東方 ~少年の見た幻想~   作:クロス・アラベル

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人里でのお話。


瑠奈と七色の人形使い 〜人里〜

 

 

 

 

「ここが人里よ。」

 

そう言われて見たものは、高い塀に囲まれた村……幻想郷唯一人が集団で住んでいる《人里》だった。門には槍を持った人間がいる。彼らは門番を務めているようだ。その後方には人里の賑やかな声が聞こえて来る。あれからマーガトロイドに案内され40分程でたどり着いた。

 

「おおぉ……」

 

門番の人に人睨みされたが、自分が人間だと申告すると、笑みを浮かべてすぐに通してくれた。「そうか、じゃあ通って良いぞ。楽しんで行きな、兄ちゃん。」って言ってた。

 

「凄い活気だね……ここまで賑やかだとは思わなかったよ。」

 

「まあこれも、妖怪と人間が支え合って生きているおかげなのよ。初めは妖怪とか、人間以外の種族は完全に拒否していたもの。それを変えた半妖がいてくれたお陰で私達はここに入る事が出来るの。」

 

「へぇ……その人の努力の賜物が今の人里っていう事なんだ…」

 

「そうよ。…そういえば貴方、何故人里に来たかったの?珍しいものは何もないと思うけど…」

 

「んー…一度人里に行って見たかったっていうのと……人里の人達と交友関係を深めたかった…それもあるかな?人里の偉い人とも挨拶しておきたいし………」

 

マーガトロイドは少し驚いた顔で

 

「……真面目ねぇ……私、瑠奈みたいに真面目な人間は初めて見たわ。」

 

と、一言。

 

「……そう?」

 

「ええ。だって、幻想郷にはそんな子いないもの。」

 

そんな諦めたように言わなくても……

 

「そっか……あっ、たい焼きだ。マーガトロイドも食べる?」

 

通りの方にある店。向こうの世界にもあった、たい焼き屋。

 

「えっ、貴方はお金持ってる?」

 

「うん、ここでも僕らの世界のお金が使えるみたいだしね。」

 

「そう……いいの?」

 

「ここまで連れてきてくれたお礼って事で、ね?」

 

「……ふふっ!分かったわ、お言葉に甘えようかしら。」

 

マーガトロイドは、可憐な笑顔を見せながらそう言った。やっぱり綺麗だな……博麗も霧雨も…

 

「……………ん、それじゃあ……すいません、たい焼き2つ下さい!」

 

『あいよ、2つで180円だよ!』

 

あ、向こうより安い。

 

「はい、どうぞ!」

 

180円ぴったしをお店のおじさんに渡す。小銭を持って来ておいてよかった…

 

『おう!ぴったしだな!ちょっと待ってな!』

 

「はい。」

 

『そういえば兄ちゃん、見ない顔だな!』

 

「ここに来たばかりなんですよ。」

 

『そうかそうか!楽しんで行ってくれよ?兄ちゃん!』

 

「ありがとうございます!」

 

『はいよ!たい焼き2つ、お待ち!』

 

「ありがとうございます、また来ますね!」

 

『贔屓にしてくれよな!』

 

熱々のたい焼き2つをもらい、マーガトロイドのところへ小走り。

 

「はい、マーガトロイド。」

 

「ありがとう、瑠奈。」

 

二人で食べながら人里を歩く。

 

「美味しいわね。」

 

「うん、そうだね……他にもお店あるの?」

 

「ええ。そこの店が呉服店、そこは新鮮で安い野菜がよく売ってる八百屋さんよ。他にも、道具屋もさっきみたいな料理店もあるわ。」

 

「ここに来ればなんでも揃うんだね。」

 

「そうよ。まあ、薬はあんまりないけど……」

 

「病院はあるの?」

 

「いいえ、ここにはないの。迷いの竹林の方に行けば、永遠亭があるから良いんだけどね。」

 

「永遠亭?」

 

「永遠亭は病院の代わりみたいなものよ。どんな病気でも治るの。」

 

凄い、チートだ。

 

「なんでも治るって……流石、幻想郷だね…」

 

「永遠亭の薬師兼医者の能力なのよ。確か、『あらゆる薬を作る程度の能力』だったかしら…」

 

「凄い便利な能力もあるんだ……そういえば、博麗と霧雨は能力を持ってるの?」

 

「ええ、魔理沙は『魔法を使う程度の能力』、霊夢は『空を飛ぶ程度の能力』よ。」

 

