グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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幕間編⑥
Extra life01 なんか、忍者になった………


リアスたちが魔法使いとの契約のために忙しくしているある日の深夜。

寝ていた俺━━ロイは何か気配を感じて目を覚ました。

悪魔でも寝つく時間に兵藤宅から出ていく気配が二つ、いや、三つか………。

リアスたちはもう寝ているだろうし、兵藤夫妻も寝ている。出ていく可能性があるとしたら、あいつらか!

俺は素早くベッドから降り、魔力で服を寝巻き姿から動きやすいものに変える。夜中なので、全体的に黒い感じにしたが、いつものことか。

そんな事を思いつつ、気配を殺して部屋の窓から飛び降り、兵藤宅から出ていったやつらの追跡に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

消えてしまいそうな気配を懸命に探って追跡すること数分。俺は町外れの廃墟に行き着いた。

はぐれ悪魔がいそうな怪しい雰囲気の場所だ。旧魔王派にいたときの拠点を思い出す。

ここら辺であいつらの気配が消えたんだが、中にいるって事なのか?

抜き足差し足で廃墟に入る。所々から漏れる月明かりで明るいが、奥の方は真っ暗だ。まあ、夜目が効く悪魔だからたいして問題はない。

警戒しながらゆっくり進むこと数分。前方に両開きの扉が現れた。

ここまで扉みたいなものはなかったし、かといって曲がり角もなかった。本当にあいつらはここにいるのか?

扉の前に立ち、中の様子を探ろうと隙間を探す。

扉は完全に閉まっているようで、隙間が見つからないし、中からの音も聞こえない。もしかして扉に見える壁か?

俺がどうするか悩んでいると、誰かが廃墟に入ってくる気配を感じた。

戦闘をするにしても、この町にいる以上、何かの関係者なことは間違いない。下手に問題を起こさないほうがいいだろう。

戦闘がダメなら、隠れればいいか。って、やっていることが潜入任務の時のそれだな………。

俺はため息を吐きながら天井まで跳び、張り巡らされている鉄骨に張りついた。結構キツいが、今は耐えるしかないな。

気配を殺してその誰かを待つ。

 

「黒歌さん、うまく撒けましたかね?」

 

「いいにゃ!いいにゃ!バレてもどうにかなるにゃ!」

 

「我、これが最近の楽しみ」

 

なんて、暖気(のんき)に言いながら現れたのはヴァーリチームのルフェイ、黒歌、そしてオカ研のマスコットことオーフィスだった!

俺が先ほどから言っている『あいつら』は彼女たちのことだ。

てか、黒歌、バレてもどうにかなるって、イッセーならともかく、俺はそこまで甘くないぞ?

とりあえず、後で三人には説教するとして、どうするか。こいつらが誰かとここで接触しているのなら、その相手は確かめておかなければならない。

俺が天井で踏ん張りながら考えていると、黒歌が例の扉の前に立ち、身を寄せた。

 

「芋」

 

何の前触れもなく黒歌がそんな事を言うと、扉が重々しい音をたてながらゆっくりと開いていく。

『芋』の一言で開く扉って、どうなんだろうか………。

俺が呆れていると三人はその扉の奥へと進んでいった。

三人が扉の奥に消え、再び扉が閉まったところで俺は飛び降り、閉めきられた扉を確認する。

相変わらず完璧に閉まってやがるな。黒歌のやつ、一体誰に『芋』なんて言ったんだ?

俺は黒歌がしたように扉に身を寄せてみる。すると、中から声が聞こえてきた。

 

『合い言葉、山』

 

……えっと、合い言葉だろ?それって、まさか……。

俺は迷いながらも、その言葉を言う。

 

「………芋?」

 

『………よし、入りたまえ』

 

しばらくの間があったが開けてくれるようだ。

再び重々しい音と共に開く扉。俺は警戒しながらその奥を見ると、そこは本で見た古めの日本家屋のような風景が広がっていた。俺がいるのがいわゆる土間ってところで、一段高いところが『居間』ってやつだったか?で、その居間にいるのが………。

 

「にゃはははは……。撒くどころか、先回りされてたみたいにゃ」

 

「本当にすみません」

 

「にんにん」

 

俺を見て苦笑する黒歌、素直に謝ってくるルフェイ、謎のポーズをするオーフィス。そして、

 

「まさか、あなたが噂に聞くロイ殿でござるか?貴殿も『修行』のために、ここに来たのでござるか?」

 

謎の白い服と頭巾を被った誰か。声的には男だと思うが、なんだ『ござる』って。

 

「俺はロイだが、あんたは?」

 

俺が名乗りながら訊くと、その男性は頭巾を取りながら白い翼を展開した。

…………ん?ま、待て、白い翼だと!?

