インフィニット・ストラトス~皇室の楯~(凍結)   作:のんびり日和

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6話

更識家訪問から数日が経ったある日の朝。智哉達は何時もの時間に起きて、居間へと入る。

 

「おはようお父さん」

 

「うむ、おはよう。おぉそうだ。智哉、更識の所に居る娘達と布仏の所の娘達から今日も手紙が届いていたぞ」

 

そう言い4つの手紙を手渡す颯馬。智哉はありがとうとお礼を言い、何時もの場所に座り中身を確認する。最初に明けたのは刀奈の手紙だ。

 

『智哉君へ

何時も返信のお手紙ありがとうね!

実は学校で一番絵の上手な人を決める大会があったの。そしたらその大会で簪ちゃんが最優秀賞を取ったの!

私嬉しくってその場で跳ねちゃってね。そしたら簪ちゃんに「恥ずかしいからやめて‼」って怒られちゃったの。

妹が凄い事をしたら喜ぶのは当たり前だもの!って言ったら今度は呆れられちゃったけどね。それとその大会で本音ちゃんが特別賞を取ったの。何の絵を描いたのか見たら、お菓子の家ならぬお菓子のアパートを描いてたのよ。それが審査する人達の目に留まったのかもしれないわね。今度お家に遊びに来たさいにぜひ見てね!

それじゃあお返事待ってます。

刀奈より』

 

と書かれていた。

 

「へぇ~、簪が絵の大会で優秀賞を貰ったんだぁ」

 

「ほぉ~、それはまた喜ばしい事だな」

 

智哉は颯馬の言葉にそうだねと同意しながら、次に手紙を開いたのは簪の手紙であった。

 

『智哉へ

返信のお手紙、何時も楽しみにしてるよ。

この前に手紙と一緒に入れてくれた押し花凄くきれいだったよ。私も同じような物を栞にして手紙と一緒入れておいたの。使ってくれると嬉しぃな。

それじゃあお返事待ってます。

簪より』

 

簪の手紙を読み終えた智哉は手紙が入っていた封筒を逆さにして振ると、綺麗な花の押し花で出来た栞が入っていた。

 

「ほぉ、綺麗な栞だな」

 

「うん、簪がくれたんだ」

 

そう言い栞を大事そうに普段読んでいる子供向けの小説に見えるように挿む智哉。そして次に手に取ったのが虚の手紙である。

 

『拝啓 天城智哉様

お元気でしょか? 私は何時も通り元気です。毎度の如く話題が無いお手紙になっておりますが、それでもお手紙のお返事を下さってありがとうございます。実は先日からお菓子作りの勉強を始めたのです。私、料理を作るのが苦手で、簡単なゆで卵でさえ黄身の部分が黒く変色するまで茹で過ぎたりと、どうしても上手くいった事が無いんです。けど以前試しに作ったクッキーは上手くできて、お嬢様達から高評価を頂けたんです。だからお菓子作りを一生懸命頑張りますので、その時は味見の方をしていただきたいです。

ではお返事お待ちしております。

虚より』

 

「虚お姉ちゃんって料理が苦手だったんだ」

 

「人にはそれぞれ苦手なものが有るからな。だが料理は苦手で、お菓子作りは大丈夫なのは何故なんだろうな?」

 

さぁ?と智哉は首を傾げながら次の本音の手紙を開ける。

 

『ともともへ

お手紙ありがとうねぇ~。ともともからの手紙は私の楽しみの一つになってるから、楽しみで仕方が無かったんだぁ。実はねぇ、昨日ともとも達に似合いそうな着ぐるみを見つけたんだぁ! それでお母さんにお願いして買ってもらったの。またお家に遊びに来た時に一緒に着ようねぇ! お母さんに写真も入れてもらったから見てねぇ。

本音より』

 

手紙に書かれていた写真を封筒から取り出すと、リス、牛、猫、犬の着ぐるみが写った物だった。

 

「これはまた可愛らしい着ぐるみだな」

 

「のほほんちゃんが僕達に似合うからって買ってもらったんだって」

 

そう言い手紙と写真を大事そうに『ともや』と書かれた手紙を入れる棚へと入れる。

そして3人がまた雪子に起こされ、居間へと入って来て朝食をとり始めた。

 

「そうだ、お母さん。今日学校のクラブがあるから帰りが少し遅くなるね」

 

「あら、そうなの。それじゃあ買い物は美哉と行きましょうか。美哉、お願いね」

 

