グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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Extra life07 たまには作るのもいい

材料集めのメンバーは俺━━ロイとリアス、イッセー、ゼノヴィア、そして九重(くのう)だ。転移魔方陣で移動時間を短縮して、一気に森の真ん中に来たわけだが………。

生い茂る山の木々はかなり樹齢を重ねているように見え、一本一本が巨大で、力強いものばかりだ。そんな木々に囲まれている俺たちはそれらに圧倒されていた。

木々だけじゃなく、山全体から静寂で霊的な雰囲気を感じる。人の手が入っていないようで、悪魔としての第六感が不思議と刺激される場所だ。

 

「到着したが、目的地はここであっているか?」

 

俺が確認すると、姫は頷きながら1歩前に出た。

 

「うむ、さすがロイ殿。寸分違わぬ場所に出られましたぞ。この山の神にはすでに話が済んでおりますゆえ、樹齢の永い杉を1本いただくことになっておりまする」

 

それなら話が早い。急な話だってのに、対応してくれてありがたいな。

 

「樹齢を重ねた立派な杉なのに、木材にしていいのかな」

 

森を進むなか、イッセーがそんな事を口にした。こいつ的には『杉に精神がある』と思っているんだと思う。日本の八百万(やおよろず)の考えってやつなんだろう。

そんなイッセーに九重が答える。

 

「安心せい、イッセー。なんでも先日の天災で真っ二つになってしまった杉があるそうなのじゃ。それを今回いただける運びとなっておる」

 

だよな。俺たちが使えるのはその傷んでしまった杉というわけだ。

それを確認して、その杉のもとまで移動した俺たち。そこには、確かに真ん中あたりから見事に折れてしまった巨大な杉があった。

 

「この杉は(よわい)400年と聞く。折れた先だけをいただき、残った部分はそのままにして欲しいとのことじゃ」

 

400年!俺もそれくらいなら生きているが、なかなか見事なもんだ!

ゼノヴィアが折れた杉に手を添える。

 

「うん。あとはこれを運ぶだけか。私はてっきりこの山の巨木をデュランダルで伐るものだと思っていた」

 

俺はため息を吐き、言葉を漏らす。

 

「豪快すぎだ。俺がこっちに呼ばれた理由が何となくわかったよ」

 

「む、それはどういうことだ。ロイ先生」

 

「ゼノヴィアがやったら無駄に周りの木を傷つけそうだってことだ」

 

「な、なんだって!」

 

俺の言葉に露骨に驚くゼノヴィア。まったく、今回は下手に伐りまくれないってのに……。

 

「とりあえず、作業開始ね」

 

俺とゼノヴィアがくだらないことで言いあっていると、リアスの指示が入り、作業が始まった。

まずは九重が山と杉への感謝の儀式を済ませる。

次にイッセーが鎧を纏って折れた巨木を運び、俺とゼノヴィアで今回用に用意されていた特殊儀礼済みの刀剣で大体で切り分けていく。

そしてリアスが展開した転移魔方陣にそれを放り込んでいくが、俺は様子を見て、自分でも転移魔方陣を展開して、木材を転移させていく。

転移先は兵藤宅の地下。そこでは日曜大工組が待機しており、そこで杉を加工してくれているのだろう。

屋上でもブロック基礎組がお社の土台を組んでいると思う。

この手の作業には専門知識が必要だが、それは九重の付き人でもあった妖狐(ようこ)が手伝ってくれているとのことなので、こっちも安心して木材確保をしていける。

俺が作業している横で、リアスと姫が少しずつ距離を縮めていっていたようで、お互いを名前で呼ぶことになっていた。

 

「ロイ殿は、側近の方を作らないのですかな?」

 

姫が何か思ったのか、俺に訊いてきた。

 

「側近?ああ、第二夫人とかそういうやつか」

 

「うむ」

 

姫は頷くと一旦作業の手を止めて俺の答えを待っているようだ。

俺も一旦作業の手を止め、あごに手をやって少し考える。

今までセラ以外の女性と深く関わることもなかったし、俺から関わろうとも思っていなかったからな………。

 

