グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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課外授業のデイウォーカー
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リアスたちがルーマニアに発ち、ユーグリットの襲撃からしばらく経ったある日。

俺━━ロイを含めたオカ研メンバー、ソーナと真羅、シスター・グリゼルダと見慣れない金髪にグリーンの瞳の青年━━ジョーカー・デュリオが兵藤宅のVIPルームに一堂に会していた。

吸血鬼のカーミラ派の本拠地にいるアザゼルから直通の回線が開かれている。

魔方陣の映像越しに訊く。

 

「それで、アザゼル。何があった?」

 

『ああ、どうやらツェペシュ側で大きな動きが、簡単に言うと「クーデター」が起きたようだ。リアスと木場はそれに巻き込まれた可能性が高い、というよりも拘束されているだろう。こっちから連絡がつかん』

 

それを聞いた朱乃が小型の連絡用魔方陣を展開するが繋がらないのかすぐに切っていた。

それにしても━━━、

 

「クーデター、か……」

 

「あぅぅ……そ、そんな………」

 

俺の呟くと同時にギャスパーは顔を強張らせていた。

俺はギャスパーを気にしつつも話を続ける。

 

「それで……どういう状況だ?」

 

『カーミラ側の幹部によると、ツェペシュ側のトップが入れ替わった、とのことだ』

 

それを聞いてこの場にいる全員が顔を強張らせた。

トップが入れ替わった、それはつまり………、

 

「クーデターは終わったのか。はっきり言って早すぎるだろ?まだクーデター中ならわかるが………」

 

俺が本心駄々もれになっているがアザゼルは続ける。

 

『現在ツェペシュ側の大元の王は首都から退避したとのことだ』

 

「事が鮮やかすぎるな。やはり『禍の団(カオス・ブリゲード)』の介入があったのか?」

 

滅んだはずの邪龍を蘇らせたのは生命の(ことわり)に触れることのできる聖杯の可能性が高いと報告が来ていた。

現在『禍の団(カオス・ブリゲード)』と吸血鬼は繋がっているというのが各勢力の公式見解になっている。

 

『ああ、だろうな。どの勢力も一枚岩じゃない。聖杯の噂を聞きつけた「禍の団(カオス・ブリゲード)」の連中は、現政権に不満のある連中と繋がり、じわじわと侵食していったんだろう』

 

「それに気づいても救援は頼まなかったんだろ?」

 

俺が答えがわかりきっている質問をする。

 

『そうだ。自分たちを至高と考え、誇りとやらを重んじた結果だろう。死んでも助けを求めたくもなかった。それとも聖杯を隠そうとした。そんなところだな。というわけで俺はツェペシュの本拠地に向かう予定だ。だから━━━』

 

「『おまえたちも来い』、だろ?」

 

俺がアザゼルの言葉を先読みで言うとアザゼルは嘆息しながら頷いた。

 

『その通りだ、ロイ。結果的にいつも通りになるんだな。だが、戦力をこちらに集中も出来ないからな………』

 

「だったら、いつも通りに俺とイッセーたち、イリナでいいだろ。こっちにはジョーカーと『刃狗(スラッシュ・ドッグ)』がいれば十分だ」

 

刃狗(スラッシュ・ドッグ)』てのは神滅具(ロンギヌス)、『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』の持ち主だ。色々と縁があってアザゼルと出会い、今は裏方として俺たちを支えてくれているらしい。

俺の提案にアザゼルは驚いた表情になっていた。

俺は首をかしげながら訊く。

 

「どうした?」

 

『ロイ、おまえ、動けるのか?』

 

「それなら問題ない。ユーグリットを捕らえるか殺せって任務が下ったからな」

 

俺の返しにアザゼルは再び嘆息し、愚痴るように言う。

 

『上の連中は、まだおまえが「禍の団(カオス・ブリゲード)」と繋がっている、もしくは任務時の虚偽報告をしたと疑っているのか』

 

「そんなとこだ。俺の元部下からも話を効いているそうだ。まあ、細かいところはセラたちが頑張ってくれたらしいがな。後の報告とかが面倒だが、俺は動けるぞ」

 

