俺、仮面ライダーレーザーになります。   作:ゆうちゃんEX

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二巻の内容に入ります


俺、部活動を始めます/不揃いのmembers

エレメリアン前線基地の作戦会議室は異常なまでに殺気立っていた。空気はピリピリと震え一触即発の雰囲気が辺りに流れる。原因は二つ。一つはドラグギルディがツインテイルズに倒されたのにも関わらずおめおめ逃げ帰ってきたゲンムがいる事。もう一つはドラグギルディ亡き今その遺志を継いでツインテイルズに挑むも破れ去っていく侵略部隊を見かねて送り出された増援部隊の隊長二人が睨み合っている事だ。イカのような姿の怪人、クラーケギルディと海竜のような外見のバハムートギルディ、二者が凄まじい眼光で互いを睨み合っている。

「クラーケギルディよ。未だに貧乳こそが正義と化石にも等しい古臭い考えを持っているのか。今や巨乳こそが絶対正義の時代であると言うのに。」

バハムートギルディの侮蔑的な言葉にクラーケギルディ側の何人かが殺気立つがクラーケギルディはそれを手で制し毅然と言い返す。

「貧乳こそが絶対正義と言うのは昔から続く不変的な事実なのだバハムートギルディ。そもそもツインテールに似合うのは貧乳だと言う事実を頑なに認めようとはしない貴様に哀れみすら覚える。」

「それが時代遅れだと言うのだクラーケギルディ。至高の属性ツインテールに似合うのは同じく至高の属性である巨乳属性(ラージバスト)なのだ。成熟した身体にツインテールのアンバランスな佇まいが至高だと」

「ただの年増なだけだろ。」

「今何て言ったコラァ!!」

クラーケギルディの部下が放った心無い一言によりとうとう乱闘騒ぎが起こってしまう。

その様子を眺めながらゲンムは雀のような姿の部隊の古株であるエレメリアン、スワロウギルディに尋ねる。

《....処罰を聞きに来たのに私は何を見せられているのだ?》

「...むぅ。返す言葉もない....。」

二人がなんともまぁ醜い争いを見ていると、対立しつつも微動だにしなかったクラーケギルディとバハムートギルディが一喝する。

「「えぇい!静まれぇい!」」

その鋭く一喝により、さっきまでケンカしていた両部隊のエレメリアン達はピタッと止まり、自ずと離れていく。

「すまんな。部下が見苦しい所を見せた。」

バハムートギルディがスワロウギルディに謝る。そしてクラーケギルディがゲンムに言う。

「貴様の処罰の件だが、貴様には謹慎処分を命じる。」

《....ふん。》

ゲンムはそれだけ聞くとさっさと部屋に戻ってしまう。

「ではまずは我々巨乳部隊からツインテイルズに宣戦布告をさせてもらおう。」

「ふん。好きにするがいい。」

バハムートギルディの言葉をクラーケギルディは了承する。バハムートギルディはそれを聞くとパチンと指を鳴らし、一人の戦士を呼び出す。

「ではバッファローギルディ。貴様が先陣を切るのだ!」

 

 

 

 

 

「....ツインテール部ってお前なぁ....。」

「いやー、書いてみるもんだな。」

学園の空き教室で貴理矢のツッコミに総二は何故か自慢気に答える。

「て言うかよくgoサイン出たわね... 。」

愛香も呆れながら頭を押さえる。そう、総二が入学式当日にやらかしてしまったツインテール部が何故か受理されてしまったのだ。

「しかもアンタはアンタでワケわからん事するしな。」

「うっ...」

貴理矢の視線の先には学生服姿のトゥアールとナフェールがいる。ちなみにトゥアールは入ってきて早々愛香のバイオレンスなツッコミでグロッキーになっている。

「だって...私達も学生生活をエンジョイしたいんですもの...」

「だからってナフェールちゃんも巻き込むなよ。」

「あ、いえ!私は大丈夫ですので...」

等とやっているとコンコンと部屋がノックされる。総二が対応しようとドアを開ける。

「はーい。どなたでしょう」

「生徒会長の神堂慧理那です。ツインテール部の視察に参りました。」

「か、会長!?」

総二がテンパる中、神堂会長とお付きのメイドの桜川尊さんが入ってくる。

「む、観束と三条ではないか。さっきのHR振りだな。」

「え、えぇ...。」

「そうですね...。」

二人は露骨に距離を取り始める。桜川さんは何故か急に代わった担任でもあり、しかも挨拶が終わった早々に男子全員に婚姻届けを配り無理矢理印鑑を押させようとしたのだ。婚期を逃して大分焦っているらしいが苦手意識を持つなと言う方が無理だ。

