グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life09 再会

教会クーデター組との戦いから数日。

生徒会選挙がおこなわれ、新生徒会長はゼノヴィアに決まった。

その打ち上げを済ませた俺━━ロイは、グリゴリの施設に向かったリアスたちと別れ、冥界に来ていた。いつかにクレーリア・べリアルの情報をくれたあいつから、再び連絡がきたのだ。

そんなわけで、再び髪の色を黒く染め、いつかに来たカフェに来ていた。またここに来てくれって連絡があったんだが、まだ来ていないようだ。

空いていた席に座り、いちおうコーヒーを頼む。ここのコーヒー、意外と美味いんだよな。

周囲を警戒しながら待つこと数分。出されたコーヒーを飲んでいると、向かいの席に見慣れぬ長い紫髪のメガネをかけた女性が座った。いや、何となく見覚えがあるような……。

俺が軽く睨むようにその女性を見ると、女性は特に気にした様子もなく苦笑する。

 

「そうか、この格好で会うのは初めてだったな」

 

女性は髪を撫でながらそう言うと、一度咳払いをして、何となく見覚えのある笑みを浮かべて言ってくる。

 

「お久しぶりです、リーダー。『ジル』と言えば、わかりますか?」

 

「━━ッ!マジか……」

 

俺が驚愕していると、女性━━ジルは頷く。

 

「まあ、ご存じのとおり偽名です。けれど、そちらのほうが呼びやすいでしょうから、そのままでも構いませんよ」

 

「あ、ああ。じゃあ、そうさせてもらう」

 

俺が驚きながらも頷くと、ジルは口調を戻す。

 

「さて、私がアジュカ様直属の部下だという話は聞いているな?」

 

「ああ。ルシファー様から聞いた」

 

変装しているので兄さん呼びは控えることにした。

ジルは頷き、ずれたメガネを直して言う。

 

「キミとキミが頼った彼が『あれ』にたどり着いたことがわかってな。少しばかり話をしたくなったそうだ」

 

「アジュカ様が、か?」

 

「そうだ。それと、彼はキミと別れた直後に保護した。まあ、苦労したけどね」

 

苦笑するジル。あいつ、ある意味で捕まっていたんだな……。まあ、アジュカ様のところは安全そうなので安心だ。

俺がそんな事を思っていると、ジルが身を乗り出して耳元で言ってくる。

 

「(さて、場所を変えよう。長居しすぎたようだ)」

 

「(━━だな)」

 

ジルが入って数分してから、妙な視線を感じるようになったのだ。たぶん、この店はマークされていたんだろう。俺たちはそこに飛び込んじまったわけだ。

俺とジルは席を立ち、会計を済ませて足早にその店を離れる。で、ついてくる気配が複数。尾行にしては、随分お粗末な連中だな。

 

「来てるな。三、いや、四人か」

 

「ああ。ついでに、正面に五人だ。店に入る前に確認しておいた」

 

「抜かりねぇな。だが、甘い連中だな。大王派か?」

 

俺が訊くと、ジルは何とも言えない顔になった。

 

「どうだろうな。旧魔王派の残党は意外といるものだぞ?まあ、誰であれ、煽ったのは大王派だろうがな」

 

「やれやれ……面倒だな」

 

ため息混じりに言うと、ジルが路地裏に入っていった。ジルに続いて路地裏に入ると、彼女はそのまま転移魔方陣を展開した。

 

「確かに面倒だからな。さっさと撒いてしまおう」

 

「頼む」

 

転移の光に包まれるなか、路地裏に飛び込んでくる影が複数。慌てて飛び込んできたようだな。

まあ、下らない連中だ。気にする必要もないだろう。

俺がそいつらを一瞥すると、転移の光が強くなっていった━━━。

 

 

 

 

 

 

光が晴れると、そこは見知らぬ建物の中だった。俺の回りを携帯のようなものをいじる人間が複数人いる……。

そいつらもそいつらで「何だこの『ランク』は」とか何とか言ってくる始末だ。

 

「こっちだ。皆が待っているぞ」

 

ジルは彼らの視線を気にすることなく進んでいき、俺も続く。てか、皆って誰だ……?

部屋の奥にあったエレベーターで屋上庭園に移動、アジュカ様がいるという庭園の奥に進む。

その奥に到着すると、アジュカ様が来客用と思われるスペースで優雅に紅茶を飲んでいた。

アジュカ様はティーカップをテーブルに置き、俺を視界に捉えると立ち上がる。

 

「やあ、久しぶりだね」

 

「お久しぶりです」

 

それだけのやり取りをすると、アジュカ様は椅子に座り、俺もアジュカ様に対面する形で座る。ジルはアジュカ様の後ろについた。

 

「それで、お話と言うのは」

 

俺は単刀直入に訊くと、アジュカ様は苦笑する。

 

「まあ、そこまで急がなくてもいいだろう。すぐに彼らも来る」

 

アジュカ様がそう言った矢先、こちらに近づいてくる気配が複数。感じたことがある、懐かしい気配だ。

気配のするほうに目を向けると、先頭にいた金髪ショートヘアーの女性が反応した。

 