「あんまり考えていないな。セラの相手で手一杯だ」

 

「そうなのかの?因みにじゃが、気になるお方はいるのかの?」

 

それを訊かれた瞬間、なぜかロスヴァイセが脳裏をよぎったのだが、単純に身近な仕事仲間だからなのかもしれない。

まぁ、京都で色々と迷惑をかけちまったらしいからな、そのせいもあるかもしれない。

 

「………どうだろうな」

 

俺は曖昧に返して、再び作業に戻ろうとしたが、九重が再び訊いてきた。

 

「ところで、ロイ殿。セラフォルー殿とはどのように出会ったのかの?」

 

恋する乙女の好奇心なのか、グイグイ訊いてくるな、この姫様は。

 

「セラと初めて会ったのは、子供の頃にシトリーの屋敷に呼ばれた時だな。最初はテンション高くて苦手だったんだが、なんだかんだ言ってあいつのことは気にしていたわけだしな。まな、よく言う『一目惚れ』ってやつだ。で、告白したのは三竦みの戦争中だ。コカビエルに左目を潰されたすぐ後だな」

 

「なるほど、ロイ先生とレヴィアタン様は幼馴染みというわけか。どこぞの『自称』天使なイッセーの『自称』幼馴染みも見習ったほうが良い」

 

ゼノヴィアも作業をしながら話を聞いていたようで、相づちを入れてきた。その自称呼ばわりされているのはイリナだろうな。

 

「お兄様、いつまでも喋っていないでください。休憩することも大事ですが、こちらの作業が滞ると、後続の作業も止まってしまいます」

 

「スマン。さて、ペース上げていきますか!」

 

ある程度休憩できたので俺は袖を(まく)し上げ、最初よりもペースを上げて作業を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通りの作業が終わった深夜。

皆は上でゲーム大会をしているそうだが、俺は年が年なので自重して、俺は一人で余っている木材であるものを作っていた。もちろん、付き人の妖狐さんに手伝ってもらってだ。

 

「こんな感じか?」

 

「はい。初めてとは思えない出来です」

 

「それはどうも。スマンね、付き合ってもらっちゃって」

 

「いえ、これも九重様も為ですので」

 

「そっか、まあ、ありがとうな」

 

「はい。では、これにて」

 

妖狐さんはそう言うと「ドロン!」と再び消えていった。

とりあえず、寝るか。なんか、疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が徹夜で作業をした日の昼。

切り出したおいた木材を組み合わせて、小さめのお社を組み上げていく。

切り出しと加工の精度がしっかりしていたのか、図面の通りに組むだけでお社が出来上がっていった。そして、形となったお社を固まった土台の上にのせて固定する。

 

「いちおう、完成か?」

 

俺がフーっと息を吐いて出来を確認する。俺的には木造の立派なお社に見える。

 

『おおっ!』

 

皆で拍手をしながら声を出していた。

 

「鳥居も届いたぞ」

 

転移魔方陣からゼノヴィアが朱色(しゅいろ)の鳥居を持ってきた。ヒト一人が通れるくらいの小さいものだ。それをお社の前に設置し、同じく届いたしめ縄もかけていく。

 

「昨夜、ロイ様が作ったものです」

 

姫の付き人の妖狐(ようこ)が、俺が徹夜で作ったそれをお社の前に設置した。

 

「お賽銭箱じゃないですか!ロイ先生が作ったんですか!?」

 

それを見たイッセーが驚きながら言ったが、失礼なやつだな。

俺はあくびを噛み殺し、イッセーに言う。

 

「俺をバカにするなよ。こちとら徹夜で作業してたんだ。後半からくっそ眠かったぞ………」

 

俺は目を擦りながらそう言うと、

 

『ありがとうございます!』

 

皆から礼を言われた。これだけで頑張った甲斐かいがあったな。

そんなこんなで形になっていくお礼周り。そして、最後に飾るのは、一対の狛犬ならぬ龍の像だった。片方が赤く、もう片方が白い。

 

「これは、二天龍を模したのかな?」

 

