グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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Extra life04 慰安旅行に行こう!

とある日の放課後。

職員会議を終えた教師チームはそのままオカ研に直行。そして、オカ研部室に来たアザゼルが開口一番に言う。

 

「よし、伊豆に行くぞ。この間の魔獣騒動、あれの慰安旅行だ」

 

こいつが唐突に何か言うことは珍しくない。それしたってずいぶんと今さらな気がするが、ま、いいかもな。

リアスが目を通していた書類を置いて言う。

 

「いいわね、日程は?」

 

「え?リアス的にアリなんですか?」

 

即答したリアスにイッセーが訊いた。確かに、いつもなら渋るところなんだろうが、今回のリアスは違うようだ。

 

「ええ、皆に英気を養ってもらうプランを私も立てようとしていたわ。大きな事件が立て続けに起きて、皆の疲れも溜まってきていると思っていたらから」

 

「俺もOKだ。たまにはのんびりしようぜ」

 

俺たち兄妹の意見を聞いたアザゼルは頷いてイッセーたちを見渡すように言う。

 

「そうそう、その通りだ。若いおまえらがあれだけの修羅場をくぐれば体や心に傷がついていても不思議じゃない。━━そこで旅行だ!次の週末にどうだ?こういうのは早めがいい。なーに、手配はすぐに済むからな」

 

急な展開についてこれていない部員一同はリアスに視線を送る。判断を任せたようだ。

俺もリアスに視線を送り、一度頷いてやる。さっきも言った通り、俺はOKだ。

リアスも大きく一度頷き、笑顔で言う。

 

「ええ、わかったわ。では、次の土日は伊豆に行きましょう」

 

こうして、俺たちは伊豆に一泊二日のプチ旅行をすることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで次の土曜日。

天気は快晴、いい旅行日和だろう。

俺たちは夜のうちに準備を整え、午前十時に兵藤宅の前で集合となった。

…………で、

 

「車の運転なんて、いつぶりだろうな」

 

俺は赤いワゴン車の運転席でそんな事をぼやいていた。移動は基本的には魔方陣だったわけだし、アザゼルがいきなり「車で行くぞ!」なんて言ったもんだからこうなったわけだが………。

俺は青一色の謎のスポーツカーが止まっている兵藤家前にゆっくりと停車させる。なんか、ドリフトをしたようなブレーキ痕が残っているんだが………。

そんな疑問を思いながらサイドブレーキをかけ、エンジンを止めてワゴン車から降りる。

そんな俺にイッセーが訊いてくる。

 

「ロイ先生、その車は?」

 

「人数的に大きめの車は必要だからな、用意した」

 

「なるほど」

 

イッセーはそう言うと、スポーツカーとワゴン車を見比べ、次にサングラスをかけたアザゼルと私服姿の俺を見比べる。そして、

 

「俺!ロイ先生の車に乗りたいです!」

 

突然のイッセーの申し出に続くようにゼノヴィア以外のメンバーが頷いた。

 

「おいおい、おまえら、俺のドライブテクニックに不安でもあるのか?」

 

アザゼルが不満げにそう漏らすと、イッセーが正直に言う。

 

「あるに決まってますよ!ロイ先生のほうが絶対に安全運転を心がけてくれます!」

 

「確かに、命を預かるわけだからな。慎重にもなるさ」

 

「ほら、やっぱり!俺はこっちに乗りたいです!」

 

俺の言葉を受けて俺の横につくイッセー。どんだけアザゼルを信用していないんだよ………。

見ると、ゼノヴィア以外のメンバーが俺のほうに寄っていることに気づいた。下手に近づいてスポーツカーに引きずり込まれたくないんだろう。

だが、ワゴン車の定員は俺を除いて八人。単純計算で四人はスポーツカーに乗ることになる。

リアスがなったら、最悪ロスヴァイセに運転を任せて俺があっちにいけばいいが、それ以外はかわいそうだが頑張ってもらうしかない。

 

「とりあえず、じゃんけんでもしたらどうだ?」

 

俺は嘆息気味にそう進言した。リアスたちは嫌々ながらそれに頷き、円をつくる。

 

『じゃんけん━━━!』

 

さて、ハズレを引くのは誰だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………まあ、こうなるとは思ったよ。

俺はなんて事を思いながら運転席に座り、後ろに目を向ける。

こっちのメンバーはリアス、朱乃、アーシア、小猫、イリナ、レイヴェル、木場、ロスヴァイセだ。

向こうはイッセー、ギャスパー、ゼノヴィア、オーフィスという色物メンバー。

 

「失礼します」

 

「おうよ」

 

助手席にロスヴァイセが座り、全員がシートベルトをつけたことを確認して発進させる。ま、急ぎでもないんだ、のんびりまったりと行かせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

出発してから二時間半ほど。

 

「お、海が見えてきたぞ」

 

「本当ですね、いつ見ても綺麗です」

 

俺の言葉にロスヴァイセが頷き、海を眺めていた。俺運転に集中しやがらも窓を開け、潮風を堪能する。

後ろのメンバーも窓を開けて潮の香りを堪能していた。

それにしても、スポーツカーの方は大学なんだろうか。途中でドライブインに入ったが、イッセーとギャスパーが死にかけていたぞ。アザゼルの運転も酷いもので、『安全運転』の『あ』の字もなかった。いや、場所によってはあったが、基本なかった。