雪子は居間に居る智哉達以外に向け、言葉を投げた。すると鉄鍋を持った長髪の水色の髪を後ろで束ねた女性が入って来た。

 

「かしこまりました、奥様」

 

「美哉さん、今日のお味噌汁は何ですか?」

 

智哉は美哉からお味噌汁を受け取りながら具材を聞く。

 

「本日は玉ねぎ、ジャガイモ、人参のお味噌汁になってますよ♪」

 

美哉は笑顔で答えると、そっかぁ。と智哉は笑顔でお味噌汁を啜る。その光景を恵梨香達はじぃー。と見つめていた。

 

「美哉さんって、お兄ちゃんに何だか凄く優しくない?」

 

「うん、確かにとも君に異常すぎるほど優しい」

 

「そうでしょうか?」

 

2人は疑問の口をし、黒江はこれが普通ではと言った感じに口にする。

食事を終えた4人はそれぞれ学校に行く準備をし、家を発った。

そして時間は経ち、時刻は放課後。智哉達は学校の門へと向け歩んでいた。

 

「今日は何時もより早く終わったな」

 

「うん、今日は簡単な編み物だったからかもね」

 

「先生も驚いていらっしゃいましたね」

 

そう言い智哉達はクラブの活動を話していた。智哉達は手芸クラブに所属しており、時折教師が小学生でもできる手芸用品を持って来て、手作りでフェルト人形やアクセサリーを作ったりしているのだ。本来なら女子などが多く所属するクラブだが、男子でも両親や親しい人にプレゼントを贈りたい時の為に学んでおきたい為に、浄苑小学校では男子でもこのクラブに所属できるのだ。その割合は女子が7、男子が3と言った感じである。

 

「ん? お兄ちゃん、変な人が居る」

 

そう言い穂香は指をさす。智哉はその指した方向に目を向けると、門付近にボサボサの黒髪をした女性が立っており智哉達は不審者と思いその場で立ち止まった。

 

「どうしよう、お兄ちゃん」

 

「……2人とも学校に戻ろう」

 

そう言い智哉は穂香と黒江の腕を掴んで、踵を返す。女性は「やっと、やっと見つけたぞ一夏!」と何かを呟く声が響いたが、智哉達の耳には届いておらずその場を離れようと歩き出すと、女性は追いかけるように歩いてきた。

 

「追いかけてきた!?」

 

「黒江捕まるんだ! 穂香、走るぞ!」

 

そう叫び、智哉は黒江を抱き上げ、穂香と共に走り出した。女性はそれに気付いたのか同じく走り出す。昇降口付近まで来ると、見回りをしていた教師を見つけ叫ぶ。

 

「先生助けて!!」

 

「えっ!? どうしたの?」

 

そう言い状況を詳しく聞く教師に穂香が説明する。

 

「変な女の人が追いかけてくるの!」

 

「変な女? まさか不審者!?」

 

教師は驚いた表情を浮かべるも、直ぐに冷静になり行動を起こした。

 

「3人は職員室に行って他の先生達にも伝えて来て。先生は玄関の扉を閉めてここを塞ぐから」

 

そう言われ3人は首を縦に振って、昇降口内に入り職員室へと向かった。教師は昇降口の扉を閉め鍵を掛けた。すると智哉達を追いかけていた女性が走って昇降口へとやって来た。

 

「此処を開けろ!」

 

「開ける訳ないでしょ‼ さっさと此処から立ち去りなさい!」

 

「私は弟を迎えに来ただけだ!」

 

「だったら何であの子達を追いかけたの!」

 

「あの男子は私の弟だ‼」

 

女性がそう言うと教師は瞬時にこの女は嘘をついていると見抜き、拒否を言葉を出す。

 

「そんな嘘が通るわけないでしょ! 第一彼の姉は貴女みたいな人じゃないわよ!」

 

教師がそう言っているとポケットに入れているスマホに着信が入り、教師はそれを取る。

 

「もしもし。はい、分かりました。不審者は今昇降口前に居ます。警察を急いで呼んでください。もう呼んだ? 分かりま……ッ!? あなた何をする気!?」

 

教師が目にしたのは女性が拳で扉のガラスを割ろうとした光景だった。教師は止めさせようと叫ぶが、その前に拳がガラスに直撃、ガラスを粉々に砕いた。教師は急いで職員室の教師に報告する。

