グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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とりあえず、この章ラストです。
では、どうぞ!


lost life 新たな任務

はぐれ狩りとリアスたちの世話をしながら生活すること五年。リアスも九歳となり、だいぶしっかりしてきた。今日も朝にリアスに会ったら落ち着いた感じで、

 

「ロイお兄様、おはようございます」

 

と言われた。俺はいつもの軽い感じで、

 

「おう、おはよう。リアス」

 

と返したが、俺も固い感じにした方がいいのかと思ってしまう。

『おにーたま』と呼ばれていた頃が懐かしく感じるよ。

そんな事を思いつつ、手早く朝食をとり、出かける準備を始める。今日はあるヒトに呼ばれて魔王領に向かうことになっているのだ。

グレモリー屋敷、転移室。

一応正装に身を包んだ俺は、父さん、母さん、リアスに見送られて魔王領に転移しようとしていた。

 

「ロイ、大丈夫だとは思うが失礼のないようにな」

 

「気をつけていきなさい」

 

「お兄様、お気をつけて」

 

「わかっています。話を聞いたらすぐに帰ってきますから」

 

俺は苦笑しながら三人の言葉に返した。同時に転移用魔方陣に魔力を送り、光を強くさせていく。

いざ、魔王領へ!

 

 

 

 

 

光が止むと、そこは見知らぬ部屋。魔方陣の前に係りのヒトと思われるスーツ姿の女性悪魔が待機している。

その女性悪魔が確認するように訊いてくる。

 

「あなたがロイ・グレモリー様ですね?」

 

「はい。ロイ・グレモリーです」

 

俺の返答に女性悪魔が頷くと続けた。

 

「では、こちらへどうぞ。ベルゼブブ様とルシファー様がお待ちです」

 

「わかりました」

 

俺は女性悪魔の先導で建物内を進んでいく。やはりと言うべきか、この建物もかなり広い。

廊下を歩き、エレベーターでさらに上へ。エレベーターから出てからもさらに歩く。そして、ある部屋の前で女性悪魔が止まった。

 

「こちらの部屋です。私はここで失礼します」

 

「はい、ありがとうございました」

 

俺が礼を言うと、女性悪魔は「これが仕事ですので」と返してさっさと戻ってしまった。俺は息を吐きながらドアの前に立ち、三回ノックする。

 

「失礼します」

 

一言言ってから部屋に入る。中には見慣れた紅髪の男性と、一度だけ見たことがある緑髪の男性が並んで立っていた。

緑髪の男性が俺を見ながら興味深そうに言う。

 

「彼が『紅髪の切り裂き魔(クリムゾン・リッパー)』か。サーゼクス」

 

「ああ、そうだよ。アジュカ」

 

そう、この緑髪の男性がアジュカ・ベルゼブブ、新魔王の一人だ。そのアジュカ様が俺に用って話だったんだが、何事なんだろうか。

俺は姿勢を正して二人に向き直る。

 

「ロイ・グレモリー、出向しました」

 

「うん、休んでくれ」

 

兄さんの言葉に少し姿勢を緩める。固いのは好きじゃないんだ。

俺が言葉を待っているとアジュカ様が単刀直入に言ってきた。

 

「ロイ・グレモリーくん、キミに私たちから任務をお願いしたい」

 

「任務……ですか?」

 

俺が聞き返すとアジュカ様は頷いて書類を見せてきた。

俺はそれを受け取り目を通す。その一番最初に書いてある言葉を見て俺は息を飲んだ。

 

「『旧魔王派へと潜入』………!」

 

あのバカどものところに潜入するのか、何かヤバイ兵器でも作っているのかもしれないな。

俺が潜入は短期間だと思い込んでいたが、アジュカ様が補足し始める。

 

「書いてある通り、キミには潜入捜査官(スパイ)として長期間になってしまうが、旧魔王派への潜入を頼みたい」

 

長期間、確かに書類を読み進めると色々書いてあるな。

俺は小さく溜め息を吐いた。確かに、これは俺とか現場に慣れた奴じゃないと無理だな。

書類を読み進めていく俺を見て、兄さんが念を押すように言ってくる。

 

「ロイ、断ってくれてもいいんだ」

 

兄さんは出来ればそうしてほしいという声音で言ってきたが、俺の答えはだいたい決まっている。

 

「これは、『魔王全員』で決めた事なんですね?」

 

