間桐雁夜は瞠目した。目前の青年、いやサーヴァントは自らをシールダーと名乗った。彼が召喚を狙ったのはバーサーカーのサーヴァントであったはずだ。だが、あまりおかしな反応をして召喚した英霊の機嫌を損なうようなことがあってはいけない。
「あ、ああ。俺がお前を召喚したマスターだ。」
動揺を隠しきれないながら雁夜はなんとか答えた。
「了解しました、マスター。ここに契約は成った。これよりは、俺があなたの盾となります。心配せずとも大丈夫です、マスター。あなたの望む未来を共につかむことをここに誓いましょう。」
シールダーは凛とした声で口上を述べた。ここにきて雁夜は初めてシールダーを観察することができた。さっぱりと整えられた黒髪と深い空色の瞳は誠実な印象を与える。彼が身に纏う服は現代的なものに見える。近代の英霊か、と雁夜は心の中で呟いた。何より目立つのは彼の持つ盾である。十字架と円形の盾を組み合わせたかのような大きな盾を右手で握っていた。
ふと、シールダーが口を開いた。
「ああ、
「そうだったな。俺は間桐雁夜だ、よろしく頼む。」
「ええ、こちらこそこれからよろしくお願いします、雁夜」
二人が握手を交わすと、それまで黙っていた臓硯が口を開いた。
「ほう、エクストラクラスのサーヴァントか。触媒としたのは円卓の破片なのじゃが、お主は円卓の騎士には見えぬ。真名を教えてくれぬか」
シールダーは少し目を細めて臓硯を見ると、少し安心したような顔をしながら答えた。
「ええ、確かに俺は円卓の騎士ではありません。円卓の騎士とは遠いながら縁がありますがね。俺の真名を言うのは問題ないのですが、俺の真名など誰も知らないでしょうし あまり意味もない。」
「だから、今はあえて
雁夜は部屋に戻り寝転がると多大な魔力消費による疲れから泥のように眠ってしまった。シールダーは霊体化し傍に控えたまま呟いた。
「まとう、間桐…マキリ。そうか、ここでは彼はアレになることを選ばなかったんだ。なら彼はまだその在り方を取り戻せる。彼とは一度話さなきゃいけないな。」
「まあでも、この聖杯戦争では誰と会えるかな?うん、なかなか楽しみだ!」
シールダーはまるで旧友に会いに行く少年のような顔で笑った。
間桐臓硯は一人物思いに沈んでいた。雁夜の召喚したサーヴァントは近代の英霊のようで、本来の予定とは違ったが、それほど問題ではない。そもそも臓硯は今回の聖杯戦争には期待していなかったのだから。しかし、あのサーヴァント。あの眼を臓硯は直視できなかった。自身さえも忘れ去ったなにかを思い出させるようで、我慢ならなかった。まるで堕ちた自分を糾弾されているかのようであった。
聖杯戦争が始まるまではあと少しである。
原作との変更点
触媒については明言はなかったが勝手に円卓の破片に。
本来この触媒ではアルトリアとギャラハッドは呼ばれませんが、この小説内では呼ぶことができる、という設定になっています。
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