 

「不審者がガラスを破って入ろうとしてる! 急いで人を……キャァッ!?」

 

その報告を最後にスマホから教師の声が聞こえなくなった。職員室に居た教師は智哉達の報告を聞き、3人を奥の出入口が一つしかない校長室へと匿い、刺又などを持って待機していた。

 

「溝口先生? 溝口先生‼ ……不味い」

 

「ウソ、入って来たって事?」

 

「ちょっと誘拐目的にしては過激過ぎますよ」

 

そう言いながら侵入してきた不審者に警戒心を高めた。

 

「学校内に残っていた生徒達は?」

 

「クラブの担当教師に連絡して鍵が掛けられる教室に生徒達と共に避難して、立て籠もっているわ」

 

「それならいいのですが。その不審者が今何処に[ガンガン!!]ッ!?」

 

「此処を開けろ‼」

 

その叫びに中にいた教師達はもう此処まで来たのかと思い、それぞれ刺又を手に構える。

 

「扉が破られたら、刺又で抑えるわよ」

 

「ペイントボールも準備しておくわよ」

 

そう言いそれぞれ扉が破られた場合を想定し、構える。扉を叩く音は校長室に隠れていた智哉達にも届いていた。

 

「お、お兄ちゃん……」

 

穂香は震える体で智哉に抱き着き、黒江も智哉に抱き着いていた。

 

「大丈夫だ。お兄ちゃんがついてるからな」

 

そう言い怖い思いを必死に抑え、穂香と黒江を守る様にする智哉。校長は何としても守らなければと、竹刀を手に扉の前に立っていた。

そんな時、智哉は何かを思い出したのか、背中から鞄を下ろし何かを探すように手を突っ込んだ。そして見つけたのかある物を取り出した。

 

「ん? 智哉君それは?」

 

「その、僕のお姉ちゃんがくれたお守りなんです。もしも困ったことがあったら開けなさいって言ってて」

 

そう言われ智哉はお守りの口を縛っている紐を解き、中身を取り出す。中から出てきたのは小さな無線機だった。

 

「それはもしかしたらお家と繋がる通信機じゃ?」

 

校長にそう言われ智哉は通信機の電源を入れる。すると

 

『もしもし、とも君。何かあったの?』

 

無線機から姉の恵梨香の声がした途端、智哉は目から涙を零しながら助けを求めた。

 

「お姉ちゃん、助けて‼ 変な女の人が追いかけて来て、今学校の職員室に居るの!」

 

『何だって!? 待ってて‼ 直ぐに人を送るから!』

 

そう言い通信機越しから「誰か、とも君の学校に行って‼ とも君達が不審者に襲われそうになってる! 助けに行って‼」と聞こえた。

 

『待っててね! 直ぐに助けに行くからね!』

 

その通信に智哉達は助けが来ると安堵し、早く来て欲しいと願った。

その頃、職員室側は扉を無理矢理開けようとする女性に対抗しようと、扉を必死に抑える教師達。そして突破された場合に備え、刺又などを構える教師達。

 

「踏ん張れぇ‼」

 

「何て馬鹿力を持ってんだよ!」

 

「本当に一人だけなの!?」

 

そう叫びながら扉を抑える教師達。

 

「開けろと言っているだろうが‼」

 

その叫びと同時に扉が強い衝撃と共に外れた。教師達は突破されると思い外れた扉を盾に、入れまいと押す。

 

「押せぇ‼」

 

「不審者を中に入れるな!」

 

教師達は不審者を入れまいと必死に押していると、女性は足をあげて

 

「邪魔をするなぁ‼」

 

そう叫んで扉を蹴とばした。押し返していた教師達は扉と共に吹き飛び、後ろに倒れ込んだ。

 

「全員構えて‼」

 

教師の一人が叫び、全員刺又を構える。そして一斉に女性を取り押さえようとするが、女性は迫ってくる刺又の一つを掴み、教師の一人から無理矢理刺又を奪い振り回す。

 

「邪魔をするなと言っている!」

 

そう言い刺又で抑えようとする教師達に刺又の持ち手部分で殴打し始めた。

 

「こいつっ‼」

 

そう叫べ教師の一人は顔に向かってペイントボールを投げるが、女性はそのボールを避け刺又の持ち手で教師の側頭部を殴打。教師はグゥッ!?と言って倒れ込んだ。そして数十分後にはほとんどの教師が叩き伏せられた。

