グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life04 チーム分け

決戦の日時は決まったが、その日を迎える前にやることがひとつ。

それを終わらせるために、俺━━ロイは兵藤宅の地下に来ていた。

 

「━━って、わけだ。色々と手伝ってくれ」

 

「はい!お任せください!」

 

「了解にゃ」

 

ルフェイと黒歌に手伝いを頼みに来たのだ。ルフェイはともかく、黒歌を含めたヴァーリチームが参戦したら殺しあいになりかけない。あくまで裏方のサポートだけだけどな。

黒歌が口元に人差し指をやりながら笑む。

 

「で、何かお礼とかはないの?」

 

「……あるわけねぇだろ……」

 

嘆息混じりに返すと黒歌は「え~」と不満げに漏らした。

 

「悪魔はギブアンドテイクでしょ?何かしてよ~」

 

身を乗り出して言ってくる黒歌。ギブアンドテイク……か。確かに悪魔は仕事をこなし、その対価をもらってなんぼだ。だからって、いきなり言われてもなぁ……。

俺があごに手をやって考えこんでいると、黒歌が妖しく笑む。

 

「じゃあさ、『添い寝』させてよ」

 

「……は?」

 

「だから添い━━」

 

「聞こえてたよ。……なんでそうなる」

 

俺が訊くと、黒歌は説明を始める。

 

「戦ったら疲れるでしょ?」

 

「……だろうな」

 

「仙術使えば、疲れ吹っ飛ぶでしょ?」

 

「……ああ」

 

「元気になったら私を押し倒して」

 

「……ん?」

 

「そのまま子作━━」

 

「ストップ。バカじゃねぇの」

 

俺が軽く睨みながら言うと、黒歌は可笑しそうに笑う。

 

「にゃはは、冗談にゃ。単に私が添い寝したいだけにゃ」

 

それでも問題あると思うんだがな。冗談で流してもいいかもしれないが、こいつの場合、報酬ありとなしでは、反応の速さが違うだろう。

俺が真剣に思慮をし始めるなか、ルフェイと黒歌が色々と言い合っていた。聞こえた部分だけだが、「あまりからかってはダメですよ」とか「別にいつも通りにゃ」とかなんとか。ルフェイは報酬なしでやってくれるんだな。

俺は盛大にため息を吐き、口を開く。

 

「りょーかい。添い寝までなら許可してやるよ。ただ、しっかり仕事しろよ?向こうで何もなくて出番なしでも仕事してない判定だからな?」

 

「わかったにゃ。でも、その条件だと、向こうが変な邪魔してくれないか期待しちゃうけどね」

 

笑みながら言う黒歌。そもそも向こうがそんな姑息な手を使ってくるとは思えない。これなら問題なく一人で寝られるだろう。

 

「ま、何かあったら頼むぞ」

 

「了解にゃ」

 

笑みを崩さずに頷く黒歌。やれやれ……。ストラーダ、真っ向勝負で頼むぞ……。

俺が敵にそんな事を祈るなか、ルフェイは、

 

「その、申し訳ありません……」

 

と、申し訳なさそうに頭を下げてきた。俺は「気にすんな」と一言で返し、二人の使っている部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━で、自分の部屋のドアを開けたはずなんだが……。

 

「……なんだ、これ……」

 

まったく見知らぬ部屋に出た。

ざっと見た感じ、二十畳そこらの広さで、壁には何かの絵画が飾られている。それ以外にも装飾がいくらかあるが、最も目を引いたのは、部屋の中央に鎮座している天涯付きのベッドだ。

クローゼット的な家具はなく、ベッドと椅子、テーブルとそれに乗った簡単なティーセット、時計程度しか確認できない。なんか、長時間いるよりは短時間休憩するような部屋だな。

俺は頬をかき、警戒しながら部屋に入る。なんか、光力に似た力を感じるから、悪魔サイドが用意したものではないだろう。ならば、天界か堕天使サイドが用意したんだろうと予測できた。だが、こんな部屋になんの意味が━━、

 

『実は、「悪魔と天使が子供を作れる部屋」を開発しまして……』

 

これかぁぁぁ………!まさか話を聞いてすぐ来ることになるとは思わなかったよ。てか、いつの間に用意された!?

