グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life06 兄弟共闘

俺━━ロイは兄さんと並び、トライヘキサを睨む。奴は立ち上がった俺を見て多少警戒していたが、すぐに兄さんのほうにも意識を傾ける。

グレンデルの力が馴染んだのはいいが、自分でもどの程度いけるのかがよくわからん。まあ、やるしかねぇけどな。

俺はゆっくりと息を吐き、兄さんに目で合図を送る。それを受けた兄さんが小さく頷いた瞬間、魔力噴出口から魔力を放出させて一気に飛び出す!

自分でも驚くほどの速度を叩き出したが、そんな事で驚いているほど余裕はない。すぐさま意識を切り替えてアロンダイトを振り下ろす。

トライヘキサは防ごうと腕をクロスさせるが、俺の一撃はその腕ごと奴の身体を切り裂き、真っ二つにする。トライヘキサはすぐさま距離を離そうとするが、そこに滅びの球体が襲いかかり、身体を完全に消し飛ばした。

━━が、その程度で倒れてくれるほど優しくはなく、すぐさま身体を再生させて俺に向かってくる。

俺は慌てずに左手の手元に深紅と深緑の入り交じったオーラを溜め、トライヘキサに向けて放つ。神速で放たれたそれをトライヘキサは回避できずにあっさりと呑み込まれた。

左手をトライヘキサを呑み込んだ球体に向け、閉じる。同時に球体が圧縮されていき、中のものを消滅させる。だが、まだ終わりではない。トライヘキサは肉体を再生させながら球体から飛び出し、正面から俺に拳を放ってくる。

軽く首を傾げるだけでそれを避け、オーラを纏わせた左拳で腹部を撃ち抜く。数歩分トライヘキサとの間合いが開いたところでアロンダイトにオーラを纏わせ、それを叩きつける。

トライヘキサの左半身が見事に削り取られ、一瞬動きが止まる。その隙を狙った兄さんの放った滅びの球体が残りの右半身を消し飛ばし、再び再生される。

それと同時に放たれた蹴りを避け、一旦兄さんの所まで下がる。まったくもって倒せねぇ。どうやれば削りきれるんだ?

 

『情報通りのタフさだね。あと何度消滅させればいいのやら』

 

「まあ、ヤバくなったら結界を破って外の連中にバトンタッチもありだけどな。なんか作戦があるんだろ?」

 

俺の問いかけに兄さんは頷き、右手の指を二本立てた。

 

『ひとつは聞いていると思うけど、そのあとにも保険がある』

 

その保険を知りたいんだけどな。セラとアザゼルのあんな顔見せられたら、嫌なものを想像しちまう。

俺が思いきって問おうとした矢先、トライヘキサがオーラを溜め始める。まとめて消し飛ばすつもりのようだ。

俺と兄さんはそれぞれ左右に別れて回避しようとすると、オーラを半分に分散させてそれぞれを狙い撃とうとするトライヘキサ。だが、甘い。

俺はまっすぐ横に逃げていたが、放出のタイミングを狙って一気に直線的にでトライヘキサとの間合いを詰めにかかる。横に逃げていた俺の動きを予想しての攻撃はあっさりと外れ、海面に叩きつけられて大きな水柱が生まれた。

跳ね上がった水しぶきの中を突っ切り、アロンダイトを振り下ろす。再びトライヘキサの身体を切り裂くが、今度は途中で肉体を再生させたのか、途中でアロンダイトが止まってしまう。

俺一人の時は対応しずらいが、今は二人だ。同じくトライヘキサの攻撃を避けた兄さんが一気に肉薄し、トライヘキサの身体をその拳で削り取る。

同時にアロンダイトを引き抜いて一旦下がり、再び深紅と深緑のオーラをトライヘキサに放つ。トライヘキサの頭が綺麗に吹き飛ばされるが、再生させる前にそのまま殴りかかってくる。先程と同じように紙一重で避けていき、時にはカウンターの拳を放っていく。