あの二人も能力を持っていたみたい。博麗は他の人と比べるとあんまり強そうには見えないな…

 

「へぇ……便利そう…」

 

「ちなみに私は『魔法を扱う程度の能力』と『人形を操る程度の能力』よ。」

 

「2つもあるんだ!」

 

「ええ。と言っても、私は魔女だから魔法が扱えるのは当たり前なんだけれどね…」

 

「凄いね…僕って能力あるのかな?」

 

「それは……多分霊夢なら分かると思うわよ。また、戻った時に調べてもらいなさい。」

 

「うん、そうだね…ありがとう、マーガトロイド。」

 

「いいのよ。」

 

僕にも能力があるのだとしたらどんなのがいいかな……

 

そう考えていた時、

 

『キャアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎』

 

悲鳴が聞こえてきた。

 

「⁉︎」

 

「!」

 

悲鳴がしたのは、さっきの門の方だ。

 

「行こう、マーガトロイド‼︎」

 

「いいけれど、あなた、戦えるの?」

 

「人並みにはね!」

 

「じゃあ、行きましょう!」

 

二人で門の方まで走った。

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

『ギシャァァア‼︎』

 

門のところには人間とはかけ離れた姿をした、俗に言う、化け物。幻想郷で言うなら……

 

「あ、あれは……!」

 

「妖怪ね…」

 

口から出る鋭い歯、長く伸びた爪、醜悪な姿。それは、妖怪と言えるものだった。その妖怪が10体いる。その前にいるのは、怯えた小さな女の子。

 

『ギシャアアアアアアアッ』

 

「!」

 

「不味いわ!」

 

妖怪はもう女の子にその鋭い爪を向けていた。

 

「光剣【フォトンソード】‼︎」

 

スペルカードを宣言し、妖怪のいるところへ駆ける。

 

「はあああ‼︎」

 

『ギッ⁉︎』

 

ギリギリで妖怪を光剣で斬りつけ、女の子の前に庇うように立つ。

 

「大丈夫?」

 

「う、うん……」

 

「安心して、もう大丈夫だから。」

 

「瑠奈!」

 

「大丈夫だよ!マーガトロイドは魔法で援護を!」

 

「わかったわ、上海!蓬莱!」

 

『分かりました、ご主人様!』

 

『……はい…!』

 

マーガトロイドは上海に剣と盾、蓬莱には槍と盾を装備させ、魔法陣を出現させた。

 

「さあ、君は早く里へ!」

 

「う、うん…ありがとう、お兄ちゃん!」

 

『ギジャアアアッ‼︎』

 

妖怪が2体、僕らのところに飛んでくる。それを僕は落ち着いて捌く。

 

「シッ‼︎」

 

『『ギジャッ⁉︎』』

 

そして、マーガトロイドはスペルカードを使うようだ。

 

「咒詛【魔彩光の上海人形】!」

 

スペルカードを宣言すると、上海が大量の弾丸のような小さめの弾幕を放つ。マーガトロイドは大きな弾幕をいくつか飛ばす。

 

「負けてられないね………はッ‼︎」

 

妖怪を人里に入らないように戦うが、森の方から続々と援軍として同じような妖怪が走ってくる。

 

「なんか、数が多くなってきてるんだけど!」

 

「不味いわ!私達だけでは対処しきれないっ!」

 

「確かに…あっ、しまった!妖怪が一体里の方にっ⁉︎」

 

一体の妖怪が僕らの攻撃を避けて人々のいる里へ走っていく。

 

「くッ‼︎駄目だ、そっちに行けないっ‼︎」

 

走り出そうとするが、他の妖怪が行かせないとばかりに、僕を邪魔してくる。

 

「しまっ……」

 

マーガトロイドも気づいたが、もう妖怪は里の門の目の前。

 

『遅かった!』そう思った、その時。

 

『はあッ‼︎』

 

『ギギャッ⁉︎』

 

誰かの気合とともに、その妖怪は森の方へ吹き飛んでいた。

 

「ッ⁉︎」

 

「!」

 

里の門の前にいたのは、青と白のメッシュの長い髪にちょっと珍しい帽子を被り、青と白を基調としたワンピースを着た凜とした女性だった。

 

『どうにか間に合ったようだな。』

 

 

 

 

 

 





次回『瑠奈と人里の守護者』
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