烏なき島の蝙蝠─長宗我部元親(ただし妹)のやっぱりわたしが最強★れじぇんど!   作:ぴんぽんだっしゅ

5 / 60
5.よく考えたら八方塞がり

内政の時間ですよ。元親さま。……ってワケですよ、

そうでしょう。

 

さあ始まりました、長宗我部小昼元親の一族建て直しのための内政の時間がですよ。

小昼、一条の叔父さまに頭下げて来ましたよ。

 

小昼が頭を下げて長宗我部の、我が家のプライド的な何かに傷が付くと言うわけでもなく、頭を下げて叔父さまの許しも得ました。

父上が一条さまの領地を奪ったせいでちょっと遠ざかっていた一条の信頼げっとですよー!これで、やっと、証文が貰えます!資金がドサッと手に入るのですよ。

 

返さないといけないお金なので、確実に儲けないと詰みますがね。やれることをやったら成果は実るものです。なんせ、戦国の世。

 

何をやってもどれをやっても新しいのです。他人がまずまだ手を出してないまっさらなジャンルなのです。

 

儲けを生む、金の成る木があちらこちらにあるようなものなのですよ。

 

産まれてしまったからには悔やんでても仕方ないのです。この土佐から信長に匹敵する傑物になるため、英雄と語り継がれる長宗我部になるために頑張りますよー。

まずは、……痩せた土地を耕しましょうか。昭和平成なら南国市辺り、ここが長宗我部の根拠地である岡豊になります。

はっきりいって、笑っちゃうくらい貧乏です。

 

はぁ、これは我が家が信玄並みにあちこち噛みついて略奪を繰り返さなきゃなんなかったの解ります。

 

これをまずどうにかしましょうか。って、わけで作ったこれは肥料になります。

今も昔も土佐のどこでも魚は名物になるくらい大漁だったのですよ。

食べきれない雑魚を貰って、または買い取って作ってきました。

今も腐ったら食べれないから取れ過ぎた魚を使って肥料を作ってるんですよ?野菜も米だって麦だってやっぱり肥料に敵う土への栄養剤はありませんからねー。

 

やっちゃいますよっ。

てんでばらばらに植えるのじゃなくて、等間隔に植えるように教えています。

 

結果は来年、もっと先かも?ここ土佐は水害があちらこちらで起こるとこなので水をコントロール仕切れなければ、どれだけ心血注いで田植えに畑を耕ししても流されちゃいます全部。

そう、まるで無駄になっちゃうんですよね。

信玄堤を真似て川を堰き止めれればいいんでしょうけど……それにもお金がかかるのですって、貧乏です、我が長宗我部は。

 

「銭がかかるのですよ。……戦をするには。戦する銭があるならその銭で米買えるんじゃないですか?間違ってますか?──根本から違うんですよね、未来と戦国の世じゃ」

 

だから今も戦をしてるんですし。本山と親族になってからも貧乏に変わりはありません。

 

蜜柑って自生してたものと思ってたんですけど、甘かったみたいです……。コーヒーも砂糖も炭酸ジュースもなかなか作れません。もどかしい。

少量のミルクと、自生してた果実の果汁を足した大豆コーヒーなら手を付けててとっくに飲めるものにしてるんですけど、これは商品にするにはまずは大豆を大量に確保しないと行けません。

 

何をするにしてもちゃんと畑を機能させないと内政に手をつけられないって話なのですよ。

ないない尽くしでやんなりますよね!

 

そんな時、小昼は湯呑みに入った豆コーヒーをくいと傾けながら考えるのです。これが戦国の世でのせめてもの息抜きと言ったとこでしょうか。

 

証文は手に入れて、叔父さまからまさかの資金提供もあってあとは手をつけるだけなのです。蜜柑の木が、肝心の木が見付かりません。じゃあ、海だ海。……。我が家に海に面した領地が有りません。

八方塞がりですね!

 

肥料だけは乾燥させた魚と腐葉土と土を混ぜ合わせるだけで材料も安定して大量に手に入れることが出来るのですぐに大量生産ラインを構築したわけですが。

 

これこそまだ大企業への第一歩と言ったところでしょうね。

周辺の魚を扱う商人から腐り魚、主に鯵とか煮干しになるような一度にどっさり取れてしまう小魚を買い取っています。これを根こそぎ買い取っても誰も困らないでしょう。たぶん。

 

いや、困らなくなるように食生活を整えてあげなければ、内政とは言えたものではないのです。

それは搾取です、小魚しか口に出来ないような層が住んでいるならそれを棚上げして根こそぎ買い取ってしまえば口に出来るものが無くなってしまいます。

 

そ、こ、で!

 

小昼はそう言った河原者と呼ばれる、口にいれるものをより好み出来ない層の人たち丸ごと。雇い入れました。

 

農民には農民として農作業してもらわないと腹を満たすための物が実りませんし、まさしくウィンウィンでうってつけだったのですよ。

彼ら、暇そうだったし。

 

ただし……肥料作りは安い腐り魚が主になるのでとんでもなく臭うんですよね。

工房の周囲住民が集団で逃げ出すくらいに、現在で大規模にやるなら消臭を念頭にきちっとやんないと周辺住民から訴訟ものですよ。

鼻がバイバイいっちゃいます。

戦国の世で良かった……消臭設備なんて、今の小昼に作ることは叶いませんから。工房の周囲に匂いだだ漏れでも怒ってくる住民はいませんです。

 

なので、その凶悪な腐廃臭から鼻を守る、精神を守るために何枚も重ねた布で鼻の下を被い、生産作業を行って貰いますです。

そこまでやっても中々臭い匂いは鼻を刺激します。

あっちこちで阿鼻叫喚の嗚咽が聞こえてくるのですよ。小昼、さすがにこの匂い……耐えられません!まだ、目の前に大便を置かれた方が我慢できるレベルですよ!

 

こうしてまでして肥料の大量生産作業ラインは完成したのです。いやー苦労しました、河原者の方々には労働の喜びと昼ご飯をくれてやりますですよ。

 

まっ白いご飯とは行きませんが……ゆくゆくは混ざりものなしのご飯を提供していきたいものです。

決して、ブラックにはならない程度に。なんせ、戦国の世。

薪はあって、炎の明かりがあろうと……夕方には皆さんやる気を完全に無くしてますしね、電気の灯りがない限りブラックなんてやれない、従業員の就業時間は守られるってわけですよ。

見えなくなる、それつまり、家に帰るということなのです。

 

そんなこんなで、人が大量に集まると言うことは、自然と有機肥料も大量に生産できてしまいます。

こっちはこっちで利用させてもらいましょうかね。




ここまで読んでくれてありがとう!
余裕があったらご意見、ご感想改訂ってね、待ってます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。