俺が右拳をフルスイングで撃ち抜いてトライヘキサを殴り飛ばすと、そこに兄さんが滅びの球体を放って再び消滅させた。

俺たちは再生からの反撃にに備えるが、なかなか現れない。なんだ、どこにいった……。

俺と兄さんが目を合わせると、俺たちから少し離れた所にトライヘキサが現れ、今まで以上のオーラを溜め始めた。

 

『この空間ごと吹き飛ばすつもりか!』

 

兄さんがすぐさまトライヘキサに向かおうとするが、俺はアロンダイト刀身をゆっくりと撫でてオーラを込めていく。鎧に刻まれた深緑のラインを伝ってオーラがアロンダイトに流れていき、刀身にも深緑色のラインが現れ始めた。

アロンダイト本来の聖なるオーラ、深紅の滅びのオーラ、そしてグレンデルの深緑のドラゴンのオーラ。

その三つが合わさると光の柱となり、空間を震わせるほどのオーラを放ち始める。だが、こんな無駄はいらない。もっとピンポイントで奴を撃ち抜かねぇと削りきれねぇ。

俺の意思がアロンダイトに伝わってくれたのか、光の柱が圧縮されていき、三つのオーラが刀身に納まるほどになった。

強烈な閃光を放つ刀身は振動しているのか、耳障りな甲高い音が鳴り響かせる。

それに掻き消されないように俺は叫ぶ。

 

「兄さん、下がれ!」

 

『━ッ!』

 

俺の言葉を受けた兄さんがトライヘキサへの突貫を止め、射線を開けてくれた。

同時にアロンダイトを振り抜き、空間ごとトライヘキサの身体を削り取る!身体を真っ二つに削り取られたトライヘキサはオーラを散らしながら硬直し、削り取られた空間からは万華鏡を思わせる次元の狭間が見えるようになってしまった。

 

「すげぇな。こんなことになるとは……」

 

まさかここまでとは、存外やってみるもんだな。

アロンダイトに残るオーラを空を斬って散らすと、トライヘキサに目をやる。流石に空間ごといかれたら再生しにくいのか、いつもよりも時間をかけて再生させていくが、その間は隙だらけだ。

俺と兄さんは頷きあい、横並びになると同時に魔力を迸らせ、右手を前に突き出す。

鎧の深緑色のラインに乗って全身の魔力とドラゴンのオーラが右手に集中し、兄さんも絶妙なコントロールで右手に魔力を溜めていく。

それが最大まで溜まった瞬間、

 

「『消し飛べ!』」

 

俺と兄さんが異口同音で言葉を発し、同時に魔力を解き放つ!二つの深紅と深緑のオーラが混ざりあい、トライヘキサへと向かう。

そのオーラは無抵抗のトライヘキサを呑み込んだまま結界に当たるが、流石にそちらは突破出来ずにオーラは弾けてしまった。

 

「結界は無理か。どうにかして出たいんだがな」

 

『外の皆も頑張ってくれているさ。さて、気を引き締めていこう』

 

それぞれそんな事を漏らしながら再び構える。トライヘキサは身体をずたぼろにされても生きているようで、少しずつ身体を再生させながらこちらに近づいてきていた。

 

「空間ごと削れば再生に時間がかかるみてぇだな。なら、また今のをやればいいのか?」

 

『あまり飛ばしすぎないほうがいい。あちらにも何か奥の手があるかもしれない』

 

俺の問いかけにそう返す兄さん。確かに、まだ何かあっても不思議ではないな。

俺たちが手短にその話を終えると、トライヘキサが身体を完全に再生させ、こちらを静かに睨んでくる。なんだ、微妙にだがオーラの質が上がった……?

その疑問を抱いた瞬間、俺たちの視界からトライヘキサが消える。俺たちは目を見開きながらも振り向き、兄さんは障壁を展開、俺はアロンダイトを盾代わりにして防御を体勢を取った。そして、凄まじい衝撃が叩きつけられる!