「気が変わったらいつでも良いんだぞ。」

「「いえ!大丈夫です!」」

二人が声を揃えて拒絶する中、キョロキョロと部屋を観察していた神堂会長が総二に尋ねる。

「観束君はツインテールがそれほどまでにお好きなのですか?」

「え?えぇ。大好きです。ツインテール好きになるのに理由はいりませんから。な、貴理矢。」

「自分に振るな自分に。最近お前のせいで自分までイロモノ扱いされかけてるんだぞ。」

「やっぱり何か問題が?」

愛香の問いに一瞬神堂会長は顔を曇らせるが、すぐにもとの表情に戻る。

「いえ、この活動がツインテイルズの応援に繋がるのであれば構いません...あら?」

神堂会長は観束の手首を指差して言う。

「あら、観束君。部室とは言え校内での派手なアクセサリーは禁止ですよ?」

「!?」

認識撹乱装置で見えないハズのテイルブレスを見破られた事に全員が驚く中、神堂会長はしげしげとそれを見つめている。

「テイルレッドとお揃いのものですね。今回は見逃しますが、次からはキチンと守ってくださいね?」

「え、えぇ...はい。気を付けます。」

「それから転校生のお二方。ようこそ陽月学園に。素敵な学園生活を。」

そう言って神堂会長と桜川さんが部室から去ると同時に愛香がトゥアールの胸ぐらを掴む。

「ちょっと!どういうことよ!テイルブレスバレてるじゃない!」

「ひぇぇぇぇぇ!?そんな!確かに認識撹乱装置は正常に起動させたんです!?」

「と、取り敢えず後でお二人のテイルブレスは念のためメンテナンスにかけますから...。」

必死になってナフェールがトゥアールを愛香の魔の手から逃れさせようとしていると、ピロロロロンと軽快な音楽が鳴る。ナフェールがポケットから携帯のようなデバイスを取りだし、三人に言う。

「エレメリアンが現れました!!」

「何だって!?」

「またお出ましって訳ね。」

「自分いる?」

「貴理矢さんは念のため皆さんのサポートに回って頂きます。それと、プロトガシャットを改良した正規ガシャットが完成したのでこれを。」

ナフェールが貴理矢に絵の部分にキチンとカラーリングが施された“ギリギリチャンバラガシャット”を渡す。

「お、サンキュー!よっしゃ!行くぜ!」

総二と愛香はテイルブレスを着けた腕を構え、そして貴理矢はガシャットをゲーマドライバーに差し込む。

「「テイルオン!!」」

「変身!」

教室が光に包まれ、三人の戦士が出撃した。

 

 

 

