インフィニット・ストラトス~皇室の楯~(凍結) 作:のんびり日和
剣道の試合から数日が経ったある日、智哉達は部屋で勉強をし終えテレビを眺めていた。
『君とてその一つだろ‼』
『それでも! 守りたい世界があるんだぁ‼』
テレビを食入る様に見る4人。そしてアニメは終了しエンディングが流れ始めた。
「何度見てもこのアニメは面白いね」
「そうだねぇ。ガンダムシリーズの中では2位に入るほどの作品だよ」
恵梨香はそう言いながらデッキからDVDを取り出し、束となっているケースの一つに入れる。
「私、大きくなってISに乗れるようになったらジャスティスみたいなISに乗ってみたい!」
「お、良い夢だねそれ。よし恵梨香お姉ちゃんに任せなさい‼ その夢叶えられるよう頑張るからね!」
そう言い恵梨香は穂香の夢を応援していると、智哉は羨ましそうな顔を浮かべる。
「いいなぁ~、穂香。僕もフリーダムみたいなISに乗ってみたい」
そう言うと、恵梨香拗ねちゃって可愛い!と思いながら智哉の頭を撫でる。
「そうだねぇ。とも君も女の子だったらISに乗れたのにねぇ。けど分かんないよぉ」
恵梨香の分からないという言葉に智哉と穂香、そして黒江は首を傾げると恵梨香が説明する。
「今は乗れないけど、もしかしたら未来には男の人もISに乗れる日が来るかもしれない。恵梨香さんはそんな日が早く来るように勉強してるんだからね」
そう言い智哉の頭を撫でる恵梨香。
「もし乗れるようになったら一番にとも君を乗せてあげるから待っててね」
そう言われ智哉はうん!と頷く。すると部屋の前の襖が開き颯馬がやって来た。
「ん? 何か面白い話でもしてたのか?」
「うん、お姉ちゃんが何時か僕をISに乗れるようにしてくれるって言う話」
そう言うと颯馬はそうかそうか。と笑顔を浮かべながら呟く。するとその後ろから雪子が現れる。
「あなた。智哉達には言ったのですか?」
「おぉいかんいかん、忘れる所であった。4人共、これから出かけるが一緒に付いてくるか?」
そう聞かれ智哉達は首を傾げる。
「何処に行くのお父さん」
「私の友人の家だ。少し仕事の打ち合わせにな」
そう言われ颯馬の友人とはどう言った人物か気になり、4人は行く!と即答し出掛ける準備をし、秋の運転する車へと乗り込み颯馬の言う友人の家へと向かった。
家を出発して数十分後、車は木造の立派な門の前で停車し智哉達は降りて行く。智哉は門横に掲げられている表札には『更識』と書かれていた。
「此処がお父さんのお友達のお家?」
「そうだ。さぁ入ろう」
そう言い颯馬は中へと入って行き、智哉達もその後を追った。門を抜けた先は立派な日本庭園が広がっており、手入れが行き届いてるのが素人の目でも判る光景であった。そして立派な日本屋敷の玄関へと到着し、颯馬は扉を開く。
「失礼する。」
そう言い中へと入ると、一人の男性が現れ正座をして平伏した。
「お待ちしておりました、天城様。どうぞ、こちらへ」
そう言い男性は颯馬達を中へと案内する。屋敷の奥へと案内され、ある一室へと到着し男性は襖越しに中にいるであろう人物に話しかけた。
「楯無様、天城様がお越しになられました」
『うむ、お通ししろ』
そう言われ男性は襖を開き、颯馬達を中へと入れた。中へと入った颯馬達を上座に座っていた男性が笑顔で出迎えた。
「お忙しい中お越しいただきありがとうございます、颯馬様」
「なぁに友人が困っていると聞けば、手を貸すのが当たり前だ」
そう言いながら、下座に座る颯馬達。そして颯馬の横に居る智哉達に男性は顔を向ける。
「もしやこの子達が颯馬様が仰っていたお子様達ですか?」
「うむ、自慢の息子達だ。皆自己紹介を」
そう言われ一番上の恵梨香から名を名乗った。
「長女の天城恵梨香と言います」
「次女の穂香です」
「三女の黒江と言います」
「長男の智哉と言います」