 

『「━━ッ!」』

 

それを耐えきることが出来ずに俺たちは弾き飛ばされ、兄さんは海面に、俺は島に叩きつけられた。やれやれ、ここからが本気モードってわけか。

俺は痺れる腕を気にしながらもため息を吐いて立ち上がり、上空のトライヘキサに目をやる。向こうは先程よりも強く白く発光しながら、俺を睨み付けてくる。

俺は翼を展開し直して、トライヘキサへと向かう!同時に兄さんも海面を消し飛ばしながら飛び出して俺の横に並んだ。

俺たち兄弟で同時にトライヘキサに撃ち込んでいくが、先程のように一方的に殴られらわけでもなく、的確に防ぎ、時にはカウンターが飛んでくる始末だ。

トライヘキサは確実に強くなっている。このままいけば、倒す前に倒せる奴がいなくなるだろう。

撃ち込みながらもそれを察することの出来た俺と兄さんは、一瞬目を合わせると少しだけ速度を上げる。下手に強くなられても困るので、一気には上げない。まだ余力を残しておく。

そんな中、トライヘキサな翼に変化が起こる。先端が鋭く、長くなり、まさに刃物と言ったようになったのだ。

コカビエルとの戦いでも似たようなことがあったからすぐにわかった。こいつの翼は武器になったのだ。

トライヘキサは俺たちの攻撃を防ぎながら、刃となった翼を軽く振るう。俺たちは紙一重でそれを避けたが、余波だけで空気を切り裂き、結界を揺らしていた。

俺たちは一旦別れて間合いを開けようとするが、トライヘキサは俺に一気に詰め寄ってくる。奴の乱打を避け、翼による剣撃を避け続け、カウンターでアロンダイトを振り抜くが、翼で止められた。

トライヘキサはそのまま俺の腕ごとアロンダイトを翼で縛りあげ、離れられないようにすると、そこに拳を放ってくる。が、俺はそれを展開している悪魔の翼とは別に、新たに展開したドラゴンの翼で受け止める。鈍痛が翼を伝って流れてくるが、耐えられないわけではない。

トライヘキサがそのまま連続で拳を放とうとしてくるが、両腕から魔力を放って翼を消し飛ばし、口元の兜を一旦解除。離れ際に口から滅びを織り混ぜた深紅の火炎を吐き出してトライヘキサを焼く。

そのまま一旦距離を離し、火炎を振り払って追撃を放とうとしたトライヘキサに滅びの球体が襲いかかり、再び消滅した。

 

「げほ!げほ……っ!ああ、慣れねぇもんだな……」

 

やってみたのはいいが、むせ返っていた。喉を押さえながら(たん)を吐き出すが、何かが引っかかっている気持ち悪さがなかなか抜けない。

俺がそんな事をやっていると、消し飛ばされたトライヘキサが白く発光しながら復活し、再びオーラが高まっているように見える。

今までと違い、倒す度に段飛ばしで強くなってやがる。俺たちを本格的に脅威と認めて、マジで殺しに来てやがるな。

俺が兜を元に戻しながら目を細めていると、横に兄さんが並んで耳打ちしてきた。

 

『(連絡がきた。そろそろ結界が破れるよ)』

 

「(了解。それじゃ、あと何分か粘れば勝ちか)」

 

『(そういうこと)』

 

俺にも連絡が欲しかったんだが、巻き込まれた俺と突入してきた兄さんとじゃ、連絡の取りやすさが変わってくるか。

俺が一度小さくため息を吐くと、トライヘキサが神速で突っ込んでくる。並みの奴なら反応できずに殺られる所だが、俺たちをそこら辺の奴らと一緒にされたら困る。

突っ込んで来たトライヘキサにカウンターで拳を叩き込んで吹っ飛ばすと、兄さんが間髪いれずに滅びの塊を放って腹に風穴を開けると、今度は俺が飛び出してアロンダイトで兜割りを放って身体を切り裂いた。

まあ、いつものようにすぐさま再生されて乱打が飛んでくるわけなのだが、速度が今までとは段違いに速い。無理にカウンターを狙わずに回避に徹し、全て紙一重で避ける。翼を刃にして攻勢を強めてくるが、まだ動きが単調で避けやすい。

