東方 ~少年の見た幻想~   作:クロス・アラベル

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瑠奈と妖怪の賢者

 

今は、日も沈んだ夜。あたりを散策後、博麗神社に帰った僕は、夜ご飯の準備に取り掛かった。献立は白ご飯に味噌汁、卵焼き、鮭の塩焼き、そして、ほうれん草のおひたし。シンプルだけど、僕はこの献立も好きだ。

 

「出来たよ、博麗。」

 

「出来たの?ありがとう。久し振りね……晩御飯にこんなものが食べられるなんて……」

 

もう、突っ込まない。

 

「博麗、運んでくれる?」

 

「ええ、それくらいはするわ。」

 

ご飯を運ぶ博麗。ちゃぶ台に料理を置き、二人で向き合って座る。

 

「それじゃあ、食べよっか?」

 

「そうね。」

 

『「「頂きます。」」』

 

そう言って手を合わせて、箸をとり食べようとしたその時。僕は違和感を感じた。何故か、頂きますを僕と博麗と誰かもう一人言ったような気がした。

 

「あれ?」

 

「どうしたの……!」

 

周りを見渡す。正面にはお箸を持ってまさに鮭の塩焼きを食べようとしていた博麗、僕の右手にはほうれん草のおひたしを箸でとって食べようとしている紫色のワンピースを着た長い金髪の女性がいるだけ。別に何もおかしくなんかない……え?

 

『ん!美味しいじゃない。』

 

「だ、誰ッ⁉︎」

 

「……また、あんたなの……紫?」

 

博麗は迷惑そうにその女性にそう言った。その口調だと何回も来てるみたいな……

 

「何を人の晩御飯つまみ食いしてんのよっ!」

 

また、謎の女性がほうれん草のおひたしを取ろうとするのを博麗が箸で防ぐ。

 

『いいじゃない、少しくらい!』

 

「あんたにやるもんは無いわっ!」

 

「……えっと……あなたは…誰ですか?」

 

『あら、久し振りじゃない……て言っても、1日も経ってないけれど……元気だった、瑠奈?』

 

1日振り……ってことは!

 

「……あなたは、あの時の……!」

 

「そうよ、瑠奈。覚えていてくれて嬉しいわ。」

 

「……やっぱり…瑠奈の幻想入りにはあんたが関わってると思ってたのよ……」

 

「それじゃあ、自己紹介といきましょうか。私は八雲紫よ。よろしくね?」

 

「は、はい。えっと、二度目ですけど…霜咲瑠奈です。よろしくお願いします、八雲さん。」

 

「本当に行儀がいいのね…教育が行き届いてるのが分かるわ。親御さんに会ってみたい気分♪」

 

「……八雲さんの分のご飯とお味噌汁、持ってきますね。」

 

「気が聞くじゃない!じゃあ、頼もうかしら?」

 

「はい、少し待っていてください。」

 

「…あんたはいい加減に瑠奈を連れて着た理由を教えなさいよっ!」

 

「あら?本人から聞いてなかったかしら?」

 

「そうだとしたらなんなのよ。」

 

「……外にも異変があるのよ?」

 

「…!……じゃあ、外で異変があってそれから守るために瑠奈を幻想郷に連れてきたって言うの?」

 

「そうよ、霊夢。」

 

「……あんたのことだから、それだけじゃないんでしょうけど……」

 

「はい。どうぞ、八雲さん。」

 

「あら、ありがとう♪」

 

「……八雲さん、ちょっと失礼なことを書くんですけど……あなたって妖怪ですか?」

 

「あら、よくわかったわね!そう、私は妖怪よ。」

 

「その通り、千年以上も生きてるババアよ。」

 

八雲さんの言葉の後にすぐさまお返しと言わんばかりに凄く失礼なことを言う博麗。って、八雲さん千年を生きてるって……嘘かホントか……

 

「れ〜い〜む〜?」

 

その言葉を聞いた瞬間、八雲さんから並々ならぬ殺気が漂ってきた。こ、怖っ⁉︎

 

「……なんでもないわよ?」

 

「ならいいのよ。」

 

「あと付け足すなら、紫はこの幻想郷を管理する大妖怪よ。妖怪の賢者とも呼ばれたりするの。」

 

「えっ?そ、そんなに偉い人だったの⁉︎」

 

「その通りよ、瑠奈。霊夢、ナイスアシスト♪」

 

「五月蝿い、ばば」

 

「……」ニコッ

 

「……フンッ!」

 

いつもこうなのかな……

 

「それで、八雲さん。向こうの世界の異変の原因と解決方法分かりましたか?」

 

「……残念ながら、全然なのよね……ごめんなさいね、瑠奈。」

 

「いえ、そんな……八雲さんのペースでやって下さいね?僕はやってもらってる側なんですし……まあ、できるだけ早くしてもらったほうがいいですけど……それで八雲さんが体を壊すのが一番怖いですからね。気にしないで下さい。」

 

「……純粋な気持ちが心に染みるわ……なんていい子なの…」

 

「染みるんじゃなくて、突き刺さるでしょ?」

 

「は、博麗、さっきから八雲さんに厳しくしすぎだよ。」

 

「このくらいがいいのよ。」

 

「あ、そういえば……」

 

人里の寺子屋で働くってことを言うの忘れてた……

 

「博麗に伝えなきゃいけないことがあって……明日から人里の上白沢さんのやってる寺子屋で働くことになったんだけど……」

 

「へぇ、もう職場を見つけたなんてね……頑張りなさいよ?」

 

「うん。だから、ほとんど一日中いないと思うんだ。いいかな?」

 

「別にいいわよ。」

 

「ありがとう。」

 

「ふぅーん……すごいのね……頑張りなさい、瑠奈。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「それじゃあ、ご馳走様。もう帰るわね。」

 

「はあ?あんた、洗い物ぐらい自分で……」

 

「バイバーイ♪」

 

「あっ……あのババア…」

 

「すごいね、八雲さんって。空間を操ってるの?」

 

「え?……あ、ああ。あいつは空間を操ってる訳ではないんだけど…まあ、ずるい能力よ。多分、幻想郷で一番かも…」

 

「……そうなんだ……」

 

幻想郷での一番って……八雲さんは見ている感じ、空間を移動しているような…僕らの世界とこの幻想郷をつないで移動するなんて…考えないでおこう。明日から忙しくなるはずだ。今日はしっかり休もう。

 

 




次回「瑠奈と寺子屋」
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