グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life08 共闘

俺━━ロイとガブリエル、ミラナが研究所を出発して数分。

俺たちは、大量に侵入してきた邪龍を蹴散らしながら突き進んでいた。

 

「━━で、どっちだ!?」

 

アロンダイトを振り、迫りくる邪龍を叩き斬りながらガブリエルに訊く。

ガブリエルは迫りくる邪龍の群れのほうを指差す。

 

「あちらです!ミラナ、行きますよ!」

 

「はい!」

 

ガブリエルが高濃度の光の槍で邪龍を蹴散らし、ミラナは地面から大量の光の槍を飛び出させて、まとめて邪龍を串刺しにしていく。

俺は邪龍の群れに開いた穴に突撃し、アロンダイトをオーラを解放。邪龍どもを一気に凪ぎ払う!

 

「片付いたぞ!」

 

俺が振り向きながら叫ぶと二人は頷き、再び駆け出す。二人に先導されながら、俺も駆け出した━━━。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び走ること数分。

トウジさんがいるという建物前に到着したが、先客がいた。

 

八重垣(やえがき)、待て!」

 

「ロイ・グレモリー……ッ!」

 

禍々しいオーラを放つ剣を持った男━━八重垣だ。

俺を視認した瞬間から、奴の持つ剣のオーラが一気に大きくなったように思える。

俺はアロンダイトを構え、八重垣を睨み付けながら言う。

 

「もう辞めろ!クレーリアが復讐を望んで━━━」

 

「彼女の名を……口にするなぁああああああああああ」

 

八重垣が叫ぶと、剣から八つ首のドラゴン━━八岐大蛇(やまたのおろち)が生えてくる。真っ赤な血涙を流し、俺たちを睨み付けてくる。

それに反応したミラナが構えるが、ガブリエルが手で制する。

 

「あなたは紫藤局長をお願いします。彼は、私たちが」

 

ガブリエルはそう言いながら俺の横に並んだ。

ミラナは何か言いたげだったが、すぐに頷いて治療施設のほうに駆け出す。

それを察知した八重垣が大蛇(おろち)の首の一つをミラナに放つ!

 

「させるかッ!」

 

「その通りです!」

 

俺とガブリエルは高速で飛び出し、首を細切れにする!血がかからないように細心の注意を払ってな!

俺がアロンダイトの切っ先を八重垣に向け、ガブリエルはミラナに行くように指示する。

ミラナは頷き、今度こそ施設に入っていった。同時に細切れにした大蛇(おろち)の首が再生する。

八重垣の表情が怒りに染まり、剣のオーラがさらに大きくなる。

 

「紫藤局長は後です。先にあなたを……っ!」

 

「やるしかねぇか……」

 

深紅のオーラを解放。視界の右半分も見えるようになり、アロンダイトの刀身が深紅の滅びに包み込まれる。

ガブリエルも先ほどまでとは比べ物にならない光力を放ち始めた。

俺たちが戦闘態勢に入ると、大蛇(おろち)たちが一斉に吼える!

剣の持ち主である八重垣の怒りと憎しみが込められた咆哮が周辺一帯に響き渡る。奴の口から飛び散った唾液が地面に落ちると、気化しているのか、あちこちから『シュー……』と音と瘴気が出始めていた。……あまり吸い込まないほうが良さそうだ……。

俺は服の左腕の袖を破き、ガブリエルに渡す。彼女は俺の行動に怪訝そうに見てくるが、右腕の袖を破いて自分の口元に巻いてマスクのようにする。ガブリエルもそれにならって口元を隠した。

 

「やるか。だが、生物なのに首を吹き飛ばしても倒せないときた。……さて、どうする」

 

「私たちは紫藤局長を逃がせればそれで良いのですが、彼はそれを許してはくれないでしょうね」

 

俺たちがそんなことを口にしていると、大蛇(おろち)の首が俺たちに向かってくる!

ガブリエルはすぐにその場を飛び退くが、俺はアロンダイトにオーラを集中。聖と滅のオーラを撃ち放つ!

放ったオーラは大蛇(おろち)の首を飲み込み、一瞬にして消し飛ばした!血は……蒸発しているみたいだな!

消し飛ばした首はすぐに再生し、再び俺のもとに突っ込んでくる!

