俺━━ロイがユーグリットを追っていくと、大分進んだ場所で奴は待ち構えていた。
ユーグリットはロスヴァイセを抱えたまま、指で下を指す。
おそらく、降りろってことだろう。そこで、俺とやり合うつもりらしい。
俺は奴と共に高度を下げていき、周りを確認する。
荒れた土肌の土地、ここなら無理できるな。まあ、今も無理してるわけだが……。
俺とユーグリットは同時に着地し、対峙する。
「それで、何で今頃現れた?兄さんたちへの━━━現政府への反逆のためか?」
俺はユーグリットの意志を確認しておきたかった。甘いと言われるのも百も承知だが、俺はあいつの『
俺の質問にユーグリットは語り出す。
「諸々ありますよ。現政府への不満、姉への問い、膨大な時間をかけて自問し続けました。義兄にいさん、答えてください。━━━悪魔とは何です」
「悪魔とは、か。悪魔は悪魔だ。人間同様、正義を志す者もいれば、悪を志す者もいる。それだけだ」
俺の返答に、ユーグリットは落胆するように息を吐いた。
「義兄上、あなたは甘すぎる」
「甘くて結構だ。それで、おまえはどう考えてるんだよ?」
俺からの問いに、ユーグリットは深く息を吐く。
「リゼヴィム様と同じですよ。どの生物よりも、どの存在よりも邪悪であるべきだと思います。しかし、ここからは私だけの答えです」
ユーグリットは両手を広げる。
「━━━私はリゼヴィムという男を通して全勢力に悪魔を見せます。知らしめます。悪魔がどれだけ凶悪か、どれだけ危険かを全勢力に知らせたいのです。支配や政治はこの際どうでもいいのですよ、私にとっても、リゼヴィム様にとっても。━━━最終的には悪魔を人間界にも見せたいところですね」
こいつがやりたいこと、それはあの学校にいる子供たちの、これから先に生まれてくる子供たちの未来を奪うもの……。
俺はユーグリットを怒りの表情で睨みつける。
「悪魔そのものを、世界から孤立させたいのか」
俺が静かな怒りをたぎらせている中で、ユーグリットは遠い目をしていた。
「姉は……私にとって憧れでした。女性でありながら、誰よりも強く、誰よりも勇敢だった。私にとっては、誇りそのものでした。姉を支えることこそが私の生きる道だと信じていたのです。その姉が、『ルシファー』に尽くすルキフグスの定めに反して、悪魔ともいえない異形に心を許した。これが、私にどれだけの衝撃をあたえたか、あなたには想像できますか?」
ユーグリットの言葉に、俺は義姉さんの亡命作戦を思い出していた。
あの任務を終えた時、兄さんに会った義姉さんは本当に嬉しそうだった。
だが、あの任務が、この状況を作り出してしまった。
ユーグリットは空を見上げた。
「私は長らく心の均衡を崩し、精神的にも肉体的にも屍と変わらぬ状態でしたが、好き勝手に振る舞い、冥界に新しい風を吹き込む彼に━━━兵藤一誠を知って思い至ったのです」
ユーグリットの表情はどこか晴れやかなものになった。
「『ああ、そうか。自分も好きに生きればいいんだ』━━━と」
「イッセーを見て、ここまでの事をしようとしたのかよっ!」
俺は声を荒げたが、ユーグリットは特に気にする様子を見せず、言葉を続ける。
「単純な思いでした。悪魔が英雄を持つ。その英雄を子供たちが見て、影響を受ける。それは悪魔らしくない。だったら私は子供たちに悪魔を見せないとね」
