IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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番外編1 〜少年が死んだ日〜

 

 

 

 

 

 《1年前》

 

 

『ーーーっ、ぐっ、はぁっ、はぁっ、はぁ………』

 

 

『探せ!相当な量の血を流している!まだ近くにいるはずだ!』

 

 

『(こいつは……ちとやべえかもな)』

 

 

 土砂降りの雨の中、男はISに追われていた。

 顔を晒し、身体には黒い鎧を纏っている。

 

 

『くそっ、血が止まらねえ……ごぼっ』

 

 

 座り込んで壁に寄りかかり、口から血を吐く男。自身の足を汚してしまった。

 

 

『まだ見つからないの!?』

『すいません、ここら一帯には……』

『ちっ、探せ!絶対に逃すな!』

 

 

『(見つからねえよ、ダークネスはステルス中だからな……)』

 

 

 男は腹を抉られていた。

 今は、自身の姿ごと『見えない様にしており』他人に血が見えることはない。

 

 

 だが、もう時間がない。

 このままでは自分は死んでしまうと分かっていた。

 

 

『(………鈴、一夏)』

 

 

 特に親しかった、二人の親友を思い出す。

 

 

『………もう、俺に出来るのはここまでか』

 

 

 ステルスを解く。そして、ポケットから携帯電話を取り出す。

 

 

 そして、連絡先の『お』の所にある人物へとコールを鳴らす。

 

 

 

 prrrrrrrr prrrrrrrr

 

 

 

『ーーーなんだ、龍也。こんな時間にいきなり』

 

 

『千冬………さん』

 

 

 ーーよかった、繋がった。

 

 

『千冬、さん。今から言うことを、忘れないで、ください』

 

 

『……おい、どうしたんだ、外にいるのか?雨の音が凄いぞ』

 

 

『はぁ、はぁ……ッ、◯◯地区にある、倉庫場の、左から二番目、そこに、ベルトと、メモリを、置いておきます』

 

 

『お前は一体、何を言ってるんだ。それより、どこにいる?お前は何をしているんだ!』

 

 

 龍也が普通でない状況にいることは、電話越しでも千冬にすぐ伝わった。

 

 

『後は、全てを、貴女に、託します。きっと、この力で、人々を、救ってくれる人が、現れることを、信じて………。後、』

 

 

 もう手に力が入らない。

 ダークネスの保護機能も機能していない。

 この大雨の中、出血死をするのは時間の問題であった。

 

 

 最後に、龍也は想いを千冬に伝えた。

 

 

 

 

『ーーーー鈴と、一夏に、ごめんなって、言っておいてください』

 

 

 

『おい!龍也!今どこにいる!!………返事をしろ!!!』

 

 

 通話が切られる。

 

 

『なっ………くそっ!!!』

 

 

 千冬は急いで家を飛び出る。

 

 

『(一体何が起きているというんだ……!?)』

 

 

 弟の親友が、突然自分が死ぬ前の遺言の様な電話をしてきた。

 

 

 千冬自身もよく話していたし、もう一人の弟の様に可愛がっていた。

 

 

『………お前に何かあったら、一夏達に顔向けできないではないか、馬鹿が』

 

 

 雨の中、千冬は龍也が言っていた倉庫の場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ダークネス】は、変身を解いた。

 

 

 もうここに追っ手はいない。

 

 

 そして、千冬に告げた左から二番目の倉庫へと入る。

 

 

『ーーここで、いいか』

 

 

 すぐ来るであろう、あの織斑千冬だ。

 

 

『ーーーーあ』

 

 

 意識が保てなくなり、地面に倒れ込んでしまう。

 

 

 視界が暗くなる。

 

 

『もう、ダメか。はは、まだ鈴の、手作り中華、食べて、ないってのに』

 

 

 親友に今度手作り料理の味見をしてほしいと言われていた。

 自慢の中華を食べさせてくれるとのことだ。

 

 

 もう一人の親友にも、今度クラスメイトの誕生日プレゼントを選ぶのを手伝って欲しいと、最近よく話しかけて来る女子のことで相談があると色々言われていることも思い出す。

 

 

 

『ーーー約束、守れそうに、ないな。

 

 

 

  ……すまねえ、鈴。一夏』

 

 

 

 そのままーーー男の意識は闇へと沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こいつが、仮面ライダー。そして、いっくんのお友達、か』

 

 

『どうされますか、束様。ここに置いてある物『も』回収されますか?』

 

 

『……いいや、それは置いておいて。

 こいつはちーちゃんにそれを渡す為にここに残したんだから』

 

 

『わかりました、それでは、運びますね』

 

 

『うん、急いでね』

 

 

 クロエは瀕死の男を担ぎ、自分達が乗ってきた『船』へと向かう。

 

 

 残った束は、何かを思いつめる様に考える。

 

 

『まだ、死なないでもらうよ。君には。

 

 

  ーー聞きたいことが山ほどあるからね』

 

 

 そして、雨の中二人は去っていった。

 

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