グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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月光校舎のエクスカリバー
mission01 ジャックの任務


俺━━ジャックが旧魔王派に潜入して早くも九年程。

リアスも何事もなく成長していれば高校三年ぐらいだろうか………。

旧魔王派の任務である町に潜入している俺は、その町の郊外にある廃工場にアジトを作り、そこで生活している。

そのアジトの一室でタバコを吸いながらあることを考えていた。

俺が潜入しているこの町は『駒王町』と呼ばれており、数年前まではクレーリア・べリアルという女性悪魔が管轄していた。

最初こそ順調であったが、そこで何かが起こり彼女は死亡。そして、管轄する者がいなくなった隙に俺たちが潜り込めたわけだ。

裏に何かありそうだが、兄さんに聞いてみてもはぐらかされた。当然と言えば当然だろう。兄さんの事だ、俺に負担をかけたくないんだ。

タバコの紫煙を吐き出しながら、ここに来るときに旧魔王派から渡された書類を確認する。

当初の任務内容が書いてあったのだが、それがここの次に管轄する悪魔の監視だった。

………で、その悪魔ってのがまた、変な運命を感じるヒトだったわけだ。

俺は溜め息混じりに紫煙を吐き出し、先ほど届いた指令に目を通すと頭をかいた。

ここ最近、この町に入り込んだ悪魔払い(エクソシスト)が何者かに襲撃され、そのまま死亡する事件が多発していた。

旧魔王派としては首を突っ込みたくないが、ここを管轄する悪魔があいつだから何とかしてやりたいとも思ってしまう。

俺はタバコを携帯灰皿に押し込み、黒い革ジャンを身につけ、部屋に置いておいたサングラスをかける。髪も伸びた分を後頭部に束ねて、いわゆる一本結びにしてある。

俺は部屋を出てここに俺と同じように滞在している今の同僚に声をかける。今は広間で談笑していた。

 

「すまないが、町に出てくる。少し調べたいことが出来た」

 

「わかりました、リーダー!」

 

「リーダーなら大丈夫だとは思いますが、お気をつけて」

 

テーブルを挟んでポーカーをしていた元気そうな黒髪の男性悪魔クリスと落ち着いた様子の白髪の女性悪魔ジルが返してくると、建物の奥から金髪ショートヘアーの女性悪魔が現れ、

 

「隊長!私も行きま━━」

 

言いながら小石につまずき、

 

「━━すっ!」

 

豪快に転んだ。彼女はアリサという名前の新人だ。どこか抜けているが、腕は確かなのも事実だ。

俺は溜め息を吐きながらアリサに言う。

 

「わかったから早く準備しろ。急ぎって訳でもないが、急げよ?」

 

「わ、わかりました!」

 

顔についた汚れを気にすることもなく、アリサは敬礼すると素早く奥に戻っていく。何であんな子がこっちにいるのかね………。

俺は苦笑しながらチラリとクリスとジルを見る。

 

「まあ、留守は頼んだ。つってもここに来るとしても、はぐれ悪魔ぐらいだがな」

 

「大丈夫です!ここは俺たちに任せてください!」

 

「私の結界に穴はありません。誰も入ってはこれませんよ」

 

クリスはガッツポーズをしながら、ジルは冷静な笑みを浮かべながら俺に返してきた。

俺たちがチームを組んでいる理由は簡単だ。旧魔王派のトップたちはここ最近、動きが完璧に読まれていることに疑問を持ち、裏切りを想定し始めた。なので、お互いがお互いを監視するという名目でチームを組まされているのだ。

俺とアリサがこの町の悪魔を、ジルとクリスが近くを管轄している悪魔を監視している。その悪魔も、まあ、俺と繋がりがあった奴だったな。

俺がそんな事を思い返していると、

 

「お待たせしました~」

 

随分ラフな格好に着替えてきたアリサ。俺は再び苦笑しながらアリサに訊く。

 

「アリサ、寒くないのか?」

 

「隊長、わかっていませんねぇ~。オシャレとは我慢なんですよ!」

 

「わからないしわかりたくもない。それで弱音吐いても助けないぞ」

 

ドヤ顔のアリサに冷静に返したが、アリサはくじけずに返してくる。

 

「弱音は吐きませんし、それに隊長には言われたくないです!」

 

「別に服なんてサイズがあっていればいいんだよ」

 

「黒い革ジャン、インナーにサングラスって、悪ぶっているんじゃないですか~?」

 

無意識だろうが煽るような笑みを向けてくるアリサ。俺は無言でアリサに近づき、そのまま頭を鷲掴みにして力を込めていく。

 

「いたたたたっ!?」

 

「それが隊長に対する口の聞き方か?」

 

「わかりました!ごめんなさい!以後気を付けますー!」

 

俺とアリサのいつものやり取りを見ながらクリスは笑いを堪え、ジルは溜め息を吐いた。

 

「ならいい」

 

俺はそんな二人を横目に見ながらアリサを解放するが、アリサは頭を押さえて涙目になりながら睨んでくる。このままではきりが無いので俺は踵を返して出入り口に向かう。

 