「その悪魔がリゼヴィムか。━━イカれてるな。だったら、俺はおまえを止める」
俺は銃剣の銃口をユーグリットに向ける。
ユーグリットは薄く笑った。
「義兄上。あなたはそちら側ではないと言われたはずです。なぜ戦うのですか?」
俺は銃口を下ろさず、即答で答える。
「守るためだ。誰かの命を、夢を………」
「なぜリゼヴィム様は、あなたのような方に興味を持たれたのか、疑問です」
ユーグリットは俺を軽蔑するような目で睨んでくる。
「あなたの答えと行動は、ある意味矛盾しています。守ると言いながら、あなたはそれ以上の命を奪っているではありませんか」
確かに、俺はこっちに来てからも何百、へたをすれば何千という命を奪ってきた。
だが━━━、
「全ての命を守るなんてこと、誰にもできねぇよ。ただ目の前にあるものを必死に守るだけだ」
━━━そう、これが今の俺の生き方。
「どうやら、私たちとは合間見えないようです。なら、私はあなたを倒すまでです!」
ユーグリットは宣言するように俺に言ってきた。
「━━━それはそれとして、どうしてロスヴァイセを狙った。いくらなんでも、リスクが大きすぎるだろ?」
残った疑問をぶつける。いくらロスヴァイセが優秀でも、あれは悪手だ。
ユーグリットはロスヴァイセに視線を向けながら言う。
「………このヒトは賢明です。才能もある。私たちのもとに連れていけば、有効活用できるでしょう。何せ、彼女は
━━━━ッ!
ロスヴァイセの論文が、
ユーグリットはロスヴァイセの銀色の髪を撫でる。
「それに………ロスヴァイセは、似ているのですよ。とても似ている」
「似ている?どこの誰に似てるってんだ」
「━━━姉のグレイフィアにです」
━━━━━ッ!?
ユーグリットの言葉に驚く俺とロスヴァイセ。………ロスヴァイセと
ユーグリットは薄く笑みを浮かばる。
「………このヒトは私の姉になれるかもしれないのです。それはとても重要なことです」
………そうか、こいつ、もう━━━━。
俺は悲哀を込めて言う。
「━━━心が壊れたか」
「?何を言っているのです?私は至って正常ですよ?」
「………そうか。それじゃ、やろうぜ?俺とおまえの最初で最後の━━━『兄弟喧嘩』ってやつを」
俺がユーグリットを睨みつけながら言うと、奴はロスヴァイセに魔力の縄をかけてから、手を離した。
俺とユーグリット、これが最初で最後の戦いになるだろう。
相手はレプリカとはいえ赤龍帝だ。勝てるかどうかはわからない。こっちは消耗してるから負ける確率のほうが高いかもしれない。
俺はロスヴァイセに目を向け、安心させるように笑みながら彼女に言う。
「ロスヴァイセ、一緒に帰るぞ」
━━━━━━
ロイはロスヴァイセにそう告げると、全身から周辺一帯を吹き飛ばす黒いオーラを解き放ち、全身に纏わせる。
ユーグリットも兜を装着すると、周辺一帯を吹き飛ばす程の質量を持ったオーラを解き放った!
黒と赤のオーラがぶつかり合い、火花を散らすなか、二人は同時に飛び出した!
二人の拳が正面からぶつかり合い、凄まじい衝撃波を発生させる!
「きゃ!」
その衝撃波を間近でくらったロスヴァイセは、倒れながらも二人のほうに目を向け、驚愕した。
『━━━━━━━!』
「くっ!まだです!」
ロイとユーグリットは、お互い退かずに殴り合っているのだ!