イッセーの問いにリアスが答えた。

 

「ええ、像が何がいいってフィスに訊いたら、ドラゴンの赤いのと白いのがいいって言うものですから」

 

オーフィスが興味津々の二天龍に倣ならったようだ。

俺が後ろで頷きながら納得していると、オーフィスがペチペチと赤い龍の像を叩いていた。首をかしげているから、もしかしたら彼女の想像と違ったのかもしれない。

 

「グレードレッド?倒す」

 

「疑問符を浮かべながら、ペチペチやらないでくれよ!それ、俺やドライグのことらしいから!俺を倒さないでぇぇぇっ!」

 

イッセーはそう叫んでオーフィスを止めていた。

その後、九重が簡単な神事を執りおこない、ついにお社も完成となった。お社の段差に鎮座するオーフィス。どこか嬉しそうだ。

九重が言う。

 

「神事をかなり簡略化したが、これで、いいと思うのじゃ。本格的に済ませて完成させるとなると、神聖な力が高まりすぎて、悪魔であるお主らに悪影響が出るやもしれぬからな」

 

九重の言う通りだ。悪魔である俺たちが身近にいる以上、神聖な力が強すぎると体調を崩しそうだ。だが、神事を簡略化してくれたおかげでそこまで気持ち悪いものを感じない。

朱乃が何かを思いついたように口を開いた。

 

「うふふ、じゃあ、完成記念に皆でフィスちゃんにお願いをしてみましょうか?」

 

なるほど、それは面白い。

てなわけで、俺たちでオーフィスに願うことに。

 

 

アーシアの願い

 

「世界が平和でありますように」

 

「平和……世界の平和、どこからが平和になる……?」

 

なかなか深い答えを出してくれるものだ。

 

 

小猫の願い

 

「………イッセー先輩のスケベがほどほどになりますように」

 

「来世に期待」

 

その来世は一万年後か、十万年後か。俺みたいに二度目が来るのだろうか?

 

 

ゼノヴィアの願い

 

「女子力を高めたい」

 

「エクス・デュランダルを極める」

 

それは女子力じゃない、ただの戦闘力だ!

 

 

朱乃の願い

 

「お料理がもう少し上手になれたら嬉しいですわ」

 

「我もうれしい」

 

時々食わせてもらっている俺も嬉しいな。朱乃の料理、めっちゃ美味いからな。

 

 

レイヴェルの願い

 

「背がもう少しだけ欲しいですわ」

 

「牛乳を毎日飲む」

 

それはただの生活のアドバイスだと思うぞ!他に何かないのか!?

 

 

イリナの願い

 

「クリスチャンの私が願ってもいいものかしら……」

 

「ミカエルより我のほうが強い」

 

強者が正義ってか!なんか違う気がするぞ!?

 

 

木場の願い

 

「えーと、悪魔の仕事がたくさん舞い込みますように」

 

「……ZZZZZZ………」

 

寝ている……だと………。真面目な願いはスルーか!?

 

 

ギャスパーの願い

 

「え、えっと、もっと男子力をつけたいですぅ」

 

「ミルたん」

 

にょ!?なぜオーフィスがミルたんを知っているんだ!?

 

 

九重の願い

 

「願いはたくさんあるが、京都が平和であれは問題なしじゃ!」

 

「お社をありがとう」

 

二人とも、いい子だなぁ。俺の小さい頃とは大違いだ。

 

 

リアスの願い

 

「アーシアほど規模は大きくないけれど、この町にいる皆が平和であるなら、いいのではないかしら」

 

「町の平和は我が守る」

 

オーフィスが本気を出したら誰も勝てないって!

 

 

ロスヴァイセの願い

 

「リアスさんの後に言いにくいのですが、彼氏かお金が欲しいです」

 

「………………」

 

な、何か、オーフィスが無言で俺を見つめてくるんだけど、俺の顔になにかついてるのか?

 

「あの~?」

 

「近くにいるかも」

 

「ほ、本当にですか!?」

 

オーフィスの言葉を聞いたロスヴァイセは少し興奮気味に周囲を見渡す。

それにしても、オーフィスはなんで俺を見たんだ?

