グオオオオオオオオ!
この空間を震わせる程の咆哮を放ったのは、浅黒い鱗をした二足歩行のドラゴンだった。
銀色の瞳に太い手足、鋭い爪と牙と角、そして大きな翼と尾を持ったこれぞドラゴンと言った感じの見た目だ。
「………『
ローブの男はそう呟くとグレンデルも口を開く。
『グハハハハ。久しぶりに
グレンデルの登場に絶句しているイッセーたち。
「バカな!グレンデルはとっくの昔に滅ぼされたはずだ!」
俺が叫ぶと匙の影から人間サイズの黒い蛇━━━ヴリトラが現れる。
『ああ、初代ベオウルフによって完膚なきまでに滅ぼされたはず。だが━━━』
ヴリトラもそう言いながらグレンデルを睨む。その滅ぼされたいう奴が目の前にいるわけだからな。
そのグレンデルがヴリトラとイッセーに視線を配らせる。
『こいつはまたおもしれぇ。天龍の赤い方とヴリトラか!なんだその格好は?』
興味深そうに目を細めていた。
「二天龍はすでに滅ぼされ、
ローブの男の言葉にグレンデルは哄笑をあげた。
『グハハハハ!んだよ、おめぇらもやられたのかよ!ざまぁねぇな!なーにが、天龍だ!滅びやがってよ!だが、目覚めにはいい相手だ!』
グレンデルはそう言うと翼を広げ姿勢を低くした。
「やるしかないな。おまえら、構えろ!」
「で、でも、ロイ先生。伝説のドラゴンと戦うの初めてです!」
「私もだ。ロキ戦でもどきやフェンリルの子供たちとはやったが………こいつは龍王クラスかそれ以上だ!」
「それでもやるしかねぇ。イッセー!鎧を纏え!」
俺がイッセーに急かすように言うと、イッセーは籠手を見て悔しそうに言う。
「そうしたいんですけど丁度ドライグが寝てる時間なんです!」
「なに?」
参ったな、丁度か………。
現在ドライグはイッセーの復活のために力を使いすぎてしまい、眠ってしまう時間が多くなっているのだ。そして、今が丁度その眠っている時間というわけだ。
「それは困りました。本題の一つがあなたとグレンデルの戦いてましたから」
男がそう言ってくるがこっちとしてもイッセーが戦えないのはキツいな。
「イッセー、ドライグに声をかけてみてくれ」
「はい。ドライグ、ドライグ?ちょっとヤバそうだから起きてくれ。おい、ドライグ!頼むよ!」
しばらくイッセーの様子を見ていると、
「ドライグ?おい、どうした!?」
お!反応ありか?
俺が期待して待っていると、それを裏切るように宝玉から声が聞こえてきた。
『………お兄ちゃんは誰?』
………今なんて言った?イッセーに向かって誰だと?
「ド、ドライグさん?」
イッセーも困惑しながら再度問いかける。
『うん、僕はドライグ。ドラゴンの子供なの』
「「………………………」」
それを聞いて俺とイッセーは間の抜けた表情で固まってしまった。
………どうしてこうなった!?いや待てよ………。
「もしかしたら………」
「何かわかったんですか!」
言いかけた俺にイッセーが訊いてきたので、仮定である事を強調しながら言う。
「あくまで俺の予想だが、前からドライグはイッセーのおっぱい関連のことで精神的にまいってたろ?プラスでお前の復活のために力を使ってしまった。そのせいで軽く壊れたのかもしれん」
「ちょ!ロイ先生!?壊れたとか言わないでくださいよ!」
「……単にイッセー先輩のおっぱい関連のもので疲れきって壊れてしまったのでは」
小猫も俺に続いて言う。その発言とともにドライグが震えた声音になった。
『おっぱい……こわいよ……』
「ほら見ろ、怖いって言っているぞ」
「そ、そんな!?ドライグくん!おっぱいは怖くない!おっぱいはいいものだ!」
イッセーがドライグを落ち着かせようと頑張っているが、余計にドライグの声は震えだした。
『ずむずむいやーんって、心の奥にまでずーっと残ってるの……』
これは駄目だ、どうにもならん。とりあえずドラゴンのことはドラゴンにだな。
「ヴリトラ、どうにかならないか?」