そこはグラビアアイドルのオープンコンテスト会場だった。エレメリアンの襲来により、水着姿のアイドル達が悲鳴を上げてポヨンポヨンと胸を揺らして逃げ回る。

「おっほ!良いもの見させて頂いたなレッド!」

「何言ってんだレーザー...」

嬉しそうに逃げ回るアイドル達の一部分をレーザーが目で追っているとガシッとハンドル部分をブルーに掴まれる。

「死にたくなかったら...エレメリアンを倒すことに集中しなさい...?」

「わ、わかった!わかったから離せ、離してくださいブルー様ァァァァァ!?」

目の前に広がる巨乳にコンプレックスを爆発させたヤバい目をしたブルーはポイとレーザーを放り捨てる。

「ブルーが怖ぇよ...」

「そんな発言するから...」

「むっ!現れたなツインテイルズ!」

等とやっていると巨体の牛のようなエレメリアンが現れる。そのエレメリアンは重圧感たっぷりに佇む。

「我が名はバッファローギルディ!我が愛する巨乳属性を世に広めんとする主の懐刀なり!さぁいざ尋常に立ち合えテイルレッド!」

「なら受けて」

「まぁ待てレッド。」

飛び出そうとしたレッドをレーザーが片手で制する制する。

「お前のブレス。認識撹乱装置もアレだったしもしかしたら不具合があるかも知れねぇ。ここは自分に任せろ。」

「レーザー...」

「悪いが、選手交替だ。三速、変身。」

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ・チャンバラ~!』

レーザーがガシャットを差し込んでレバーを開くと灰色の部分が金色になったギリギリチャンバラゲーマーが現れ、レーザーレベル1の装甲が弾け飛び、同じく手足のパーツに分かれたギリギリチャンバラゲーマーが胴体に接続される。そして最後に仮面が装着され、レーザーレベル3,チャンバラバイクゲーマーが完成する。

「ふぃー、やっぱ人型の方が落ち着くぜ。」

「....中身どうなってんの?」

『企業秘密です。』

レッドの問いにナフェールが答える中、レーザーは灰色からピンク色に塗装されたガシャコンスパローを取り出す。

「さぁーて、レッドと遊びたきゃ自分を倒してから行きな!」

「上等だ!貴様ごとき即座に打ち倒し巨乳属性の私がテイルレッドを打ち倒してくれるわ!」

「ちょっと待て!さっきから私をスルーするんじゃないわよ!」

「何か言ったかタイラブルー。」

「たっ...!?」

水を刺されてシラケたと言わんばかりにバッファローギルディはやれやれと肩を竦める。

「私は巨乳属性なのだ。貴様のような大地に対して九十度を保つこれ以上成長の見込みの無い貧乳を相手にしている暇など無い。」

地雷源でタップダンスを踊りまくるバッファローギルディを見ながらレッドとレーザーが恐怖で震える。後ろで怒髪天をついているブルーが容易に想像出来たからだ。

「巨乳属性...?」

特定のワードにブルーが反応する。恐る恐るレーザーとレッドがブルーに振り返る。そこには修羅と化した蛮族がいた。思わずレーザーの口からヒェッと悲鳴が漏れる。その瞬間修羅と化したブルーは超スピードで一気にバッファローギルディと距離を詰めると槍でバッファローギルディの胴を薙ぐ。

「ごっふぉ!?」

「寄越せ寄越せ寄越せ寄越せ!!アンタの属性力を私に寄越せぇぇぇぇぇ!!」

そしてさらにブルーは勢いそのままバッファローギルディの顔面に飛び膝蹴りをかまし、バッファローギルディを倒すとその上に跨がってマウントポジションで怒涛の拳を雨霰と浴びせる。

「さっきから貧乳貧乳うるせぇんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

どこの世界に怒号と怨念を撒き散らしながら悪鬼の如く敵の肉をえぐり骨を砕く正義の味方が何処にいるのだろうか。戦いと言うには余りの一方的かつ凄惨なリンチにレーザーとレッドは抱き合って震える。

「や、やべぇブルーがキレた...。」

二人が怯える中、ブルーは散々タコ殴りにされて息も絶え絶えなバッファローギルディの土手っ腹に槍を突き刺しゼロ距離で直接エネルギーを流し込む。

「エグゼキュートウェェェェェェイブッ!!」

「くっ、お、おのれ!巨乳に栄光ぎゃあああああ!?」

エネルギーを流し込まれバッファローギルディが爆散する。もうもうと煙が立ち込めるが、次第に煙が晴れるとそこにはまるで首を掲げて勝利の凱旋を上げる武将の如く巨乳属性の属性玉を掴んだテイルブルーがいた。

「これで...!これでアタシも貧乳から脱却よ!ハハハハ!アッーハハハハハ!」

高笑いをするブルーを見ながらレーザーがレッドにボソッと話し掛ける。

「...これどっちが悪役か分かったもんじゃないな。」

「しっー!」

閑散とした会場にブルーの笑いがこだまする中、レッドとレーザーは早く帰りたいと心から思った。

 

 

 

To be continued....

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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