「....くっ!!」
「...スマンな。お主ほどの腕ならこれくらいあっさり避けると思うておってな。」
エレメリアンを倒し、帰ろうとしたテイルレッドの前に体長三メートルはあろうかと言う全身傷だらけの屈強な龍のごときエレメリアンが立ちはだかっていた。不意討ちとは言え先程の鋭い一撃、そして全身からみなぎるオーラ。眼前のエレメリアンの全てからテイルレッドは感じとる。今までのエレメリアン達とは一線を画すかなりの強敵であると。
「我が名はドラグギルディ!全宇宙全世界においてツインテールを愛する事において右に出る者はいないと自負する者よ!!」
「コイツ...!ノリはいつもと一緒か!」
テイルレッドも剣を構え直す。ドラグギルディはふと先程までテイルレッドと戦い敗れた部下が消えた場所を見つめる。
「...馬鹿者が。我が出向くと言ったものを...。」
だがそれも一瞬。直ぐ様ドラグギルディも剣を構えテイルレッドを見据え、傲岸不遜に言い放つ。
「不甲斐ない部下が退屈させた!だが部下は部下!仇は取らせて貰う!」
「勝手に侵略してきて何が仇だ!」
気合い一閃。襲い掛かるドラグギルディをテイルレッドが真正面から迎え撃つ。激闘の火蓋が切って落とされた。
《さぁ。出てこい仮面ライダーレーザー。あまり私を焦らすなよ...。》
あちこちから火の手が上がる町を悠然と歩きながらゲンムは呟く。恐らくツインテイルズはあのドラグギルディが一人で押さえるだろう。ならば自分はレーザー一人に集中すれば良い。
今までのエレメリアン達が興味外の一般人を襲わなかったのが災いして、襲われないと思い込んでいた一般人の初期対応が遅れ、逃げ遅れた人々があちらこちらにいる。それをわざと煽るよう尖兵である下級バグスターに襲わせる。警官が駆けつけて応戦したが、ゲンムと下級バグスターの敵では無く瞬く間に蹴散らされる。
「痛ッ!」
「お姉ちゃん!」
不幸にもバグスターの眼前でこけてしまった姉弟にバグスターの凶刃が襲い掛かる。姉が健気にも弟を庇おうとした瞬間だった。
どこからともなく飛んできた弾丸がバグスターを吹き飛ばす。
「え...」
《ようやく来たか。》
見ればバグスター達が一人の戦士の手によってみるみるうちに蹴散らされていく。フロントアームドユニットで殴り付け、ドロップキックをかましながらバグスター達を吹き飛ばす。
「大丈夫かあんた達!ここは自分に任せてさっさと行った行った!」
「は、はい!ありがとうございます!」
仮面ライダーレーザーレベル1が姉弟達を逃がす。そしてレーザーとゲンムが互いに向かい合う。
「...無関係の一般人まて襲うたぁ随分と悪乗りが過ぎるんじゃねーかゲンムさんよ。」
《私は奴等とは違う。貴様を誘きだすのに最善手を打たせて貰っただけだ。》
「は。なんとまぁ随分と腐った野郎だぜ!」
《抜かせ。》
『ギュ イーン!』
次の瞬間ゲンムはガシャコンバグヴァイザーをチェンソーモードに変形させレーザーに襲い掛かり、レーザーとそれをフロントアームドユニットとリアアームドユニットで迎え撃つ。こちらでも戦いの火蓋が切って落とされた。
「ぐぅ!このぉ!」
「力任せに受けて刃こぼれ一つせんとは随分と立派な装備だ!だが。」
ドラグギルディの無数に見える刃を何とか受け止め、反撃とテイルレッドが剣を振るうが、ドラグギルディはこれをあっさりと剣の腹で受け止める。
「じゃれているのかテイルレッド?こそばゆいわ!」
ドラグギルディはそのまま剣を振り抜きテイルレッドを吹き飛ばす。テイルレッドは何とか空中でバランスを取り、地面に線を引きながら着地する。
「コイツ...やっぱり強い!」
「まだまだ行くぞ!」
ドラグギルディは一気にテイルレッドとの距離を詰め再び息をもつかせぬ連撃をテイルレッドに浴びせる。
流れる滝のような激しい斬撃がテイルレッドを徐々に追い詰める。一閃一閃が流れるように美しく激しい。
「ぐっ....はっ!これは....。」
追い詰められる中、レッドの目が見開かれる。レッドの目に流れるような斬撃の軌跡が映り、ある一つの答えを導きだす。次の瞬間レッドの動きが変わる。怒涛の攻撃を見る見る内に見切り、そして受け止めていく。
「ふっ、気づいたかテイルレッド!」
