春の桜が美しいピンク色の花弁をこれからの学校生活に胸を踊らせる学生達を祝福し、彩るかのように舞散らせる中、二人の少年と一人の少女が通学路を歩いていた。
しかし、少年の一人の顔は沈んでおり、回りにブルーな雰囲気を漂わせ明らかに落ち込んでいると分かる。挙げ句深々とため息をつき、周りの景色と似つかわしくない悲痛な声を上げる。
「あぁ...。俺の高校生活が....」
「自業自得じゃない。見てるこっちが恥ずかしかったわ。」
「ワハハハハ!総二。あれは面白かったぜ。まさかツインテール部なんて、いくら好きだからって書くかよ?」
落ち込んでいる赤毛の少年、観束総二を青いツインテールの少女、津辺愛香はあきれたと言ったようにヤレヤレと首を振り、黒髪にシャツの上に学ランを羽織った、ラフな格好をしている少年、三条貴理矢が笑った。
そう。総二は無類のツインテール好きで、今日のHRで志望部活を書く用紙になんと、ツインテール部と記入したのだ。しかも、ツインテール大好きとクラス中に公開する自爆というオマケ付き。これには幼なじみの愛香と貴理矢もフォローを入れられず、他人の振りをするしか無かった。
「あの時はツインテールに夢中だから仕方なかったんだよ!」
「はいはい。」
怒る総二を愛香は適当にあしらう。三条はニヤニヤしたまま、総二に話し掛ける。
「ま、ドンマイってとこだな。あ、今日お前の喫茶店寄って良いか?」
「別に良いけどコーヒーにまた大量の砂糖とミルク入れるなよ?ゴミがたくさん出るんだから。」
「ははははは!よっしゃ行こうぜ!」
「いや、返事しろよ!」
三人はそのまま喫茶店『アドレシェンツァ』に入る。この喫茶店は総二の母親である観束未春が経営しているのだが、今は当人が留守のため営業はしておらず、ガランとした店内に三人は入り、貴理矢はカウンター席に座り込むと 総二に、ニヤニヤしながら話し掛ける。
「すみませーん。注文良いっすかー?」
「お前なぁ....」
「ほっときなさいよ。いつもの事でしょ。」
愛香があっさりとスルーすると、貴理矢はつまらなさそうに口を尖らせる。
「ノリが悪いねぇ。そんなだから愛しの総二に振り向」
「わっー!!」
貴理矢が言い切るより早く、愛香の拳が貴理矢につきささり、貴理矢は椅子を巻き込んで吹っ飛んで倒れる。
「何やってんだよ愛香!?こんなに散らかしちゃって!怒られるの俺なんだからな!?」
「叔母さんはこの程度だと怒らないわよ!それに、貴理矢が変な事いうのが悪いのよ!」
二人がギャーギャーと痴話喧嘩を始める中、椅子をはね除けながら貴理矢は起き上がる。
「痛ってぇ...津辺の奴少しは手加減ってモンを知らねーのかよ...。」
「あの...大丈夫ですか?」
いつの間にか近くの椅子に座っていた二人組の女性の内、髪を後ろに束ねて、前髪で片目を隠している黒髪の女性が貴理矢に話し掛けてくる。
「あー、この程度、いつもの事なんで。自分は大丈夫ですんでお気になさらず。」
と、普通に答えて、一拍置いて、貴理矢は違和感に気づく。あれ?今『アドレシェンツァ』は閉まってるのになんで見知らぬ客が二人いるんだ? もう片方の女性客に至っては新聞紙に丸い穴を開けて、総二と愛香を観察しているような行動をしている。今時そんな奴はいないだろう。怪しさが半端ではない。
彼女が出す気配に気づいたのか、総二と愛香も二人に気づく。あまりにも不思議な珍客にどのような対応をして良いのか分からず、三人は困惑する。
「どーすんのよアレ...って総二!」
「あ、ごめん。愛香のツインテール触ると落ち着くからさ。」
「全く...。」
総二は考え事をすると、ついつい愛香のツインテールを触ってしまうクセがあるのだ。なんでも総二曰く愛香のツインテールを触ると落ち着くそうで、愛香も愛香で満更でもなさそうで、わざわざツインテールを総二の手が届く所まで伸ばし、挙げ句、悪態は突くもののいっさい抵抗しない。貴理矢がやろうものなら問答無用でハッ倒されるだろう。そんな二人に貴理矢は近づきながら耳打ちをする。