俺はそう思いながらゆっくりと後退。部屋から出ようとするが、

 

「……あ。お、お待ちしておりましたぁ………」

 

突如、ベッドの影から声が発せられた。いや、聞き覚えがある間延びした声……ってか、もうあいつしかいねぇ。

俺は小さくため息を吐き、警戒を解く。

 

「ガブリエル、何か用か?とりあえず、出てこい」

 

俺の言葉を受け、ガブリエルがゆっくりと顔を出す。顔が真っ赤になっているが、いつものことなので流す。

俺は近くの椅子に腰掛け、訊いた。

 

「で、何しに来た。こっちとしては、大事な決戦が近いんだが」

 

「それに関して、少し情報をもってきましたぁ」

 

ガブリエルが机を挟んで向かいに座り、書類の束を渡してきた。ざっと目を通してみれば、ストラーダとクリスタルディを始めとして、彼らに付き添っている戦士たちの素性が書かれていた。

なるほど、昔の部署を知れば、多少立ち回りの癖がわかるか。だが━━、

 

「少しって量なのか、これ……」

 

口の端をひきつらせ、俺は書類をめくっていく。何だこれ、十枚とかそんなレベルは軽く越えてやがるぞ。

俺は頬をかき、この際取り巻きは諦めることにした。ストラーダとクリスタルディの癖とか武器がわかれば、多少どうにかなるだろう。

そう決めたのはいいが、こいつら本当に化け物だろ……。二人とも現役時に使っていた聖剣のレプリカを持っている。

本物の五分の一程度の力しかないらしいが、二人にかかれば本物と同じ力を引き出してくるだろう。現役の聖剣使いを相手にしていると思わないと痛い目に遭うだろう。

だが、二人には人間ならではの弱点がある。二人とも結構な年だ。長期戦に持ち込めば、限界がくるだろう。嫌な勝ち方だが、最悪その手もある。

あごに手をやりながらそんな事を考えていると、ガブリエルが口を開く。

 

「……申し訳ありません。こちらの不手際ですのに……」

 

書類から視線を外し、ガブリエルに言う。

 

「ん?まあ、気にすんな。尻拭いには慣れてる」

 

なんて事のないように言うと、ガブリエルは「ありがとうございます」と返してきた。

まあ、下手な作戦が通じる相手なのかって疑問もあるから、詳しくはリアスやソーナに任せるとしよう。今はそれよりも気になることがある。

 

「書類はありがたいが、別に手渡しじゃなくても良かったんじゃねぇか?」

 

書類を机に置きながら訊いてみると、ガブリエルの顔が赤くなる。

 

「いや、あの、その……」

 

顔を俯かせながら、聞き取るのがやっとの声を発する。

 

「あなたに会いたくて……」

 

「……ああ。うん、どうも」

 

いきなりそんな事を言われたので、俺まで顔が赤くなる。いや、まさか、そんなストレートに言われるとは思わなかった……。

頬をかきながら小さくため息を吐き、時計を確認する。

 

「さて、寝るとするか」

 

「……ふぇ!?」

 

嫌な間を置いて、ガブリエルが間の抜けた声を出した。ベッドと俺を交互に見ているが、何を期待しているんだ?

俺は後頭部をかきながら訊く。

 

「━━で、どうやったら戻れるんだ?とりあえず、出ればいいのか?」

 

「え!あ、そうですよね……。はい、すぐに戻します……」

 

若干残念そうに言うガブリエル。まあ、何かするにしても次の機会にしてもらう。決戦が近いんでね。

そんなわけで、書類を持ってガブリエルと共に一時退室。ドアノブを付け替えてからドアを開けると、俺の部屋に戻っていた。……相変わらずの技術力だな。

ガブリエルは俺の部屋に入ると、転移用魔方陣を展開して「それでは、またお会いしましょう」と言って転移していった。

……やれやれ、今日も疲れたぜ。主に女性関係でな!

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、ようやく訪れた決戦当日。決戦に参加するメンバーは兵藤宅の転移室に集合していた。

メンバーが揃ったところで、皆に言う。

 

「これは教会クーデター組との言っちまえば『喧嘩』だ。場所はこの転移魔方陣の先に作ったレーティングゲーム用のフィールドで行う。相手もそれを承知した。ここよりは派手に暴れられる」

 

ソーナが言う。

 

「深夜零時ちょうどに開始ということになっています。相手も、こちらが用意した転移型魔方陣でフィールドに来ることでしょう」

 

俺がソーナに続く。

 

「その転移で牢獄にってのも考えたが、そんなことしたら余計に禍根が残っちまうからな、やらないことになった。それに、喧嘩をするなら正面からってのが礼儀だろう。上の連中もクーデター組に退路がないのも重々承知なんだろうよ」

 

俺たち意見を受け入れてくれる辺り、多少は信頼してくれているのだろうか。それとも俺たちを信用したストラーダとクリスタルディを信頼しているのか。まあ、後者だろうけどな。

