グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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Extra life02 眷属集結

明くる日、俺たちは兵藤宅地下にあるトレーニングルームに来ていた。

イッセーが鎧を纏い、木場は模擬戦用に強度を落とした魔剣、ギャスパーも二人の後方に構えていた。

そんな三人を相手するのは、ジャージ姿のミリキャスだ。子供ながらも勇ましい表情で三人と対峙していた。

リアスの提案で、ミリキャスとの交流を深めるということで、なぜか模擬戦をすることになったそうだ。

まあ、ミリキャスも『根性』や『修行する悪魔』にも関心があるらしいから、ちょうどいい機会だったんだと思う。俺も鍛えないとな………。

何て事を思いつつ、俺はイッセーたちとミリキャスに目配せをし、四人が頷き返したことを確認する。

 

「それでは、始めッ!」

 

俺の号令のもと、模擬戦が始まった!

開始と同時に動いたのはミリキャスだ。子供とは思えない速度で飛び出した!手元に紅いオーラをまとわせ、いくつかのフェイントを入れてから魔力を解き放った!

ミリキャスの放った滅びの魔力は力強く、鎧姿のイッセーは迷わずに回避、木場は魔剣で防いだ瞬間━━━。

 

バシュッ!

 

削りきる独特の音と共に木場の魔剣の刀身が消滅した!

模擬用とはいえ魔剣を一瞬で消し飛ばすとは、恐れ入る………。

それを見ていたリアス以外のオカ研メンバーも驚きの表情を顔に出していた。

俺もミリキャスを感心しながら見ていると、再び飛び出して魔力を散弾式に撃ち放った!

本来、滅びの魔力は当たれば勝ちのようなものだ。まぁ、リアスの場合は当たらず、俺の場合は効かないことや防がれることが多い。

イッセーもそれは重々承知しているようで、対抗するように散弾式に魔力(イッセー的に言えばドラゴンショット)を撃ち放った!

だが、ミリキャスの放った滅びの弾はいきなり軌道を変えてイッセーの魔力弾を回避、イッセーに迫っていく!

まるで兄さんのやつみたいだ!あの年であれだとしたら、将来どうなるか楽しみだ!

俺が何て事を思っていると、ついに滅びの弾がイッセーの鎧をかすめる。

 

バシュッ!

 

再び響く削りきった時の音。イッセーの鎧の肩部分が削りとられたのだ!

一応、俺の直刀でも斬れなくはないが、あそこまで綺麗に削り取るとは、鎧がなかったら肩がなくなっていたぞ!?

さすが、兄さんと義姉(ねえ)さんの息子だ。ミリキャスがイッセーと同じぐらいになる頃、いったいどこまで強くなっているんだ………?

イッセーはちらりと俺とリアスの方に視線を送ってくる。ようやく気づいたようだ、目の前の少年の強さに………。

俺たちは笑みを浮かべて頷き、イッセーも勢いよく頷き返す。

 

「グレモリー男子の根性!叩き込みますよ!」

 

イッセーが拳を突き出して宣言すると、ミリキャスは満面の笑みを浮かべる。

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

こうして、ミリキャスとの模擬戦はどんどん激しくなっていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後。

 

「はぁ……はぁ……はぁ………」

 

息をあげて床に座り込むミリキャス。かなり疲れているようだ。

あの三人を相手に三十分。何回も転ばされようが立ち上がり、向かっていっていた。普通なら泣いたり、気絶したりしてもおかしくないと思うが、立派だったな。

どこぞの聖剣サムライボーイを思い出しながら、俺はミリキャスにタオルを手渡す。

 

「よく諦めずに相手したな。立派だったぞ」

 

「あ、ありがとうございます………」

 

息を整えながら頭をごしごしと擦り、笑みを浮かべるミリキャス。笑顔が眩しいぜ。

イッセーもリアスからタオルを受けとると、顔を洗いに退室していった。すげぇニヤニヤしていたが、今の模擬戦がかなり楽しかったようだ。朱乃もイッセーについていった。

俺はミリキャスの立たせてやり、リアスたちのほうに戻る。

 

「ミリキャス、よく頑張ったわね」

 

「ありがとうございます!」

 

ある程度回復したミリキャスが笑みを浮かべ、リアスに礼を言うと言葉を続ける。

 

「皆さん、お強いですね。僕もまだまだです」

 

「ま、これからだ。頑張って修行して、イッセーたちに『ぎゃふん』と言わせてやれ」

 

「はい!今度はロイ兄様とも模擬戦がしたいです!」

 

しれっと俺との一戦をご所望のミリキャス。勝てるとは思うが、怪我をさせないかが心配だ。

 

「また今度な。今はゆっくり休め」

 

そう言いながらミリキャスの頭を撫でてやる。

 

「えへへ~♪」

 

ミリキャスがくすぐったそうに笑っていると、

 

「おや、ロイ殿もミリキャス様には甘いようですね」

 

