっとし、虚は次期当主として大丈夫なのだろかと、刀奈を心配し本音は智哉に泊まりに来たことを驚いてもらおうとしていたが、それが出来ないかもしれないと聞き落ち込む。すると
「あら、貴女方は更識家のご息女様達ではありませんか」
そう声を掛けられ振り向くと、黒髪でオッドアイの女性が立っていた。
「えっと、貴女は天城家の従者の方で宜しいでしょうか?」
刀奈がそう聞くと女性はえぇ。と答えた。
「私は天城家皇室護衛部隊隊長、切姫夜架と申しますわ。それで貴女方はどうして此方に? 若様のお部屋でしたらあちら側でございますよ?」
そう言い夜架は刀奈達が居た場所とは反対の方向に指を指す。
「もしや、案内役の従者と逸れてしまわれたのですか?」
「あ、いや、実は「私の姉が探検しようと言って天城家の従者の方達に案内を申し出ず、歩き回った結果迷子になったのです」……です」
刀奈が説明しようとしたが、簪が重ねる様に説明すると夜架はあらあら。と零しながら苦笑いを浮かべた。
「では、私が若様のお部屋までご案内いたしますわ」
そう言い夜架は、刀奈達を連れ智哉の部屋へと向かった。暫く歩くと夜架は足を止め屈み、中にいる人物に襖越しに声を掛けた。
「智哉様、お客様が参られましたのでご案内いたしました」
『お客様? どうぞ』
入室の許可が下りたのを確認した夜架は、失礼します。と襖を開いた。
「夜架さん、お客さんって一体誰なんですか?」
智哉は穂香達とゲームをしていたのか、P○4のコントローラーを置き、体を夜架の方に向けていた。
「はい、智哉様のお友達の方々です」
そう言うと夜架は、どうぞと開いた襖から体を動かすと荷物を持った刀奈達が現れた。
「こんにちは、智哉君!」
「久しぶり、智哉」
「こ、こんにちは智哉君」
「えへへ、お邪魔しまぁす」
「あれ刀奈さん、簪、虚さん、のほほんちゃんどうしたの今日は?」
智哉は突然来訪した刀奈達に驚き、穂香達もゲームを一時中断し刀奈達の方に顔を向けていた。
「うん、実はお父さんとお母さんが仕事でしばらく家を留守にするみたいだから、暫くの間智哉君達のお家でお泊りすることになったの」
刀奈はそう言い荷物を置く。
「そうなんだぁ! それじゃあ暫くの間一緒に遊んだりできるね!」
智哉がそう言うと、刀奈達はそうだね!と喜んだ表情を浮かべた。
「では、私はこれで失礼いたします」
「うん。夜架さん、ありがとうございます」
智哉は笑顔で夜架にお礼の言葉を口にすると、夜架は笑みを浮かべながら一礼し部屋から去った。
「それで、その荷物には何が入ってるの?」
穂香は刀奈達が持ってきた大きな荷物の中身が気になり声を掛ける。
「私のカバンには、勉強道具一式、着替え、あとトランプとか皆と遊べる物よ」
「私のには、お姉ちゃんと同じ、着替えとかと特撮物のDVDとかが入ってる」
「私は勉強道具と着替え位です」
「私のわねぇ、これを持ってきたよぉ!」
そう言い他の3人とは比べ大きなカバンを背負ってきた本音はカバンから圧縮袋に入れられた何かを取り出した。
「のほほんちゃん、それは?」
智哉は中身が気になり、圧縮袋の中身を聞くと、本音は袋の封を開き中身を取り出すとそれは以前智哉の手紙に入っていた動物の着ぐるみ寝巻きだった。
「今日はこれを着て皆寝ようと思って持ってきたんだぁ」
「わぁ~、これって前に手紙に書いてあった着ぐるみ?」
「あ、このリスさん可愛い!」
「この猫さんとても可愛らしいです」
そう言い穂香や黒江は気に入った着ぐるみを手に取っていると、虚は一人いない事に気付き智哉に声を掛けた。
「えっと、智哉君。恵里香さんは何処かに行かれているのですか?」
「恵梨香お姉ちゃんは、今お仕事で家に居ないんだ。そう言えば今日テレビに出るって言ってたから出てるかも」
そう言い智哉はテレビの画面を切り替え、ニュース番組を切り替えていると目的の場面があったのか、手を止めた。
『本日、飛躍的な急成長を遂げているAMG社の社長、天城恵梨香社長が記者会見を開かれました』
そう言い画面が記者会見の様子を映した。
『AMG社社長の天城恵梨香です。本日はお忙しい中集まって頂き、ありがとうございます。本日お集まりただいたのは、我が社とある機関と共同開発プロジェクトが立ち上がった為、皆さんにご報告をと思いお集まりいただきました。その機関とは、アメリカ航空宇宙局NASAと宇宙航空研究開発機構JAXAです。プロジェクトの内容がこちらです』
そう言い恵梨香はプロジェクターで、ある画面を見せた。其処には
『インフィニットスペースプロジェクト、略してISPです。このプロジェクトは、ISを本来の用途である宇宙へと打ち上げ船外での活動を行い、実際にどのような働きが出来るのか、そして宇宙空間で人体に影響がないのかを調べるためのプロジェクトです』
そう言うと記者陣にどよめきが走った。すると記者の一人が手を挙げた。
『質問なのですが、今ISは兵器として見られている国が多いです。そんな中、ISを宇宙に送るのは政府などが黙っていないのではないでしょうか?』
『確かに、政府は反対と言ってくるかもしれません。ですが、それが何だと言うんですか? ISは本来宇宙で活動する為の物。それを正しい使い方をして何が悪いんですか?』
そう言われ記者は何も言えず席に着いた。すると他の記者が手を挙げ、質問を投げた。