「あ!隊長!隊長ですよ、クリスさん!」

 

「お、本当だ。リーダー、お久しぶりです!」

 

その後ろにいた黒髪の男性がニカッと音がしそうなほど爽やかな笑みを浮かべていた。

俺は笑みを浮かべながら席を立ち、軽く右手を挙げながら二人に声をかける。

 

「アリサ、クリス!久しぶりだな!」

 

「いやー、やっと解放されました。まあ、今はジルさんのお世話になっているんですけどね」

 

「ま、気楽にやらせてもらってますよ」

 

二人が変わらずの様子で言うと、ジルが微笑する。

 

「見ての通り、彼らは相変わらずさ。安心しただろう?」

 

「ああ。いやー、色々ありすぎて忘れかけてたわ」

 

「「ヒドッ!」」

 

「冗談だよ」

 

俺たちが話に花を咲かせていると、二人に続いて入ってくる男性が一人。

 

「まったく、その三人に追いかけ回された俺の身にもなってほしいな。まあ、久しぶりにのんびりさせてもらっているが」

 

いつかに接触した彼だ。無事に保護したって、こいつらに追いかけ回されたのか……。

若干の同情の念を送っていると、アジュカ様が言う。

 

「彼らには私の『ゲーム』にも参加してもらっている。時々だがね」

 

アジュカ様の言葉に合わせてか、四人がスマホを取り出していた。いつかに言っていたやつだな。俺も誘われたが、嫌な予感がしたから辞めておいたんだよな。

俺が「へー」なんて言いながら頷いていると、アジュカ様が話を戻す。

 

「さて、話を戻すそうか。皆、座ってくれ」

 

アジュカ様が言うので再び席につくと、ジル以外の三人も空いている席に座った。

それを確認し、アジュカ様が言う。

 

「ロイくんに伝える事は二つ。まず一つは、彼らの釈放に関しての条件だ」

 

「条件、ですか?」

 

俺が聞き返すと、アジュカ様は頷いて続ける。

 

「ああ。まあ、簡単だよ」

 

一拍間をおいて、アジュカ様が言う。

 

「彼ら二人を、キミの眷属にするというものだ」

 

「━━っ。なるほど……」

 

二人を俺の眷属にするということは、二人が何かしら不穏な動きを見せれば、俺が対処しろということだ。最悪、殺すという選択肢も━━ということにもなる。

表情を厳しくする俺に、アジュカ様が言ってくる。

 

「キミが眷属を持たないことも、その理由も知っている。だが、これを了承してもらいたい」

 

即答はせず、二人に視線を向けるが、二人とも俺に任せるように小さく頷くだけだった。まったく、信頼してくれて嬉しいが、なかなか決心するもの大変なんだぞ?まあ、こいつらが何かしでかすこともないだろうし、ずっとアジュカ様とジルに任せるわけにもいかねぇか。

俺は苦笑し、了承する。

 

「……わかりました。で、おまえらは何をご所望だ?今なら何でも空いてるぞ」

 

俺が開き直ったように言うと、アリサが真っ先に挙手する。

 

「はい!『(クイ)━━』」

 

「俺は『戦車(ルーク)』。アリサは『僧侶(ビショップ)』でお願いします」

 

そんな彼女を遮り、クリスが要望を言ってきた。横でアリサが固まっているが、念を押すように言う。

 

「言い忘れたが、『女王(クイーン)』はダメだ。役職が役職だからな。そこは慎重に選ばせろ」

 

「は、はい……」

 

若干気落ちしているアリサを横目に、魔方陣から要望された悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を取り出す。

 

「一つで足りればいいんだがな……」

 

ぼやきながらそれぞれの駒を二人に差し出す。二人はそれを受け取り、自分の胸に当てると、深紅の光に包まれた。

光が晴れてみると━━、

 

「おお、力がみなぎる!」

 

「何だか、不思議な感じですね」

 

クリスは力こぶを作りながら、アリサは自分の胸に手を当てながらそう漏らした。どうやら、一つで足りたようだ。

俺がホッと息を吐いていると、アジュカ様が頷く。

 

「これで一つ目は完了だな。まあ、たまにはレーティング・ゲームのほうにも、こちらの『ゲーム』のほうにも参加してくれると助かる」

 

「まあ、レーティングのほうはともかく、そちらの『ゲーム』のほうは二人の意思を尊重します」

 

俺が返すと、二人も続いて頷く。

 

「どうせしばらくは暇でしょうからね」

 

「やってみると、結構楽しいんですよ!隊長もどうですか!」

 

「いや、辞めとく」

 

俺たちがわいわい喋っていると、アジュカ様が再び咳払いをして次の話題に入る。

 

「さて、次だ。彼━━エリックが集めた情報は真実だよ」

 

「━━ッ!」

 

俺は本日何度目かの驚愕の表情を浮かべる。情報の真偽はともかくとして、あいつエリックって名前だったのか!?

