無力な吸血鬼   作:diaboli

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どうぞ、不定期更新かつ拙い文章ではありますがごゆっくりと。

※このプロローグの最初にあります主人公の前世の思考回路は完全に狂ったものですので、発する言動と事実関係が一致しない場合もあります。
そういう場合は基本的に主人公が間違って記憶しているか、もしくは敢えて嘘をついていたりします。
思考が支離滅裂だったりしますが、敢えてそうしております。

決して頑張ってこの文章になったわけではありません。

決して頑張ってもこれが限界だったわけではありません。

……そ、そうなんです(自己暗示


Ep.1 - 転生 -

 ボクが思うに、今の世の中は腐りきっている。

 

 人間の醜い欲望が渦巻くだけのこの世界は、ボクにとって耐え難いものだった。

 

 生きるため、より良い世界を作るため。

 そうやって権力なんて訳の分からない代物を作り出し、自分は偉いなんて思い違いをしている愚かで醜い人間が只々自分の事だけを考えて作る。

 

 自分は偉い? 自分は権力がある?

 

 確かに同じ一つの社会として動いている人間のグループからすれば偉いだろうし、権力もあるのだろう。

 しかしどうだ、少し見る場所を変えて動植物のグループからしたら?

 自分勝手に、自分のためだけに、欲望のままに作り変えているだけだ。

 

 何が環境保護だ。

 何が動物愛護だ。

 

 自分の勝手を強制しているだけにすぎない。

 

 ほら、確かアインシュタインなんていう自分勝手に生きた従姉妹不倫を何度も繰り返した理論物理学者が良い言葉を残している。

 

 常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションである。

 

 とても良い言葉だとボク個人は思う。

 

 ただし、これに付け加えたいのは何も人間だけがこれに当てはまるわけじゃないという事。

 全ての生物に当てはまるものであると考えている。

 

 人間も、犬も、猫も皆同じだ。

 

 親は自分のエゴを子供に教え、そして子供が親になる世代には子供に親から教わったようにエゴを教える。

 そうやって何度も何度も繰り返し、練り固まったエゴの塊が常識だと思っている。

 

 だが、ボクは違う。

 

 ボクはそこらの下等生物であるゴミ(・・ )とは全く違う。

 

 ボクはこんな淀んだ世界にいてはならない存在だ。

 そう、ボクはもっとそれぞれが、それぞれの在り方として自由に生きる世界にいるべきなんだ。

 

 狂ってる…? 頭がおかしい…?

 

 ボクの崇高たるこの思考結果を読み取れない奴がおかしいのさ。

 

 ボクは全てを超越しているんだ。

 そう、全て。

 

 ―――全て、ね……

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 「…さ…の…たし…う…!」

 

 ―――意識がはっきりとしておらず、まるで水中から水面を見ているようだ。

 

 「そう…の子、ノア・ス…ットがレミ…もうとよ。優し…してあげてね。」

 

 ―無意識に、生物の本能として目を開き、視界を確保しようとするが、力が入らない。

 

 意識は少しずつ覚醒しようとしているが、とても不安定な状態だ。

 何者かの声が近くで聞こえるように感じ取れる。

 

 「ノア…、ノア、今日から私がお姉ちゃんだからね。」

 

 ノア…?聞き慣れない言葉だ。

 恐らく何者かの名詞なのだろうが…今日からお姉ちゃんという言葉を考えるに、ノアという奴は里親に引き取られた、それか母体から生まれたばかりの赤子か、もしくはそれらに類似する人物と考えるのが妥当か。

 

 ―あぁ、ダメだ。

 意識が、また…遠のいて……い…く……。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 あまりにも想定外の事が起こり、理解が追いつかない。

 

 一生涯に一度は誰もが経験した事があると思われる。

 

 人間という生物は想定内の事にはある程度の対処が出来、尚且つ考え、行動が出来る。

 そして多少なら想定外の事が発生したとしても、学習し、今後は想定内として対処が可能になる。

 しかし、あまりにも大きく逸脱し過ぎた出来事が発生すると、理解が追いつかず、思考を停止してしまったり、全く関係のない事を思考してしまったりする。

 所謂、現実逃避というものだ。

 

 ボクは何故か、或ったであろう大脳に保存されていた大事な記憶がほぼ全て欠如していた。

 

 発声方法、歩行方法……それら人間の本能としての部分や世間一般的に取り扱われている言葉でいう常識は全く問題無いと思われる。

 

 人間の脳には長期記憶、もといエピソード記憶というものが存在しており、個人的経験に基づく、個人が体験した日々の出来事の記憶であり、時間や場所、および感情を伴ったものとして記憶される部分である。

 

 要するに思い出を記録したものをエピソード記憶という。

 

 だが、残念な事にボクの頭脳にはそのエピソード記憶のほぼ全てが欠如しており、何も思い出せないのだ。

 もっと分かりやすくいうと記憶喪失の類に当てはまるだろう。

 

 しかし、記憶喪失に関しては幾つか治療法が存在しており、時間さえかければ大部分は元に戻る事が殆どである。

 

 そう、通常の記憶喪失であるならば、だ。

 

 ここで最初に戻ろうではないか。

 

 逸脱した想定外な出来事が発生すると、理解が追いつかず、思考停止や現実逃避をしてしまう、と。

 

 ここまで言えば理解してもらえるだろうか。

 

 そう、今が正にそれである。

 

 現実逃避の話、そしてエピソード記憶の話、これら二つが関連して意味している事は今ボクの現状を見事に表わしていると思うのだ。

 

 「ノア、今日もお姉ちゃんがきてくれたわよ。」

 

 意味記憶は綺麗に、そして多くの情報が残っている。

 しかし、エピソード記憶が欠如している。

 

 ―そして何より……

 

 「ノアー!今日もお姉ちゃんと一緒に一杯動こうね!」

 

 未だ物心が付いていないであろう幼児がこのような思考をしているはずがないのだ。

 

 ……もう現実逃避はよそう。

 

 分かっている。

 

 分かっているのだ。

 

 そう、もう結果は出ている。

 

 「さぁ、ノア。お母さんとお姉ちゃんと一緒に庭園をお散歩しましょう?」

 

 

 

 ボクはどうやら、第二の生を歩んでいる模様です。




現在プロットとしては幻想郷に移動し、紅魔郷異変が完結するまでの物語は出来ておりますが、私のやる気と時間の自己勝手な都合により遅いと思われるのでふと忘れかけてた記憶を思い出した時にちょろっと見る程度の感覚で期待せずに待って下さると幸いです。
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