「更識家の当主、更識楯無と言う。ところで智哉君は天城家の次期当主と聞いたが、真実かね?」
4人の自己紹介を終えた後男性、楯無も名を名乗った後智哉が次期当主なのか聞く。智哉は自信たっぷりにはい、そうです。と頷く。
「智哉は次期当主としての技量もあるし、それだけの器がある為次期当主として選んだのだ。恵里香は会社を立てて智哉を支えると決めているようだしな」
そう言うと恵梨香はちょっ!?と驚いた顔を浮かべ、颯馬はおっと口が滑ったと笑みを浮かべる。
「お父さん! それは内緒にする約束じゃん!」
「すまんすまん。つい口が滑ってしまった。ハッハハハハ!」
もぉ。と恵梨香は顔を赤くさせ、穂香や黒江達も笑っていた。
「いやはや、仲の良い御姉弟達で羨ましい限りです」
楯無は笑みを浮かべながらそう言うと、智哉はその言い方に首を傾げる。
「楯無さん達にもお子さんが居られるのですか?」
「うむ。2人の娘が居るんだが……」
楯無は若干暗い影を落とし、恵梨香達は何だろうと首を傾げていると颯馬はふむ。と考える際によく上げる声をあげ、口を開く。
「まぁその話はまた今度でも構わんか? 今日来た目的を忘れてしまいそうだ」
そう言うと楯無はそ、そうですね。と声をあげる。颯馬は4人に退室言い楯無は中庭にある池で色とりどりの鯉が泳いでるから見て行ってはどうかと言われ、4人は部屋から退室していった。
「……颯馬様、ありがとうございます」
楯無はそう言い頭を下げる。
「なぁに、口に出すのが辛い事なら無理に話す事でもあるまい。さて仕事の話に移ろうか」
そう言うと颯馬と楯無は先程まで出していた朗らかな雰囲気からピシッとした雰囲気へと変わる。
「ここ最近世界中に存在する暗部組織が狙われると言った事件が起きているらしく、先日にはイギリス女王直属影の護衛『インペリアル・クロウ』に所属している貴族、オルコット家の当主とその夫人が狙われたらしいのです。幸い2人は無事だったらしく、犯人はどうやら女尊男卑に染まった女性で、その背後には女性権利団体が居る可能性があるそうです」
「それはまた、やっかいな事案だな。その権利団体は確か、日本にも存在しておるな」
「はい。まだ小規模な権利団体で、つい最近入った情報では政界に進出しようと考えている女性権利団体の人間が何人かおるそうです」
「やはりか。まぁ心配するようなこともあるまい。この国をおかしな風潮に染め上げようものなら何時でも手は打てる様準備はしておる」
颯馬がそう言うと、楯無は何かしらの工作をしてこの国を守ろうとされているんだろうと考え深くは聞かなかった。そしてそのまま仕事に関する相談を続けた。
その頃智哉達は屋敷の真ん中にあると言われている池へと向かっていた。
「家にある池だと鯉とか金魚が多いけど、この家で泳いでる鯉ってどんな柄なんだろうね」
「そうだねぇ。金とかが多かったりして」
「それはそれで物凄く珍しいよ、お姉ちゃん」
そう言いながら池があると思われる中庭に着く4人。すると智哉は廊下の縁側でこっくりこっくりと首が動く大きな狐を見つけた。
「……狐さんが居る」
「え? 狐? ……本当だ、狐だ」
「狐だねお兄ちゃん」
「狐ですね」
4人はそっと狐の傍に近づく。すると突然首がこっくり動くのが止まり顔だと思われる物が智哉達の方へと向けられた。
「はれ~、だれ~?」
「えっと、僕は天城智哉って言うんだ」
「姉の恵梨香だよ」
「次女の穂香です」
「三女の黒江と言います」
そう言うと狐は頭の部分を掴んで後ろにする。すると女の子の顔が現れた。
「私は本音って言うんだぁ~。宜しくねぇ~、ともともぉ」
そう言うと智哉はともとも?と首を傾げるが、恵梨香はなるほどと納得した顔をする。
「多分とも君のあだ名だと思うよ」
「あぁなるほど。お兄様のともの部分を繋げたんですね」
黒江の説明に智哉は納得するような顔となり、それじゃあと考えこみ暫くして顔をあげた。