「せいっ!」
レッドのカウンター気味に放った横一閃の斬撃をドラグギルディは後ろへと跳ぶ事でかわす。レッドは先程とは打って変わり、その顔に笑みを浮かべる。
「...ドラグギルディ、その斬撃。」
「その通りだテイルレッド。我が斬撃は」
「「ツインテールの剣!!」」
「ぶっ!?」
テイルレッドとドラグギルディの声がハモり、つい先程援軍として到着した愛香ことテイルブルーがそれを聞いてこける。そしてブルーは半眼のままぼそりと呟く。
「あー、成る程。今回の敵はそーじ系ね...。」
「あれ?ブルーいつの間に?というかそーじ系って何?」
一方レーザーとゲンムは街中で激しい戦闘を繰り広げていた。レベル差があるものの、レーザーもただただ一ヶ月を無為に過ごしてきた訳ではない。来るべきゲンムとの戦いに備えてある程度トレーニングはしていたのだ。ゲンムの攻撃を的確に受け止め、そして確実に反撃していく。
「オラッ!どうだ!」
《チッ。身持ちが固いことだな。》
「お褒めに預りどうも!」
何も焦る事はない。耐えて耐えて一撃一撃を確実に当てていく。幸い性能差は絶望的と言うほどでもない。レーザーはゲンムの一撃を上段に振りかぶった一撃を受け止めると、そのまま反撃にドロップキックをお見舞いする。
《チィッ!》
『チュ ドーン!』
ゲンムは後ずさりながらもバグヴァイザーをビームモードに変え、ビームを撒き散らす。
「うおっと!」
レーザーは慌てて近くの建物の陰に隠れる。建物の壁をビームが抉るがレーザーに損傷は無い。
《姑息な真似を...》
「悪いね。縛りプレイは慎重にやる派なんでね!」
建物の陰からフロントアームドユニットの弾丸を放つ。ゲンムの周辺の地面が爆ぜ、思わずゲンムも後ろへと後退する。
「どうだい?降参したらどうだ?その方がお互い楽だろ?」
《随分と余裕だな。》
レーザーの降伏勧告にゲンムはヤレヤレと肩を竦める。そしてバグヴァイザーを下ろすと、腰のホルスターから新しいガシャットを取り出し、起動させる。
『シャカリキスポーツ!』
「?新しいガシャット?」
《その余裕の発言はコイツを見ても言えるかな?グレード3....》
『ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!』
ゲンムはシャカリキスポーツガシャットをゲーマードライバーの空きスロットに挿し、シャカリキスポーツゲーマーをその身に纏う。
『シャカリキ!シャカリキ!バッド!バッド!シャカっと!リキっと!シャカリキスポーツ!』
《ふん!》
仮面ライダーゲンムレベル3は右肩のトリックフライホイールを取り外すとレーザーの方へ投げつける。
「何の!」
迫り来るトリックフライホイールを撃ち落とそうとレーザーは両アームドユニットの弾丸を発射するが高速回転し、不規則な軌道を描くトリックフライホイールを撃ち落とすは至難の技だった。トリックフライホイールはレーザーの放った弾丸を掻い潜り、レーザーに直撃する。
「いでっ!?」
今までの攻撃の中で最大の衝撃がレーザーを襲う。堪らずレーザーは吹っ飛ばされて建物の陰から飛び出てしまう。
《捉えたぞ!!》
「なっ、ぐおっ!?」
いつの間にか距離を詰めていたゲンムが間髪入れずに跳び膝蹴りをレーザーの胸元にめり込ませる。再びレーザーは吹っ飛ばされて地面を転がる。
《まだまだ眠るには早いぞ。》
トリックフライホイールをキャッチしたゲンムが追撃に走る。ゲンムの猛追が始まる。
ドラグギルディとテイルレッドが激しく打ち合う。最初は思わぬ強敵に圧されていたレッドであったが、援軍の到着とドラグギルディの剣の軌跡を見切ったことにより徐々に態勢を持ち直し、ドラグギルディの剣撃を受けながらも逆に攻めに転じて剣を振るう。幾閃打ち合ったかもはや数えきれぬ程剣を振るった後、互いに切り払って距離を取る。
「ふふっ...見事...!見事なりテイルレッド!敵として出会ったのが口惜しい程にな!」
「へ...剣を通して分かる。お前が心の底からツインテールを愛している事が!お前が生粋のツインテール属性なんだって事がな!」
「左様!ツインテール属性は引かれ合うのだ!」
「いや、それただの類友でしょ。」
