グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life02 慣らし運転は大事

リアスたちは魔法使いの書類選考に四苦八苦しながら、いつものように悪魔の仕事をこなしながらもトレーニングを欠かさずにおこなっていた。

今回はイッセー、木場、イリナ、ゼノヴィア、俺とそれ以外という形でチームを分け、それぞれで模擬戦をおこなう。

俺もジャージ姿でそれに参加して、新しい銃剣を手に馴染ませていた。

それはそれとして、

 

「木場、ジークフリートから奪っていう魔剣群、いきなり慣れた調子で使うじゃねぇか!」

 

「なかなか難しいですけどねッ!」

 

二刀流の剣モードの銃剣と聖魔剣でつばぜり合いながらそんな事を話していた。

木場がジークフリートから奪ったという魔剣には様々な効果が付与されており、いきなり足元が凍ったり体を切り裂く風が起こったりする。

まぁ、使わせる隙を与えなければいいんだけどな!

俺は木場を蹴り飛ばし、刀身に魔力を込めていく。刀身が紅に、さらに黒く変色していく。

俺はそれをさらに形状変化させ、鞭のように振るう!

黒い軌跡を残しながら木場に振るわれたそれはあっさりと避けられ、一気に接近を許すが空いていた剣で放たれた一撃を受け止めた。

鞭にしていた刀身の先を尖らせ、それを槍のように鋭く動かして背後から突きにいくが、木場はそれを察知して退避、距離を取った。

うん、なかなか使いやすいかもな。

刀身を元に戻してモードを銃剣に変更、木場に弾丸を放つ!

木場は自慢の神速で弾丸を全て避けていくが何発が掠めているようで、着ていたジャージが破けている。

木場は聖魔剣を聖剣に変え、騎士団を生み出して俺に放ってくる!

俺は射撃のレートを上げて騎士たちを次々と撃破していき、撃ち損ねた騎士からの攻撃は体捌きで避けてゼロ距離で弾丸を叩き込む。やっていて木場が見当たらなくなったが、どこにいった?

俺は疑問符を浮かべたが、すぐに発見した。一人だけ若干ながら動きがいい騎士がいるのだ。

俺はその騎士に的を絞り、他の騎士たちは無視する。すると、その動きのいい騎士を守るように騎士たちが動き出した。

となると、あれが本物か………。

俺は弾丸に込める魔力を多めにし、貫通力を上げる。そして再び連射していき、騎士たちを撃破していく。

そして、動きのいい騎士を守る騎士が全滅させ、トドメの弾丸を『背後に』放つ!

 

「━━━ッ!」

 

俺の背後に回っていた誰かが息を飲んだ。

俺は振り向きながら斬りかかり、その刃を首もとギリギリで止めた。

俺は不敵に笑う。俺の視界には体制を崩して刃を突きつけられた木場の姿が映っている。

 

「騎士に紛れ込んだと思わせて自分は幻術で隠れる、か。悪くない。聖なるオーラが多くて細かい魔力の流れは見にくかったからな」

 

「いつ気がつきましたか?」

 

俺たちが戦闘態勢を解きながら話していく。

 

「あの動きのいい騎士を見つけたぐらいに『何かある』ってのを感じて、全滅前ぐらいに幻術に気づいた」

 

「なるほど………」

 

「ま、イッセーならかかってたかもな。あいつ、オーラの関知は苦手だし」

 

「そうかもしれませんね」

 

俺たちが苦笑しながらイッセーを見ると、イッセーはイリナ、ゼノヴィアと話し込んでいた。エクス・デュランダルについて色々と話しているのかもしれん。

 

「さて、俺は休憩がてらリアスたちの様子でも見てくるかな。おまえらもやり過ぎんなよ?」

 

『はい』

 

俺の言葉に各々が返し、再びミーティングを開いていた。俺はその行動に感心しながらも、リアスたちの元を目指して歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人で歩いている最中、俺はあることを考えていた。

最近、リアスは『必殺技』ってやつを考えているらしく、なんでも破壊の一点に特化した滅びを撃ち出すというものらしい。

兄さんはテクニック、リアスはパワーか。俺は何に特化させるかな…………。

俺は手元に直刀を生成、それを眺めながらそんな事を考えていた。

俺が何も使わずに出来ることなんて、刀を作って斬るだけだ。それに特化させる?………そうしたら銃剣で遠距離をカバーする意味がなくなっちまうわけだが、この際それもありか?