「じゃあ本音ちゃんはのほほんちゃんだ」
そう言うと本音はぱぁ~と顔を輝かせた。
「もしかして私のあだ名? わぁ~い!」
喜んだ表情をする本音に4人は、なんだかな和む様な雰囲気になっていると突然
『もうほっといてよ‼』
そう怒鳴り声が聞こえ、本音はビクッと肩を跳ね上げ怯えたような顔で「……かんちゃん?」と呟き、怒鳴り声がした方に駆け出した。4人は何だろうと思い本音の後を追う。
そして本音の後を追って行くと、本音はある部屋の襖を開ける所だった。中からは怒鳴り声や物が落ちる音が響いていた。
「かんちゃん、入るよぉ?」
そう言い中へと入る本音。その後4人は襖から覗き込む。部屋の中は荒れており、部屋の真ん中では同じ髪色の2人の少女が喧嘩をしており、本音は止めさせようと声を掛けていた。
「もう私の事はほっといてよ!」
「何でわかってくれないの! お姉ちゃんは只貴女を守る為に「それで私がどれだけ苦しめられてるか知ってるの!」そ、それは……」
「ふ、2人とも止めてよぉ」
本音は涙声になりながら止めようとしていると、部屋に本音と同じ髪色の眼鏡を掛けた少女が入って来た。
「お2人ともお止めください!」
そう言い仲裁する少女。それでも2人は止めることは無く、少女はどうしたものか。と困っていると智哉が息を吸い、そして
「止めろ‼」
「「「「!?」」」」
その言葉に喧嘩をしていた2人は喧嘩を止め、喧嘩を止めようとした本音と少女達と同様に驚いた表情を智哉に向けていた。
「2人で何の喧嘩をしていたのか知らなけど、泣いてる子や困ってる人が居るんだからそれ以上喧嘩は止めろ」
智哉は普段見せた事の無い雰囲気で、2人の喧嘩を止めた。
「さて何で喧嘩したのか、私に教えてもらってもいいかな?」
そう言い恵梨香は部屋の中に入りながら聞いてきた。すると喧嘩を止めようとしていた少女が、あの。と声を掛ける。
「その前にどちら様でしょうか?」
「おっと、まだ名を名乗ってなかったね。私は天城家長女、天城恵梨香さんだよ」
「次女の穂香です」
「三女の黒江と言います」
「長男で、天城家次期当主の智哉です」
そう言うと4人は驚いた表情を浮かべ、眼鏡を掛けた少女は慌てた様子で頭を下げた。
「こ、これは失礼しました! 更識家に代々使えております布仏家長女布仏虚と申します。そしてこちらが「本音ちゃんでしょ。さっき其処で会ったんだよ」そうでしたか」
4人が固まっているのを見かねた恵梨香は、まぁ立ちっぱなしも何だし座ろうよ。と言い、8人は散らかっている部屋に座った。
「さて、君達の名前は?」
「私は更識刀奈と言います。更識家の次期当主です」
「……更識簪」
「それで、何で2人は喧嘩してたのかな?」
「そ、それは……」
刀奈は言いづらそうな面持ちでいると、隣にいた簪が口を開く。
「……この人が何時も妹を守る為と言って、私に何もさせまいと色々手を回すんです。その所為で私は周りから無能だとか、姉の付属品みたいな扱いを受けてきたんです。それが悔しくて、見返そうとするとすぐに姉が動くんです。それが苦痛で仕方がなかったんです」
そう言うと、恵梨香ははぁ~。と呆れた様なため息を吐く。
「君、妹が大切だからって何もさせまいと手を回せば、そりゃ恨まれるよ」
「うっ。た、確かにそうですが、それでも「もしその行為を何年も続けた場合、もしかしたらその子の自信が無くなって、最後に待ってるのは自殺だったかもしれないんだよ?」!?」
恵梨香の最悪の未来予想を言われ、刀奈の顔が青褪める。
「私も2人の妹に1人の弟が居るけど、3人がやろうとしている事が危ない事とかじゃない限り私は応援してやらせているよ。怪我とかする事があるけど、それはそれだけ努力している証みたいな物。大切だから身近に置くなんて行為は、その人を監禁するのと同じことなんだよ」
