グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life07 乱入者

「私がころころしてあげるわよーん♪」

 

突如響いた第三者の声。全員が周辺に目を配らせ、声の主を探す。

俺たちから少し離れたところにゴシック調の衣装に傘を差している女性━━魔女ヴァルブルガがいた。また侵入してきたようだ。てか、どうやって入ってきやがった……。

全員がヴァルブルガを狙い構えると、奴は愉快そうに笑った。

 

「最後の最後、美味しいところを横合いから取っちゃう♪うーん、燃え萌えだと思わなーい?」

 

ヴァルブルガはそう言うとステップを踏み始めた。そのステップと同時に無数の転移型魔方陣が展開され、光を放ち始める!

その光が止むとそこには大量の量産型邪龍が現れていた!ざっと見ただけで百はいる。まともに相手をするにしても、結構消耗している俺にはちょっと辛いものがあるな……。

そう考えているなかでも邪龍は増えていくと、俺を囲むように魔方陣が展開される!

 

「━━ッ!」

 

魔方陣から複数本の鎖が飛び出し、俺を縛りあげる!な、なんだこれ……力が……抜ける……。

 

「ロイさん!」

 

「……ロセ、来るな!なんか、やべぇ……!」

 

駆け寄るロセを止めると共に膝をつく俺に、ヴァルブルガが邪龍の群れをバックにしながらせせら笑う。

 

「あなたは苦手なのよん。そんなわけで、特別製の鎖を用意したわん。んじゃ、邪龍の皆に活躍してもらおうかなーん♪そこで仲間がころころされるところを、見ていなさい♪」

 

邪悪な笑みを浮かべ、手を前に出して邪龍に指示を出そうとするヴァルブルガ。

俺は強がるように笑みながら、心配そうにしているロセに指示を飛ばす!

 

「ロセ、頼む!」

 

「……はい!任せてください!」

 

ロセが指を鳴らす。すると、フィールド全体が銀色に輝き始めた!フィールドの全てが輝き、その光に包まれた邪龍が力を失ったように倒れ始める。

ピクリとも動かない邪龍軍団にヴァルブルガは驚愕していた。どうやら、うまくいったようだ。

俺が笑みを浮かべロセにサムズアップをすると、彼女はホッと息を吐いた。

俺を縛る鎖が飛び出した魔方陣に、バグが起こったようにノイズが走り、最終的には消え失せた。同時に鎖も消え失せ、解放される。

肩を回しながらヴァルブルガを睨みつけると、奴はさすがに狼狽えていた。

 

「これってっ!どうことなのん!?」

 

ようやく状況を理解したヴァルブルガが声を出した。

そんな奴にロセが不敵に言う。

 

「あなたたちが来ることは想定済みです。このフィールドは私が独自の結界術式を編んで構築されたいまして、邪龍を呼び寄せると機能を封じる作りになっています」

 

そう言うロセだが、トライヘキサ封印のために作っていたものが、こんな形でも役立つとは、わかんないもんだ。

ロセが続ける。

 

「アーシアさんが量産型邪龍を手懐けたのが、今回の術式の大元になっています。量産型邪龍を調査させてもらいましてね。結界を作る際、彼らの動きを停止させるという術を式に盛り込んだのです」

 

そう言えば、アウロスの一戦で何体かの邪龍をアーシアが手懐けたと言っていたが、それからも繋がっているのか。手懐けたアーシアもすごいが、これを一発で成功させるロセもなかなかやるね。

 

「俺の方は、裏方が頑張ってくれたようだな。後で礼を言っておかねぇと……」

 

俺たちの言葉にヴァルブルガは悔しそうに口元をひくつかせていたが、途端に哄笑する。

 

「わーお、これは怖いことになりそうだわん。んじゃ、おいとましましょうかしらねん♪」

 

到着から三分足らずで撤退しようとするヴァルブルガ。だが、彼女が転移型魔方陣を展開しても何も起こらない。

 

「……発動しない?まさか転移封じを……」

 

「いや、経路を全て断っただけだ」

 

再び響く第三者の声、だが今回のは聞き覚えがある。

 

「遅かったな。刃狗(スラッシュ・ドッグ)

 

俺が声の主に声をかける。刃狗(スラッシュ・ドッグ)こと幾瀬鳶雄は右手を軽くあげ応えた。

 

「さすがに数万単位の術式を全て断つのは時間がかかるのでね」

 

俺と幾瀬が話を進めているとヴァルブルガが声を出す。

 

「あ、あんた……本当に人間!?」

 

俺も当然のように話をしていたが、結構驚いていたりする。どこにあるかもわからない数万の魔方陣を全て斬る。悪魔でもできる奴は限られるだろう。言ってしまうと、俺には無理だ。数千ぐらいなら、いけるかもしれないがな。

幾瀬はヴァルブルガを無視し、イッセーに言う。

 

「さあ、決めるんだ。兵藤一誠くん。表舞台で輝いてこそ、伝説のドラゴンなのだから」

 

「は、はい!」

 

