IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界- 作:陽夜
「今日のSHRはここまでにする。織斑、橘はデュノアの面倒を見てやれ。
次の授業は2組と合同でIS実習を行う!各自着替えてグラウンドに集合しろ、以上だ」
「「はい」」
「遅れた者には罰を与えるから、そのつもりでな」
SHRを終え千冬と山田先生は教室から出て行く。
ラウラは直ぐ教室を出たが、シャルルは一夏と龍也の元へ歩み寄る。
「君が織斑君だね?僕はーー」
「悪い、シャル。自己紹介は後にしてくれ。急ぐぞ、一夏」
「ああ」
「えっ、ちょ、ちょっと2人とも!?」
シャルルの手を引いて教室を出る男子3人。
だが、外には既に各クラスのホームルームで1組に男子が増えたことを知らされていたため、女子がびっちり張っていた。
「いた!あれがデュノア君!」
「橘君とデュノア君、手繋いでるよ!?」
「早い、早すぎるわよ!それに一夏×龍也はどこにいったの!?」
身の毛がよだつほどゾッとする一夏と龍也。
詳しく聞いてはいけないと脳が拒否する。
「(マズイな、もう来てたか)」
このまま彼女達の相手をしていては授業に遅れてしまい、鬼教官からの説教が待ち受けてしまうと即座に判断した龍也。
一夏に目配せをし、無言で互いに頷く。
「シャル、ちょっと失礼するぞ!」
「え?え?ええ?」
「龍也、こっちだ!」
龍也がシャルルを横抱きに抱えて、一夏が横の窓を開ける。
その際に、女子生徒達から黄色い歓声が上がった気がしたが、聞かなかったことにした。
「ーーしっかり掴まってろよ、シャル!」
「わ、わぁぁぁぁ!?」
そして、2人は二階の窓から飛び降りた。
「よっと」「よし」
一夏は持ち前の身体能力で地面と接触する瞬間に前転の要領で勢いを殺し、龍也はベルトとメモリを装着して脚部のみの展開を行なった。
「ああー!逃げられたー!」
「悪いね皆さん。こっちは遅れるわけにはいかないんでね」
捨て台詞を残しその場を去る。
その様子を見ていた生徒達は、まるで映画のスタントのようだと語った。
道中でシャルルを降ろし(本人は降りたがっていなかったが)、そのまま更衣室へと辿り着く。
着替えるためにISスーツを取り出すと、シャルルがーー
「あ、あの、僕別の場所で着替えるね」
ーーと言って2人から距離をとる。
「なんで離れるんだ?同じ男なんだから気にすることないだろうに」
「……しゃ、シャルは恥ずかしがり屋なんだよ。男でも裸を見られるのは嫌なんだろ」
少し誤魔化し下手な感じではあるのだが、一夏は龍也の様子に気づいていない。
「ふーん……って、違う違う。
龍也、お前デュノアと知り合いだったのか?」
「あー、まぁな」
「…………もしかして、またダークネス絡みか?」
「そんなところだ。まぁ後で詳しく話してやるよ」
「そっか、待ってるよ」
物分かりのいい一夏。決してこの場では催促せず、後で話すのを待つというイケメンぶりを発揮する。
そんなこんなで2人が着替え終えると、シャルルもやってくる。
「着替え終わったよ………って、お兄ちゃんそれは?」
「俺はこれがISスーツ代わりだよ」
龍也の格好は従来のISスーツとは異なっており、普通の衣服のように上下別々で衣装がある。
その為、全身を晒す必要がなく普通に着替えられるのだ。
「普通の服に見えなくもないけど、ぴっちりしてるし、デザインはぱっと見何処かの戦闘員みたいだよな。最初に見た時は俺も驚いたぜ」
「仕方ないだろ、束さんが用意したのがこれだったんだから」
「僕は格好良いと思うけどな、お兄ちゃんに似合ってるよ」
「おお……お前は良い子だな〜シャル」
「ん〜やめてよ〜」
「(はは、本物の兄弟みたいだな)」
シャルルの頭をわしゃわしゃ撫で回す。
笑顔な2人に、一夏も釣られて笑顔になる。
「って、こんな悠長にしてる場合じゃないぞ!早く行こうぜ」
「ああ、そうだったな。行くぞ、シャル」
「うん」
折角余裕を持って更衣室に着いたのに、遅刻しては意味がない。
3人は少し速足で、アリーナへと向かうのだった。
既にアリーナには1組と2組の生徒が整列し、先生からの指示を待っている。
龍也達は列に入り、これで全員が揃った。
「よし、これで揃ったな。
今日は戦闘を実演してもらう。そうだな……凰、オルコット、前に出ろ」
「えー」「はいっ」
やる気のない鈴と反対に真面目なセシリアはしっかりと返事をし、すぐに前に出る。
「凰、不満があるなら授業終了まで延々とランニングでもいいんだぞ?」
「この凰 鈴音、全力で授業に取り組ませていただきます!」
ビシッ!と素早く敬礼の真似をする鈴にセシリアは呆れる。
「(全く、相当な努力をしてきたはずですのにこういう時は緩んでいるのですね)」
まぁこれが本来の鈴なのかとセシリアは思う。
力を付けたのは復讐の為、そこに対して甘えはなかったのだろう。
「それで、お相手はどちらですか?わたくしは鈴さんとでも構いませんが」
「へぇ、いいわよ。一回あんたとはやってみたいと思ってたのよね」
「落ち着け馬鹿者。お前達の相手はーー来たか」
千冬が言い終えると同時に上を向く。
生徒達も釣られて上を見ると、
「ーーーお待たせしました、織斑先生」
「遅いぞ、山田先生」
「すいませんっ、少し準備に手間取ってしまいまして」
降臨するように降りてきたのは、一瞬本物の天使かと思わせるような雰囲気を感じさせる山田 真耶。
「さて、2人には彼女と戦ってもらう」
「2対1でよろしいのですか?」
「山田先生は元日本代表候補生だ。現役時代の実力は、私の次と言ってもいいだろう」
千冬の発言に驚く生徒一同。
「えへへ。それでも、相性の問題で色々な人に負けちゃいましたけどね」
「肝心な所で油断する癖だ、君の悪い所だぞ山田君」
「も、もう昔の話ですよ〜」
普段はおっとりしている彼女が、世界最強に実力者と言わせたのだ。鈴とセシリアも戸惑いを隠せない。
そんな2人に、千冬から一言が。
「それと、今のお前達なら山田先生に手も足も出ないだろう」
「……ふぅん、そんな事言っちゃっていいんですか?織斑先生」
「余りナメられるのも、代表候補生の誇りに関わりますわ。やりますわよ鈴さん」
「おっけー、ボッコボコにしましょ」
挑発に簡単に乗った鈴はともかく、セシリアも今回は闘気に満ちている。
「ふふっ、2人ともやる気は十分ですね。
ーーーさあ、何処からでも来てください」
「行くわよ!」「お覚悟を、山田先生」
「(あいつら、大丈夫かなぁ……)」
余裕綽々な山田先生を見て、心配になる龍也。
そのまま3人は、上空へと上がっていった。
まさかの強化山田先生vs強化鈴&セシリアです。
さあどうなるのか。