「んでさ、どうすんだよあの二人。どー考えてもアイツら怪しいぜ?」
何せチラチラこちらを穴の開けた新聞紙から見ているのだ。どう考えても怪しい。
「あー言うのは無視、無視するのに限るわ。変に絡まれたら面倒だもの。」
「けどなぁ...」
等と侃々諤々と議論をしていると、新聞紙を持っていた方の女性が急に立ち上がって、新聞紙をしまう。その瞬間総二と貴理矢は息を飲む。そこにいたのは銀髪の希に見ないモデルのような美しい女性だったからだ。しかもたわわに実った二つの双丘を強調するかのようなセクシーな服に嫌が応にも反応してしまう。一瞬愛香から殺気を感じたものの、カツカツと靴音を立てて近づく女性に三人は警戒する。そして女性と三人が対峙するかのような位置取りとなった次の瞬間、女性が総二に話し掛ける。
「初めまして。私の名前はトゥアール。向こうにいるのが助手のナフェールです。単刀直入に聞きますが、貴方、観束総二さん。」
トゥアールと名乗った女性は、総二を指差して言う。
「ツインテールはお好きですか?」
「はい!大好きです!」
「「いや、おい!!」」
女性の訳の分からない質問に即答する総二にツッコミを入れる二人。嘘をつかず、真っ直ぐなところが彼の美徳ではあるが、場合が場合である。トゥアールは総二の真っ直ぐ過ぎる答えを聞くと、うんうんと頷くとポケットから赤いリストバンドのような機械の腕輪を取り出す。中央には水晶のような物が嵌め込まれ、かなり複雑な形状をしている。取り出したその装置をトゥアールは総二に向ける。
「そうですか。観束総二さんの意思はとてもよくわかりました。では何も言わず、この腕輪をつけて下さい。」
「いや待て待て待て待て!!どんな脈絡でそんな事になるのか説明しなさい!っていうか嵌めようとしているんじゃないわよー!!」
総二の腕に謎の腕輪を嵌めよう嵌めようとしたトゥアールを愛香は腕に関節技を決めた後背負い投げの要領でトゥアールをぶん投げて地面に叩きつける。
「げばふっ!?」
「おいィィィィィィ!?何やってんだお前!?いくら怪しいからって見ず知らずの人をぶん投げるなよ!?」
「知らないわよ!変な事をしようとしたコイツが悪いのよ!後、この無駄な脂肪の塊を見せつけてくる服がイラッとするのよ!」
「思いっきり私怨じゃないか!?」
突然の蛮行に貴理矢は思わず声を上げる。下手すりゃ骨折ものの一撃に思わず総二も顔が青ざめる。
床に叩きつけられたトゥアールはピクピクと痙攣しながら溢すように呟く。
「べ、別に怪しいものじゃないのに...。」
「どこをどう見たって怪しいわよ!」
「それに関しちゃ同感だけどな。」
愛香と貴理矢がトゥアールを睨むと、トゥアールは困惑した顔になった後、ヨヨヨと声を上げ、急にさめざめと泣き始める。
「今更、他に適合者は探せないんです...。でも、早くしないとこの世界からツインテールが消滅してしまうんですよ!!」
「な、何だって!?」
「どわっ!?」
「ちょっ、総二!?」
トゥアールが話した“ツインテールが消える”という言葉に敏感に反応した総二は貴理矢と愛香をはね除けてトゥアールに詰め寄る。
「この世界からツインテールが消えるって、どういうことだよ!?今すぐ説明してくれ!」
「はーい。ではこのブレスレットを差し上げますね。」
トゥアールが満面の笑みを浮かべた次の瞬間総二の右腕にガチャリ、と腕輪が嵌め込まれる。
「あ。」
「あああああああ!?」
総二が間の抜けた声を上げると同時に愛香の凄まじい延髄蹴りがトゥアールに炸裂し、そしてそのまま愛香は総二の腕に着いたブレスレットを外そうとする。
「え!?今人体から鳴っちゃいけない音が聞こえたんだけど!?あの人大丈夫なのか!?」
「何これ!外す部分がないじゃない!」
「いだだだだだだだ!!愛香やめてくれそれ以上は俺の腕がもげるゥゥゥゥゥ!!」
愛香が必死に外そうとするがびくともしない。しかもそのままブレスレットに繋ぎ止めみたいな物はなく、ガッチリと総二の腕にジャストフィットしているせいで、愛香が無理矢理外そうとしても全然外れないどころか総二にダメージがいっている。