イッセーは返事をして、ヴァルブルガを視線に捉える。

さて、俺も仕事しないとな。

邪魔な取り巻きがいなくなり、退路を断たれたヴァルブルガに、俺たちD×D全員が集中していた。

だが、追い詰められているはずのヴァルブルガは高笑いを始めた。

 

「あーっはっはっはっはっ!」

 

両腕を広げ、紫炎を発生されるヴァルブルガ。

 

「じゃあ、見せてあげるわよんっ!私の禁手(バランス・ブレイカー)をねっ!」

 

ヴァルブルガがやる気になるとそれに呼応するのうに紫炎が膨張していった。

紫炎は少しずつ形を変え、巨大に膨れ上がり、何かを形成していく。超巨大な十字架と、そこに磔にされてある八つの首を持つドラゴン。……あれは、どっこからどう見ても八岐大蛇(やまたのおろち)じゃねぇか……。

ヴァルブルガは紫炎の大蛇(おろち)を背後に言う。

 

「これが私の亜種禁手(バランス・ブレイカー)、『最終審判による(インシネレート)覇焔(・アンティフォナ)の裁き(・カルヴァリオ)』、よん♪」

 

長々とどうも、てかまた毒もっているんだろうな。今度は気を付けねぇと。

俺がアロンダイトを構えると、ストラーダが言う。

 

「聞いた話では、現聖十字架の使い手の能力は、磔にしたモデルによって、その姿と特性を変えるという。此度の磔のモデルは八つ首の邪龍、ということなのだろう」

 

説明はありがたいが、時々飛んでくる紫炎の火の粉が地味に痛い。

そんなものを気にせず勇ましく前に出る者が一人。ゼノヴィアだ。二刀流のまま前に出た。

 

「私がやろう。いまなら、いけそうだ」

 

大胆な言動を裏付けるような自信に満ちあふれて表情。先ほどの一戦で何かを掴んだのだろう。

 

「さて、今度こそ仕留める!てか、やり返す!」

 

「俺も行きます!」

 

俺とイッセーがゼノヴィアの横に付く。

アロンダイトに深紅のオーラを纏わせながら二人に言う。

 

「さて、お膳立てはしてやる。おまえらが決めろ!」

 

「はい!」

 

「ああ!」

 

俺は二人の返事を聞いてヴァルブルガの方に歩き出す。

 

「あら、あなたが来るのん。アウロスの時みたいに燃え燃えしてあげわすわん!」

 

ヴァルブルガが魔法を放ち、大蛇(おろち)からも火炎が吐き出される!だが、遅いな!

翼を展開して飛び上がり、魔法も火炎の全てを避けてヴァルブルガに肉薄していく!

 

「燃え燃えにしてあげる?ほざくな!」

 

焦るヴァルブルガが放った魔法を避け、正面から迫ってきていた火炎を切り裂いて最短ルートをとる!

 

「━━ッ!」

 

目を見開いて驚愕するヴァルブルガを視界に捉えながら、全開のアロンダイトを振り抜く!

放たれた深紅の聖滅のオーラをヴァルブルガは紙一重で避けるが、奴の背後にいた大蛇(おろち)の体が袈裟懸けに斬り裂かれる!

横目でそれを確認しながら、その場を飛び退く。

 

「さあ、ここまでやってやったんだ。決めてみせろ!」

 

俺の言葉にゼノヴィアは頷き、不敵な笑みを浮かべた。

 

「では、遠慮なしでいかせてもらおう!私たちは三つでひとつの剣!さあ、共にいこうっ!」

 

ゼノヴィアはオーラが高まった聖剣二本をクロスして、斬撃を放った!異常なまでの聖なるオーラが十字を形作り、放たれる!放った先のものを両断していき、紫炎の大蛇(おろち)を十字に斬り裂いたっ!

その余波でフィールドが再び悲鳴を上げ、裂け目ができていった。

 

「━━クロス・クライシス、とでも名付けようか」

 

なんて言いながら決めるゼノヴィア。まあ、たまにはいいだろう。

 

「嘘、何でこんなので私の紫炎が……!」

 

今の一撃には体を強張らせるヴァルブルガ。イッセーが砲撃の態勢を整え、ヴァルブルガに砲身を向けた。

 

「いくぜっ!クリムゾン・ブラスタァァァアアァァッ!」

 

砲口から放たれた紅のオーラが、ヴァルブルガを包み込んでいった━━。

 

 

 

 

 

 

 

全てが終わったバトルフィールド。教会クーデター組も素直に投降してくれていた。最後の一撃、巻き込まれるかと思ったぞ……。

ヴァルブルガはとっさに障壁を張ったのか、無傷ではあったが、気を失っていたためそのまま拘束し、冥界の機関に送り飛ばした。

そこにアザゼルが到着。審問を受けるため、転移魔方陣に足を進めていたストラーダが声をかける。

 

「さて、元総督殿。どうやら、我らに付いていた背信の徒もあぶり出せたようですな」

 

「ああ、おかげさまでな」

 

「そこまでは知らなかったんだが……」

 

俺が訊くと、アザゼルは特に気にした様子もなく言う。

 

「ん?ああ、そうだったな。戦闘前に要らん情報を教えないほうがいいかと思ってな。リゼヴィムがクーデターを煽ったのは確かだった。となると、教会内に内通者がいるはずだ。事実ヴァルブルガが入り込んできたわけだしな」

 

「で、そいつらは捕まえたのか?」

 

「問題ねぇよ」

 

俺の問いに即答するアザゼル。俺は小さく笑みながら返す。

 

「なら、いいさ。ロセの結界、封印術も試せたんだ。結界オーライだな」

 

俺がそう言うと、ロスヴァイセは苦笑する。

 

「フィールドが壊れないか、封印術以上にそこが心配になりましたよ……」

 

確かに、このフィールドは通常以上に強固な作りらしい。それが今や崩壊寸前だもんな。そりゃあ、心配もするだろう。俺も破壊に一役買ったけどな!