こちらが注意を引いている間に魔力を溜めていた兄さんはトライヘキサの背後に回ると、俺が離脱した瞬間にそれを解放。トライヘキサは滅びの球体に覆われて姿が見えなくなる。━━が、すぐさま自身のオーラで滅びを食い破ると、身体を再生させながら兄さんのほうへと突撃していく。

それを見た俺は背中の魔力噴出口から魔力を放出してトライヘキサに突貫。無防備な奴の横っ腹に渾身の蹴りを放つ。

蹴りのインパクトの瞬間に滅びを体内に流し込み、身体を内側から消滅させながら蹴り飛ばす。吹き飛ばされたトライヘキサは翼でぎこちなくはあるが体勢を整えると、身体を再生させると同時に右手にオーラを溜め始め、それをこちらに向ける。

俺が回避しようとした瞬間、兄さんが叫ぶ。

 

『ロイ、結界が破れる!』

 

「このタイミングでかよ……!」

 

万が一俺の背後に連合軍が集まっていれば、大打撃を受ける。だが、避けなければ死ぬ。またあれをやるしかねぇ!

アロンダイトの刀身を撫でながらオーラを込めていき、血管のような深緑色のラインを出現させる。先程のように柱から一気に圧縮するわけではなく、最初から全てのオーラを刀身に閉じ込める。

振動による甲高い金属音がアロンダイトから響き始めたら準備は完了。奴が放つよりも早く一気に振り下ろす!

その一撃はトライヘキサと空間を両断し、トライヘキサのオーラを散らすと共に、再び次元の狭間を覗かせた。

空を斬って残留するオーラを散らすと、突然空にヒビが入り、それが広がっていく。外の連中が頑張ってくれたようで、ようやくここから出られるようだ。

俺が短くため息を吐いた瞬間に結界が砕け散り、外の様子が探れるようになった。五感を研ぎ澄ましてロセたちやリアスたちのオーラを探ると、存外すぐに見つけることが出来た。

あいつらの無事にホッと息を吐くと、俺を悪寒が襲う。反射的にそちらに目を向けると、トライヘキサが再びオーラを溜め始めていた。奴は俺に背を向け、あらぬ方向に手を向けているが、その方向には術式を発動しようとしているロセとジルの姿が!

俺は考えるよりも早く飛び出してトライヘキサに向かう!今あいつらを殺らせるわけにはいかねぇ!

瞬時に加速してトライヘキサとの間合いを詰め、背後からアロンダイトで斬りかかろうとした瞬間、反転した奴と目が合った。同時に腹部に激痛が走る。

 

「━━ごぼ……っ!」

 

『ロイッ!』

 

兄さんの叫び声が聞きながら、俺は血を吐いて腹部に目を向ける。

オーラの込められたトライヘキサの拳が、俺の腹部を貫いたのだ。

 

 

 

 

 

━━━━━

 

 

 

 

 

トライヘキサ捕縛用の術式を発動させようとした彼女━━ロスヴァイセは目を見開いてその手を止めた。彼女の目の前で、トライヘキサがロイの腹を貫いたのだ。

 

「ロイさ━━」

 

「心配するのは後だ!術式を起動しろ!」

 

結界の解除に奔走していたアザゼルが彼女の横につき、肩に手を置く。ハッとして彼に目を向けるロスヴァイセだが、それでもロイのほうに意識が向いてしまう。

心配げにロイのほうに目を向けた瞬間、彼女は覚悟を決めた。

腹を貫かれたロイがトライヘキサを押さえつけ、術式を発動させやすいように彼女のほうにトライヘキサの背中を向けさせたのだ。

同時に彼女の耳元に連絡用魔方陣を展開され、息を絶え絶えにさせながら掠れたロイの声が届けられる。

 

『…や……やれ…!ロセ……!』

 

「……は、はい!」

 

ロスヴァイセが術式を発動させようとした瞬間、トライヘキサはロイの腹から腕を引き抜き、そのまま踵落としで海面に弾き飛ばす。吹き飛ばされたロイは海面に叩きつけられ、そのまま沈んでいくが、ロスヴァイセに迷いはない。

彼女とジルは頷きあうと、術式を発動させる!