「きっとアイツこのブレスレットを押し売りする気なのよ!断ったら店の表で待機している顔面ピアスだらけのヤバイチンピラがスタンバイしてるのよ!」
「ねーよ!前半はともかく後半はねーよ!ってあああああああ引っ張るのはやめてくれぇぇぇぇぇ!?」
恐らくこれ以上やれば腕輪を外すより先に総二の腕がイカれてしまう。貴理矢は伸びているトゥアールの頬をペチペチと叩いて起こす。
「おーい。起きてアレの外し方教えてくれ。」
「うごごご...残念ですけど、アレを外す訳にはいきません。あれは総二さんではないと意味が無いのです...。」
「は?そいつはどういう」
意味深な発言をするトゥアールを問い詰めようと貴理矢が動くより先にトゥアールは後ろでいつの間にかスタンバイしていたナフェールに合図を飛ばす。
「説明するより見て頂きましょう...。ナフェール!」
「了解です...。」
ナフェールが謎のスイッチを押した瞬間辺りが白い光に包
まれる。
「うおっ!?」
「きゃっ!?何!?」
「いだだだだだだだ!?」
そして白い光が消え、目が慣れてくると、そこは野外だった。
「....は?」
野外だ。太陽の光が降り注ぎ、雲一つない青空が広がり、青臭い草の匂いが鼻をつき、光を反射する熱せられたアスファルトの上に五人は立っていた。
先程まで確かに『アドレシェンツァ』にいたハズなのに。
「あ、あれ!ま、マクシーム宙果じゃないか!?」
光のどさくさに紛れてなんとか脱出した総二が驚きの声を上げる。確かに総二が指差す先には大型ショッピングモール、『マクシーム宙果』があった。自分達がいた『アドレシェンツァ』からはかなり離れている。しかも時計を見れば『アドレシェンツァ』にいた時から数分も立っていない。なのに自分達は今、『マクシーム宙果』の駐車場にいる。まるで瞬間移動でもしたかのような不思議な出来事に三人が困惑していると、トゥアールが『マクシーム宙果』の方を向きながら呟く。
「手遅れでしたか。予測より早かったですね...。」
「は?そりゃどーいう...。」
貴理矢がトゥアールに尋ねようとしたその時、焦げ臭い匂いが辺りに立ち込めているのに気づく。そして一拍置いて、轟音と共に貴理矢達の近くを自動車がものすごい勢いでぶっ飛んで行き、一瞬でスクラップとなる。
「....え?」
「な、何よこれ!?」
「し、静かにしてください。今は認識撹乱で誤魔化していますが、大きい声を出すと奴等に気づかれてしまいます。」
「にんしき、かくらん?何の事よ!?というか何がどーなってんのか説明しもがっ!?」
説明するナフェールに詰め寄ろうとする愛香の口をトゥアールが手で塞ぎ、モゴモゴと暴れる愛香に、口元に指を立てて、静かに、のジェスチャーをする。すると愛香も納得いかないと目で抗議するものの渋々と了承して黙る。
「すみませんが、奴等に気づかれる訳にはいかないので....。アレが、奴等にです。」
「なんじゃありゃ...!?」
トゥアールが指差す先に爆煙を引き裂いて、謎の怪人が現れる。突然現れた怪人に三人は驚く。緑色の肌にトカゲのような風貌と尻尾。筋肉はシュッと引き締まっており、体を覆う鎧も相まって凄まじい威圧感を醸し出している。そのトカゲの怪人は後ろにいる大量の手下とおぼしき黒い戦闘員に向かって、迫力のある声で叫ぶ。
「ワハハハハ!!この世界の全てのツインテールを我が手中にする時が来たのだ!!さぁ、者共!ツインテールを我が元に集めるのだ!!」
その言葉を聞いた瞬間総二はずっこける。迫力のある声で何を言っているのだあのトカゲ怪人は。この惨状に似つかわしくない余りにも場違いな発言に総二が困惑していると、愛香と貴理矢がジト目で総二を見る。
「総二、あんたいつの間にあの着ぐるみ着てたの?今からでも遅くはないからさっさと撤収して、その思いの丈は海にでも吐き捨てて来たら?」
「なんで俺が着ぐるみを着て叫んでるみたいになってんだよ!?あそこまでひどくはないだろ!?」