俺が歩きながらあごに手をやり、小さく唸っていると前から聞き馴染んだ声が聞こえた。

 

「あ、ロイ様!そちらは一段落ついたのですか?」

 

「ん?ああ、ちょっと休憩だ」

 

「ロイ様、お久しぶりです」

 

「ああ、久しぶりだな」

 

俺は軽く右手を挙げ、声をかけてきたアーシアと丁寧に礼をしてきたルフェイに応えた。

その横ではオーフィスとラッセーが喋っていた。まぁ、端から見ればオーフィスの一人喋りなんだがな。

アーシアの横でルフェイと何かを話していた様子のロスヴァイセが訊いてくる。

 

「ロイ先生、何か悩み事ですか?」

 

「…………わかるか?」

 

「なんとなくですけど、顔に出ていた気がします」

 

俺は無言で自分の顔に触れる。付き合いの短いロスヴァイセに気づかれるって、相当だぞ………。

俺は頬をかいて遠慮がちに言う。

 

「悩みって言われれば、そうかもな。まぁ、そのうち答えが出るさ」

 

「ならいいのですが………」

 

ロスヴァイセは若干不満げにそう返すとルフェイと話しはじめ、アーシアはオーフィスとラッセーの会話に混じっていた。

顔に出やすくなっちまったのか、これは大事だ。また任務とかでどっかに潜入した時にトラブルになるかもしれない。

俺が再び顔に触れていると、小猫とギャスパーに座禅を組ませている黒歌がこちらに手招きしてきた。

俺が周囲を見渡しても、ここにいて暇をしているのは俺だけだ。つまり、俺を呼んだ?

俺が確認するように自分を指差すと黒歌は頷く。

あー、くそ。黒歌は苦手なんだよな。あの現魔王の血どうこうのくだりのせいだと思う。

俺は黒歌に近づき、不満げに訊く。

 

「何のようだ?」

 

俺が不満げなことに気づいた黒歌はにんまり笑う。

 

「にゃはは、今さー、白音とギャーくんに心のなかを空っぽにしてもらってんの」

 

小猫だけでなくギャスパーもやっているのは、自分の力を探るためだ。神器(セイクリッド・ギア)に潜っていると言っていい。まだ成果は出ていないようだが………。

小猫は仙術の基本らしい自然との一体化を促すためだそうだ。

 

「そんなわけで、ちょっと協力してよ」

 

「つっても、何を━━」

 

俺が訊こうとした瞬間、黒歌が俺の手を取って自分の力を胸に押し当てようとする!それを察した俺は掴まれた腕に力を入れ、ギリギリで耐えるとそのまま引き戻す。

お互いに引かずに耐えるように腕をプルプルと震わせていると、それを感じ取ったのか小猫が目を見開いて非難の表情を浮かべた。

 

「ね、姉様!ロイ先生から離れてください!そのヒトに何かあったら、部長に会わせる顔がなくなり━━━」

 

スパンッ!

 

小猫が言い切る前に黒歌がハリセンで頭を叩いた。割りと加減をしたのか、小猫はあまり痛そうではない。

黒歌が手を離し、小猫に言う。

 

「はい、失格にゃ。この程度で気を乱して修行を解くようではまだまだ半人前もいいところね、白音?」

 

「………は、はい」

 

黒歌の注意に小猫は悔しげに返事をしたが、頭を振って気を取り直して再び座禅を組んだ。

………座禅、か。

 

「黒歌、俺もやってみていいか」

 

「………どうしたにゃ、いきなり」

 

俺の言葉に珍しく狼狽える黒歌。俺は構わずに続ける。

 

「たまには普段やらないこともしてみるもんだろ?何か新しい発見があるかもしれん」

 

「まぁ、やってみればいいにゃ。心を無にして精神統一にゃ」

 

「わかってるさ」

 

俺は小猫たちの横に並ぶように座禅を組み、目を閉じた。

心を無にして、集中……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても懐かしく、嫌な事を思い出していた。

 

『ば、化け物が!』

 

『来るな!来るなぁぁぁぁッ!?』

 

『お前、人を殺して、何も感じないのか………?』

 

最近思い出すこともなかった前世(むかし)の記憶。

俺が(ロイ)でなかった頃の、戦う(殺す)ことしか知らなかった頃の記憶。

前世(むかし)も今も、俺は戦ってばかりだった。違うことがあるとすれば、今の俺には守りたいヒトたちがいること。

だが、誰かを守るためには誰かを(ころ)さなければならない。そういう意味では、やっていることは変わっていない。

 