神々しいまでの輝きが魔方陣から放たれ、トライヘキサに向かう。ロイに気をとられていたトライヘキサは成す術なく光に飲み込まれる。

一瞬の間を開けて光が晴れ、トライヘキサが姿を見せる。連合軍の面々は息を呑んで様子を探り、数秒しても微動だにしないトライヘキサの姿に、ようやく表情が和らぐ。

既に量産型邪龍と偽赤龍帝軍団の全てが撃破され、問題だった二体の伝説の邪龍も現二天龍の手によって撃破された。後は、目の前で無防備な姿をさらしているトライヘキサを倒せば連合軍の勝ちだ。

連合軍のトップの面々がオーラを高め始めるなか、オーラを溜めるアザゼルの横に少し息を切らせたサーゼクスが到着すると、アザゼルは言う。

 

「ロイは大丈夫なのか!?まあ、あいつのことだから大丈夫だとは思うが!」

 

『それは信じるしかない!今は━━』

 

サーゼクスは魔力を練り上げながらトライヘキサに目を向ける。捕縛術式が破れかけているのか、身体が小刻みに震え始めていた。

アザゼルはそれを見ながら舌打ちをすると、連絡用魔方陣を展開して『D×D』のメンバーに言う。

 

「おまえら!無理は承知だが、追撃の準備を頼む!念のためだ!」

 

『はい!』

 

『ま、任せてください……!』

 

『あと一撃なら、いける……!』

 

術式の維持をするロスヴァイセを除いた『D×D』の面々が返事をし、イッセーとヴァーリが辛そうでありながらも勇ましく返事をする。

彼らの返事を合図にしたように、トライヘキサへの一斉攻撃が始まった!

様々な神話の神、魔物、妖怪、悪魔、天使、堕天使、人間。連合軍に参加する著名な者たちが波状攻撃を放ち、トライヘキサに再生の隙を与えずに肉体を削り取っていく!

空間が悲鳴を上げ、余波で空が砕け散り、次元の狭間を覗かせる。

全ての攻撃が止み、今の攻撃に参加した者たちが一気に消耗して肩で息をするなか、爆煙が晴れてトライヘキサの姿が(あらわ)になる。

 

「━━マ、マジかよ……」

 

アザゼルが絞り出すように漏らした。

そこにいたのはトライヘキサだ。右腕と左足が根こそぎ吹き飛ばされ、六対あった翼は一対しか残っていない。頭部も半分吹き飛びされ、全ての角が折れていた。

そしてもうひとつ驚くことがあるとすれば、トライヘキサは残った左腕にオーラを溜め、ロスヴァイセを守るように集まった『D×D』ほうに向けていることだ。ロスヴァイセごと彼らを討ち、術式の根幹を崩そうとしているのだろう。

リアスたちはほんの一瞬待避を考えるが、その考えはすぐに捨てる。おそらくトライヘキサを倒せるチャンスはこれで最後であり、それを重々承知していたリアスたちはありったけのオーラを溜めていく。

先程の攻撃に参加したアザゼルたちではフォローすることはできない。どちらが早いかの勝負だが、それの勝敗はアザゼルの目から見ても明らかだった。

 

「おまえら、待避だ!後は俺たちに任せろ!」

 

アザゼルがとっさに叫ぶが時既に遅く、トライヘキサがオーラを解き放つ!