「お前いくらツインテールが好きだからってお前...。」
「いや、違うからな!?俺じゃないからな!?」
総二が弁解していると、トカゲ怪人はモケモケ鳴く戦闘員にやれ、ぬいぐるみを持ったツインテールの幼女を持ってこいと叫び、いないと分かればこの文明遅れてると嘆いた後持ってなければ用意するのが男の甲斐性だのとのたまい、段々変態度をエスカレートさせていく。その状況を見ながら貴理矢は呆れた様に呟く。
「しっかしなんて言うかこう、緊張感が持てない相手だな...。」
「油断しないで下さい。アレでも数々の文明のせかいを滅ぼしてきた悪魔です。」
「マジか。」
ナフェールが貴理矢に注意するが、悪い冗談のような気がしてならない。等と訳の分からない状況に立ち往生していると。
「何故このような事をするのですか!今すぐこの行為を止めて他の方々を解放しなさい!」
と鋭い一声が飛ぶ。見ればそこには一人の金髪の小さな少女が自分の倍近い身長のトカゲ怪人に向かって叫んでいた。余りにも無謀な行為に全員の目が自然と向かう。
「あれ生徒会長じゃない!」
「何だって!?」
愛香が言うとおり、そこにいたのは総二が愛香の次に認めた素晴らしいツインテールを持つ少女、神堂慧理那生徒会長だ。顔も美人の部に入る程の愛らしさで、貴理矢も総二が生徒会長に夢中になる気持ちが分からないでもない。
しかしトカゲ怪人はさっきのが嘘で無ければ車を易々と吹っ飛ばす力を持つ。そいつに真っ正直から喧嘩を売るのはどう考えても無謀である。しかしトカゲ怪人は何やら感心した様子で、生徒会長に可愛らしいウサギのぬいぐるみを持たせたかと思うと、あっという間に撮影用とおぼしきセットを作り、撮影を始める。機材も中々で、割りと本格的なもので細かい指示が出される。
「えっーと、色々察するにあの...トカゲを倒すために総二にそのブレスレットをつけたのか?」
なんかこのままでは雰囲気が壊れてしまうような気がしたので貴理矢は強引に話題を変えていく。トゥアールはその質問に真剣な表情で答える。
「はい。その通りです。信じられないかもしれませんが。私は総二様のツインテールを愛する心の強さを見込んで、そのテイル・ギアを託したのです。」
「テイル...ギア?」
総二は自分の右腕に着いたブレスレット、テイル・ギアを眺める。
「でも、どうやって戦うんだ」
総二が言い終わるより先にトカゲ怪人がいる向こうで動きがあった。トカゲ怪人が繰り出した謎の機械の輪が生徒会長を通過した瞬間、まるで花が散るように生徒会長のツインテールがほどける。そして意識を失って、倒れる。
「...ああやって、奴等は罪のないツインテールを搾取していっているんです。」
トゥアールが顔を下に向けたまま呟く。その表情は分からないが、悔しがっている事だけは誰にでも分かった。その瞬間、総二の中でブツン、と何が切れた。目の前で自分が心から素晴らしいと思える物が踏みにじられた気がしたからだ。激怒した総二の雰囲気に、幼なじみである愛香でさえ、どう声をかけて良いか分からず萎縮する。
「トゥアール、教えてくれ奴等をどうやって倒すんだ?」
「分かりました!まずはですね、私のブラのホックを」
「いや、こんな真面目な瞬間に何やってんのよ!!」
「ぎゃふん!!」
突然脱ごうとしたトゥアールに愛香のキレイなブレーンバスターが炸裂する。アスファルトに思い切り体を叩きつけられてトゥアールが悲鳴を上げるなか、ナフェールがおずおずと手を上げ、総二に言う。
「あの、そのテイル・ギアを使って変身するんです。」
「変身?」
「はい。そうすれば戦えます...。」
総二は自分の右腕に着けられたテイル・ギアを見つめる。テイル・ギアは何も言わず、ただキラリと光を反射する。
「でも、良いんですか...?変身すれば、もう、今までの日常は遅れませんよ?」
地面に叩きつけられたまま、這う這うの体のトゥアールが総二に話し掛ける。しかし、その瞳は真剣そのものだ。総二はテイル・ギアから愛香と、貴理矢の二人に見ても目を移し、そしてトゥアールの方を向いて、言う。