『そのプロジェクトに関わる人物は、女性のみなのですか?』
『いいえ、男女共同でこのプロジェクトに挑みます。世間ではISに乗ったことも無いくせに女性が偉いんだとほざいている奴が多くいる様ですが、このプロジェクトにはそんな人物には一切関わらせておりません。それと一言申しあげますが、我がAMG社にはそう言った風潮に染まった人物は一人もいない事を此処で宣言しておきます。我が社は実力が有っても女尊男卑に染まった女性は、入社どころか出入りを禁じている事を此処で宣言させていただきます』
そう言うと記者陣は、この会社は世界中の女尊男卑に染まった人間達に宣戦布告したと直感し、今の時代を切り開く会社かもしれないと思った。すると記者陣の中から一人の女性が乱入してきた。
『ふざけるな! ISは私達女性が選ばれた神聖な物! それを男なんかと一緒にプロジェクト行うなんて冒涜よ! このグッ!!??』
叫んでいた女性は突然現れた黒服スーツを着た者達に囲まれ、一人に腹に強烈な一発を貰い気絶しそのまま連れていかれた。
『……どうやら鼠が一匹紛れ込んでいたようですね。まだ他に居るかもしれないので、申し訳ありませんが、此処で記者会見を終えます』
そう言い恵梨香は秘書の女性、そしてNASAとJAXAの関係者と共に会見台から下り下がった。その間にもシャッターのフラッシュはけたたましく光っていた。
「なんか凄い記者会見だったわね」
テレビを見ていた刀奈は、余りの驚きそう声を漏らした。
「流石お姉ちゃんだね。襲撃者が居ても驚くことなく対処してた」
智哉は恵梨香の動じない体勢に、感銘を受けていた。
その頃記者会見を終えた恵梨香はと言うと社長室で、記者会見の際一緒にいた秘書兼護衛官の辻村かなたに声を掛けた。
「それで、かなたん。例の馬鹿、何処から侵入したか分かった?」
「はい。どうやら本来来るはずだった記者の一人から脅し取ったみたいです。幸い脅し取られた記者に怪我等は無かったそうです」
「そう。それであの
「手筈通り、
かなたの口から出た例の部屋と言う言葉を聞き、恵梨香は口角をあげ愉快そうに笑った。
「アハハ。それだったら今頃泣き叫びながら、謝ってるかもね。自分がどれ程愚かな風潮に染まったか、後悔しながら……」
『お姉ちゃ~ん、電話だよぉ! お姉ちゃ~ん、早く出てくれないと寂しいよぉ』
恵梨香とかなたが黒い笑みを浮かべていたら、突然恵梨香のポケットから智哉の声が流れ、恵梨香は目にも止まらぬ速さでポケットからスマホを取り出し電話に出た。
「はぁ~い、とも君の事がだ~い好きなお姉ちゃんですよぉ!」
『ふぇっ!? えっと、その、ぼ、僕もお姉ちゃんのこと好きだよ…』
「ぶふぁっ!?」
電話に出て何となく口にした言葉に、まだ純粋な心を持っている智哉も家族として好きだと、恥ずかしながら返したため、恵梨香の理性はマッハで鼻に来た。
『えっ! お姉ちゃん、どうしたの!? 何かあったの?』
「だ、大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだよ。あははは」
鼻から出てくる血を止める為、ガーゼを鼻の穴に突っ込みながら電話に応対した。かなたは苦笑いになりながらその光景を眺めていた。
「それでどうしたの?」
『うん、実は今刀奈さん達がお家に来ててね、暫くお泊りするんだって』
「お! それは楽しみだね。それじゃあもう上がりだから、今から帰るね!」
『はぁい!』
そう言い電話は切れた。
「さてかなたん、車出して。お家帰るし」
「分かりました」
そう言いかなたは車を正面入口へと着けるべく社長室から退室した。
――とある建物に設置されている部屋から一人の女性が泣き叫びながら、謝っていた。
「ご、ごべんなざいぃ……もう、もうゆ、ゆるじでぇ」
女性は鼻水や目から溢れる涙を拭おうとせず、ただ部屋に唯一ある扉を引っ掻きながら許しをこいていた。
「あらあら、何処に行こうと言うのかしら? まだ道徳の授業は終わっていないのよ」
そう言い、鞭を持った女性が女性の襟を掴み引きずりながら部屋に置かれたスクールデスクチェアに座らせた。
「それじゃあ、逃げようとした罰としてノートにこれまで男性にはいた暴言などの謝罪文書き、プラス5冊よ」
鞭を持った女性がそう宣告すると、女性は無理だと顔を上げた瞬間鞭が机を叩いた。
「あら、私に反論する気?」
黒い笑みを浮かべながら女性は見下ろすと、泣き叫んでいた女性は恐怖で顔が真っ青に染まり直ぐに顔を下に向けノートに謝罪文を書き始めた。
かなたが言った例の部屋とはこの部屋の事で、この部屋で鞭を持った女性は天城家尋問部隊の一人
この部屋で行われている事を知っているのは極一部で、この部屋では謝罪文やら道徳とは何かを学ばせ女尊男卑に染まった人物を、男女平等を掲げ綺麗な女性へと変貌させるのだ。因みにAGM社に楯突いた女尊男卑の女性は、何時の間にか男女平等を掲げる綺麗な女性に変貌すると言う都市伝説的なものがネット上に密かに話題になっていた。
次回予告
家に帰って来た恵梨香。そして刀奈達と楽しい夕飯をとり、本音が持ってきた寝巻きを着て部屋で遊んでいると、虚は今日テレビでやっていた事を口にした。
次回
着ぐるみだらけの子供部屋
~にゃははは、まるで動物園みたいだね!~