やはり、体を全部吹き飛ばすぐらいの勢いじゃねぇと駄目か……!デカイ一発を叩き込むにしても、下手に消耗しないようにしねぇと!

今度は迎撃せずに避け、アロンダイトにオーラを溜めていく。

ガブリエルは迫ってくる大蛇(おろち)の首に大量の光の槍を放っていくが、そんなものお構い無しに大蛇(おろち)の首は突き進んでいく!

ガブリエルは華麗にそれを避けると、極大の光の槍を飛ばして、大蛇(おろち)の首を吹き飛ばした!が、すぐに再生してしまう。

ガブリエルは俺の横に降り立ち、訊いてくる。

 

「やはり、完全に消滅させなければ駄目のようですね。お任せできますか?」

 

「任せろ。最大火力ってやつを見せてやる」

 

俺は不敵に笑みながら返し、アロンダイトにオーラを溜めていく。

もちろん、八重垣がそれを許すわけがなく、大蛇(おろち)の首を放ってくる!

俺たちはその場を飛び退いてそれを避け、追撃に伸びてくる首も翼を展開して空中で避けていく。

ガブリエルが牽制として光の槍を放っていき、矛先をあちらに向けてくれるが、大蛇(おろち)の首は構わずに俺に向かってくる!

下手に攻撃しても無駄なら溜められるだけ溜めたら、一気に決めに行く!

大蛇(おろち)の牙を避け続け、ひたすらアロンダイトにオーラを集中させていく。アロンダイトの刀身から深紅の魔力の光と聖なる光が迸り、妖しくも神々しい輝きを放ち始める。━━これなら、いける!

 

「ガブリエル!」

 

「はい!」

 

俺の合図にガブリエルは頷き、極大の光の槍を連続で投げつけて大蛇(おろち)の首を全て消し飛ばした!

ガブリエルが俺の背後まで下がった瞬間、オーラを解放。同時にアロンダイトを掲げると、天を突こうといわんばかりに伸びていく!

八重垣もそれを警戒し、自分を囲むように再生した大蛇(おろち)の首全てでとぐろを巻き、防御の体勢を取る。

集まってくれたのなら、好都合。一気に決める!

狙い済まし、左足を大きく踏み込んでアロンダイトを一気に振り下ろそうとした瞬間、俺たちと八重垣の間に凄まじい勢いで何かが落下してくる!大量の砂塵が舞い、それが晴れるとそこにいたのは━━、

 

「ミラナ!」

 

「う………」

 

満身創痍になっているミラナだ!トウジさんを確保しに行ったのに、何があった!?

俺がアロンダイトを振り下ろすのを躊躇っていると、大量の魔力の塊が降り注いでくる!

俺は舌打ちをしながらアロンダイトを凪ぎ払い、それら全てを迎撃、消滅させる。余波で近くの建物も消し飛んじまったが、仕方ねぇ!

俺がオーラを辿って空中を睨み付けると、笑みを浮かべた奴がいた。

 

「リゼヴィム……ッ!」」

 

「うん、いい攻撃だ。アロンダイトを託されているとは予想外だったよ」

 

俺の持つアロンダイトを見て苦笑するリゼヴィム。誰かを脇に抱えている。目を凝らしてみると、リゼヴィムが抱えているのは━━トウジさん!?

リゼヴィムは八重垣の横に着地すると、奴に言う。

 

「さて、八重垣くん。キミの復讐を果たす前に、少々手伝ってもらおうか」

 

「局長を殺す場所は━━『エデンの園』と決めています。それまでは、局長に手は出しませんよ」

 

八重垣が不気味に笑みながらそう言うと、リゼヴィムがミラナとガブリエルに目を向ける。

 

「セラフとその『A(エース)』、ここで殺してしまおうか」

 

「ッ!」

 

リゼヴィムの言葉に反射的に動いたのはガブリエルだ。倒れるミラナに駆け寄っていく!

八重垣はガブリエルに大蛇(おろち)の八つ首を放つ!ガブリエルがそれを迎撃しようとした瞬間、リゼヴィムが魔力弾を放ち、大蛇(おろち)の頭全てに向かっていく!

あのままいけば同士討ち。……いや、違う、まさか……!