アザゼルが続く。

 

「貧乏くじを引かせてしまって申し訳ない。だが、ストラーダ、クリスタルディ、この両名がただイタズラに不満を抱いた戦士を連れてきてはいないだろう。戦士たちの憤りを俺たちにぶつけたいのが本音だろうが、枢機卿の三名の真意は他にある。ある程度、ヴァチカン本部から情報を得ていてな……あいつらは本当の大馬鹿野郎だってことがわかった」

 

アザゼルは苦笑いしているが、どことなく呆れと悲哀の色を瞳に映していた。

まあ、俺は戦闘に集中させてもらうがね。

俺がもうひとつ情報を言う。

 

「それと、フィールドのモデルは駒王町だ。学園を中心に半径十キロの地域を再現した。フィールドの形成にはロセが協力してくれた」

 

ロセが一歩前に出て、説明を始める。

 

「トライヘキサ用に研究中の術式をフィールドに用いています。……良い結果が得られればいいのですが……」

 

ユーグリットが言っていた、ロセが書いた論文がトライヘキサの封印に一役買いそうだという情報。アザゼルや研究者と協力して作っていると聞いたが、だいぶ形になったようだ。

未知の相手に封印術式を作る。聞いただけでもストレスがスゴそうだな。今度息抜きにでも連れていってやろう。

俺は説明を続ける。

 

「向こうはストラーダを中心としたグループと、クリスタルディを中心としたグループに別れてくるそうだ。というわけで俺たちも別れることにする。クリスタルディのほうにはデュリオを中心として、グリゼルダ、イリナ及び『御使い(ブレイブ・セイント)』の参戦メンバー、それと匙以外の生徒会メンバー。ストラーダのほうにはリアス眷属と匙、それと俺がつく」

 

アザゼルが追加で情報を言う。

 

「ルフェイと黒歌、刃狗(スラッシュ・ドッグ)が裏でのサポートに入ることになっている。何かあったら頼れ」

 

アザゼルが一通り話し終えると、俺は木場に言う。

 

「あと木場。先に言っておくが、おまえはクリスタルディのほうに行け」

 

「━━ッ!いいんですか?!」

 

驚愕する木場。まあ、特に前情報もなく伝えたからな。

俺は頷き、言葉を続ける。

 

「ああ。おまえの過去は一通り聞いた」

 

木場は人工的に聖剣使いを生み出す計画━━『聖剣計画』なるものの唯一の生き残りらしい。コカビエルに殺されたバルパーが主導した、人道を無視した計画。多くの少年少女たちが犠牲になり、逃げ出すことができた木場だけが生き延びたらしい。だが、木場も瀕死だったらしく、そこをリアスに拾われて悪魔に転生したそうだ。

 

「━━越えてみせろ。エクスカリバーを」

 

「……はい!」

 

応える木場。いい加減、あいつに根づく聖剣への想いを吹っ切ってもらいたいからな。無茶しまくって、見ていてハラハラするし……。

一通りの話を終え、あとは各々でリラックスを心掛けるなか、ロセが若干緊張の面持ちになっていることに気づく。

 

「不安か?」

 

「……はい。少しだけ、ですが……」

 

俺はロセの肩に手を置き、励ますように笑みを浮かべる。

 

「俺はおまえを信じてる。まあ、何かあっても、何とかするのが俺の役割だ」

 

「……が、頑張ります」

 

少しだけ表情が和らぐロセ。てか、照れてる?まあ、気が抜けすぎると逆に心配になるから、このくらいがちょうどいい……のか?

俺が苦笑していると、俺の腕に絡み付いてくるヒトが一人。

 

「なによ、裏方の私には何もなしなの?」

 

「はいはい。おまえも頼りにしてるよ」

 

何て言いながら頭を撫でてやる。一瞬驚くが、すぐにくすぐったそうな笑みに変わる。やれやれ、下手したら一緒に寝ることになるのか……。

俺が小さく息を吐いていると、横から視線を感じた。見てみると、ロセが見つめてきているようだ。

 

「……いいなぁ……」

 

「………」

 

俺は黒歌を撫でるのを止め、無言でロセの頭を撫でてやる。まあ、たまにはいいだろう。

 

「えへへ……」

 

顔を赤くしながら笑うロセ。……かわいい。

俺がそんな事を思っていると、ソーナが時計を確認して皆に言う。

 

「時間です。━━フィールドに入りましょう」

 

ソーナの号令で俺は撫でるのを止め、他のメンバーと同様に転移魔方陣に乗る。

さーて、喧嘩しに行きますか!

 

 

 

 

 

 




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