 

『━━━ッ!』

 

ように思われたが、そうはならなかった。突如として海面を突き破って放たれた深紅と深緑の入り交じった剣撃により、腕が断ち切られたのだ。

剣撃はそのまま空を覆う厚い雲を切り裂き、空間をも切り裂き、満点の青空に次元の狭間の景色が浮かび上がる。

驚愕する『D×D』の面々の耳に、海に沈んだはずのロイの叫びが届く。

 

『撃てえええええええええええ!』

 

『━━ッ!』

 

彼の叫びに答えるように、『D×D』の面々がオーラを解き放つ!先程の一斉攻撃に比べればかわいいものだが、瀕死の獣を追い詰めるには十分すぎる攻撃だ。

満身創痍のトライヘキサは無防備なままそれをくらい、身体を吹き飛びされていく。

そして、全てを終わらせる最後の一撃を放つのは━━、

 

「ヴァーリ!まだ倒れるんじゃねぇぞ!」

 

「ふ、キミに言われたくはないな!」

 

二天龍だ。オーフィスの助けで無限をその力とし、紅と黒が混ざった鎧を纏うイッセーと、同じくオーフィスの助けで魔王(ルシファー)としての解放し、白銀と黒の混ざった鎧を纏うヴァーリ。

二人はお互いに鼓舞しあうと、それぞれの最大火力の技の最後の準備を整える。

イッセーは翼に収納される四門の砲口を展開し、ヴァーリは腹部の鎧を変形させて発射口を展開する。

 

「いけええええええええええええええええっ!」

 

『《(インフィニティ) Blastert(ブラスター)!!!!!!!》』

 

イッセーの叫びと共に、紅と漆黒の入り交じった無限の力が込められたオーラが撃ち放たれ、

 

『『『Satan(サタン) Lucifer(ルシファー) Smasher(スマッシャー)!!!!!!』』』

 

ヴァーリの静かな覚悟と共に、白銀と漆黒が入り交じった絶大で極大なオーラが放たれる!

二つのオーラは絡み合いながらやがてひとつになり、トライヘキサを呑み込む。

 

「があああああああああああああッ!」

 

「くっ!うおおおおおおおおおおおおお!」

 

それでも残った左腕を盾にして耐えるトライヘキサだが、すぐに諦めるほど二天龍も素直ではない。歯を食い縛り、明日の分のオーラを絞り出してさらに砲撃の威力を高めていく!

 

「「はあああああああああああああああああ!」」

 

二人の叫びと共にオーラが爆発的に上がり、ついにトライヘキサの防御を崩す!そして━━、

 

『オオオオオオオオオオオォォォォォォォォ━━━━……………』

 

断末魔を思わせる咆哮と共にトライヘキサのオーラが一気に小さくなり、やがて完全に消えてなくなる。

二天龍最後の一撃が止み、トライヘキサのいた場所には何も残っていない。再生を警戒して連合軍はしばらく動けずにいた。

五分が経ち、十分が経ったが、何も起こらない。トライヘキサは再生せず、邪龍の生き残りもいない。

それを確認した誰かが勝鬨(かちどき)をあげ、それに続いて次々と歓声があがる。

イッセーとヴァーリは空中で砲撃をした体勢のまま気を失うが、近くにいた仲間に支えられて落下せずに済む。

だが、彼らの中で喜びを露にする者はいない。二人を心配する者が多いなか、ロスヴァイセと黒歌が頷きあって海に目を向けると、真っ先に降下していく!

 

「ロイさんを探してきます!皆さんはイッセーくんを!」

 

「いってくるにゃ!」

 

二人は降下しながらも防水と酸素供給用の特殊な魔術を自身にかける。そして、二人に続く影がふたつ。

 

「私にもそれやって!ロスヴァイセはそういうの得意でしょ!」

 

「こちらにもお願いします!」

 

セラフォルーとガブリエルだ。トライヘキサへの初撃に参加して消耗しきった身体に鞭を打ち、息を荒くしながらもロスヴァイセと黒歌に続く。

黒歌とロスヴァイセは頷きあい、それぞれに自身と同じものをかける。

それを済ませた瞬間、四人はほぼ同時に海面に叩きつけられ、そのまま潜水していく。

 

━━何としても、ロイを助けなければ。

 

彼女たちの想いはひとつ。トライヘキサ撃破に繋がったあの一撃を放った彼を助けるまで、彼女たちの戦いは終わっても終われないのだ。

 

 

 

 

 




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