俺が訊くとヴリトラは答えた。
『もう一体、龍王がいればどうにかできるやもしれん』
「………龍王がもう一体か」
『おい!俺はまだ戦えないのか?というよりドライグの野郎どうなってやがる?』
グレンデルが何か言ってきたので先に言っておこう。
「グレンデル!」
『何だ!お前がやるのか?』
「いや!━━━作戦タイム!」
『認める!』
そりゃどーも、即答で認めてくれたよあいつ。まぁ、あいつ的にもドライグと戦いたいんだろう。
俺は警戒しながら考える。
もう一体龍王が必要か。………だったら頼らせてもらおう。
俺は考えがまとまるとアーシアに視線を送る。
「アーシア、例のあれ、行けるか?」
「は、はい!お任せください!」
俺の質問に自信満々に答えてくれるアーシア。なら大丈夫だろう。
「ロイ様、あれをやらせるのですね」
「ああ、ソーナ。その通りだ」
俺たちが話を進めていくなかでイッセーはわかってない感じだが、アーシアはそんなイッセーをよそに呪文を唱え始めた。すると彼女の前方に金色の魔方陣が出現した。
「我が呼び声に応えたまえ、黄金の王よ。地を這い、我が褒美を受けよ」
アーシアの呪文を受けて、魔方陣の光が強くなった。すると再び
「お出でください!『
アーシアが呪文を唱え終えると、黄金の魔方陣から金色の鱗を持つ四足歩行のドラゴンが出てくる。翼がないぶんグレンデルより小さく見えるが、実際はグレンデルと同じぐらいの大きさだ。
アーシアが呼び出したドラゴン、五大龍王の一角ファーブニル。前まではアザゼルが契約して人工
イッセーが驚いているので解説するかね。
「イッセー、アザゼルはもう前線を引いた身だ。それに伴ってファーブニルとの契約も解除した。ただ、そのまま返すのも何だからってことでアーシアとの契約を促したってわけだ」
「な、なるほど」
「俺はその契約にあんまり関わってなかったら心配してたが、先日契約成功と言われて安心したよ。オーフィスの加護を受けられたのも納得だ」
「………オーフィスの加護ですか?ああ!アザゼル先生が別れ際に言ってた!」
「そう、それだ。アザゼル曰くオーフィスが無自覚にやっていたらしい。そのおかげで運勢とかドラゴンとの相性が底上げされていたとのことだ。ちなみにイリナも加護を受けてるぞ」
「この間もショッピングセンターのくじ引きで二等が当たったわ!」
イリナはそういいながら右手でサムズアップをしてくるが二等ってまた微妙な………。
俺は続ける。
「ちなみにイッセーお前は加護ってよりも憑かれてるに近い。どんな神でも祓いけれない業を背負ったな……」
俺の一言でイッセーはなんか複雑な表情になってしまった。
「そういえばアーシア、契約したってことは対価が必要だったんじゃないか?俺は詳しくは知らないが一体何を?」
「そ、そうなんですか!?アーシア、一体何を対価に?」
リアスに訊いてもはぐらかされ、アザゼルからは「本人に聞け」と返されたわけで俺は詳しく知らないのだ。
というわけで聞いてみたわけだが、アーシアは恥ずかしさ全開の表情になってしまった。それでもアーシアは口を開く。
「━━ツです」
「「?」」
俺もイッセーもしっかり聞き取れなかった。もう一度訊く。
「すまん、今なんて言った?」
するとアーシアが顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「パンツです!」
「「……………はぁぁぁぁ!?」」
俺とイッセーは同時に声を出した。パ、パンツだと!?
言葉の真意を確かめるようにファーブニルを見てみると、角に何か布がくるまっている!それをさらによく見てみると………。あれは、パンツだ。女物のパンツだ…………。
俺とイッセーがまた固まっているとファーブニルが口を開いた。
『お宝、おパンティー、いただきました。俺様、おパンティー、うれしい』
……………駄目だこりゃ。どうしてこう、強いやつは変なのが多いんだ!