ロイの拳の何発かはユーグリットの鎧を砕き、体にもダメージを与え、ユーグリットの拳の何発かもロイの滅びを突破してダメージを与えていくが━━━、
『━━━━フッ!』
「ぐ…………ッ!」
ユーグリットには痛みが『ある』。痛みがあれば、体はそれを避けようと反射的に動き、結果大きく動いての回避や、魔力を使った防御など、至近距離での殴り合いでは無駄な動きが増えていく。
それに対して、ロイには痛みが『ない』。そもそもダメージへの恐怖がない。ゆえに、必要最低限の、危険と判断した攻撃のみを確実に避け、それ以外は避けずに受ける。
爆音にも似た打撃音が周辺に響き、大気を震わせる。お互いの体が悲鳴をあげ、耐えきれなくなったユーグリットは一度オーラを解放、ロイを吹き飛ばして間合いをあける。
吹き飛ばされたロイは翼を展開して勢いを殺し、ゆっくりと地に足をつける。同時に、拳を初めとした体の各所から血が吹き出し、地面に染みをつくる。
ユーグリットはそんなロイに対して━━━、
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
増大させた魔力弾を放つ!極太とも言えるオーラの濁流がロイに向かっていくが、
『………………ッ!』
ロイは右手から極太の黒いオーラの奔流を放ち、正面から迎撃した!
二つの莫大な魔力同士がぶつかり合い、大爆発を起こした!
大量の砂と煙が舞い、ロイとユーグリット、ロスヴァイセの視界を遮り、それぞれの状況を確認できなくなる。
それは一瞬のことであり、ロイが薙いだ腕で砂と煙が切り裂かれる。
『…………………………』
「はぁ………はぁ………な、なぜ………?」
大きく消耗した様子はないロイと、肩で息をするユーグリット。
既に限界を迎えているはずのロイが、なぜ立っていられるのか、なぜ戦えるのか、ユーグリットにはそれがわからず、ただ困惑していた。
そんなユーグリットに、ロイが右手を向けるが、
『━━━━ッ!』
大量の血を吐き出し、片ひざをついた。
ロイは既に限界を迎えている。『痛覚』という警告を無視して動いている彼は、極端な話、肉体の限界が『わからない』。
腕の骨が砕けようが、足の肉が削がれようが、それに気づかず前進し、対象を殺そうとする。だが、気づかないうちに限界が訪れ、それがわからないまま倒れる。今の状況はまさにそれだった。
ユーグリットはそんなロイを見て、安堵にも似た感情を抱いた。ロイは既に限界を超えて動いていたが、その限界さえも超えてしまった。彼は、もう戦えない………。
ユーグリットの思いを後押しするように、ロイを包む黒いオーラが弱々しくなっていき、所々剥がれ始めていた。
ユーグリットが言う。
「義兄上、終わりです。グレンデルとの戦闘、紫火によるダメージ、その後の邪龍の群れとの戦闘。あなたは、体を誤魔化して戦い、グレンデルを討伐しました。ですが━━━━」
ユーグリットは高速で飛び出してロイに迫り、
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
威力を増大させた拳を放つ!
ロイは無理やり立ち上がり、体を包んでいた黒いオーラをを右拳に集中させる。防御を捨てたロイは高速で接近するユーグリットに、クロスカウンターの如く拳を放った!
同時に放たれた二人の拳は━━━━、
「━━━━━━━━━ッ!」
「━━━━私の、勝ちです」
ロイの拳が外れ、ユーグリットの拳がロイの左目付近を捉えた!
爆音と共にロイは吹き飛ばされ、後ろにあった岩山に激突、大量に舞った砂塵で姿が見えなくなる。
ユーグリットは肩で息をしながら、ロスヴァイセに視線を向ける。
「………これで、あなたは私のものです………」
狂ったような笑みで表情を歪めながら、ロスヴァイセに近づいていくユーグリット。
ロスヴァイセも逃げようとするが、縛られた体では無理がある。
ユーグリットの手が、ロスヴァイセに向かってゆっくりと伸ばされる。
ロスヴァイセは、諦めたように、ゆっくりと目を閉じた━━━。
━━━━━
俺━━ロイは何もない、黒一色の空間に寝転んでいた。
どうしてこんなところにいるのか、そもそもここがどこなのか、全く検討がつかないが、まだやることがある。
俺が勢いよく立ち上がると、いきなり景色が変化した。
見覚えのある、森の中にある小さな村だ。ここは、
俺が思い出した瞬間、村が火の海に変わる。どこからか、悲鳴や怒号が聞こえてくる。
そうか、ここは、『深層心理』ってやつか。『あれ』の最中に気を失っちまったせいでこんなものを見ているのか?