「構わない!俺は戦う!」
「総二!」
「トゥアールとやらはああ言ってるけど良いのかよ?」
総二の宣言に愛香は難色を示し、貴理矢が問う。総二は貴理矢に向かって言う。
「俺は、俺の大切なものを守るために戦いたいんだ。」
「....へっ。昔っからそう言う奴だよな。」
貴理矢はヤレヤレと肩をすくめ、道を空ける。
「行ってこいよ。ただ、危なくなったら迷わず引けよ。」
「あぁ。」
総二は貴理矢が空けた道を行く。貴理矢はフッと笑ってそれを見送る。
「総二様!戦う気持ちを込めて、テイル・オンと叫んで下さい!」
「え?えっーと、テイル・オン!!」
トゥアールの指示通り、総二はテイル・ギアを掲げて叫ぶ。そして次の瞬間、テイル・ギアが展開し、赤い炎のような光が辺り一面に広がり、あまりの眩しさに全員は目を背ける。そして、赤い光は敵に向かって飛んで行く。
「どうやら、成功したみたいですね。」
「ええ!新しい戦士の誕生ですね!」
ナフェールとトゥアールが喜ぶ中、貴理矢と愛香は小首を傾げる。
「あれ、今。」
「ちっちゃい子供が通ったような?」
その赤い光が、晴れ、よく目を凝らすとそこには、小さな赤い髪でツインテールの女の子がいた。そう、さっきまで男だった総二が、戦闘服とおぼしき物を着ている小さな小学低学年位のツインテールの幼女となっていたのだ。
「「えええええええええええ!!?」」
貴理矢と愛香は目を丸くする。流石に幼なじみが幼女になれば、誰でもビックリするだろう。件の総二と言えば、そのまま敵に突っ込み、まるで紙のように戦闘員とおぼしき敵を吹き飛ばしていく。そして、アスファルトを砕きながらブレーキをかける。性能面は確かに敵と戦えそうではある。問題は外見だ。総二も体の違和感に気づいた様で、車のガラスを見て、困惑している。
「あれ、どうなってんのよ!?なんで総二が女の子になってんのよ!?」
「いや、あーするとですね、敵の注意が総二様側に食い付くんですよはははは。」
「いや、ははははじゃねーよ!」
愛香と貴理矢がトゥアールに抗議している内にも総二にトカゲ怪人が詰め寄り、可愛らしい熊のぬいぐるみを持って何やら言っている。とてもヤバい絵面である。貴理矢は頭をかいて、わたわたしているナフェールに尋ねる。
「おい!何か、あのテイル・ギアとかみたいなの無いのか!?あのままじゃ色々ヤベーぞ!」
「え、えっとですね、これなら...。」
ナフェールは貴理矢に黄緑色のドライバーと黄色のカセットのような物を取り出す。
「テイル・ギアで戦う戦士のサポート用に開発したゲーマドライバーと変身に必要なツールのガシャットです。」
「これを使えば変身出来るんだな!?」
「貴理矢!」
ドライバーとガシャットを受け取る貴理矢に愛香が声をかける。貴理矢は愛香の方を振り向いて言う。
「心配すんな。親友を見捨てる訳にはいかねぇ。ヤバかったら、俺も逃げる。」
貴理矢は愛香に微笑みかけると、そのままゲーマドライバーを腰にあてがう。すると、ゲーマドライバーからベルトが伸びて、固定される。
「ガシャットを起動して、ドライバーにガシャットを差し込んで下さい!」
「了解。」
貴理矢はガシャットのスイッチを押す。
《爆走バイク!》
「ノリノリで行くぜ~。一速。変身!」
《ガシャット!》
貴理矢はガシャットをゲーマドライバーに差し込む。すると、パネルが貴理矢の前に現れて、回り始める。そして、そのパネルに貴理矢は回し蹴りを叩き込む。
「行くぜ!!」
《レッツゲーム!ムッチャゲーム!メッチャゲーム!ワッチュアネーム!?》
蹴ったパネルが貴理矢を真正面から包む。そして、次の瞬間、そこには、頭部にピンク色のスパイク、バイクのハンドル、青い瞳。そして、胸部にはゲージとまるでゲームのコントローラーのボタンのようなデザインの装甲。そして両手にはバイクの前輪と後輪に銃口を着けたような武器を持つー、
《アイム ア 仮面ライダー》
3頭身のゆるキャラがそこにいた。
See you Next Game....
次は早めに上げたいな