突然聞こえた第三者の声。聞いたことがあるような、ないような………。

俺が首をかしげながらトレーニングルームの入り口に目を向けると、羽織を着た日本人の男性が笑みを浮かべていた。その後ろには逆立ったオレンジ色の髪の巨漢の男性と凝った紅色のローブに身を包む男性、って。

 

「ルシファー眷属が揃いも揃って何やってんだ?」

 

「まあまあそう言うな!こっちにも色々とあるんだよ!」

 

オレンジ髪の巨漢の男性が豪快に笑う。

それにローブの男性がツッコミを入れる。

 

「セカンド、失礼でしょう。お久しぶりですロイ殿。先日の『魔獣騒動』のおり、『(みな)で集まってどこかに行こう』ということになり、ここに参りました」

 

セカンドと呼ばれたオレンジ髪の巨漢の男性は構わず笑う。

 

「ハハハハハッ!そういうことだ!」

 

俺はため息を吐き、状況が飲み込めていないリアスと朱乃以外のメンバーに目を向け、リアスに視線を送る。

リアスが頷いて咳払いをすると、羽織を着た男性から自己紹介を始める。

 

「私はサーゼクス様唯一の『騎士(ナイト)』、沖田総司と申します」

 

「沖田総司って、あの新撰組の!?」

 

イリナの驚きの声に沖田は頷き、言葉を続ける。

 

「はい。当時、(やまい)で戦線を離脱していましてね、死の病を回避するため、様々な儀式をおこなったら、サーゼクス様を呼び出してしまったのですよ。なぜか黒猫の格好をされていましたね」

 

「兄さんのコスプレ(へき)は昔からだ。あんまり気にするな」

 

「………はい」

 

俺の追加情報にイッセーが頷く。イッセーもサタンレンジャーの件でそれを知っているからな。

ちなみにだが、沖田は木場の師匠でもあり、『騎士(ナイト)』の駒を二つとも消費して眷属にしたそうだ。

次に前に出たのはローブの男性だ。

 

「私はマグレガー・メイザース。サーゼクス様唯一の『僧侶(ビショップ)』になります」

 

「『黄金の夜明け団(ゴールデンドーン)』創立者の一人で、七二柱の本を翻訳したことでも有名、か?」

 

俺は言葉が疑問系になってしまった。視線の先のイッセーがまったくわかっていない表情になっており、話についてこれていないのだ。

メイザースが笑みながらイッセーに言う。

 

「ふふっ、すごい魔法使いという認識でOKです」

 

「『僧侶(ビショップ)』二つ消費の時点で、すごいとかいうレベルじゃないけどな」

 

メイザースの言葉に一応ツッコミを入れておく。

最後に前に出たのはオレンジ髪の巨漢の男性だ。

 

「俺はサーゼクスの旦那の『戦車(ルーク)』が一人!スルト・セカンド様だ!ガハハハハハッ!」

 

見た目通りの豪快さだ。リアスも苦笑しながも紹介を始める。

 

「北欧神話に登場する炎の巨人スルトのコピー体なの。ラグナロクの折、巨人の大隊を引き連れて世界樹ユグドラシルに火をつけると予言されているあのスルトのね」

 

北欧神話と言われたらロキだとフェンリルだののイメージが大きいけどな。

で、その北欧神話の巨人スルトのコピー、クローン体って感じだな。

 

「北欧の神様がコピーしたはいいが、暴走して手がつけられなれなくなってことで放り出されんだと。で、兄さんに拾われた。その時に『戦車(ルーク)』の『変異の駒(ミューテーション・ピース)』を使って眷属に。セカンドって名前はコピー体だからってことだな」

 

ちなみに、『変異の駒(ミューテーション・ピース)』ってのは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のバグのようなものだ。それを使えば、駒価値をある程度無視して眷属にできる。リアスはギャスパーに使ったそうだ。

 

「ま、魔王のキャラも濃ければ眷属のキャラも濃いってことだな」

 

俺が締めくくるようにそう言うとイッセーが頷く。一部例外はあるが、実際はそんなもんだろう。

すると、リアスが誰かを探すように周囲を見渡す。

 

「ベオウルフは?やはり、今回は三人だけなの?」

 

それを聞いた三人は一瞬きょとんとすると、思い出したようにセカンドが口を開く。

 

「あー、あいつは━━━」

 

セカンドがそこまで言いかけると、トレーニングルームの扉が開け放たれる。

この場にいる全員の視線を受け、背広を着た茶髪の男性が肩で息をしていた。

 

「や、やっと━━」

 

「あいつはベオウルフ。兄さんの『兵士(ポーン)』の一人だ。もう一人はいつかに会った炎駒(えんく)だな。覚えてるか?」

 

「はい。前に少しだけお会いしましたね」

 

「そう、そいつだ。そんなわけで、紹介終わり!で、おまえら何を━━」

 

「ちょ、ちょっと待って!俺の紹介それだけ!?」

 

俺が話を変えようとすると、ベオウルフがそれを遮ってくる。

俺はため息を吐き、ベオウルフに言う。

 

「兄さんと勝負してボロ負けしたとか。ご先祖は邪龍を退治したとか。兄さんと勝負してボロ負けしたってことしか言うことがない」

 