熱く語り合う変態達にブルーのツッコミが入る。ドラグギルディはふとテイルブルーに視線を向けしげしげと観察する。
「な...何よ。」
「何、初めて映像を見た時から気になってはおったが、成る程そう言う事か。あの戦士の差し金か。」
「あの戦士?」
ブルーが疑問を口に出すとドラグギルディは思ったのと違う反応に一瞬疑問符を浮かべるがすぐに納得して語りだす。
「何だ、知らなかったのか?かつて我が好敵手と呼ぶに相応しい凄まじき戦士が同じ衣を纏っておったのだ。まぁツインテールに似合わぬ下品な乳をしていたのでお主を見ても結びつかなんだわ。」
「....もしかして。」
レッドが声を上げる。レッドの脳裏に浮かぶのは異世界から来た二人の来訪者。そしてドラグギルディは二人に語り始める。
これまで数々の刺客を送り込み、その悉くが破れ去ったのも計画の内。そして堂々とした征服宣言も自分達ではなくこの世界の守護神たるツインテイルズを祭り上げ、世界中に認知させるためのアプローチ。異世界から迫り来る外敵を可憐な少女が打ち倒す。そしてその少女に集まる羨望、憧れ、興味、期待。ツインテール属性が世界中に爆発的に広まっていく。要するに今までの戦いは世界中にツインテール属性を広めるための三文芝居。それはまさしくツインテール属性を理想的に刈るための人間牧場を作るための狡猾な作戦だった。
「勝ってくれるならそれで良かった。愛する我が部下達だ。だが組織である以上効率的なやり方を知ればそれをやらざるを得ない。」
「...成る程ね。」
「ほう。思ったより落ち着いてるなテイルブルー。」
「何となく予想ついてたし。」
あの時、トゥアールがはぐらかしたのはこういう事だったのだ。自分達の世界が破壊されたからヤケになったのだ。騙された。そうブルーは感じた。アイツらは最初から嘘をついていたのだ。
レッドは俯いて話を聞いていたが、しばらくして口を開く。
「...何でそんな事今言うんだよ?」
「せめてもの手向けだ。全てを知った後絶望せぬようにな...。」
レッドはしばらく俯いていた。ドラグギルディはレッドの心が折れたのだと確信した。自分達がやっていたことは全て徒労だったのだと思い知らされたのだから。レッドが顔を上げる。
その表情に大胆不敵な笑みを浮かべながら。
「なっ」
「感謝するぜドラグギルディ。手向けなんかじゃねえ。俺にとっちゃ嬉しい朗報だぜ?お前らが一斉に刈ろうとするってのはつまり一時期のブームなんかじゃない。ツインテールが皆に根付くって事だ。」
レッドは剣の切っ先をドラグギルディに向け、自信満々に叫んだ。
「つまり俺達がテメェ等に負けなきゃ良いってだけの話だ!!」
「何と...」
「...何よ。心配したアタシが馬鹿みたいじゃない。」
ブルーはレッドを見つめ、肩を下ろす。そうだ。コイツはそう言う奴だ。長年一緒にいたのだから分かりきっていたのに。
「世界の終末を前にその大見栄を切る度胸、尚揺るがぬ不動の心。テイルレッド。感服したぞ。」
ドラグギルディが再び剣を構え、レッドもドラグギルディを見据える。レッドが啖呵を切る。
「さぁて!ここから俺達の」
「ワーハッハッハッハッハッ!!そこまでですドラグギルディ!!」
「タイミングゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
空気を読まない横槍にレッドが叫ぶ。一世一代の大見栄が潰されたのだから致し方無いと言えば無いのだが。
「何奴!?」
声がする方を見ればそこには仮面被った白衣の少女がいた。ぶっちゃけ仮面被ったトゥアールだった。
「私は...仮面ツインテール!!」
「「ぶっーーー!?」」
名を尋ねられたトゥアールが腕を組んで直立不動で堂々と宣言する。と言うか仮面ツインテールて。もっと良い名前あったろうに。
「確かに。私と彼女が制作したブレスとドライバーは何者かによる技術流失から転用して私が作り上げた物です。そう、それが敵からわざと流された物とも知らず。」
「え...。」
仮面ツインテールのその言葉にレッドは声を上げる。彼女の言葉はどこか自嘲をしているような声音だ。
「!貴様あの世界の戦士か!だが何故だ!?貴様からはあの輝き、弾けんばかりのツインテール属性を感じぬ!?我らがついぞ奪えなかったと言うのに!」
