偏見だらけの帝政ローマ   作:ウンバボ族の強襲

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それは嫌われます、ティベリウス様

 正直、2代目皇帝ティベリウスは大好きです。

 

 多分カエサルからこっち側に出てきた奴の中で一番好きかもしれません。

 古代ローマ史からするとカエサルダイスキーさんが多い中ではおそらくは異端でしょう。

 最高かつ理想的な統治者だとは思うけど。すべてが完全無欠であり欠点すらも愛しいという完璧すぎる人間は何か嫌。しかもいつでも友達いるし。きっとブルータスもこんな思いだったんじゃないでしょうか。「アイツがいい奴で凄い奴だってことは分かるけど何か無理」と。

 

 その点ローマ史上まれに見るボッチ皇帝、すぐに引きこもるティベリウスは、なんというかその不器用さみたいなのが最高に人間臭くってドストライクです。

 ゆえに基本的には評価は甘めになります。

 

 

 だって、義父に無理やり別れさせられたただ一人の女性だけを生涯愛し続けて、

 息子や孫に先立たれて絶望的な心情に沈んでいても絶対感情を表に出さないで押し殺して、

 冷徹に采配を振るい続けたがゆえに全方面から嫌われてもその嫌悪や憎悪を眉のひとつも動かさずに静かに一人で引き受けるんですよ……。

 偽善を嫌い、ありとあらゆる事象に本音でぶつかっていった人間なんですよ……!

 武骨で不器用で最高にカッコイイじゃないですか!

 ……ただ単に鈍感なd(この先はテヴェレ川に投げこまれました)

 

 政治面では、人材登用が異常に上手かったのです。

 暴君と言われたカリグラの後影薄い皇帝、神君()なクラウディウスの治世にまで続く超人材登用をしました。

 人間は適材適所で実力を発揮して働くのが一番、ということをよく分かっていたのでしょう。

 

 そして軍事じゃ、多分ユリウス・クラウディウス朝最強。

 歴代皇帝を並べても強者にランクインするのでは……?

 とにかく帝政ローマがあそこまで栄えた功労者にしてもいいんじゃないかと個人的には思います。

 

 

 と、言う風に。

 

 

 

 いくらでも

 

 

 

 ティベ様のことは

 

 

 

 褒められるので。

 

 

 

 

 

 

 ティベ様が暴君扱いされてる理由の一個になる『厳しすぎ政策』を紹介してdisってみようと思います。

 

 

 ……まぁ、多分ティベ様が暴君扱いされてる一番デカいの理由はアレだろうと思い当たるのですが。

 『世界最強の宗教』の救世主たるお方の磔刑にゴーサイン出した時の皇帝だからの一択じゃね? と心の中で何かが叫びますが無視していきます。

 

 あとB○○K○FFでタキトゥスの年代記斜め読みしたんですけど、アイツ、凄いな。

 ユリウス・クラウディウス朝をほぼを全員disってやがります。

 序盤でクソ皇帝が連続した国がその先長持ちする訳ねーだろ……?

 ただし、カリグラてめーは許s(この先はヴェスヴィオ火山に投げられました)

 

 

 

 ちなみに、この『厳しすぎ政策』がカリグラが即位すると同時に撤廃しまくりました。

 これには元老院もローマ市民も大歓迎だった模様。

 

 

 

 ① 政治上の理由で追放されてた奴の帰国を許す。

 

 皇帝即位あるあるの恩赦が出ましたよ!という奴でしょう。どうせ。

 あとはティベ様が追い出した有能なヤツを呼び戻したかったのかも。

 

 

 

 ②『密告者』制度を撤廃。

 

 

 ご存知でしょうか。

 かつて、東ドイツで猛威を振るったシュタージによる『密告者』とか『情報提供者』を。

 最終的には妻が夫を、親が子供を密告するような状況だったと……。

 シュヴァルツェスマーケンを見るか読むかすれば分かると思いますよあのヤバさが……。

 多分そこまで酷くは無かったと思いますが、これは怖い。密告は恐怖政治の象徴みたいですよ現代では。

 こんなん廃止すれば民衆は大喜びするでしょう。「やっとマトモに話ができる!」と。

 

 尚、この制度撤廃のデメリットもあります。皇帝に情報が集まらなくなったことです。

 

 おそらくは密告と言えどそこまでタチの悪い密告は無かったのだろうとは思いますが、

 どうせこんなのは時間と共に腐敗していくことが決定しているので、

 腐る前に撤廃して正解だったでしょう。

 

 

 ③ローマ中央政府の役職『執政官』『法務官』『会計監査官』『按察官』の選挙を

  元老院から市民集会での選出に戻す。

 