そう言われ刀奈は更に落ち込み、簪は自身の事を理解してくれる恵梨香に感動していた。
「恵梨香さん、これから恵梨香お姉ちゃんと呼ばさせてください!」
「か、簪ちゃん!?」
突然自身ではなく恵梨香をお姉ちゃん呼びした簪に刀奈はガァーン!と驚愕の顔になり、恵梨香はアハハと苦笑いを浮かべる。
「それは置いといて、何で刀奈ちゃんは簪ちゃんを守ろうとするの?」
そう言うと刀奈はぽつりぽつりと語りだした。
「昔、簪ちゃんと本音ちゃんが公園に遊びに行った際に何処からか現れた野良犬に襲われたそうなんです。その時は近くに居た従者の方が助けに入ったお陰で何とも無かったようです。私はそれを聞いて、そんな危険が二度と簪ちゃんに合わせないためにしてきたんです」
そう言われ、恵梨香はなるほどなるほど。と頷く。
「刀奈さん、それはやりすぎる守り方じゃん」
穂香はそう言い黒江も同意するように頷く。
「僕もそう思う。けど、妹思いでもあると僕は思うよ」
そう言うとずっと俯いていた刀奈が顔をあげ、他の面々も智哉に顔を向ける。
「だって、妹が怖い思いしたから守りたいって言うのは僕にもあるもん」
そう言うと穂香はあの事件の事を思い出し暗い気持ちが浮かぶが、今は大好きな兄が傍にいるから大丈夫だ。と気持ちを換えニンマリとした表情を浮かべる。
「そうだねぇ。お兄ちゃんは何時も私の事守ってくれてるもんねぇ」
そう言い智哉のお腹に抱き着き、スーハ―スーハ―と息をする。
「こ、こら! 止めろって穂香!」
「やだぁ!」
そう言い智哉の腰に手を回し、ギュッと抱き着く。それを見ていた本音はいいなぁ~。と羨ましそうな目で見ていると、その背中が空いている事に気付きこそっと近付き背中に抱き着いた。
「ふわぁ~、ともともの背中あったかぁ~い」
そう言い抱き着く本音に智哉は慌てた様子になり引き剥がそうとしたが、お腹に抱き着いている穂香で動くことが出来ずにいた。
「こ、こら本音! 何をしているんですか!」
虚は自身の家より位の高い天城家の次期当主に失礼を働いた妹に驚愕し、直ぐに引き剥がそうとしたが本音は離れまいとギュッと抱き着いていた。
「まぁまぁいいじゃん。とも君暫くの間我慢しててね」
そう言い片方の腕に抱き着く恵梨香。
「うぇっ!? ちょっとお姉ちゃん!?」
智哉は慌てた様子でいるが、恵梨香はふふ~ん。と楽しそうにしていると、もう片方を黒江が引っ付いた。
「く、黒江も!?」
「お姉様達が引っ付くなら黒江も引っ付きます。……駄目ですか?」
黒江の涙声交じりの問いに智哉は強く言えず、肩を落とすしかなかった。
「分かったよ。……すいません、お恥ずかしい姿を見せて」
智哉は申し訳なさそうな顔で謝ると、簪と刀奈、虚は顔を赤めながらい、いえお構いなく。と言う。だがその光景に刀奈達は羨ましいと言った気持を抱いていた。
そしてさっきまで喧嘩していた自分たちが小さい事だと思えて、そして自然と謝罪の言葉が口から出てきた。
「ごめんなさいね、簪ちゃん。貴女を守る為とは言えやり過ぎちゃって」
「うんん、こっちもごめん。私の事を思ってやってくれた事だし。けどもうやり過ぎないでね」
「分かったわ」
そう言いお互い仲直りの握手を交わす。その光景を部屋と廊下を隔てる襖からこっそりと見ていた楯無はホッと一安心したような息を吐き、颯馬は朗らかな笑みを浮かべていた。
「颯馬様、貴方のご子息のお陰で娘達の仲が元に戻ったこと、本当に感謝の仕様がありません」
「なぁに、息子がただ思ったことを口にして行動しただけだ。感謝など不要だ」
そう言われながらも楯無はそれでもです!と再び感謝の言葉を口にした。
次回予告
刀奈、簪、虚、本音達と手紙を交換するほど仲良くなったある日、授業が終わり校門で時雨たちを待っている智哉達の前に思わぬ人物が現れた。
次回
元家族
~やっと見つけぞ一夏‼~