これ等の言葉のやり取りだけで正体を見破る洞察力は流石幹部エレメリアンだけはあるか。ドラグギルディの指摘に仮面ツインテールは答える。
「それは、託したからです。」
「何ィ!?」
「え!?」
「何ですって!?」
衝撃の告白にさしものブルーも驚愕の声が出る。当時のトゥアールも薄々エレメリアン達の計画には勘づいていたのだが、自分を慕う幼女を裏切る真似は出来ず二の足を踏んでしまい、その心の隙を突かれ、ドラグギルディに敗北したのだ。それから基地に籠って作戦を練り、ナフェールのゲーマドライバーの完成を待ったが時既に遅し。エレメリアンによってトゥアールの世界の全ての属性力は消え去ってしまったのだ。そのケジメとしてトゥアールは自身の属性力をブレスに譲渡し、世界を渡ったのだ。
「....成る程。良き仲間を持ったなテイルレッド。」
「...あぁ。」
即答しようとしたらそういや夜這いかけられたり、発言が色々アレな事を思い出し、一瞬答えに詰まるもののレッドは肯定した。
『す、スミマセン!お取り込み中ですか?』
「ナフェール?」
唐突にナフェールから通信が入る。その声は上擦り焦りを感じている事が容易に分かる。
「どうしたんですか?」
『そ、それが。き...レーザーが大ピ』
『いやー、何でも無いぜ!俺は大丈夫だか...うおっ!』
ナフェールの通信を遮るように貴理矢の声がする。しかし直後に打撃音が響き、貴理矢の声が詰まる。
「お、おい本当に」
『テイルレッド。ブルー。』
心配する二人に貴理矢の凛として堂々した声が聞こえてきた。
『心配すんな。今日の俺に嘘はない。』
「....分かった。」
それは意地の言葉であることがレッドには分かった。だからこそ。信じることにした。友の言葉を。
「闘志の輝きは些かも衰えてはおらぬが!我とてハナからこのような御託だけでどうにかなるとは思っておらぬわ!だが、いかなる輝きでも覆らぬ闇もある!!」
ドラグギルディの号令と共にまるで黒い波のような戦闘員の大群が現れる。
「本気で行くぞ!!」
次の瞬間ドラグギルディはそれはそれは見事なツインテールを頭部から生やしレッドと対峙する。威風堂々としたツインテールにレッドもたじろぐがすぐに気合いを入れ直し、ブルーに言う。
「ブルー!俺はアイツに集中する!任せても良いか!」
「良いけど、アタシの方が楽じゃないかしら?」
二人は互いの得物を構え、各々の標的に向かって突っ込む。最終ラウンドが幕を開ける。
爆発が起こり、レーザーは吹き飛んで近くのカフェのテラスの椅子や机を薙ぎ倒しながら転がる。
「ぐっ!」
《援軍を呼ばないとは随分と余裕があるじゃないか。》
向こうから煙を引き裂いて悠々とゲンムが歩いてくる。
「はっ...テメェなんぞアイツらが相手するまでもねぇ俺一人で充分だ!」
レーザーが弾幕を張るが、ゲンムはトリックフライホイールを盾にしてその一撃を防ぐ。
《そろそろ消えろ。》
『ガシャット!キメワザ!』
ゲンムは腰のキメワザスロットにガシャットを差し込む。すると緑と紫の刺々しいエフェクトがトリックフライホイールから溢れる。
『SHAKARIKI!CRITICAL STRIKE!』
ゲンムがエネルギーを纏ったトリックフライホイールをレーザーに投げつける。それは不規則な軌道を描いてレーザーに一回直撃した後さらに追撃でもう一回レーザーに炸裂し、大爆発が起こる。
「ぐああああああ!!」
レーザーは大きく吹き飛び、瓦礫と共に地面を転がる。胸のライダーゲージが減少し、危険を知らせるアラートが響く。レーザーは仰向けに転がって薄れゆく意識の中、大きく深呼吸をしてナフェールに話し掛ける。
「なぁ、ナフェールちゃん。」
『貴理矢様!?大丈夫ですか!?』
「ちょっとキツいかも。それよりも。」
心配する声を余所に貴理矢はいきなり切り込んでいく。
「ホントは出来てるんでしょ?レベル3のガシャット。」
貴理矢の指摘にナフェールが息を飲むが聞こえた。
『そ、いや、あの』
「多分だけど、アレでしょ?実戦では使えるけど副作用がアレな感じみたいな?」
『....!!...はい。その通りです。プロトガシャットは出力が増す分セーフティが機能していないので...』