俺は思考よりも先に高速で飛び出す!ミラナの盾になるように立つガブリエルの盾になるように割り込んだ。

その瞬間、大蛇(おろち)の頭が一斉に弾けた!大量に飛び散った血が、雨のように俺たちに降り注いでくる!

 

「舐めるな……っ!」

 

魔力を込めたアロンダイトを一気に振り上げ、剣圧で血を飛ばしていく!だが、再生した瞬間に再び爆破。そして再び再生したら爆破と連続で繰り返され、キリがない。

俺が焦り始めていると、突然それが止んだ。

荒れた息を整えながら顔だけ振り向き、二人には血が付いていないことを確認してガブリエルに訊く。

 

「ガブリエル、ミラナは大丈夫そうか?」

 

ガブリエルがホッと息を吐くと、安堵の表情で言う。

 

「大丈夫です。意識はありませんが、息はあります」

 

意識はないのか。まあ、助かっただけでも幸運か。

俺も安堵の息を吐いていると、リゼヴィムがトウジさんを八重垣に渡す。渡された八重垣は、トウジさんを抱えてどこかに向けて駆け出してしまった。

俺は追おうとするが、リゼヴィムが俺の前に立ちそれを許さない。

リゼヴィムは俺の両眼を見ながら、若干落胆したように言う。

 

「その眼、前よりも正義の色が強くなったように見える。キミは悪側だと、前に言ったんだがね」

 

「悪いが、俺には守らなきゃならねぇ奴らがいるんでな」

 

俺が笑みながら返すと、リゼヴィムが俺の後ろでミラナを守るように結界を張っているガブリエルに目を向ける。

 

「天使を守る悪魔、か。昔では考えられないな。キミはなぜ戦うのだね?敵と認めたものをひたすら殺すためではなかったのか?」

 

リゼヴィムはまるで諭すように言ってくる。確かに、誰かを殺すのはいつものことだ。だが━━。

俺はアロンダイトを握る右手と、背後に立つガブリエルに視線を向ける。結界を張り終えてこちらを向いたためか、一瞬目が合ったガブリエルは驚いていたが、それは無視だ。

リゼヴィムに視線を戻し、俺は言う。

 

「今まで散々殺してきた。だから、今度は誰かを守る。それが贖罪になるとは思えないが、俺にはこれしか思い浮かばねぇ。|過去(つみ)から逃げるつもりも、目をそらすつもりもない。過去(つみ)を背負って、未来を守る。俺は、そのために戦ってる」

 

「その戦いで死ぬことになっても、かね?」

 

「覚悟は決めているが、死ぬつもりはねぇよ」

 

俺が返すと、リゼヴィムから特大の殺気が放たれ始める!今までとは、別次元じゃねぇか……っ!

俺が苦笑していると、結界を張り終えたガブリエルが俺の横に付いてくれる。だが、彼女の額には冷や汗と思われるものが流れていた。

リゼヴィムが冷たい視線で俺を睨みながら言う。

 

「失望したぞ、『紅髪の殺人鬼(クリムゾン・キラー)』」

 

「……それは光栄だ……」

 

顔を真顔に戻してアロンダイトの切っ先をリゼヴィムに向ける。こういう時のために貰ったんだ、使わねぇとな……。

俺の言葉を受けたリゼヴィムは、魔力を込めた右手を向けた。その瞬間、数えるのがバカに思えるほどの極小の魔力弾が放たれる!

俺はガブリエルの前に出ると、アロンダイトを凪ぎ払い、深紅と聖なるオーラを混ぜたものを飛ばす!

リゼヴィムの放った魔力弾の大半はそれに飲み込まれて消滅。残ったものは俺たちの周りの建物に風穴を開け、時には倒壊させていく。

大量に砂塵が舞い、俺とガブリエルはそれに呑み込まれた。俺たちは同時に得物を構え、飛び出していく!

リゼヴィムの表情が、先ほどから浮かべていた冷徹なものから、吸血鬼の国で見せたような狂喜が入り交じるものに変える。

飛び出した勢いのままアロンダイトで突きを放つ!リゼヴィムは障壁を張ってそれを防いでくるが、高速で回り込んだガブリエルが光の槍で横一閃する!