 

 

俺の願い

━━━と、訊かれても難しいな。

俺はしばらく真剣に考えて願いを口にする。

 

「………とりあえず、何十年後か、何百年後かわからないが、そのうちできるであろう俺の子供を抱きたいね」

 

「………体を大事に」

 

オーフィスから真剣な顔で言われてしまった。まな、できるだけ無理はしないようにするか。

 

 

俺の願いの次はイッセーだ。だが、こいつのことだ………。

 

「どうせスケベな願いだろうがな」

 

「な!ロイ先生、俺をバカにしないでください!俺の願いは『皆と平和に生きたい!』です!」

 

おー、意外としっかりした願いだ。何か、イッセーに失礼なことを言ってしまった気がする。

すると、オーフィスがイッセーに正面から言った。

 

「大丈夫、我、イッセーのことをいつだって見守っている。いつだって助ける。イッセーは我の友達」

 

それは心強い。さっきは無理はしないようにって考えたが、最悪イッセーたちだけでも助けるつもりだ。まぁ、オーフィスが助けてくれるなら大丈夫だろう。

などなど、俺たちがお社完成の余韻に浸っていると、そこに現れる人影がひとつ。

 

「ふいー。徹夜明けの日差しは辛いもんだぜ……」

 

アザゼルだ。どうやら、麻雀マージャン大会は徹夜に突入していたようだ。

 

「遅かったな。で、大会はどうだった?」

 

俺が訊くと、アザゼルは悔しそうに言った。

 

「バラキエルの優勝だよ。まったく、今まではあいつがビリとかだったのによ。喧嘩していた親子が和解するとこうも違うのか?俺も子供が欲しくなってきたぜ」

 

それを聞いた朱乃は呆れていたが、どこか嬉しそうでもあった。

てか、俺とアザゼルの願いが被っている!俺は真面目に願ったのに、アザゼルはどこか適当な感じだ!そんな理由で子供を作って良いのかよ!だが、アザゼルのことだ、理由はどうであれ子供ができたら溺愛しそうだけどな!

 

「さて、俺は昼寝でもするかね。徹夜明けの作業は辛いんだ」

 

俺がそう言うとリアスが軽く礼をしてきた。

 

「お兄様、お賽銭箱をありがとうございました」

 

「おう、壊すなよ?」

 

俺はそう言って踵を返し、屋上の出入口に向かっていると………。

 

カッ!ドォォォオオオオンッ!

 

背後から突然の閃光と爆発音が聞こえてきた!俺はあくびをしながら振り向いてみると━━━。

 

「ガガガガガガガガガガッ!」

 

「ギャギャギャギャギャギャギャッ!」

 

イッセーとアザゼルが突如降り注いだ雷に痺れていた。何だ、天罰か?

 

「?」

 

オーフィスも首をかしげて不思議そうにしている。

ま、どっちにしろ俺には関係のないことだ。とりあえず、寝よう。

俺はそう決めると改めて屋上から降りていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

九重が京都に帰る日。

お社建造という名目も終え、一泊した九重がついに帰ることになった。

俺たちは地下の転移室に見送りに来ている。

風呂敷で包んだお土産を九重とお付きの妖狐に持たせ、準備も整った。

 

「ありがとう、九重」

 

「九重、また来なさいね」

 

「またな、九重。なかなか楽しかったぜ」

 

イッセー、リアス、俺で別れのあいさつを済ませる。姫も名残惜しそうにしながらも、

 

「うむ、大変楽しい時間であった!お世話になりました」

 

と、元気に振る舞ってくれた。

最後にオーフィスが一歩前に出て九重に言った。

 

「また我と遊んでくれると嬉しい」

 

それを聞いた九重は満面の笑みを浮かべた。

 

「うむ!私とフィス殿はお友達じゃ!また、遊ぼう!」

 

オーフィスにまた友達が増えたな。それはいいことだ。

京都の姫、九重。これからちょくちょくこっちに来そうだ。てか、そのうちこっちに住むことになりそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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