「ナフェールちゃんがそう言うって事は...相当キツいんだろうなぁ....副作用。」
貴理矢がぼやくように言うと、ナフェールは一瞬迷った後、苦し気に言う。
『...はい。ですからここは一旦退い』
「渡して貰えない?そのプロトガシャット。」
『....え?』
貴理矢の言葉にナフェールは一瞬何を言っているのか分からなくなる。だがすぐにそれを理解して貴理矢に注意する。
『な、何を言っているんですか!?プロトガシャットには副作用が...!』
「それでも。」
レーザーは震える足腰をグッと堪えて立ち上がる。既に満身創痍。このまま戦っても勝機は薄い。頼みの綱のプロトガシャットは強烈な副作用を持つギャンブル。もはや一か八かの状況であるにも関わらず、レーザーは諦めない。
「アイツらに任せろと言った手前、キッチリやんねぇと“ウソつき”になっちまうからな。」
『....分かりました。ですが危険と判断したら直ぐに回収しますからね。』
「ノリがいいね。そうこなくちゃ。」
ナフェールは手元にあるガシャットを祈るように握り締め、レーザーに転送する。そしてレーザーの手元に黒いガシャットが現れる。
《まだ生きていたのか。しぶとい奴だ。》
瓦礫を蹴っ飛ばしてゲンムが歩いてくる。余裕綽々のゲンムにレーザーは思わず笑みを溢す。見てろ。今にその自慢の面を歪ませてやるぜ。
「悪ィけど...ここから第2ラウンドだぜ!」
『ギリギリチャンバラ!』
ガシャットを起動させる。レーザーの後ろにスクリーンが浮かび上がり、スクリーンからプロトチャンバラゲーマーが現れる。
《新しいガシャットだと!?》
「三速!」
『ガシャット!ガッチョーン!ガッチャーン!レベルアップ!』
空きスロットにプロトギリギリチャンバラガシャットを突き挿し、レバーを開く。
『爆走!激走!独走!暴走!爆走バイク!アガッチャ!ギリ!ギリ!バリ!バリ!チャンバラ~!』
次の瞬間レーザーのレベル1装甲が吹き飛びレベル2の素体にプロトチャンバラゲーマーの手足が接続され、最後に顔に兜が装着される。そしてシュタッと二本足で地面に降り立つ。
「ふぅー、ようやく人型になれたぜ。」
《貴様もレベル3に到達しただと!?》
「ノリノリで行くぜ~!」
『ガシャコンスパロー!』
仮面ライダーレーザーレベル3チャンバラバイクゲーマーは黒い弓形の武器、ガシャコンスパローを取り出す。
『ス パーン!』
そしてボタンを押してガシャコンスパローを二つに割って鎌モードに変形させ、ゲンムに飛び掛かる。
ゲンムもトリックフライホイールで応戦する。しかし両手武器であるスパローの手数でゲンムを押していく。
《ぐっ。》
「そこぉ!」
レーザーの猛攻に一瞬態勢を崩したゲンムにレーザーの回し蹴りが炸裂する。さらに大きく態勢を崩したゲンムをヤクザキックで思い切り蹴り飛ばす。
《ぐっ!?この出力は!?》
「結構しんどいからさ、一気に決めさせて貰うぜ!」
『ガシャット!キメワザ!』
ガシャコンスパローのキメワザスロットホルダーにレーザーはプロトチャンバラガシャットを差し込む。
『GIRIGIRI!CRITICAL FINISH!』
「でやぁー!!」
エネルギーを纏ったガシャコンスパローでゲンムをすれ違い様に切りつける。その直後爆発が起き、ゲンムは吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
《ぐっ、まさかここまでやるとは...チィッ!》
ゲンムは舌打ち混じりに撤退する。
「へっ、どうだ...ぐっ!?」
ゲンムに勝利し、息を抜いた瞬間想像を絶する痛みがレーザーの体を襲い、そのまま膝をついて倒れる。
『貴理矢様!周りに人はいませんから早くガシャットを抜いて変身解除を!』
「うおっ!?ぬあっ!」
ナフェールの指示通り、貴理矢は何とかガシャットを抜き取ってレバーを閉めて変身を解除する。
「はっ...はは...これは...キツいなぁ...」
だがその直後に全身を途方もない脱力感が襲い、バタンとその場に倒れ込む。自分の名前を呼ぶナフェールの声を聞きながら、貴理矢は思った。
(へへっ、やったぜ...愛香、総二....)