それだけが聞きたかった。セラに黙って決められていたら即断るつもりだ。

俺の胸中を察してか、アジュカ様は言った。

 

「ああ、魔王全員で話し合った結果だ。他にも候補者はいるが、やはりキミが適任だと判断した」

 

そうか、なら、決まった。

俺は覚悟を決め、アジュカ様と兄さんに手短に言った。

 

「やります」

 

俺の返事にアジュカ様は頷き、兄さんは小さい声で「ありがとう」と呟いた。

それがセラの望むことなら、それが悪魔の未来に繋がるというのなら、俺はやる。

俺が今すぐにでも行けると言わんばかりにアジュカ様を見ていると、苦笑で返された。

 

「やる気十分なところで悪いが、本格的な準備はこれからなんだ」

 

今から準備って、何でだよ。こういうのって出来てから呼ぶもんだろ?

俺は失礼を承知でアジュカ様に訊く。

 

「あの、準備が完了したから俺を呼んだのではないのですか?」

 

「ああ、準備をして、万が一キミに断られたら全て一からやり直しになってしまうからね。最終確認をさせてもらっただけさ」

 

アジュカ様は苦笑しながらそう返してきたが、俺に合わせた装備でも用意してくれるのかな?

俺はそんな疑問を感じつつ、アジュカ様に言う。

 

「わかりました。では、準備が完了次第開始ということですか?」

 

「そうなるな。とはいえ、準備にも時間がかかる。一週間程したらまた呼ばさせてもらうよ」

 

「わかりました」

 

俺が踵を返して部屋を出ようとすると、アジュカ様が俺を呼ぶ止めた。

 

「ロイくん」

 

「なんでしょうか?」

俺が振り向くとアジュカ様は念を押すように言う。

 

「これはご両親にも秘密で頼む。説明はこいつからするからな」

と言いながら兄さんを指差す。兄さんも頷いてくれた。

 

「わかりました。では、失礼します」

 

今度こそ俺は部屋を出る。後一週間でリアスたちとは一旦お別れか……寂しくなるが、仕方ない、か。

俺はそう思いながら転移室を目指した。

 

 

 

━━━━

 

 

 

自分の弟に今までよりも危険な任務を任せる。出来れば断って欲しかった、なんて思ってはルシファー失格かな。

 

「今、断って欲しかったって思ったろ」

 

アジュカが僕の心を読んだようにそう言った。

僕は苦笑しながらアジュカに訊く。

 

「はは、分かったかい?」

 

「サーゼクス、お前とはなかなか長い付き合いだからな。それぐらいは分かるさ」

 

「僕は魔王失格かな」

 

「いや、誰だって断って欲しかったと思うさ、それが今回お前だっただけだ」

 

「ありがとう。アジュカ」

 

「いいさ、それじゃ俺は準備に戻る。お前の弟は死なせんさ」

 

自信に満ちた表情でそう言うアジュカ。彼が言うからには大丈夫だろう。僕は本当にいい友をもった。

 

「アジュカ……頼む」

 

「任せろ。あぁそれと、セラフォルーにはお前から言っといてくれよ?彼女との付き合いはお前の方が長い」

 

「分かっているさ」

 

さて、セラフォルーにはなんて説明しようかな?

 

 

 

━━━━

 

 

 

早くも一週間。俺は再びアジュカ様に呼び出された。つまり、準備完了というわけだ。

いつもの転移室、俺は黙って父さんたちを見る。父さんたちは既に説明を受けたのか、いつもより厳しい表情のように見える。

俺たちの変化を察してか、リアスも少し慌てているように見える。そんなリアスに俺は近づき、膝をついて目線を合わせる。

 

「リアス、いいか?俺はまた仕事だが、今回は長くなりそうなんだ」

 

「そうなのですか?」

 

急に不安そうになるリアス。俺は安心させるように笑顔を作りながら頭を撫でる。

 

「ああ。だから、父さんと母さんのこと、あとソーナのことも頼む」

 

「わ、わかりました」

 

「ああ、それと」

 

「何ですか?」

 

「俺はリアスを見守ってるから、どうにもならない時は心の中で呼んでくれ。きっと助けに行くから」

 

俺の言葉にリアスが頷いたら「いい子だ」と言いながら少し乱暴に頭を撫でてやる。そして立ち上がり、父さんと母さんの前に行く。

父さんは少し涙目になりながらも力強い声で言う。

 

「必ず帰ってこい……!」

 

母さんもそれに続いて力強く頷き、俺を抱き寄せる。

 