車は山を登るべく、街道を進んでいく。どんどん山中に入り込み、道も細くなってきた。気をつけないと。

 

 

 

伊豆の山に入って一時間程。

濃霧の先に目的地の旅館が姿を現した。山のど真ん中にあるその旅館は、古風でどこか懐かしさを感じる、親しみやすそうな雰囲気を放っていた。

皆で協力して荷物を降ろし、それぞれの荷物を持って旅館の入り口を目指す。何だろう、嫌な予感がする………。

俺が先頭に立ち、旅館の入り口の戸を開けた瞬間、

 

「お邪魔し━━━」

 

「ロイィィィィィィッ!」

 

「ぐぼはっ!?」

 

突然俺に体当たりをかましてくる女性が一人!俺は吹っ飛ばされて背中から地面に叩きつけられる。

その女性は俺の胸に顔を埋めながら、鼻をひくひくさせて臭いを堪能していた。

 

「セ、セラ!?何でこんなところに!?」

 

「えへ♪来ちゃった☆」

 

その女性は俺の恋人━━セラだった!相変わらずの魔法少女姿だ。

俺が困惑していると、旅館から女性が現れる。

その女性が俺たちを見て不気味に笑う。

 

「いっひっひっ、伊豆の山んなかにようこそおいでくださいました。ここは悪魔さんや堕天使さんにごひいきしてもらっている秘境ですぞい。私はこの旅館の女将をしておりますゆえ」

 

な、なるほど、山姥(やまんば)ってやつか。それはそれとして、セラは相変わらずしがみついてきている。

 

「ロイ~♪ロイ~♪」

 

「わかったから、とりあえず退いてくれ」

 

「いーやーだー」

 

俺が剥がそうとしたら余計に強くしがみついてくる。ダメだこりゃ。

俺が諦めていると、さらにもう一人女性が姿を現した。

 

「セラフォルー、ロイが困っているわ、離れなさい」

 

「むー、はーい」

 

素直にそのヒトの指示を聞くセラ。俺が服の汚れを払いながら立ち上がると、今度は腕に絡み付いてくる。めっちゃ胸が当たっているんだが、それはそれとして、そのもう一人の女性というのは━━━。

 

義姉(ねえ)さん!来ていたんですか!?」

 

そう、義姉さんだ!オフをもらったのか、メイド服ではなく私服姿だった。

義姉さんは笑みを浮かべながら言う。

 

「ええ、オフをいただいたの。ロイがいるとはいえ、学生たちの旅行は色々と危険でしょうから、引率として参加しようと思ったのよ」

 

義姉さんはそう言うとセラに目を向けてため息を吐いた。

 

「どこからか聞きつけた恋人も来てしまっているようだから………」

 

「えへ☆」

 

舌をペロッと出してとぼけるセラ。本当、どこから聞きつけたのか………。

俺たちへの言葉を終えた義姉さんはリアスの正面に言って一言告げた。

 

「リアス、まさか、旅先でハメを外そうなどと思ってはいなかったでしょうね?」

 

半眼でそういう義姉さん。リアスは露骨に「ギクッ!」と体を反応させて強張らせる。………図星だったようだ。横の朱乃も諦めたように肩を落としていた。

義姉さんはその反応を見て続ける。

 

「高校生が旅行の名目で想いを完遂させるなど、百年早いですね。まずは殿方と普段の生活で成就させなさい。旅行で盛り上がるのはそれからでも遅くありません」

 

「私たちは問題ないわね☆」

 

「ああ、そう………だな」

 

リアスたちには悪いが、セラはやる気満々のようだ。俺、のんびりできるのか………?

アザゼルが義姉さんの肩に手を置く。

 

「まあまあ。たまには無礼講ってことでいいじゃねぇか。おまえも日頃の疲れを取れって」

 

義姉さんはアザゼルの手を取り、中に引っ張っていこうとする。

 

「いい機会です。あなたにも話さなければいけないことが山のようにありました。それらの反省と今後を話し合いましょう」

 

「お、おい!マジか!俺は今日色々とやる予定があるんだぞ!?」

 

「サーゼクスに悪影響なので、摘みます」

 

「摘まれる!?おい、助けろ!ロイ!おまえなら━━」

 

助けを求めてくるアザゼルを無視して、俺とセラは話を進める。

 

「ロイ、さっそく部屋に行きましょう☆せっかくのオフなんだもの、のんびりしないとね☆」

 

「そうだな。のんびりするか」

 

「ええ☆」

 

「無視すんなコラァァァァァァァッ!」

 

俺は満面の笑みを浮かべて連れていかれるアザゼルを見送り、リアスたちにも視線を向ける。

 

「おまえたちも楽しめよ。俺はセラの相手をしなきゃならないみたいだが………」

 

「そうよ、楽しんでね☆私も楽しんじゃうから☆グヘヘヘヘヘ」

 

俺を見つめながら不気味に笑うセラ。俺、大丈夫だろうか…………。

こうして、俺たちの慰安旅行は様々な形で始まったのだった。

 

 

 

 

 

 




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