IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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第十五話 戦うことの意味

 

 

 

「一夏」

 

 

「ん?あ……鈴」

 

 

 休み時間に鈴は1組へ来ていた。

 

 

「どうした?何か用か?」

 

 

「あんた、1組のクラス代表なんだって?」

 

 

「お、おう、そうだけど」

 

 

「ふーん、やっぱり」

 

 

 腕を組み目つきを尖らせる。

 

 

「ーーあたし、2組のクラス代表になったから、よろしくね」

 

 

「…………まじで?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 廊下へと出て来た二人。

 壁に寄りかかる鈴へ問いかける。

 

 

「ーーで、何で鈴がクラス代表なんだ?」

 

 

「別に大したことじゃないわ。

  朝クラスに入ったら言われたのよ、みんなにやってみないかってね」

 

 

「……それだけか?」

 

 

「それだけかって何よ。他に何があるわけ?」

 

 

「いや、その……」

 

 

 言い淀む一夏にため息を吐く。

 

 

「あんたとの個人的な戦いもあるけど、今のあたしは2組のクラス代表だから。

 悪いけど、クラスのみんなの為に負けるわけにはいかないわ」

 

 

 その決意は固く、一切の揺るぎを感じさせないのを一夏は感じた。

 

 

「で、クラスの子に聞いたら1組の代表はあんただって言うから。今日は軽く宣戦布告に来たってわけ。それだけよ」

 

 

 背を向け手を背後に振りながら歩いていく鈴。

 

 

 残った一夏はその場に立ち尽くす。

 

 

「鈴がクラス代表、か……

(勝てるのか?俺は……いや、駄目だ、こんな弱気じゃ。勝って、あいつの考えを正すんだ)」

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 そんな一夏の様子を背後から見ていた一人の少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑さん」

 

 

「オルコットさん?」

 

 

 放課後、いつも通り訓練をしようとしていた一夏をセシリアは呼び止めた。

 

 

「ちょっとよろしいですか?」

 

 

「え?ああ、うん。いいけど」

 

 

「今日の訓練は、わたくしと模擬戦を致しませんか?」

 

 

「いいのか?」

 

 

「ええ。そちらがよければ」

 

 

「じゃあ、お願いするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 砂埃が舞う。

 

 

 

 

 場所は変わり、アリーナ。

 

 

 

 

 一人は膝を折り、地面を両手に付け息を切らしている。

 

 

 

 

 もう一人はそんな様子を眺めている。

 

 

 

 

「ーーーっ、はぁ、はぁ、はぁっ……」

 

 

 

「………その程度ですか、織斑さん」

 

 

 二人の模擬戦の様子は、セシリアの完封だった。

 

 

 今この試合を観戦している者はいない。もしいたとしたら『なぜ一夏はクラス代表決定戦で勝てたのか?』と誰しもが思うであろう。

 

 

「どうして、いきなり模擬戦なんて」

 

 

「随分と、悩んでいらっしゃるようなので」

 

 

「……なんでそんなこと」

 

 

「大方、鈴さんと何かあったのでしょう?今日の朝からの貴方の様子でわかります」

 

 

「…………」

 

 

 セシリアに完全に見透かされている一夏は何も言えない。

 

 

 セシリアは問いかける。

 

 

「貴方は、何を考えているのですか」

 

 

「俺は、あいつをどうすれば止められる「そうではありません」か…………え?」

 

 

「そんな事は、わたくしの知る範疇ではありません」

 

 

 息を吸い、セシリアは大声で言う。

 

 

 

 

 

 

 

「ーーッ、貴方は!!わたくし達の、1組のクラス代表でしょう!?何を迷っているのですか!!!」

 

 

「皆さんから託されたはずです!!それを貴方は、自分だけの為に戦うおつもりですか!?」

 

 

「……………!」

 

 

 はっとする一夏。

 

 

「わたくしは、貴方達の事情の一部しか知りません。昨日何があった等興味もありませんわ。でも」

 

 

 

 

 

 

「クラスの皆さんの信頼を裏切ると言うのなら、わたくしは許しませんわ」

 

 

 

 

「………戦うことの意味を、履き違えないでくださいまし」

 

 

 そう言い付け、アリーナを出るセシリア。

 

 

「(はは、最近、迷ってばっかだな、俺)」

 

 

「(オルコットさんは強い女だ、本当に。俺とは大違いの)」

 

 

「(俺は………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピットへ戻ってきたセシリア。

 

 

 今日、放課後になる前に箒に言われたことを思い出す。

 

 

『ーー頼む、セシリア。今の私では、一夏を変えることができない。私では……一夏に遠すぎる。力不足なんだ』

 

 

 悔しそうに自分の手を強く握りしめながら、唐突にそう告げてきた箒。

 だが、大方どういったことなのかセシリアには理解できていた。だからーー

 

 

『わかりましたわ、箒さん。わたくしにお任せください』

 

 

 ーーセシリアは、その役目を引き受けた。

 

 

「(まったく、あんなに貴方を想ってくれる人がいるというのに……)」」

 

 

 少し一夏に呆れるセシリア。

 

 

「後は……貴方が『自分の信じる信念』をどれだけ貫けるかですわ、織斑さん」

 

 

 セシリアは、一夏によって考えを改めると決めた。

 だから今度はーー自分が、彼を救う時だ。

 

 

 

 

 

「ーー任せましたわよ、1組のクラス代表は貴方なのですから」

 

 

 少女は託した。一人の少年に。

 

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