リゼヴィムはルシファーの黒翼でガブリエルの光の槍を防ぎ、全身から魔力を放つ。放たれた魔力は衝撃波となり、俺たちに襲いかかる!

 

「ッ!」

 

「きゃっ!」

 

衝撃波をもろにくらった俺たちは綺麗に吹き飛びされるが、俺は足で地面を掴んで無理やり止まり、ガブリエルは翼を操作して上手く勢いを殺しきっていた。

アロンダイトを逆手に持ち替え、深紅と聖なるオーラを込めていき、振り上げる勢いで斬撃として一気に飛ばす!

リゼヴィムは片手で障壁を展開、それを正面から受け止めるが、斬撃が少しずつ障壁を削ってきている!

振り上げたアロンダイトを順手に戻し、振り下ろす勢いで斬撃を放つ!リゼヴィムが障壁を張るのに両手を使ったと同時に、舞い上がっていたガブリエルが真上から極大の光の槍をリゼヴィムに落とした!

次の瞬間、凄まじい爆音が周辺に響き渡り、立っているのがやっとのほどの風圧が俺にも襲いかかる!

足を踏ん張り風圧から顔を庇っていると、ルシファーの黒翼が振るわれて風圧が切り裂かれ、上空にいるガブリエルに大量の魔力弾が放たれた!

ガブリエルは光の槍を変形させ、盾を形作って弾幕を凌ごうとするが、放たれた魔力弾が空中で突如停止した!同時にリゼヴィムが姿を消し、ガブリエルがこちらに弾き飛ばされてくる!

俺はアロンダイトを背中に背負い、吹き飛んできたガブリエルを受け止める!そして、先ほどまでガブリエルがいた場所に視線を向けると、不敵に笑みながら右手を挙げるリゼヴィムの姿が━━。

あいつ、まさか……!?

ガブリエルを胸で抱えるようにして、そのまま自分の体を盾にするために背中に魔力を込め、リゼヴィムに背を向けた瞬間、奴が手を振り下ろす。

空中で停止していた魔力弾が、一斉にこちらに殺到してくる!

背負うアロンダイト越しに異常に重い衝撃を休みなく連続で受け、激痛が襲いかかるが、歯を食い縛ってそれに耐える!いま気絶したら、確実に死ぬ……!あれをやるしかねぇ……!

覚悟を決めると同時に痛みがなくなる。だが、衝撃がすごいな……!意識が、飛びかねねぇ……っ!

痛覚無視もすることで耐えること数十秒。ようやく攻撃が止んだ。

俺は抱えているガブリエルに訊く。

 

「だ、大丈夫か……」

 

「わ、私は大丈夫です。あなたは━━━!」

 

ガブリエルが顔を上げながら訊いてくるが、表情が固まる。まあ、確かに、そうなるよな……。

アロンダイトを背負っていたとはいえ、背中全てを覆えるほど刀身は大きくない。魔力の防御も、完璧ではない。ようは、魔力も無しの生身で剥き出しな箇所もあるわけだ。

俺の背中から生き物が焼けたような異臭がするが、そこまで痛くねぇ……。まあ、痛覚無視をしているからな……。

ガブリエルを放し、アロンダイトを杖代わりに立ち上がり、舞い降りてきたリゼヴィムのほうに向き直る。

リゼヴィムはあごに手をやりながら、俺に訊いてくる。

 

「キミは自分の命を掛け金にする癖でもあるのかね?それとも、ただ誰かを守るという『大義名分』のために死にたいのかね?」

 

アロンダイトを構え直し、俺は言う。

 

「『大義名分』?……そんなもん知るかよ。俺は、俺のやりたいようにやるだけだ」

 

俺は若干苦笑気味に続ける。

 

「それに、こいつを死なせるわけにはいかねぇ……」

 

「ほう?なぜだね?今の天界を支える『四大セラフ』に名を連ねるからかね?」

 

「それもあるが、理由はもっと簡単だ……」

 

俺はガブリエルに視線を向け、不敵に笑む。

 

「セラフだからとかは関係ねぇ……!俺の目の前で、こんな美人に死んで欲しくねぇんだよ……!」

 

「━━━ッ!?」

 

一番の衝撃を受けたのはガブリエルだ。顔を真っ赤にしながら目を見開いて驚愕していた。

リゼヴィムは可笑しそうに笑う。

 

「ハハハハッ!美人だから、か。面白い解答だ。欲のままに生きる。それもまた悪魔の姿だ」

 

「『悪魔を異世界にも見せつける』とかほざく奴のセリフじゃねぇなっ!」

 

俺はそう返しながら突撃、深紅の聖なるオーラを纏わせたアロンダイトを振り下ろす!