と、ストラーダが懐を探りひとつの小瓶を取り出した。

 

「アザゼル元総督殿、あなたにお渡ししたいものがあります。それは、此度の騒動の代価のひとつです。受け取っておいて損はないでしょう」

 

アザゼルが受け取った小瓶の中には陶器の欠片が入っている。聖遺物(レリック)の放つ独特のオーラを感じられるが、もしかして……。

 

「……この欠片、まさかとは思うが……」

 

「ああ、本物の聖杯の欠片だ」

 

『……ッ!?』

 

それを聞いていたD×Dメンバーは驚いていた。まあ、驚いて当然だろう。神器(セイクリッド・ギア)とは違い、まさしく本物の聖杯の欠片だ。

アザゼルが確認するようにストラーダに訊いた。

 

「そういうことなんだな、ストラーダ」

 

ストラーダは無言で頷くと、リアスと木場に視線を配る。

 

「リアス・グレモリーの『騎士(ナイト)』よ。━━イザイヤ、施設にいた時に仲間たちからそう呼ばれていたと聞く」

 

それを聞いた木場は、酷く驚いていた。

 

「━━━っ。……どうしてそれを?」

 

イザイヤってのが、昔の木場の名前ってことか?まあ、今の名前はリアスにつけられたってのは聞いたことがあったが。

ストラーダが続ける。

 

「繰り返される実験のなかで、一名だけ強固な結界型の神器(セイクリッド・ギア)を発現し、仮死状態ではあったが助かった者がいたのだ」

 

ストラーダが配下のヒトに視線を送る。すると、戦士の一団から一人の少女が姿を現した。白い髪をお下げにした十二、三歳ほどの女の子だろうか。

少女は木場を見つけると、口元を押さえてこみ上げてくるものを堪える。

 

「……イザイヤ?」

 

問いかける少女。木場は驚きながらも、涙を流していた。

 

「……ま、まさか……っ!トスカ、なのかい……?」

 

「……うん」

 

言葉もない俺たちに、ストラーダが語る。

 

「我々が保護したのは良かったのだが、結界を解くことは叶わなかった。しかし、同盟の折、堕天使側からの技術を応用して解くことができたのだ」

 

つまり、木場は唯一の生き残りじゃなかったってことか。生きていればいつか会えるというが、まさかその場に立ち会うとは。

 

「仮死状態ゆえか、成長は止まっており、衰弱も見られた。この国に連れてくるには時間を要したのだ」

 

トスカと呼ばれた少女と、木場が涙を流しながら抱擁を交わす。

……良かったな、木場。今まで生きていなけりゃ、あの子とも再会できなかった。生きてさえいれば、奇跡ってやつにも巡り会えるだろう。

ストラーダは二人を優しく見守りながら言う。

 

「その者を連れていくといいだろう。教会にいては何かと利用する者が出るやもしれん」

 

少女と抱き合いながら、木場が言う。

 

「ストラーダ倪下……僕は……」

 

ストラーダは首を横に振る。

 

「決して、私を許すなよ、ナイトよ。許せば、貴殿の切れ味は鈍る。聖と魔の狭間こそが貴殿の力の根源となろう」

 

「……ストラーダ倪下」

 

次に俺に視線を向けるストラーダ。

 

「貴殿が振るう『聖滅剣』。使い方を間違えれば、貴殿自身にも毒にもたなろう。『聖なる力で滅する剣』となるか『聖なる力を滅する剣』となるかは、貴殿次第だ」

 

「俺は前者であり続けたいがな。俺を信じてくれるヒトたちのためにも」

 

リアスたちに視線を配りながら言うと、ストラーダは頷き、近くにいたゼノヴィアの頭を乱暴に撫でた。

 

「戦士ゼノヴィアよ。先程の一撃、見事だったぞ。そしてなによりも━━恋せよ、乙女ゼノヴィア。デュランダルは愛にこそ寛容なのだ」

 

それだけを言い残し、ストラーダは転移魔方陣のほうに足を進める。

 

「ストラーダ、おまえ、最初から何もかも用意していたのか?」

 

俺の何となくの問いかけに、ストラーダは何も言わず笑みを浮かべ、右拳を天高く掲げた。

俺たちは転移の光に消えていく彼の背中を見送る。

悪魔として長く生きてきたが、あいつはこの世界で会った最高の人間だ━━。

 

 

 

 

 

 

 

 




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