暗転した視界。
俺は死んだ…はずなんだが。
俺の目の前にテンプレよろしく、信号待ちをしていた俺のところへトラックがドーン。
さらば現世よ、だったのに
「おーあんちゃん。お前死んだけどもう一回生きたい?」
なんだこのオッサン。いい歳いってんじゃね?40代?
「おいおい。俺はオッサンじゃねぇ。神様だぞ。敬意を払いやがれ」
いや、すらっと神様言われても…
「現実味がないって?そりゃ仕方ない。死んでんだし」
お、おう。
「まー、死んだのは俺の同僚のミスだ。これはお前に謝らなければならないことだ」
同僚?フツーはソイツが詫びをいれるんじゃ?
「あー…今そいつは『上』からのお仕置き食らって動けないんだ。だから代わりに俺がな」
つまり、とばっちりと。
「そうなるな」
お疲れ様です。
「そうだな、ってそうだそうだ。話を戻すぞ。お前、人生やり直したいか?」
そうだな。だってそっちのミスで死んだんだし。
「まー、でも普通ってのは俺としては嫌なんだよ」
要約すると?
「お前を別世界へ転生させる」
あ、お約束ですね。分かります。
「メタ発言するな。ま、お前には(俺の趣味趣向にあった)東方プロジェクトの世界に行ってもらうわ」
おい待て、オッサン。別の思惑があって俺を飛ばす気だろ。
「何のことだ。さてとりあえずお前もわかってる通り、特典をくれてやる、が……」
が?なんだよ歯切れ悪…いな……ん?な、んか、目の前が……………
「悪 が お の き くは でだ。 ぜい りな ……」
お、おい…なん………だ、こ…………れ…………………
俺の視界が再び暗転した。
「ん…」
『俺』は起きる。目の前を見る。
目の前には
「はい…?」
今に焼け落ちていく村が視界に入る。
というか、何だこれは。まずそもそも『俺』は誰なんだ?
とりあえず立ち上がって色々記憶を探るが分からない。まず
「何なんだこれ…」
訳の分からないまま村を少し歩いていると、半壊していた家の隙間から誰かしらの声が聞こえてきた。
俺はすぐさまそこに行った。
「お、おい…大丈夫か?」
「ふふふ、坊ちゃん…無事…だったんですね……」
いたのは女性。かなり美人の人だった。
「あ、なたも運が……無いですね…」
「え?」
「
話からするとこの人はこの宿の女将さんだろう。
だが、野盗が狙った感がすごく感じているのは何故なんだろう。
「は、早く…すぐ裏にある森へ…逃げてください…」
「わ、分かりました」
俺はすぐさま森へ向かって走っていった。
「ハァ…ハァ…」
俺は森の中を走って、走って、走って。
「くそ…森どんだけ広いんだ……」
走っても、全く森を抜ける雰囲気はしない。
むしろどんどん深くなっていく気がする。
その中にはおよそヒトではない気配もする。
「…怖くなってきた」
その時だった。
『へぇ、美味しそうなモノね』
真後ろから聴こえてきた妖美な声。
その声に対して俺は
素直に
冷静に
「ぎゃあああぁああ!!!」
悲鳴をあげたと同時に
「ひゃあああああああ!?!?」
瞬間、女の悲鳴が森にこだました。
「おほんっ突然後ろから声をかけてごめんなさいね?」
「いや、本当なんなんだアンタ。突然」
現在正座している後ろから聞こえた声の主。結構美人だな。
「とりあえず自己紹介しとくわ。私は八雲紫。この『スキマ』の主よ」
「スキマ?なんだそれ」
「私の能力みたいなものよ。貴方どうやって私のこのスキマに入ったのかしら」
「知らん。森を走ってたらここにいた」
「……たまたまスキマを使ったタイミングで貴方が入ってきたのね。いいわ元の世界に戻してあげるから「いや待て」何かしら?」
「俺に元の世界の記憶は無い。そもそも名前も思い出せん。何もかも分からないんだ」
「…なるほどアテがないのね?」
「そういうこった、わかっていただけて何より」
「貴方はどうしたいのかしら?」
「ん?なんも考えてねぇ」
実際、村にいた理由も思い出せないし。家族がいるかどうかもまずそもそもの話、『俺』という存在も全く分からない。
「だったら私のところにこないかしら?どうせ行く宛がないのでしょう?」
「…いいのか?」
「ええ。あなたの他にあと2人いるしね。一人増えようが関係ないわ」
「そりゃ有難いが…本当にいいのか?もしかすると、アンタを殺すために来たかもよ?」
「全くいいわよ?」
「いいのかよ?」
「ええ。私を殺せるのは誰もいないからよ」
腰に手を当て俺に指さしての断言。正直、胸がその時に盛大に揺れたのはスルーする。
「そ、そりゃまぁ凄いことで」
「ふふん。そうでしょう?『コウ』」
「コウ?誰の事だ?」
俺は周りを見渡す。だが誰もいない。
「貴方の事よ。名無しさん、なんて呼べないわ、仮にも家族になろうとしてるんだから」
「ふむなるほど、それはありがとう。して名前の由来は?」
「私達の名前には『色』に関連してる名前なのよ、そして私は貴方を見て貴方の名前を閃いたのよ!」
「お、おう」
「貴方の目、真紅のような目ね。それでよ」
うむ。実に単純明快、簡潔だな。
「『八雲紅』、あなたの名前よ。宜しくね紅。さぁ行くわよ私たちの家に」
「はいはい」
てなわけで俺、八雲紅は紫について行き、家に向かった。