心のうちが表情に出ていたのか、エリックが嘆息気味に言う。

 

「……まあ、昔からコールサインで呼んでいたからな。なんだか、本名呼びが新鮮に思えるよ」

 

「俺はそんな事なかったけどな」

 

「おまえは半分引退しているようなものだろう。俺はまだまだ現役なんだよ」

 

俺とエリックが何て事を言い合っていると、アジュカ様が咳払いをしたので意識をそちらに戻す。

 

「キミたちがたどり着いた秘密。それを知ってしまった、いや、知らされた人物がもう一人いる。誰だかわかるかね?」

 

「……?まあ、知ってはいけない人物は間違いなくディハウザーだと思いますが」

 

「そのディハウザーが、あの情報を知ってしまったんだよ」

 

俺の適当な発言をアジュカ様は肯定した。まさか、皇帝(エンペラー)がライバルたちの不正を、親戚の死の真相を知っちまったのか……。

ジルが言う。

 

「アリサとクリスには事前に話したんだが、彼が何をするか、予測がつかない状況だ。現に━━」

 

何かを言おうとしたジルを手で制し、アジュカ様が言う。

 

「この事は私からD×Dの面々に伝えるつもりだ。それと、一つ聞きたいんだが」

 

「何ですか?」

 

俺が聞き返すと、アジュカ様は若干内容を隠しながら訊いてくる。

 

「二天龍討伐作戦の後、セラフォルーやサーゼクスにしたという話、本当か?」

 

「あ、聞きました?」

 

なんか、知らないうちに俺の秘密が暴露されているんだが、少しは相談しろよ!

俺が何て事のないように返したことが気になったのか、さらに訊いてくる。

 

「その反応、つまりそういうことか」

 

「はい。まあ、あの二人が話すべきと判断したんでしょう。その判断は尊重しますよ」

 

「そうかそうか。なるほど……」

 

興味津々と言った様子で俺を見てくるアジュカ様。な、何か、きな臭いマッドサイエンティストに睨まれているような嫌な気分だ。

俺が若干冷や汗を流しながら頬をかいていると、突然俺のケータイに着信が入る。見てみると、ヴィンセントからだった。こんな時間に連絡とは、何があった?

一言アジュカ様に断りを入れ、一旦席を離れてケータイに出る。

 

「おう、俺だ。どうかしたのか」

 

『ロ、ロイ!おまえ、ニュース見てねぇのかよ!?ああ、まだ流れてなかったんだ……じゃなくて、ライザーとレイヴェルがいなくなっちまったんだ!』

 

「あのな、俺は基本人間界に住んでんだぞ?冥界の情報は少し遅れるんだよ。……で、何があった?」

 

『「皇帝べリアル十番勝負」でライザーがディハウザーと対戦したんだが、その時にディハウザーもろともいなくなっちまったんだよ!眷属として合流していたレイヴェルも一緒にな!』

 

焦りまくりのヴィンセント。そういえば、リアスがそんな特番があるとか言っていたな……。だが、ディハウザーが関わっているとなると……。

 

「ヴィンセント、ちょっと待ってろ」

 

『お、おう』

 

一旦ヴィンセントに待ってもらい、アジュカ様のもとに戻って開口一番に訊く。

 

「アジュカ様。フェニックス兄妹について、何かご存じですか?」

 

アジュカ様は意味深に笑むと、

 

「時が来たら、ということにしておいてくれ」

 

と言ってきた。このヒトが言うのであれば大丈夫だろう。

ケータイを耳元に当て、しっかりと待ってくれていたヴィンセントに言う。

 

「ヴィンセント、大丈夫だ。すぐに見つかる」

 

『ほ、本当か!?おまえが言うんだったらそうだろうが、本当に頼むぞ!?』

 

「落ち着けよ。俺の予想じゃ、悪いようにはなってねぇよ」

 

念を押すようにアジュカ様に視線を向けながら言うと、アジュカ様は確かに頷いた。

 

『わかった。それじゃあ、見つかったら連絡してくれ』

 

「了解だ。まあ、おまえの情報網のほうが早いかもしれねぇけどな」

 

『そうかもしれないな。それじゃ、頼んだ』

 

ヴィンセントはそう言うと一方的に電話を切った。……あいつ、俺の扱いが最近雑だよな……。

俺はそんな事を思いながらため息を吐くと、アジュカ様がジルに目で合図を送り、それを受けたジルが言う。

 

「さて、話は終わりだ。駒王町まで送っていこう。アリサとクリスは引き続き『ゲーム』のほうを頼む」

 

「わかりました!隊長、何かあればすぐに呼んでください!」

 

「了解だ」

 

「そう言えば、リーダーはなんと呼べば?」

 

クリスが突然訊いてきた。まあ、『リーダー』って呼び方をされる『(キング)』はあまりいないだろう。

 

「まあ、好きに呼べ」

 

苦笑気味に言うと、二人は頷く。

アジュカ様とエリック、そして眷属になった二人に見送られてその場を後にする。

やれやれ、また面倒が増えちまったな……。まあ、頑張っていくしかねぇか……。

 

 

 

 

 

 




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