リゼヴィムは白羽取りでそれを受け止め、続ける。

 

「今の世界は、本当の悪魔を知らないだけさ。それを見せつけるのが私たちの目的。悪魔を否定するつもりはないよ」

 

リゼヴィムはそう言いきると、俺の腹部に高速の蹴りを放つ!

 

「うっ!」

 

痛みはないが、衝撃が凄まじい!胃から何かがこみ上げてくるが、吐き出さないように耐えると、リゼヴィムが俺の髪を掴んで顔を寄せてくる。

 

「やはり、キミは面白い」

 

リゼヴィムは再び嬉しそうに笑うと、俺を解放し、あごを蹴り抜いてきた!もろにくらってしまった俺は、いつかのようにガブリエルのいるほうに吹き飛ばされる!

吹き飛ばされたまま、後頭部からガブリエルに突っ込んでしまうが、悪魔人生三度目の柔らかさに包まれて勢いを殺された。……って、またかよ!?

俺が立ち上がろうとするが、ガブリエルが体勢を崩して尻餅をつく。脳が揺れているのか俺は踏ん張れず、一緒に倒れることになった。ああ、くそ……!

後頭部が柔らかさに包まれているなか、リゼヴィムが笑みを浮かべながら言う。

 

「さて、八重垣くんのほうも終わった頃だろう」

 

リゼヴィムは俺の持つアロンダイトを指差す。

 

「また、その『聖滅剣』の力、味あわせてくれ。楽しみにしているよ……」

 

リゼヴィムがそう言うと、転移の光に包まれていく。あの野郎、どこに……!?いや、あの口振りからして、行き先は━━。

俺は倒れたままガブリエルに訊く。

 

「ガブリエル、『エデンの園』への最短ルートは!?」

 

「━━ッ!そのケガで追いかけるつもりですか!?」

 

心配そうに見てくるガブリエルに、俺は立ち上がりながら返す。

 

「ああ。ミラナは、近くの『御使い(ブレイブ・セイント)』に━━」

 

「ミラナはこちらにお任せください」

 

俺の言葉を遮り、俺たちの上から誰かが舞い降りてくる。セラフ特有の金色の十二枚の翼を生やした男性━━ミカエルだ。後ろに部下やその他のセラフを引き連れている。

 

「ミカエル!エレベーターはどうにかなったか!」

 

ミカエルは笑みながら頷く。

 

「ええ、システムの防御術式も完璧です。リリンがどこに向かったか、わかりますか?」

 

「『エデンの園』だから……何天だ?」

 

ガブリエルが答えてくれる。

 

「第四天━━このすぐ下の階層です」

 

……なんか、ガブリエルが落ち着いている。また胸にダイブしたのに気にしなくなったのか……?

 

「━━━━っ」

 

「だ、大丈夫ですか!」

 

今、一瞬意識が飛びかけたぞ……。ちょっと、無理をしすぎたか……?

ふらつく俺の肩をガブリエルが支えてくれる。

俺は視界が霞むなか、ミカエルに訊く。

 

「大丈夫だ。ミカエル、エレベーターはどこだ?すぐに向かわねぇと」

 

「……わかりました、我々も同行します。天界に土足で入ってきたのです。リリンには、罰を与えなければなりません」

 

ミカエルが一瞬迷いながらもそう言うと、後ろの部下たちに視線を配る。ミカエルと目が合った部下たちは頷き、ミラナのほうに向かっていった。

 

「では、我々も向かいましょう」

 

彼らを見送ったミカエルが言葉に、俺とガブリエルは同時に頷く。

視界も回復した。なら、いける!

ミラナの治療に向かったメンバーを除いた面々は、ミカエルの先導のもと、リゼヴィムがいると思われる『エデンの園』を目指して駆け出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 




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