「どぅおりゃああああああ!!」
テイルブルーの気合い一閃。振り回す槍が戦闘員を蹴散らす。それでも尚人海戦術で襲い掛かる戦闘員に時には蹴りや拳で対応しながらブルーはトゥアールに問う。
「後何体!?」
「大分少なくなりましたよ!後120体です!」
「充分多い!こうなったらまとめてやってやるわ!」
次の瞬間ブルーは最大出力でオーラピラーを発動させる。広範囲の大波が戦闘員達を巻き込み拘束していく。
「エグセキュートウェェェェェェェイブ!!」
ブルーの放った槍が戦闘員を一人残らず殲滅する。大爆発を背に、ブルーは肩を下ろす。流石に大技を連発したせいかブルーの変身が解け、愛香が力無く倒れる。だが、倒れ込む前にトゥアールが愛香を支える。
(そーじ....後は任せたわよ....。)
薄れゆく意識で愛香はそう思った。
「うおりゃああああああ!!」
「ぬぅぅぅぅぅぅん!!」
テイルレッドとツインテールとなり本気を出したドラグギルディの猛烈な死闘も佳境に差し掛かっていた。自らがツインテールになる。恥も外聞も関係無し、堂々とした姿にレッドは感心し、感動すら覚え女体化して照れていた己を恥じもした。打ち合う度に衝撃波が周りの地形を変えていく。レッドも応戦するがやはり一日の長でドラグギルディが粘りを見せ段々レッドを押していく。
「流石はテイルレッドだ!そのツインテールの軌跡!敵ながら惚れ惚れするわ!」
「俺も!敵じゃなければお前みたいな馬鹿とツインテールについて何時までも語り合いたかったぜ!」
例え劣勢でレッドは強気で攻めた。一瞬でも弱気を見せれば負けてしまうと全身で感じたからだ。
「けど!ツインテールを奪う事は許さない!なぁ!平和的に物事を解決するつもりはないか!?」
「我ら生まれた時より奪う者よ!怨み言等聞き慣れたわ!」
「だろうな!そう言うと思ったぜ!」
「テイルレッドォォォォォォ!!」
一層ドラグギルディの猛攻が激しくなる。レッドも徐々に圧されていき、そしてついにドラグギルディの剣がレッドの剣を弾き飛ばす。
「勝ったッ!さらばだテイルレッド!幼き武士よ!」
ドラグギルディが勝利を確信し剣を振り上げた瞬間、レッドもまた勝利を確信し、ニヤリと笑う。フォースリボンをタッチし、二刀目の剣を取り出す。
「二刀流だとぉ!?」
「伊達にツインテールじゃねぇんだよ!!」
そしてそのまま気合い一閃。レッドの全力を込めた一閃がドラグギルディの胴を裂いた。そしてそのままレッドは炎を噴き出しながら天高く翔び、ドラグギルディに斬りかかる。
「グランド!ブレイザァァァァァァァ!!」
「テイルレッドォォォォォォ!」
一閃。テイルレッドの一撃は真っ向唐竹割りよろしくドラグギルディを切り裂いた。
「....見事、見事だテイルレッド。」
「...敵ながら天晴れな奴だぜ...!」
ドラグギルディの身体に電流が弾ける。もう永くはないだろう。
「また来世(いつ)か会おうぞ...!!」
「お前がツインテールを愛するならまた逢うかもな...!」
ドラグギルディはゆっくりと背中から崩れ落ちる。レッドは振り返らなかった。
「さらばだ...!」
爆発を背に受けながら、レッドは剣をしまいドラグギルディが生きた証、属性力を手に取り言った。
「俺達の...勝ちだ...!」
See you Next Game....
次は後日談です。