グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

11 / 219
life10 二天龍討伐作戦

作戦開始と共に俺たちは飛び立ち、二天龍がいるポイントを目指す。現在二天龍は冥界の森の真ん中で戦っているそうだ。

俺は周りに目を向け、思わず感嘆の息を吐いた。

つい先日まで戦争をしていた連中が、一つの目標のために協力する。悪魔、堕天使、天使が共に飛ぶ様は壮観だ。

俺が周りを見ながら飛んでいると、前方から爆音が聞こえた。そちらに目を向ければ黒煙と爆発が連続で起こっている。

どうやら、始まるみたいだな………。

俺が少し緊張気味の自分を落ち着かせるようにゆっくりと息を吐くと耳元に連絡用の魔方陣が展開された。そこから先ほどの男、アザゼルの声が届く。

 

『よし、おまえら!始めるぞ!』

 

アザゼルの声へ応答が飛び交い、俺たちは『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』の対処のため、速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

そして、飛ぶこと五分。

俺たちの目に戦闘中の二天龍の姿が写った!

俺の周りの連中はそれぞれが得意とする遠距離攻撃で『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』に攻撃を集中していく!

他のグループもほぼ同じタイミングで『白い(バニシング・)(ドラゴン)』に攻撃を仕掛けていた。

大小様々な爆発が二天龍を包み込んでいくが、その爆煙をかき消すように二天龍が吠えた!

 

『また貴様らか!』

 

『神ごとき、魔王ごときが!』

 

『『邪魔をするな!』』

 

二天龍は一度戦闘を止め、こちらを標的に変えてくる。

後は出来るだけ二匹を引き離して各個撃破するだけだ。

俺たちが本格的に分断しようと動き出すと、予想外のことが起きてしまった。

赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』が周りを飛び回る悪魔を見て吠える。

 

『ええい!鬱陶しい!アルビオンもろとも消し飛ばしてくれる!』

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』の声と共にオーラが膨れ上がっていく!これが力を倍にする能力か!十秒おきにって話じゃなかったか!?

俺たちは困惑しながらも素早く切り替えて回避行動を取る。そして、『赤い龍(ウェルシュ・)(ドラゴン)』が口から極太のオーラを放った!

 

ドゴオオオォォォンッ!

 

凄まじい衝撃波と爆音が俺たちを襲い、直撃をもらった奴らは跡形もなく消し飛んでいた!そして、今の一撃の余波で山が抉れ取られている!よく見れば、『白い(バニシング・)(ドラゴン)』も掠めたのか白い鱗が少し焼け焦げている。

俺は額に流れる脂汗を拭う。

一撃でも貰えば即死、防御は不可能。

その事実を改めて突きつけられ、無意識のうちに手が震える。

久しぶりだな、ここまで死ぬかもしれないって思ったのは………。

俺は短く息を吐き、直刀を生成してしっかりと握る。

さて………行くか!

俺は覚悟を決めて『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』に接近を試みる。俺は遠距離攻撃が全くと言っていいほど出来ない。攻撃するにしても、ナイフなどを作って投げつけるか、直接斬るしかないのだ。

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』はちょうどよく俺に背中を向けていたが、背後にいる俺たちを警戒して尻尾を振り回してくる!

俺はそれを見切り、一気に懐に飛び込む!

そして、俺の横についたのは、一人の堕天使。その堕天使が笑みを向けながら言う。

 

「まったく、貴様らしいな!」

 

「ハッ!おまえに言われたくねぇよ!」

 

コカビエルだ。こいつも尻尾を見切って一気に飛び込んだようだ。

俺とコカビエルはほぼ同時に『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』の背中に飛び乗り、そのまま俺は直刀を突き刺そうとするが、

 

キンッ!

 

固いものを全力で突いたような甲高い音が響き、刺さる気配を感じなかった。コカビエルの光の槍も同様に刺さらないようだ。

 

『チッ!こざかしいコウモリとカラスだな!』

 

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』は俺とコカビエルの存在に気づいたようで、尻尾を自分の背中に打ち付ける勢いで振り下ろしてきた!

俺とコカビエルは素早くその場を飛び退き、尻尾を避ける。が、尻尾の振り下ろす際に生まれた風圧で吹き飛ばされた!