 

「其処の部屋か?」

 

そう言い校長室に近付く女性。中に居た智哉達は恐怖から校長室の机の下に隠れ、校長は迎え撃てる様竹刀を構える。

女性が校長室に入ろうとドアノブに手を掛けようとした瞬間

 

「お待ちなさい」

 

その声が聞こえ女性は後ろを振り向くと、黒い装飾を身に纏い腰に剣を携えた美哉が立っていた。

 

「誰だ貴様?」

 

「そんなのは関係ありません。今すぐ降伏なさい。そうすれば手荒い事は致しません」

 

美哉はそう警告するが、女性は持っていた刺又で殴り掛かって来た。美哉は呆れた様な顔付を浮かべた後、目を鋭くさせ携えていた刀を抜き、刺又を斬り落とす。女性はすぐさま斬り落とされた刺又を棄て、拳で殴り掛かるが、美哉はその前に刀の背の部分で腹を叩いた。

 

「ごふっ!?」

 

そう言い膝をついてそのまま倒れ込み気を失う女性。本当に気を失ったか確認した美哉は鋭い視線を止め、校長室の扉をノックする。

 

「若様、美哉です。此処を開けてください」

 

その言葉を聞いた智哉は校長に扉を開けてもいいと伝え、扉を開けてもらう。扉を開けた先には安堵した表情を浮かべた美哉が居た。

 

「若様、お嬢様方。ご無事で何よりです」

 

そう言われ、智哉、穂香、黒江は溜まっていた恐怖が一気に押し寄せ美哉に泣きながら抱き着いた。

 

「うわぁ~~ん、怖かったよぉ!」

 

「ひっぐ、怖かったですぅ」

 

「美哉ざ~ん、ごわがっだよぉ」

 

「もう大丈夫です。さぁお家に帰りましょう」

 

そう言い校長に一礼し、美哉は3人を連れ職員室から出ようとすると

 

「行け、行け、行け‼」

 

その掛け声とともに武装をした黒服達がやって来た。そして美哉と智哉達を発見し、構えていたSMGを下ろす。

 

「ご無事で何よりです若様、お嬢様!」

 

「恵吾さん、うん」

 

「御三方は私が外にお連れしますので、其処で横たわっている者の拘束を」

 

そう美哉が言うと恵吾は御意!と了承し、不審者の女性を拘束すべく後ろに手を回し拘束バンドを施す。

美哉と共に外へと出た智哉達の前には、幾人ものの武装した従者達が周辺を警備していた。すると一台の黒塗りの車から恵梨香が飛び出してきた。

 

「とも君、ほのちゃん、くーちゃん!」

 

そう叫びながら3人を抱きしめる恵梨香。智哉達は泣きながらおねぇちゃ~ん!と呼びながら抱き着く。そして恵梨香は3人を車へと乗せ先に帰らせた。そして体を美哉の方へと向け腰を曲げる。

 

「ありがとうございます、美哉さん。貴女が間に合っていなければとも君達は……」

 

「頭をお上げください、恵梨香お嬢様。私は当然の事をしたまでです」

 

美哉が智哉達の救助に間に合ったのは、偶々智哉達が通っている浄苑小学校から徒歩1時間程の商店街で雪子と買い物をしていた為である。智哉からSOSを受けた恵梨香が父颯馬、そして母雪子に連絡すると雪子は一緒に居た美哉に救助に向かうよう指示したのだ。その為美哉は家で出撃準備をしている従者達よりも先に到着し、智哉達を救い出したのだ。

 

「それで、とも君達を襲った奴は?」

 

「あそこに」

 

そう言い美哉は目線を向けた先に後ろで腕を拘束された女性が足を引きずられながら校内から出てきた。その女性の顔を見た恵梨香は驚愕の顔を浮かべた。

 

「恵梨香お嬢様、あの者をご存知なのですか?」

 

「……うん、一応」

 

そう言い鋭い視線を女性を送り続ける恵梨香。

 

(何で此処に居るんだよ、織斑千冬(最低野郎)

 




次回予告
警察に引き渡された織斑千冬。警察官からの質問にも弟を迎えに行っただけだと言い、襲ってきたのは向こうだと反論する。警察は智哉にお願いし、千冬とは弟では無いと言う決定的な証拠を取るべく、動いた。
次回
第1回覇者逮捕~彼はお前の弟では無いと言う決定的な証拠だ‼~
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