鳥居に背を預けて空を見上げる。冬のために空気が澄んでいて煌々と輝く月とその周りの星が綺麗に見える。時計を見るともうすぐ日付が変わるところだった。
「もう今年も終わりか……」
程なくして友希那の声が聞こえる。
「ごめんなさい、着付けに手間取ってしまって」
「いや、俺も今……」
そこには珍しく髪をあげ、赤と白を基調とした着物を着た友希那がいて言葉を失う。
「その、変、かしら?」
少し自信なさげに友希那が俯く。言い慣れてないため若干どもりながらも言葉を紡ぐ。
「そんなわけないだろ、その、すごい綺麗だ」
「ありがとう。そう言われると嬉しいわ」
「来年は俺も着物にしようか」
「それは楽しみね」
地元の神社のためあまり人影は見えない。賽銭箱の前にも二組の家族連れがいるだけですぐに順番が回ってくる。
「いくら入れるんだ?」
「ベタだけどご縁があるように5円のつもり」
「なら俺も」
賽銭を入れ、二人で鈴の緒を鳴らす。手を合わせ心の中で願いを想う。今年も友希那といられますように、と。
10秒ほどで目を開けるとそのタイミングで友希那も目を開ける。おみくじを引くために売店の方に歩き始める。
「何をお願いしたの?」
「言ったら効果なくなっちゃうだろ」
「それもそうね」
「それに、なんとなく察してくれ」
「……そう、ね」
歩きながら見る友希那の横顔は頰のあたりが少し赤かった。
おみくじは俺が中吉、友希那が大吉という結果に終わった。なんとも反応しづらいが恋愛の欄はこの人となら幸福ありだったため、密かに嬉しかったのは黙っておく。
売店の横では巫女さんが甘酒を配っていて、それを飲みながら帰路につく。
「寒い中で飲む甘酒って美味しいわね」
「体があったまるからありがたいよ、本当に」
二人で白い息を吐いて歩いていると何処からか除夜の鐘の音が聞こえる。
「あけましておめでとう、今年も宜しく」
「あけましておめでとう、こちらこそ宜しく」
「なんだか慣れないわね、こういうの」
「気恥ずかしいな」
「今年の抱負は?」
「いつも通り無病息災でだな。今年、じゃなくて去年は1回も風邪ひいてないし」
「そう、嫌味?」
「いやそんなつもりはないから」
「冗談よ」
「もう少し冗談に聞こえるトーンで言ってくれ……」
いつものように軽口を叩きあいながら歩いていたが、もう友希那の家に着く。
「送ってくれてありがとう」
「どういたしまして。それじゃ、良いお年を」
「……ねぇ。寒いわ」
「いや、家入れば?」
「本当に寒いわね、凍えちゃいそう」
「普通に言ってくれ……。ほら」
友希那を抱きしめると顔が胸に押し付けられる。
「無粋なことはしないわ」
「今更恥ずかしがることもないと思うだけだ」
「でもやっぱり顔は赤いのね」
「お前もだろ」
友希那が大きく息を吐く。
「ありがとう。良いお年を」
「ああ、良いお年を」
手や首元は寒いはずなのに、腕の中だけは異常なほどに暖かかった。
いつもより短いですが許してくださいなんでもはしませんけど次は遅刻しませんから!
バレンタインの話とか面白そうかなぁ……