グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life14 はぐれ

新魔王体制に入ってから、悪魔は種の存続を重視した。だが、悪魔同士での出生率は高くはないという問題があった。

その中で、新ベルゼブブとなったアジュカがそれを打開できるあるものを開発したのだ。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と呼ばれるそれは他種族のモノを悪魔へと転生させることで『転生悪魔』と呼ばれるものに変え、上級悪魔たる主の眷属にするというものだ。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)自体はチェスの駒に似た形をしている。

チェスの駒の形をしたそれは上級悪魔一人につき、『騎士(ナイト)』、『僧侶(ビショップ)』、『戦車(ルーク)』が二つずつ、『女王(クイーン)』が一つ、そして、『兵士(ポーン)』が八つの合計十五つ配ることになった。

それぞれの特性はこうだ。

騎士(ナイト)』に転生したモノには速度を。

僧侶(ビショップ)』に転生したモノには高い魔力を。

戦車(ルーク)』に転生したモノには力と堅さを。

女王(クイーン)』に転生したモノには上記の三種の特性全てを。

兵士(ポーン)』に転生したモノは敵地において『昇格(プロモーション)』と呼ばれるものを発動し、上記のいずれかに一時的になれる力を与える。

そして、最もたる『(キング)』は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と同じ素材で出来た石碑に触れることで登録する。

この制度が投入されてから上級悪魔たちの中では眷族探しが盛んに行われ、それと同時に眷属を揃えた悪魔同士が競いあうレーティング・ゲームなるものも行われるようになっていった。

だが、それは表向きの話。眷属探しが盛んに行われると言ったが、悪魔たち全員が良心を持っているわけではない。

時には自分のものにするために騙し、殺し、奪う。そのような行為も横行し、やがて、上級悪魔である主を殺すなどして逃亡する転生悪魔━━━はぐれ悪魔の存在も増え始めていた。

 

 

 

━━━━

 

 

 

俺━━━ロイは冥界グレモリー領の辺境に来ていた。

俺は歩きながら溜め息を吐く。この仕事は何度目だろうか、減ることはないのだろうか………。そう思えて仕方がないからだ。

旧魔王派とのいざこざが一応の解決がしてから時が流れ、俺はエージェントから狩人(ハンター)になっていた。

兄さんたちが始めた転生悪魔制度と、レーティングゲーム。別にそれ自体が悪いと言うつもりはない。だが、やはりと言うべきか、一部の悪魔は自分勝手だ。

俺は歩きながら周囲を見渡す。おそらく村があったと思われるここは、昔に旧魔王派に攻撃されたきり放置され、焼けた家や瓦礫がそのままとなっている。村人はそのときに亡くなったか、もっと安全な都市部で暮らしているかのどちらかだろう。その生き残ったヒトたちもここには戻ろうとしない。

そんな時代に取り残されたとも言える廃村に来ているわけ、それは━━━、

 

「ケケケ………、ここも見つかったか……」

 

俺は声に反応してそちらを見る。形を保っていた大きめの屋敷から、上半身は人間の男性、下半身は蛇の異形と言える存在が現れた。

 

「はぐれ悪魔、ジャンだな?」

 

俺が訊くと、そのはぐれ悪魔は狂喜を感じさせる笑みを浮かべて俺を睨む。

俺は溜め息を吐き、ジャンに警告した。

 

「いきなりで悪いが、最後通告だ。おとなしく投降しろ。そうすれば殺しはしない」

 

俺の警告を受け、ジャンは不気味に笑う。

 

「ケケケケ………。何が『投降しろ』だ。投降したところで処刑させるのがオチだろうが………」

 

「そうとも限らないだろう。おまえが重症を負わせた主にも罪があることはわかってる。なら━━━」

 

俺が言葉を続けようとすると、ジャンは右手で何かを投げつけてきた。

 

「ッ!」

 

ダーツ針のように飛んで来たそれをとっさにキャッチする。見てみると何かの骨なのがわかった。

俺が確認しているところを見ながらジャンは言う。

 

「それはおまえの前に俺を殺しにきた奴、俺の元同僚の骨さ……。あのくそ野郎の仇を取りに来たらしいが、弱かったし、ちゃうど腹も減ってたから食っちまったよ……!」

 

ジャンは再び不気味に笑う。俺は手に持った骨を持ち主の死亡報告をするために懐にしまい、直刀を生成する。

 

「はぐれ悪魔、ジャン。おまえを討伐する。罪は主への反逆と殺人、そして我らの領土に不法に侵入したことだ」

 

それを聞いたジャンは壊れたように笑う。

 

「ギャハハハハッ!最初からそのつもりだっただろうがッ!」

 

ジャンはそう言いながら蛇のような尻尾を伸ばし、上から俺に叩きつけようとしてくる。

俺はそれを右に転がるようにして避け、振り下ろされた尻尾に直刀を振り下ろす!

 

グシャ………。

 

「ひっ!?」

 

斬られた尻尾は宙を舞い、嫌な音をたてながら地面に落ちる。堅さ的に『戦車(ルーク)』ではない。

ビビりながらもジャンは俺に肉薄し、連続で拳を放ってくる。それを俺は体捌きだけで避ける。速度的にも『騎士(ナイト)』じゃない。

ジャンの右拳を受け止め、直刀で腕ごと切断する。

 

「ギャッ!?」

 

ジャンは後ろに後退し、斬られて肘から先がなくなった右腕を押さえていた。すると、憤怒の表情で俺を睨み、叫んだ。

 

「舐めんじゃねぉぞ!俺はこんなもんじゃねぇ!」

 

俺は溜め息を吐く。多分こいつは『兵士(ポーン)』だ。この弱さ、まず間違いないないだろう。

兵士(ポーン)』の最大の特徴でもある『昇格(プロモーション)』は『(キング)』の許可がないと発動することが出来ない。つまり、こいつがいくら叫んでも、俺との差は埋まらない。

俺が溜め息を吐いたことを察してか、ジャンは怒りを強くしながら言葉にならない叫びを発して俺に突撃してきた。

俺は直刀を大剣に変え、手早く魔力を込める。

 

「許しは乞わん。恨めよ………」

 

その一言と同時にジャンに向けて魔力を解き放つ!

紅に輝く滅びの濁流はジャンに断末魔をあげさせることなく、一瞬にして包み込んでいった━━━。

滅びの濁流が通った箇所は地面が抉れられていた。気配を探っても先ほどのはぐれ悪魔のものは感じない。

俺は本日何度目かの溜め息を吐いて大剣を消す。これで何人のはぐれを殺したことやら………。

俺はそう思いながら転移魔方陣を展開して帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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