「リアスのことは任せなさい。あなたなら大丈夫」

 

俺は母さんを抱き締め返しながら頷いた。そして体を離し、最後に言っておく。

 

「リアスの事、頼みます。俺は近くで守ってやれませんから」

 

父さんと母さんはその言葉に頷いた。俺は頷き返し、魔方陣の中央へ。そして三人に順番に目を向けると笑みを浮かべる。

 

「では、行ってきます!」

 

「「いってらっしゃい」」

 

「いってらっしゃいませ」

 

三人の言葉を聞いたと同時に魔方陣を起動、魔王領に向けて転移した。

 

 

 

 

 

 

魔王領の前に来た部屋。

俺は机の前に立ち、置いてある道具に目を釘付けにされていた。

 

「あの、アジュカ様、これは?」

 

俺が疑問符を浮かべながらそれを持ち上げる。黒い二丁の大型のハンドガンだが、アンダーレイルに黒い刃がついている。いわゆる銃剣と呼ばれるものだ。

俺の疑問にアジュカ様は答える。

 

「うん、キミには魔力を隠して貰うことになるからね。武器は必要だ」

 

だからと言って、銃剣?

俺の疑問は尽きないが、アジュカ様は構わずに説明を始める。

 

「さて、まずはこの腕輪だ」

 

アジュカ様は黒い腕輪を見せてくる。

 

「これはキミの滅びの魔力を隠すものだ」

 

「魔力を隠す……ですか?」

 

俺が訊くとアジュカ様は頷いた。

 

「ああ、滅びを使ったらすぐにバレてしまうからな」

 

「なるほど」

 

確かに、戦闘して即バレは嫌だな………。

俺が頷くとアジュカ様は続けた。

 

「そしてそれをすると共に連絡手段にもなっている。ここ、わかるか?」

 

アジュカ様は腕輪のとても小さな出っ張りを指差した。

 

「これですか?」

 

「ああ、このボタンを押して腕輪に魔力を込める。そして言葉を想像すると文字に変換され、送られてくる。やってみてくれ」

 

「わかりました」

 

俺は一旦銃剣を机に置き、腕輪をはめる。そしてボタンを押して魔力を込める。

 

『あーあー、聞こえますか?』

 

「やりましたよ?」

 

俺が訊くとアジュカ様は手元に魔方陣を展開して確認する。そして頷いた。

 

「大丈夫だ、確認した。問題なさそうだな」

 

次にアジュカ様は何かの缶を取り出した。その中には黒い塗料のようなものが………。

 

「……………」

 

俺は無言でアジュカ様を見る。何が言いたいかは言わなくても分かるだろう。

察してくれたアジュカ様が説明を始める。

 

「これで髪を染めてくれ。紅はあいつらには刺激が強すぎるからな」

 

紅はあいつらが憎む新魔王ルシファーの髪色。何も関係なくても因縁をつけられそうだ。

俺は頷き、それを受けとる。手につけてみたが、すごいベトベトしているな。

 

「では、早速染めてくれ。一度染めたら特殊な方法でしか戻らないように調整してある」

 

「わかりました」

 

返事をして即染めていく。だが、やるのが初めてなので少々時間がかかったが、無事に染められたかな?髪型は後で変えることにしよう。

そんな事を決めつつ、俺はアジュカ様に訊く。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、問題ない。見事な黒髪だ。ついでに瞳の色も黒に変わる便利機能をつけておいた」

 

「ありがとうございます。それで、戻し方とは?」

 

俺が礼を言いながら訊くと、アジュカ様は指先に魔力を込めた。

 

「魔王の魔力を腕輪にぶつけることだ。今はやらないがね」

 

「わかりました」

 

魔力を腕輪にって、外すときに怪我しないか?

俺の疑問を察しているのかは別として、アジュカ様は続ける。

 

「さて、次はお待ちかねのこれだ」

 

アジュカ様は銃剣を手に取り、俺に渡してくる。

俺はそれを受け取り、マガジンを抜こうとするが、それらしきものが見当たらない。

俺が銃剣を見回しているとアジュカ様は苦笑した。

 

「それは悪魔払い(エクソシスト)が使う光の銃を元に作った銃だ。弾丸の代わりに魔力を使う。一発に魔力を込めれば込めるほど弾は速く、強力なものになる」

 

「なるほど………」

 

「刃の部分は特殊な合金で作ったものだ。そう簡単には折れないから安心してくれ」

 