「アザゼルは確か貴重な道具とかだったよな!?なのに何でパンツなんだよ!」
俺がファーブニルに訊くが、こいつは無視してアーシアに視線を向けている。
そんなアーシアは恥ずかしさに耐えながら訊く。
「ファーブニルさん!ドライグさんの精神が弱まっているんです!どうにか助けてあげることはできないんですか!?」
『………できるよ』
頷くファーブニル。とりあえず仕事はしてくれるようだ。なら助かる。
「本当ですか!?お願いします!ドライグさんを元に戻してください!」
『お宝、ちょーだい』
デスヨネー。まぁ、こうなるとは思ったがな!
「わ、わかりました。対価ですね………」
アーシアは恥ずかしさに耐えながらポシェットから水色のパンツを取り出した。
何か目を背けたくなってきたよ!こんなことになるなら他の龍王クラスに頼めばよかったんじゃないか!?
俺がそんな事を考えていると、アーシアが取り出した物を見てゼノヴィアとイリナが叫ぶ!
「あれはアーシアのお気に入りのものだぞ!」
「アーシアさん、まさかそれを!?」
アーシアのお気に入りなんだな。あまり見ないようにしよう。
「やめろ、アーシア!アーシアがそこまでする必要は……。おい!龍王!何でおパンティーが欲しいんだよ!?」
イッセーが問うがファーブニルは顔色ひとつ変えずに言い放つ。
『おパンティー、お宝』
「だぁぁぁ!わからねぇ!おいヴリトラ!こいつを説得してくれ!」
俺がヴリトラに頼むがその返答は、
『知らん』
その一言だけだった!心の底から関わりたくないって声音だったぞ!
俺がヴリトラに何か言ってやろうとすると、今度はゼノヴィアが叫ぶ!
「待て!だったら私のを!」
そんなゼノヴィアをイリナが止める。
「ゼノヴィア忘れたの!?その戦闘服って下にパンツ穿いていないじゃないの!」
「だったら、私の戦闘服じゃ不服か!?」
教会トリオの友情が凄まじい!いわゆる自己犠牲の精神ってやつなのか!?
だが、ファーブニルはアーシアを見ながら言う。
『俺様、金髪美少女のおパンティーがいい。パンツシスターのお宝欲しい』
「「誰がパンツシスターだ!!」」
俺とイッセーは同時にファーブニルの頭を叩いた。全く動じないけどな!
するとグレンデルが待ちくたびれたように口を開く。
『おい!まだなのか?』
「もう少しだから待っててくれ!今大事なところなんだ!」
『お、おう』
グレンデルは即頷き、
『んなわけねぇだろうがぁぁぁぁぁぁッ!』
顔をあげると同時に火球を飛ばしてきた!
俺は銃剣を一挺取り出し、滅びの刃を鞭のように振るって火球を両断、さらに細切れにしていく。
火球は俺たちの元に到達する頃にはバラバラになりすぎて火の粉のようになる。だめ押しとしてソーナ得意の水の魔力でそれらも消火した。
俺はグレンデルを睨む。
「だから、待ってろって言ってるだろうが!もう少しなんだよ!」
『いや、もう待てねぇ!待たせてぇなら、誰かさんが暇潰しをしてくれねぇとな!』
グレンデルは俺に挑発的な視線を向けてくる。どうやら、俺がご所望のようだ。
俺は二挺目の銃剣を取り出して前に出る。
「いいぜ、時間を潰させてやるよ」
『お?おまえが来るのか?悪魔ちゃんよ!』
「ああ、やってやる」
グレンデルに近付き、挑発するように笑みを浮かべる。
すると、後ろから心配するソーナの声が。
「ロイ様、相手は邪龍です。あまり無理をなさらずに………」
俺は軽く振り向きながら頷く。
「わかっているさ。だが、誰かがやらないといけない。それに━━━━」
俺は再びグレンデルに目を向け、不敵に笑む。
「別に倒してしまっても構わないだろう?」
『は!てめぇごときが俺様を倒す?笑わせるなよ!』
グレンデルは姿勢を低くして突撃の体制をつくり、俺も銃剣の銃口をグレンデルに向ける。
さて、死ぬ気で時間を稼がせてもらうぞ!
誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。