「二回!二回言っていますよ!俺のイメージがマイナススタートになります!」

 

「と、また、こんな感じにいじられ役だからな。イッセーも何か言ってやれ」

 

「え、えーと、よろしくお願いします」

 

「おう!よろしく頼むぜ、若君!」

 

困惑気味のイッセーと、さっきのことを気にした様子もないベオウルフのあいさつが済むと、沖田が咳払いをして訊いてくる。

 

「ところで、サーゼクス様はこちらにお越しになられていませんか?」

 

「いえ、私は見ていないけれど………」

 

「俺もだ。何かあったのか?」

 

それを聞いたルシファー眷属の四人は顔を見合わせて頷きあうと、沖田が話を始めた。

 

「実は━━━」

 

久しぶりに兄さんとミリキャスが親子の時間を楽しんでいるときのことだそうだ。

 

『今度、休日が取れそうだ。ミリキャス、私とサタンレッドで遊ぼうか?』

 

サタンレンジャーのリーダーサタンレッドとして、その格好でミリキャスと遊ぶことを何よりの楽しみにしていたそうだ。

ミリキャスはこう返す。

 

『いえ、父様。今度の休日はリアス姉様とロイ兄様のもとに行きます!イッセー兄様と皆さんのもとで日本での悪魔の暮らしを見学したいのです!』

 

兄さんはとても喜び、愛息子の意欲を高く褒めた。

そこまでは良かった、問題はここからだそうだ。

兄さんはあることを訊く。

 

『うむ、それはとても有意義なことだ。ところでミリキャス。サタンレッドとおっぱいドラゴン、どちらが好きかな?』

 

『どちらかというとおっぱいドラゴンです!』

 

『………………』

 

元気に答えるミリキャスと、笑顔で固まる兄さんの姿が目に浮かんだ。

そして、兄さんは何を思ったのか質問を変えた。

 

『サタンレンジャーでは、誰が一番好きだい?』

 

『うーん、ブラックでしょうか?あの武器がカッコいいです!』

 

『……………………』

 

困りながらも答えるミリキャスと、笑顔で固まったまま魂が抜ける兄さんの姿が目に浮かんだ。

ミリキャスはサタンレンジャーの正体に気づいていなかったらしく(いつもは兄さんが呼んで来てくれていると思っていたそうだ)、そう答えてしまったとのこと。

で、兄さんの眷属である四人は、ミリキャスの見学会と同時に頻繁に姿を消すようになった兄さんを探しに来たそうなのだ。

もしかして、あの時の視線って…………。

俺がある結論にたどり着くと同時に、再び嫌な視線を感じた。イッセーもそれを感じたようで部屋の中を見渡していた。

俺も周囲を見渡していると、それに気づいた。

少しだけ開かれたトレーニングルームの扉から、特撮ヒーローの格好をした誰かが俺とイッセーのことを見つめてきていた!

あれは、サタンレッド!やはり、あの河川敷で視線の正体は兄さんだったのか!

 

「…………ミリキャス………サタンレッドよりもおっぱいドラゴン。サタンレッドよりもサタンブラックのほうが好きなんだね………」

 

その声と存在感は悲哀に満ちていた!くそ、兄さんの前で頭を撫でようとすれば、そりゃ見つめてくるよな!

サタンレッドの正体を知っているリアスが言う。

 

「きっと、ミリキャスを取られたと思っているのですね………」

 

「………いい迷惑だ………ッ!」

 

俺は小声でそう漏らした。

兄さん、オフの時間を使って俺やイッセーがミリキャスと楽しく話しているところを見ていたのか。な、なんか切なくなってきたぞ!

セカンドが兄さんに近づき、進言する。

 

「旦那、これは雌雄を決するしかありませんぜ?ミリキャス坊っちゃまを奪われちまう」

 

「ちょ!?何言って━━━」

 

「マスター、ここが決め所かもしれません。父の威厳というものを見せるしかないかと!」

 

「メイザースまで!?俺はやらないぞ!死にたくねぇ!」

 

「俺もですよ!勝てる気がしませんって!」

 

「よくわかりませんが、ロイ兄様!イッセー兄様!がんばってください!」

 

ミリキャスの応援を聞いた兄さんが、いっそう悲壮感を強くして部屋に入ってくる!

それと同時に飛び出して魔力のこもった拳を放ってきた!?

 

「とおっ!」

 

「あぶなっ!?」

 

俺はバク転の要領でそれを避け、一気に飛び退いて距離を取る。兄さんは俺を見据えながら拳を構えた。

場所を考えて、魔力を放つってことはしてこなさそうだ。だったら、俺もやらないほうがいいか……。

 

「あー、くそ!やればいいんだろ!?ったく、面倒なことになりやがったな!」

 

俺も愚痴りながらも素手で構えを取り、兄さんを睨む。

こうして、なぜか兄弟で勝負をすることになってしまったのだった。

誰か、助けてくれェェェェェェッ!

 

 

 

 

 

 




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