『おまえは、命をなんだと思ってやがる………!』

 

なんて事を言って死んだ奴もいた。

 

『きっと、(しゅ)のお導きがあります』

 

なんて事をほざく奴もいた。

 

『あなたは、人間なの………?』

 

なんて事を訊いてくる奴もいた。

心があって思いやりがあるのが人間だと言うのなら、あの頃(ぜんせ)の俺が人間であったのかと訊かれれば、答えは否だろう。

戦いに言葉はいらない。そもそも意味なんてないから。

戦いに痛みはいらない。そうすれば死も怖くなくなるから。

 

『イカれてる………。あの野郎「殺しを楽しんで」いやがる!!』

 

そんなわけねぇ!俺は…………俺は……………!

 

 

戦いに心はいらない。そうすれば抵抗なく()れるから。

 

 

楽しんで殺すことなんて、一度もなかった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スッパァァァァァンッ!!!

 

「いってェェェェェッ!?」

 

突然後頭部を襲った鋭い痛みで俺は我に返った。

ただならぬ気配を感じて振り向くと、黒歌がハリセンでポンポンと自分の手のひらを軽く叩きながら笑みを浮かべて俺を睨んできていた。

 

「座禅をするっていったのはそっちよね?何で寝ちゃうかな?」

 

「………寝てたか?」

 

「ええ、それはぐっすりと」

 

俺は後頭部を擦りながら黒歌に謝る。

 

「悪い、どうも疲れていたみたいだ」

 

「疲れているなら休みなさい。無理して体を壊したらただのバカよ」

 

珍しい真面目に怒る黒歌。相当キレているようだ。

黒歌は続ける。

 

「白音もギャーくんももう止めて家に戻ったわ。あんたがまだやっているようだから付き合ってあげたのに、なんで寝るかな!?」

 

「だから、疲れ━━━」

 

「あー、もういい!こっちまで疲れる!」

 

いつもの「にゃ」がないと、こうも普通に見えるものなのか。

俺は時計を確認する。座禅を開始して一時間ぐらいか。

俺は立ち上がり、黒歌に礼を言う。

 

「時間を取らせて悪かったな。俺も上がる」

 

「さっさと休みなさい。寝れないなら一緒に寝てあげるけど?」

 

「断る」

 

俺の即答に黒歌は「ま、そう言うと思ったにゃ」と返して転移していった。

やれやれ、寝ちまうとは情けねぇ………。てか、俺は何を考えていたんだっけ?…………ダメだ、思い出せん。

俺は諦めるようにため息を吐くと黒歌に続くように転移、兵藤宅に戻ったのだった。

 

 

 

 

━━━━

 

 

ロイが座禅をした日の深夜。

 

「………………」

 

黒歌は一人、あの時の事を思い出していた。

ロイが唐突に始めた座禅。最初こそ適当に流しつつ、妹である白音とその友人であるギャスパーのことを見てやるつもりだった。

だが、ロイは異常なまでに集中し、二人以上に心を無にしていた。いや、正確には心を『殺して』いた。

長年の経験などは関係なしに『元から出来ていた』ように自然にやって見せたのだ。

そして、白音たちが去ったあとにそれが起こった。

ロイから発せられるオーラがどこまでも冷たくなり、黒歌に今までないほどの恐怖を覚えさせたのだ。

そこで無理やり座禅を切り上げさせた。それと同時にそのオーラは消え、ロイは元の調子に戻った。

 

(………あいつ、何なの…………?)

 

黒歌が思ったことはそれだった。

本人はリアスや兄よりも弱いと言うが、あれを感じてしまえばそれが本当なのかもわからない。

 

(もしかしたら、結構ヤバイ奴に手を出したかも………)

 

赤龍帝への白音の初々しい反応は見ていて楽しいし、応援もしてやりたい。

 

(白音の邪魔はしたくないけど、強い子供が欲しい)

 

黒歌のロイへの唐突な言葉の裏にはそんな事情もある。彼の持つ『滅び』を継げば、きっと━━━。

だが、その男性が持つ『何か』が黒歌を悩ませた。

そして、しばらく考えると、

 

(ま、何かあったらその時か………)

 

そう結論して、疲れを癒すために眠りについたのだった。

 

 

 

 

 

 




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