「わかりました」

 

一応の納得はしたが、よくわからない部分があるから後で使ってみよう。

俺がボケッとそう思うと、アジュカ様は銃剣を指差しながら言った。

 

「ああ、それと、結構隠し要素もあったりする」

 

「隠さないで教えてください……」

 

俺が半目で言うとアジュカ様は苦笑しながら言った。

 

「その二丁の撃鉄部分を水平になるように合わせてみろ」

 

「こうですか?」

 

銃口を外側に向けながら撃鉄部分を合わせた瞬間、鈍く光を放った!一瞬あと、光が止むと、

 

「………何ですか、これ……」

 

銃剣が大型の剣かと思いきや柄頭からも黒い刃が延びている。

困惑する俺を見ながらアジュカ様は当然のように言った。

 

「両剣だが?」

 

「はぁ………」

 

当然のように言ってくるアジュカ様に俺は溜め息しか出せなかった。逆に怪しまれそうなんだが……。

俺の心配を他所にアジュカ様は言う。

 

「戻し方はそこ、引き金があるだろ?それを引くんだ」

 

刃の付け根に目立つように引き金がついている。言われた通りに引いてみると、再び光を放ち、一瞬、間を置いて元の銃剣に戻る。

唖然とする俺を他所にアジュカ様が言う。

 

「そんな感じのがまだあるから探してみてくれ」

 

「要らないです!これ以上あっても使いこなせないです!」

 

俺は本音をぶつけた。俺って転生してから剣ばっかりだぞ!?銃はいけるが、ちょっと不安だ!

俺は心配しながらも差し出されたホルスターを受け取り、銃剣をしまう。

 

「こんなもんだな。サーゼクス、何かあるか?」

 

アジュカ様は後ろに控えていた兄さんに声をかけた。兄さんは頷き、俺の前にくる。

 

「ロイ、では頼むよ」

 

「ああ、こっちは任せろ。そっちは頼むぜ?討伐隊とか出して殺してくれるなよ?」

 

「わかっているさ」

 

笑顔混じりにいつもと変わらない会話をし、最後に真面目な顔に戻り、

 

「リアスのこと、頼む。あいつ寂しがり屋だからな」

 

「ああ、わかっているさ」

 

魔王だからやれることは限られるだろうが、それだけは言っておきたかった。

俺はフッと笑い、すぐに表情を引き締める。

 

「では、ロイ・グレモリー。任務開始します!」

 

こうして、俺は旧魔王派の領地に向けて出発したのだった。

 

 

 

━━━━

 

 

 

ロイが任務に出発しようとしている。サーゼクスちゃんたちは『見送りに行かなくていいのか』って言うけど、今は会いに行かない。今行ったら、きっとロイを止めてしまうから。

だから私は、ロイの無事を信じて待つことにしたの、ロイが帰ってこれる場所を守るためにも。

 

 

 

━━━━

 

 

 

それから数時間。

俺は一人歩き続けていた。だが、そろそろかな?

そう思っていると、俺の前に巨大な城壁のようなものが見えてきた。

俺はそれに近づいていき、門の前に移動する。

すると、門の前に立つ衛兵のような格好の男性が言ってきた。

 

「何者だ!この先は真の魔王様が住まう地域だぞ!」

 

それはどうも。目的地に着いたこと教えてもらっちゃったみたいだ。

その衛兵は手に持った剣を構えてきているけどな。

俺は構わずに続ける。

 

「俺は、その真なる魔王様に仕えるために来た!」

 

 

「何?それは本当か?お前、名はなんという!」

名前か、困ったな。特に考えてなかった……。

 

「ジャック………ジャックだ!」

 

とっさに出したこれが今の俺の名前だ。

昔の異名の『紅髪の切り裂き魔(クリムゾン・リッパー)』からジャック・ザ・リッパーを連想したのは内緒だ!とりあえずどうだ!

 

「少し待て!」

 

それから一分ほど。

 

「よし!我々は貴殿を歓迎する!」

 

あっさり門を通された。なんつーザル警備だ。まったく、逆に不安になってきたぞ……。

まあいいか。とりあえず、ロイ・グレモリー改め『ジャック』、任務開始だ!

 

 

 

 

 

 




ロイの新武器は反転した錬鉄の英雄が持っているあれのイメージです。わからない方は調べて貰えるとわかると思います。こっちは二丁とも黒いほうですけどね。

誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。
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