グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life05 流れに任せて

転移の光が止み、視界が回復するとまた白一色の部屋だった。

警戒しながらも部屋を見渡すと、いなくなっていた例の三人を発見した。だがギャスパーは倒れている!?

 

「おまえら、何があった!おまえ、何もしないとか言っていなかったか!」

 

「まったく彼らは制御がしにくいですね。申し訳ございません。こちらの不手際です」

 

奴はすぐさま謝ってくるが言葉に心が感じられないな。

いや、相手はテロリスト、それが当たり前だよな。

俺が睨みつけている中、拘束していた縄が解除され、変わりに手錠のように両手首を縛る縄がかけられた。後ろ手じゃなくて前なだけマシか。これならどうにか振り回せる。

俺が手を開いたり閉じたりしていると、男は手で三人のほうを指す。動いていいってわけか………。

俺は警戒しながらもすぐさま三人の元に移動する。いちおう合流は出来たが、ここがどこだかわからないうえに手が自由じゃない以上、下手に暴れなれない。

俺がそう思慮していると、男が口を開いた。

 

「あなた方にお話があります。着いてきて下さい」

 

男がそう言うと奥の壁が縦にスライドして奥に大きな部屋のようなものが見えるようになった。

俺たちはそれを確認すると目を合わせ頷きあった。

今は下手に抵抗しないほうがいい、相手に合わせるべきだ。

俺たちはそう決めると何かあったときに俺がすぐに動けるように小猫にギャスパーをおぶらせ、後ろからついて来るように指示を出してから歩き出した。

 

 

 

 

 

俺たちが部屋に入ると壁が閉まり戻れなくなった。

 

「こちらです」

 

男の指示で俺たちは部屋の奥に進む。

そこからバカみたいに広い部屋を進むこと数分。

何かの培養カプセルが見えてきた。それも一個や二個ではなく、十数個あるのである。中には人の形をした何かが入っていた。

俺たちがそれを懐疑な目で見ていると男が口を開いた。

 

「これはフェニックス関係者を調べて作り上げた『クローン』です。そして偽の涙の製造元です。これを使って涙を量産し闇のマーケットに流していました。と言っても今は機能を停止させていますが………」

 

それを聞いた瞬間、俺たちは目はそのカプセルに釘付けになった。正確には、何も言えず見ることしかできなくなったと言った方が正しいだろう。

これが偽の涙の真実だと………ッ!?

 

「そんな……何で……」

 

レイヴェルはそれを聞いてへたりこみ涙を流していた。

それもそうだろう。フェニックスの力がこんな形で利用されているなんて俺を含めて誰も思いもしなかった。

俺は男を睨み、小猫はただ唖然としていた………。

 

 

 

 

 

クローンを見せられた後、再び移動することになった。俺は泣いているレイヴェルを立ち上がらせる。

するとカプセルのすぐ後ろの壁がまたスライドした。それを確認すると男が手で行けと合図してくる。そのまま進むと、また白一色の部屋に到着した。

今回のは随分広いな。これぐらいなら好きに暴れられそうだ。

俺たちは部屋の中央ほどまで進むと、俺たちがさっきまでいた部屋の壁が閉まり見えなくなる。すると左前方五メートルに転移魔方陣が展開され光だした。

その光が止むとそこにいたのは、

 

「ロイ様、三人もご無事ですか?」

 

「ソーナ!?何でここに!?……いや、何でかはわかる」

 

ソーナと匙、リアス眷属とイリナだった。助けに来てくれたのか。………また迷惑をかけちまったな。

 

「ここは次元の狭間に作った『工場』なのですよ。悪魔のゲームフィールド技術の応用で作りました」

 

フードの男が口を開いた。イッセーたちは警戒して男を見ていた。

男は続ける。

 

「彼らをお返ししましょう」

 

ローブの男が言ってきたが、俺たちは警戒して動かないでいた。だが、男は何もしてこない。そこで俺たちは警戒しつつもイッセーたちの方に移動した。

 

「イッセー様………」

 

レイヴェルがイッセーを見つめて瞳を潤ませていた。

 

「レイヴェル、何かされたか?あいつらフェニックスのことを探っていると聞いたから……」

 

イッセーの一言にレイヴェルは黙りこみ体を震わせていた。

 

「俺は魔方陣で軽く調べられたが、そっちは?」

 

「こちらも同じです。ただギャーくんが私たちを守ろうとして………」

 

俺たちが話していると男が言う。

 

「彼に関しては申し訳ない、こちらの落ち度です。彼が立ち向かってきたもので配下の者がつい手を出してしまったようです。それ以外は丁寧に扱いました」

 

それを聞いてリアス眷属全員のオーラが高まった。

このオーラは怒りによるものだな。後輩にこんなことされたら誰でもキレるか………。現に、俺もさっきの件を含めて限界が近い。

そんな俺たちをソーナは手で制して口を開く。

 

「あなたが今回の黒幕ですか?」

 

「ええ、そうです」

 