 現代風に言うと『総理大臣』と『法務大臣』『財務大臣』。

 最後のヤツは公共建築と神事を司る仕事なのでイマイチ日本人にはピンときません。とりあえず大臣系な内閣の偉い人たちの選出が国会議員から直接選挙で選ぶような感じです。

 そんなこと言ったって誰選んでいいのか分かんねえよ!!というのが民衆の本音でしょうが。

 だったら誰か人材登用が上手い奴が仕事割り振れよ!!というのが理想でしょうが。そいつは死にました。

 ともあれこうすれば大臣になりたい奴が民衆のゴキゲン取りをします。

 ゴキゲン取りに一番やりやすいのは娯楽提供です。

 

 つまり、一般ピーポーは「やった!これで剣闘士試合が増える!!」位にしか思ってなかったでしょう。

 哀れですね、剣闘士が。

 

 

 

 ④クソ税金を減らす。

 

 

 1パーセントの売上税というものがあったらしいです。

 初代アウグストゥスが国の防衛費捻出のために設置し、ティベリウスも散々減税して!という人々の願いをねじ伏せて続行した税です。凄いですね、今は1パーセントなんてじゃありませんよ☆もっとです。

 なのに借金は増えるばかり。一体どこに消えてるんでしょうね、不思議です。

 尚、カリグラはこの税の埋め合わせを全く考えていなかった模様です。

 ……つか、要らないと思ったんじゃないでしょうか? ティベ様の残した黒字があるから大丈夫とか油断ぶっこいてたんじゃないでしょうか。しょうがないと思います。黒字があるから大丈夫!と思っちゃったんでしょう。

 人間誰だって黒字なら安心しちゃうのです。黒字なら。

 

 とにかく1パーセントの売上税というものがいかに大事な財源で、ローマ市民が迷惑こうむっていたかがよくわかります。もし、コレが無かったら? 残業代がちゃんと出ます。有給がちゃんと出せます。

 綺麗な国してるだろ? 2000年くらい前のローマなんだぜ、コレ?

 過労死するのは奴隷と皇帝だけでいいんですよ。

 

 

 ⑤ティベ様によって反政府的認定食らった作家と作品を許可。

 

 これはアウトですね……。

 作品なんか反政府的であればそっちの方が面白いのに……。時の権力者を殴ろうとして書かれた作品からだって名作は生まれるのに、枕草子とか。ついでにそのカウンターが紫式部日記。

 ともあれ現代でやったら世界中から非難を浴びるでしょうね。失望しました、ティベ様のファン辞めます。

 

 

 ⑥ティベ様によって追放されていた俳優たちをカムバック。

 

 

 え?なんで追放した?

 中東の方でイケメンすぎて追放された人いなかったっけ……?そんな感じでしょう。

 あとは、ファン同士の衝突を避けたかった用です。

 

 確かに……野球ファン同士の戦いは凄まじい。

 

 

 ⑦皇帝はローマに帰ります。

 

 

 ちゃんとローマで政治してください、王様だろーが。

 

 

 

 

 

 と、言う感じで。必ずしも民衆にとっては「いい王様」ではなかったのかもしれないなーと思いました。

 多分、ティベ様の時代は凄く閉塞感みたいなものがあったのではないでしょうか?

 安穏としているけど、変化がない。

 今日と同じ明日がずっと続く安心感と静かな絶望、のようなものがあったのではないでしょうか。

 

 多分、カエサルの時代は「これから何もかもが良くなっていく」みたいな希望があり、カエサルもそんなデカい夢を見せてくれるような奴だった。

 アウグストゥスはそれよりも凡人寄りだったけど、カエサル程ではなかったにしろ「最高のウソツキ」だったような雰囲気はあります。

 

 だが、ティベリウスは一切その点妥協できなかったのでしょう。

 理想主義者じゃなくて現実主義者過ぎたんだろーなーと。

 

 有名な逸話があります。川が氾濫した話です。元老院以下はビビってみんなすぐに「河の神に許しを乞いましょう!祈りましょう!」と言ったそうです。ティベ様はこうです。

「は?なんで?」

「え……だって川の氾濫は神の怒りだから……」

「で?」

「……神の怒りを鎮めなければ……」

「……怒るのは神だろう、だが、治水するのは人の仕事。被害状況を早く報告しろ。祈ってる暇があったら働け」

「……」

 

 

 

 ……とまぁ、こんな奴だったのです。

 

 信仰?なにそれおいしいの?な21世紀の日本を生きる我らにはいかにも現実のみを即した英断なように聞こえますが、信仰を真っ向否定しているわけですからコレはまずいでしょう皇帝陛下、と。

 嘘でもいいから、ここは神殿にでも行くべきだったんですよ。なぜなら、国民がそれを欲しているから。

 信心深い皇帝が祈ってできたらこの先災害なんかが起こらなきゃいいな、と思いたいから。

 ただ、それがティベリウスには理解できなかったし、嘘をつくこともできなかった位不器用な人だったのでしょう。

 

 そんな感じで、とにかく不器用なティベリウス様は非常に好感が持てるのでぶっちゃけかなり好きです。

 

 

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