 

「くッ!」

 

「チッ!」

 

吹き飛ばされた俺とコカビエルは翼を展開して素早く体制を整える。

背中は鱗が硬すぎて貫けない。危険を覚悟で腹を狙うか、それとも………。

その時、俺はふとコカビエルと目があった。俺とコカビエルは共に『目』を潰されている。俺はその潰された右目に眼帯越しに触れる。すると、コカビエルも俺を見て何かに気がついたのか頷いてきた。

俺とコカビエル、出来れば別の形で会いたかったぜ……。

俺がそう思うと同時に俺とコカビエルは動き出す!再び背中に飛び乗り、二人で頭部を目指していく!

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』は再び尻尾を振り下ろそうとしてくるが、その尻尾に攻撃が集中され、軌道がずれる。尻尾は本体横の地面に叩きつけられ、軽い地震のように大地が揺れるが、俺とコカビエルは怯まずに走り続ける。

ついに、俺とコカビエルは頭部に到達。俺は右目、コカビエルは左目に狙いをつけ、それぞれの得物を手にして別れる。俺は走りながら直刀の切っ先に魔力を集中させ、コカビエルも槍の切っ先に光力を集中させていくことがわかる。

そして、俺とコカビエルは同時に飛び降り、そして、ほぼ同時に『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』の眼球目掛けて突きを放った!その瞬間、

 

ドゴォォォォォォォンッ!

 

「「ッ!?」」

 

凄まじい衝撃が俺とコカビエル、『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』を襲いかかった!俺たちが放った渾身の一撃は外れ、俺とコカビエルは吹き飛ばされ、『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』も転倒した。

俺とコカビエルは地面に叩きつけられ、俺は近くにいた悪魔、コカビエルは堕天使に引きずられるように回収されて一旦下がる。

そんな俺の目には『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』を睨む『白い(バニシング・)(ドラゴン)』の姿が写った。

おそらくだが、『白い(バニシング・)(ドラゴン)』は周囲を飛んでいた三勢力の連中から力を奪い取り、こちらに放ってきたのだ。先ほどの礼と言わんばかりに『赤い(ウェルシュ・)(ドラゴン)』を狙って………。

俺は歯を食い縛り怒りを抑える。

今の一撃、白い奴の邪魔がなければ確実に当てられた。向こうの連中は何をしていやがった!?

だが、その怒りもすぐに冷めることになる。俺たちの耳に連絡用の魔方陣が展開され、一方的な言葉が送られてきたのだ。

 

『生き残った者は撤退しろ。後は我々と神がやる』

 

誰からか、その疑問は起きなかった。今の声は少しだけ聞いたことがある。

百年ほど前の開戦の時に演説を行った男━━魔王ルシファーのものだ。我々というのは他の魔王、ベルゼブブ、レヴィアタン、アスモデウスの三人のことだろう。

そのヒトたちに実際会ったことはないが、多分実力は俺たちよりも高いことは明らかだ。そのルシファー様が俺たちに連絡してきて、先ほどの一撃から察するに、分断作戦は失敗………。

俺がそこまで考えると、俺を引きずる悪魔が速度を速める。今の言葉が魔王様直々の、最後の命令だと理解したのだろうか、その目には涙が溜まっているように見える。

俺はその悪魔に一声かけて離してもらうと自分の足で立ち上がり、走り始める。すると、その横にセラが降り立った。

 

「セラ、生きてたか」

 

「うん、何とか……」

 

先ほどの連絡はセラにも届いているのだろう。魔王様の決断を感じて少し不安そうな表情だ。

俺がそんなセラにどう声をかけようか迷っていると、後方から爆音が聞こえ始めた。

俺たちはそれに反応するように振り向き、そちらに目を向ける。

大気が震えるほどの衝撃がかなり離れた筈のここでも感じることができる。

 

「魔王様、やはり、命を捨てるおつもりで……」

 

近くにいた悪魔が涙を浮かべながら膝から崩れ落てそう呟いた。それを聞いた周りの悪魔たちも歯を食い縛って涙が流れないように必死に耐えている。

状況のせいで先ほどの言葉を否定することが出来ない。多分だが、今の悪魔の言葉は真実だろう。そして、一緒に戦っている聖書の神も………。

数時間後、爆音が聞こえなくなり、一帯が静寂に包まれた。現場を確認に向かった悪魔によると、二天龍は神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれるものに封印された。それと同時に瀕死の魔王様方と聖書の神が発見され、その場で息を引き取ったことも確認したそうだ……。

こうして、二天龍討伐作戦は魔王全員と聖書の神の死により幕を閉じた。

それにともない、今までの戦いで大打撃を受けた三勢力の戦争は休戦状態に突入。一応の終結となったのだった。

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。