男はソーナの問いに即答した。

今度は俺が訊く。さっきは何にも聞けなかったからな。

 

「おまえは『禍の団(カオス・ブリゲード)』なのか?そうだとしても襲撃の理由はなんなんだ?」

 

「ええ、『禍の団(カオス・ブリゲード)』をさせてもらっています。そして今回の襲撃の理由はいくつかありまして。まず一つ目は彼らの好奇心です。もともとここに所属していた者たち………」

 

「その者たちとはぐれ魔法使いの集団は手を組んでいた、でしょう?先ほど私たちが戦ったのはそんな彼らの混成チームでした」

 

「彼らは比較的頻繁に交流していたようですから」

 

「今回の襲撃は協会が出したという若手悪魔の評価に関連しますか?先ほどの集団戦で私たちの力に関して大変な関心を抱いていました」

 

「私が説明しなくてもいいぐらいですね」

 

ソーナと男が話していくが、簡単に言うと、今回はあいつら━━━はぐれ魔法使いの好奇心で襲ってきた、と。なるほど、身勝手な連中だ。

てか、『先ほど戦った』って、どこかで派手にやって来たのか?

俺の疑問をよそに男が言う。

 

「若手が多いため自制が効きにくいところがあったのですよ」

 

「まあ、お前らの二大派閥が無くなって、そいつらの意見が通りやすかった。てのもあるだろ?」

 

「ええ、私が一部指揮しているのですがなかなか大変でして。今回の襲撃は彼らのわがままを叶えた形でした。上からも『好きにやらせてみろ』と言われていましたから」

 

こいつよりもさらに上の立場の奴がいるのか、一体どんな奴だ………?

 

「そして二つ目はこれです」

 

男がそう言うと俺たちが通ってきた部屋がまた見えるように壁がスライドする。

ここからでも培養カプセルが見える距離だ。

レイヴェルがその部屋から目を逸らした。確かに何度も見たい物ではないよな………。

 

「フェニックスの涙の製造方法はなかなか面倒でしてね。純血のフェニックスの者が、特殊な魔方陣の中で特殊な杯を使い、その杯の水に自らの涙を落とすのです。ここまでならどうにか出来るのですが、その時心を無にしなければならないのですよ。感情がこもっていたらそれはただの涙です。そうなると脅してやらせたらそれはもう助かりたいが一心でやる自分のための涙になってしまい意味がない。なのでフェニックスのクローンを作り涙を量産することにしました」

 

さっき俺たちが聞かされたことを再び話し始める。

 

「と言ってもここは廃棄する予定なので、もう機能は停止させています」

 

「そしてここで作ったものを闇のマーケットに流して資金を集める。フェニックス関係者に接触したのはその精度をあげるためですね?」

 

「ご理解が早くて助かります。シトリー家次期当主。どうやら魔法使いの研究でも限界があるようでしたので、最終手段としてフェニックス関係者に接触していたのです。そして純血の者でないとわからないこともあるようでしたので、レイヴェル・フェニックスを連れ去ることにしたようです。心配しないでください。彼女の体には何もしていませんから」

 

男はそう言うが、こいつら、レイヴェルの心を傷つけまくりやがって!いい加減にしろよ………!

 

「酷い……酷いよ……………どうして」

 

レイヴェルは再び涙を流していた。

裏のルートで涙を手に入れていたが、それが止められてからはこんな方法で独自に研究していやがった。こいつらは、フェニックスの力を道具としか見ていない………。

男はレイヴェルの涙を気にすることなく淡々と言う。

 

「ギャスパー・ヴラディの情報は予想外の収穫でした」

 

相変わらず、こいつの言葉には心を感じない。こんなことを話したら多少興奮とかが言葉に混じると思うのだが……。

男はローブを翻して改まる。

 

「さて、次が最後の理由です。あなた方と戦いたいと願う者がいるのでお相手をしてもらえませんか?実は今回の襲撃はそれが主目的でした。それ以外はあくまでも『ついで』でして」

 

男がそう言うと巨大な魔方陣が展開された。

『ついで』だと?ここまで好き勝手やって、レイヴェルだけじゃなくあの学園の生徒の心を傷つけたのが、『ついで』………?

俺が怒りを込めるように紅のオーラを纏い、手を拘束する手錠を消滅させる。

あの魔方陣は見たことがある。よくドラゴンを呼ぶのに使うやつだ………。

 

「『龍門(ドラゴン・ゲート)』?」

 

匙が呟いた。

そうだ、そんな名前だったな。イッセーを呼び出そうとして駒だけが帰って来たあれ。………何か、嫌なものを思い出してしまった………。

その『龍門(ドラゴン・ゲート)』は深い緑色を放ち始める。

俺が知る限り、深緑を司るのは…………!

 

「深緑を司るドラゴン………まさか!?」

 

「ええ、そのまさかですよ」

 

ローブの男がそう言うと『龍門(ドラゴン・ゲート)』の輝きが増していき、ついに弾けた!

 

グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

その瞬間、この空間全体を震わせる程の咆哮が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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