『ならいいが、先に言っておくとこっちにはヴァーリチームがいる。その事は頭に入れておいてくれ』

 

アザゼルの一言に俺はある疑問が生まれた。

何でヴァーリが吸血鬼の王国にいる。聖杯がらみか、それとも復活した邪龍を追っていたのか。最近ルフェイや黒歌を見ないと思ったら、そういうわけが………。

俺が考え込んでいるとソーナが手を挙げた。

 

「いい機会です。ロイ様、うちの新人二人を連れていってもらえないでしょうか?」

 

ソーナの眷属の新人二人か、あの襲撃の後に紹介されたな。

深い紫色の髪に金色の瞳が特徴のハーフ死神(グリム・リッパー)(父が最上級死神のオルクスだそうだ)であるベンニーアと、灰色の髪を伸ばして目ともが見えない大柄の男性のルー・ガルー(俺を含めた面々からは『ルガール』と呼ばれている)だそうだ。

前者が『騎士(ナイト)』、後者が『戦車(ルーク)』に該当する。

俺がそれを思い出しながら頷き、アザゼルに言う。

 

「ベンニーアとルガールだったな。悪魔としての経験を積ませたいのか?いつもなら止めるところだが、ルガールの力は特に必要になってきそうだしな。アザゼル、二人追加だ」

 

『わかった。それとレイヴェル、お前は残れ。客分のお前を危険地帯に連れてこさせるわけにはいかない。わかってくれるな?』

 

アザゼルの言葉にレイヴェルは頷いた。

 

「はい。こちらはお任せください」

 

聞き分けのいい子で助かるな。文句の一つ言ってくると思ったが………。

 

『詳しくはお前らがこっちに来てから話す。準備が出来たらすぐに来てくれカーミラ側に受け入れ用の魔方陣を展開する。状況開始だ』

 

『はい!』

 

「了解だ」

 

全員が応じてそれぞれの準備に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一時間ほどが経ち出発する時間となった。集合場所はもちろん兵藤宅の転移魔方陣だ。

今回は直接カーミラの領土に行けるようにアザゼルが交渉してくれたらしく、すぐに向こうに行くことができる。今回だけの特例として許されたそうだ。

ちなみに、俺たちは防寒着を来ている。向こうはこっち以上に寒いそうだからこれが正解だろう。

そして各々が最終確認を済ませたことを確認すると朱乃が転移魔方陣を操作する。その瞬間、魔方陣の光が強まり、俺たちを包み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移の光が止み視界が回復すると、そこは広い空間だった。

 

「よう、来たか」

 

聞き覚えのある声に反応して振り向くと、そこにはいつもの様子のアザゼルがいた。

 

「さっそくで悪いが移動するぞ。詳しい話は車内でする。エルメンヒルデ、案内を頼む」

 

アザゼルがそう言うと、傍らから姿を現したのは先日会談した吸血鬼の少女だった。

 

「かしこまりました。皆様、よくぞお越しになられました。手前どもはギャスパー・ヴラディだけでよかったのですが………」

 

俺たちを邪魔者のように見てくるエルメンヒルデ。相変わらず言葉の刺がすごいな。多分、みんなも同じような事を考えてると思うぞ。

エルメンヒルデはそんな俺たちの心中を知らずに話を進める。

 

「到着早々で申し訳ございませんけれど、車まで案内いたしましょう」

 

その言葉を言い終えると同時に転移してきた部屋を抜け、階段を上がっていく。どうやら、ここは地下だったようま。にしても寒いな。防寒着を着てるのにスゲェ寒いぞ。

階段を上りきり石造りの建物内を歩いていき、ついに外に出た。

━━━━深夜の街に雪化粧。いいものだな。

だいたい同じ季節を巡る日本とルーマニアだが、こっちはもう雪が降っているのか。………この寒さなら納得だけどな。

俺たちの前にいるエルメンヒルデはそんな寒さでも息が白くない。純血の吸血鬼だからだろう。その証拠にハーフのギャスパーは、

 