燃える村を見渡すと、遠くに立つ誰かと目があった。体格的には男だが、顔は見えない。
いや、あれは━━━。
この村、いつかの戦闘に巻き込まれた場所だ。この村で、俺は━━━。
俺が思い出した瞬間、物陰から人影が飛び出してくる。何かを察した男性が駆け出すと、間を空けて乾いた音が響き渡った━━━。同時に再び景色が黒一色になる。
俺は、あれで死んだんだったな。あの助けた奴がどうなったかは知らねぇが、生きているといいな………。
『助けて……………』
『痛い、痛い……………!』
『どうして…………?』
俺の耳に声が届いた。苦しそうで、同時に悲しそうな声だ。だが、聞いたことがある………。
声の主のほうに目を向けると、
「━━━━━ッ!」
俺は声を失った。視線の先には、何かもよく分からない生物がうずくまっている。
『誰か、誰かぁ………』
『私は、あなたを救おうと………』
ああ、そうか。あれは━━━━俺が殺した奴らか。
ヴァレリーが言っていた「憑かれている」ってのは、これのことか………。
俺は納得と共に、悲哀の眼差しでそれを見つめる。
前世から重ねてきた俺の『罪』、目の前にいるこれは、その象徴か………。
殺して殺して、殺し続けて、それで得た金で生活する。前世の俺は、ただ自分のためだけに戦っていた。それしか知らなかったから、自分にはそれしかなかったから………。
だが、今は違う。愛されることを知った。愛することを知った。戦う意味を、理由を見出だせた。
それでも、前世の俺を否定する気も、『罪』から目を背ける気も、逃げる気もない。
いまだに悲痛の声を発し続けるそれに、ゆっくりと近づいていく。
「俺は逃げない。逃げるわけにはいかない。おまえを受け入れなきゃ、俺は先に進めない。俺を殺したければ殺せばいい」
『━━━━━ッ!』
俺の言葉を受け、目の前にいる何かが俺に突っ込んでくる。だが、逃げるわけにはいかない。
足を踏ん張り、受け入れるように両手を広げる。その瞬間、それが俺に飛びつき、そのまま体内に入り込んでくる。
『殺してやるッ!殺してやるッ!殺してやるッ!殺してやるッ!コロシテヤルッ!コロシテヤルッ!コロシテヤルッ!コロシテヤルッ!』
頭の中に、老若男女の様々な声が響く。同時に凄まじい痛みが身体中を駆け巡る!
この痛み………!この苦しみ………!これが俺への罰だというなら、何としてでも耐える………!
「ぐッ………!あああああああああっ!」
床に倒れこみ、激痛に悶え苦しむが、痛覚無視はしない。それは、痛みだけじゃなく、心を殺して、誰かを殺している事実からも逃げているだけだ………!
俺が侵した罪は、決して償うことはできないだろう!だが、俺を信じてくれる奴らのためにも、俺が信じる奴らのためにも、俺は━━━!
「どんな罰でも受けてやる!永遠の時間をかけてでも、殺した以上の人々を救ってやる!」
激痛に耐えながら、叫んだ!
何をしても、償いにはならないだろう。そんな事は承知だ。
「おまえらに許してくれとは言わない!それでも━━━!」
俺は激痛に耐えながら立ち上がり、天に向かって、出来るだけ優しい声音で言う。
「━━━見ていてくれ。俺なりの『贖罪』を」
言い切ると同時に、身体中の痛みが引いていった。
俺が踏ん張って握っていた拳をゆっくりと開くと、どこからか、威厳溢れる声が聞こえてくる。
『ならば、償ってみせろ。貴様の魂に刻まれた、決して償えぬ罪を。━━━そして、見せてみろ。貴様の「生き様」を━━━』
「ああ。俺の生き様、見せてやる………!」
━━━━━━
「………これで、あなたは私のものです………」
狂ったような笑みで表情歪めながら、ロスヴァイセに近づいていくユーグリット。
ロスヴァイセも逃げようとするが、縛られた体では無理がある。
ユーグリットの手が、ロスヴァイセに向かってゆっくりと伸ばされる。
ロスヴァイセは、諦めたように、ゆっくりと目を閉じた━━━━。
バアアァァァァァンッッ!!!