 

「拙者はメタトロンでござる」

 

「……………は?」

 

思わず声に出してしまったが本当に『は?』だよ!メタトロンって、セラフの一人じゃねぇか!?

 

「あ~、メタトロン?このことをミカエルは知っているんだよな?」

 

若干当惑しながらそう訊いた。

メタトロンはセラフだ。ミカエルやガブリエルほどではないにしろ、大事な立場にいる。つまり、義姉(ねえ)さんがここで変なことをしているようなものだ。

俺の心配をよそに、メタトロンは言った。

 

「うむ、ミカエル様からもしっかり励むようにと言われておりまする」

 

「何やってんだよ、おまえらも、あいつも……」

 

俺が呆れながらそう漏らすと、黒歌が訊いてきた。

 

「まあまあ、せっかく来たんだからやっていけば?」

 

「やる?何をだ」

 

俺が聞き返すと黒歌は真剣な顔でこう言ってきた。

 

「『忍術』にゃ」

 

「………は?」

 

「『は?』じゃないわよ。その顔、信じていないわね!」

 

黒歌の言葉を無視して俺は心の中で後悔していた。

これは明らかに面倒なものだ。このままだと、賽銭箱を作ったときのように徹夜することになる。

俺が断ろうとした矢先に背後から気配を感じた。ゆっくりと振り向いてみると、

 

「おやおや、騒がしいと思えば、また弟子志願かの?」

 

そこにいたのは和服を着た初老の男性。手にはコンビニ袋をぶら下げている。

メタトロンがその男性を見て、姿勢を正した。

 

「その通りでございます、マスター。黒歌殿がお連れしたのでござる」

 

「いや、待て。俺は━━━」

 

「ほう、弟子志願とな」

 

俺の言葉を遮った男性はあごに手をやりながら若干当惑していた。

 

「とりあえず、お上がりください。お話はそれからです」

 

「アッハイ」

 

流れのまま俺は居間に上がることになってしまった。

…………早く帰りたい。

俺がそんな事を思っていることを知らない男性は自己紹介を始める。

 

「はじめまして。私は伊賀(いが)流忍術を伝える者、百地(ももち)丹紋(たんもん)と申します。あなたは?」

 

ここで返さなかったら失礼なのは明白だ。いちおうだが返しておかないとな。

 

「ドーモ、タンモン=サン。ロイです」

 

やる気のなさが滲にじみ出ているが、しっかり頭を下げて礼をする。本音を言ってしまうと、本当は帰りたいんだよ!

 

「って、イガリュウ?ニンジャにも派閥があるんですか?」

 

帰りたい気持ちを抑えながら頭を上げて俺が訊くと、丹紋さんは頷いた。

 

「ええ、私たち伊賀者はお金による契約を重視した忍です。一人の君主に付き従う甲賀(こうが)流とは逆ですね」

 

「アッハイ」

 

いきなり『イガ』だの『コウガ』だの言われてもわからん。いちおう聞いておくけどさ………。

それにしても、リアスも連れてくれば良かったか?あいつ、確かこんなの好きだったはずだ。去年の修学旅行で行った京都ではスゴいはしゃいでいたって朱乃から聞いたぞ。

セラとのデートでも京都を回ったが、あのときは問題が起こって中断しちまったし、今度はしっかりやりたいもんだ。

 

「ところでロイ殿はいかにしてここに来たのでござるか?」

 

丹紋さんとの話が落ち着いたところでメタトロンが訊いてきた。

俺は黒歌たちを指差しながら言う。

 

「そこの三人を追いかけてきたんだ。途中で気配が消えたんだが、あとは勘で追跡した」

 

俺がそう言うと黒歌が苦笑する。

 

「つけられてることは途中でわかったんだけどねぇ。まさか、ここまで追ってくるとは思わなかったにゃ」

 

本当、あそこで諦めておけば良かったよ。

ため息を吐く俺をよそに丹紋さんが言う。

 

「黒歌殿を尾行とは、なかなかやりますな」

 

なんか、認められてる!?忍者に認められるのはいいことなのか?

疑問を浮かべる俺に丹紋さんが言う。

 

「ロイ殿、せっかくいらっしゃったのです。少しやってみませんか?」

 

このヒト、存外フレンドリーだ。この人の弟子は多いのかもしれない。

俺は丹紋さんの厚意(こうい)を無視するわけにもいかず、表情には出ないように渋々頷く。

 

「まあ、せっかく来たのでやらせていただきます」

 

こうして、俺は何だかんだで丹紋さんの弟子になったのだった。

 

 




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