「さ、寒いですぅ……」

 

ぶるぶると震えて白い息を吐いていた。吸血鬼のハーフと純血の差って分かりやすいな。

 

「わぁ……」

 

アーシアが感嘆の息を漏らしていた。彼女の視線の先には、城下町とそれの中央にある立派な城だ。教会育ちのアーシアにはこんな景色も新鮮なんだろうな。

そんな城下町をよく見たら近代的な建物もいくつかあることがわかる。ある程度外の文化も取り入れてはいるようだ。

アーシアとは対象的にゼノヴィアは冷静に呟いた。

 

「あれが吸血鬼の本部か。昔は尻尾も掴めなかったのに、悪魔になってから来られるなんてね」

 

それだけ各勢力の関係図が変貌したってことだな。

俺たちは領地の端にある監視塔に転移していたようだ。

俺たちはそれだけ確認すると塔を抜け出て、用意されていたワゴン車に分かれて乗り込む。運転はアザゼルと俺だ。細かい話は魔方陣を介して運転しながら聞く。

 

「………悪魔の趣味はわかりませんわ」

 

エルメンヒルデをはじめとした吸血鬼がルガールを見て、一様に嫌悪と畏怖の表情をしていた。ルガールの種族のせいだな。

そんなことがあったが俺たちは出発する。

同時に魔方陣の映像越しにアザゼルが説明を始める。

 

『情報によると今回のクーデターでツェペシュの新しいトップはヴァレリー・ツェペシュになった』

 

「男尊のツェペシュのトップがハーフの女性になったのか………。どうせ『禍の団(カオス・ブリゲード)』がそう仕組んだんだろうが」

 

俺の発言にアザゼルが返す。

 

『まあ、そうだろうな。「禍の団(カオス・ブリゲード)」と手を組んでいるのはツェペシュの反政府グループだ。現政権への不満と聖杯の恩恵に目が眩み、テロリストの言葉に乗っかっちまったんだろうさ。カーミラに攻撃したのもそいつらだ』

 

「それで、ツェペシュのほうからカーミラに援助要請があったのか。カーミラ的にもツェペシュの王に貸しを作るのは願ったり叶ったりだろうな」

 

『ああ、後は通信の通りだ。流石に俺だけじゃ出来ることも限られてくるからな。リアスたちを迎えに行くのも含めて、お前たちを召喚したってことだ』

 

アザゼルはそう言うと髪をかきながら続ける。

 

『どうにも荒事になりそうだ。まずは話し合いをするつもりだが、戦闘することも頭に入れておいてくれ。カーミラ側もクーデター沈静に参戦するっていうからな。報復の相手がわかったんで、あいつらもやる気だ。すでにカーミラのエージェントが配置され始めている。俺たちはそのど真ん中に飛び込むことになる。最悪の場合は中央突破しなければならない。………あの野郎が関わっているのなら、ろくでもないことになる』

 

『あの野郎』。 アザゼルが珍しく憎々しげに言ったそれが余計に不安を掻き立ててくる。

イッセーが息を吐いてからアザゼルに言う。

 

『この手のイベントには毎回遭遇しているので、覚悟してきていますよ』

 

それを聞いて、映像に映る向こうの車内のメンバーは頷いた。

 

「頼もしいやら、申し訳ないやら。なんか複雑だな、アザゼル」

 

『だな。ま、俺たちはリアスたちと合流してあわよくばヴァレリーを連れ出せればいい。あとは吸血鬼が勝手にやってくれるだろう』

 

『ヴァレリーは僕が………ッ!』

 

それを聞いたギャスパーは決意を新たにしていたが、俺は映像越しにそんなギャスパーに言う。

 

「ギャスパー、あんまり気負うなよ。先輩や先生を頼れ」

 

『ロイ先生………。はい!』

 

会った当初はいつも怯えていたあいつがここまで男を見せてくれるとは、嬉しいもんだな。

俺がリアスの眷属の成長に喜んでいるなか、車はカーミラとツェペシュの領土を繋ぐ橋を抜け、さらに進んでいくのだった。

 

 

 

 

 




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