「「━━━━ッ!」」
凄まじい破壊音と共に、圧倒的な『滅びの魔力』を感じとったユーグリットは振り返り、ロスヴァイセは目をあける。二人の視線の先には、抉りとられるように消滅した岩山と━━━━━、
「待たせたな………」
左瞼が腫れ上がり、左目が開かなくなっているロイが立っていた。
先程までの消耗がなかったかのように、足取りがしっかりしている。
そして、何よりも、変わったことがあるとしたら………。
「
ユーグリットの言葉に、ロイはそっと右目の下を撫でる。
「ああ、『見えてるよ』。かなり無理をしていることに変わりねぇがな」
ロイの右目は、一言で言うと『不気味』だった。普段白濁している右目の黒目にあたる部分は『鮮やかな紅』に染まり、白目にあたる部分が『黒一色』に染まっている。
紅が今のロイを表すのなら、黒は
ロイは優しく笑みながら、ロスヴァイセに言う。
「悪い、心配かけたな」
ロスヴァイセは目に涙を貯めながら、首を横に振る。
ロイはため息を吐き、後頭部をかきながらぼそりと漏らす。
「贖罪するって言ったのに、さっそく泣かせちまった」
「何なのですか、あなたは…………!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
ユーグリットは、再びオーラを増大させ、ロイに向けて解き放った!
再び放たれたオーラの濁流は、迷うことなくロイに向かって突き進んでいくが━━━━、
「━━━ッ!?」
突如として、縦に切り裂かれたのだ!ユーグリットは驚愕しながらも、今の一撃を切り裂いたであろう男━━ロイに視線を向けると、
「ふぅぅぅぅぅ…………」
紅よりもさらに濃い、鈍く
今まで使っていたシンプルな直刀とは少し違う、どことなく西洋剣を思わせる形状をしている。
ロイは深紅の大剣を『八相の構え』を思わせる構えを取ると、その場から消え失せた!
ロスヴァイセにも、ユーグリットにも見えない速度で動いた彼は━━━━、
「━━━━━ッ!」
既にユーグリットの懐に飛び込んでおり、ユーグリットがそれを認識した瞬間、ロイは左足を地面を砕くほどの勢いで踏み込み、
「俺の、勝ちだ━━━━」
━━━音を置き去りにする速度で豪快に斬り上げる!
刀身の通り道には深紅の残光が残り、それが消えた瞬間、
「━━━ぐはッ!」
渾身の一撃に巻き込まれた地面は深く削り取られ、ユーグリット本人は袈裟懸けの傷がつけられた。そして、ユーグリットの背後にあった岩山が、ロイの一撃の余波で真っ二つに切り裂かれる!
その一撃の前では、ユーグリットの鎧は無意味であり、難なく鎧を突破した一撃で、ユーグリットの体が空中に投げ出される!
ロイはゆっくりと息を吐き、大剣を背中に背負うように納刀すると、ユーグリットが鎧独特の金属音と共に地面に落下する。
ユーグリットは大量に血を吐きながら、ロイの髪と、彼が背負う大剣に目を向け、
「姉上、そんなに『赤』が━━━『紅』が好きなのですか?私は………何を間違えてしまったのでしょうか………?」
ぼそりとそう漏らすと、気を失う。
それを聞いたロイは瞑目しながら深く息を吐き、そのまま仰向けに倒れこんだのだった━━━。
誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。