「さっさと行くぞ」

 

「は、はい!クリスさん、ジルさん、行ってきます!」

 

「行ってこーい」

 

「転ばないでね?」

 

「大丈夫ですよ!」

 

歩く俺の後ろからそんなやり取りが聞こえたが、そのすぐにあとにアリサの「ぎゃ!?」という声と大きめの音が聞こえてきた。

俺は溜め息を吐きながら構わずに歩き続けた。

 

「ま、待ってくださーい………」

 

アリサの声が聞こえたが俺は構わずに歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

アリサと町に繰り出し、駅前で張り込む。アリサは終始疑問符を浮かべていたが、俺は無視するように努めていると、

 

「来たぞ………」

 

「え?って、あれは!」

 

俺たちの視線の先には白いローブを着こんだ二人の女性、いや女の子が話しながら現れたところだった。

栗毛の女の子がニコニコしながら話し、髪に緑のメッシュをいれた女の子がうんざりしながらも慣れた様子で対応している。

別にそこだけを見れば何も感じることはない、だが、髪に緑のメッシュをいれた女の子が持つものに視線がいく。

布に巻かれた長い得物と思われるそれからは、悪魔である俺が危険と思う嫌なオーラを放ったれている。

警戒する俺を見ながら、アリサが周りを気にしながら小声で言ってくる。

 

「隊長、あの子たちって、まさか………」

 

「ああ。あいつら、聖剣を持っているな。そんな奴らが動いたとなると、これはかなり面倒なことになってきた」

 

「出た!隊長の面倒嫌いぃぃいたたたたたっ!」

 

失礼な事を言ってきた部下に無言でアイアンクローをくらわせる。

それをしながらもアリサに言う。

 

「さて、軽く尾行するか。あいつらがどこに滞在しているかぐらいは知っておいた方がいいかもしれん」

 

「わ、わかりましたぁぁぁぁっ!」

 

痛みに耐えながら返事をするアリサ。俺は例の二人が歩き始めたことを確認するとアリサを解放。尾行を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尾行すること数分。二人がある家に入っていった。まさか、ホームステイ的な何かなのか?

俺がそんな疑問を感じながら、その家の近くで待機することさらに数分。

 

「っ!」

 

「隊長……!」

 

「ああ、わかってるよ」

 

ここに近づいてくる悪魔の気配を感じた。数は二つ、ここを管轄している悪魔の眷属だろうとすぐに察することが出来る。

俺とアリサは素早くその場を離れて手を繋ぐと、逆にその二人の悪魔に近づくように歩き始める。

 

「それにしても、最近寒くないか?そんな格好だと余計だろ?」

 

「そうでもないわ?慣れれば楽なものよ」

 

俺たちがそんな会話をしていると、俺たちの横を茶髪の男の子と金髪の女の子が通りすぎていき、少し慌てた様子で先程の家に入っていく。

俺たちが視界の端でそれを見ながら話を戻す。

 

「隠していたとはいえ、気づかないか………」

 

「まだ悪魔になって日が浅いのかもしれませんね」

 

転生悪魔は転生したばかりだとオーラの察知が下手だ。それを確かめるためにもこんなことをしたのだが、どうやらまだ悪魔としては未熟なようだ。

俺とアリサはそう話しながら家の見える位置に戻る。

待つことさらに数分。

今度は強めの悪魔の気配を感じ取れた。俺がアリサにバレないように懐かしさと同時に少しの罪悪感を覚えていると、それと同時に女の子二人が家から出てくる。そして、そのまま歩き始めた。

 

「隊長、どうしますか?」

 

「このまま尾行だ………。バレるなよ?」

 

「わかりました」

 

俺とアリサは頷きあうと、そのまましばらく尾行を続けた………。

この町を管轄する悪魔、俺にとってはかけがえのない家族であり、二人いる妹の一人………。

俺は脳裏に紅髪の女の子を浮かべながら、尾行を続行した。

 

 

 

 

 

数時間後、アジトにて。

 

「なるほど、ついに聖剣使いが動きましたか………」

 

「これは、そろそろ場所を動くべきか?」

 

「しかし、下手に動いたら見つかってしまうかもしれませんよ?」

 

ジル、クリス、アリサが順で俺に言ってきた。

尾行を続け、聖剣使いの女の子二人は近くの廃教会に入っていったところで中止した。途中で栗毛の女の子が謎の絵画と思われるものを買っていたが、何だったのだろうか………。

俺は溜め息を吐き、タバコをくわえて火をつける。

 

「また、しばらくは静観だな。他にも面倒な報告がさっき本部から来たところだ」

 

と言いながら紫煙を吐き出す。まさかとは思ったが、多分運命ってのはあるんだろうな………。

 

「報告ですか?一体何が……」

 

ジルが興味深そうに聞いてきた。俺は頷きながら書類を見せる。それを見た途端にジルとクリスは表情を固くし、アリサは首をかしげて疑問符を浮かべた。そして、クリスが思わず地を出しながら訊いてくる。

 

「リーダー!この情報、本当かよ!?」

 

「ああ、クリス。俺も信じたくはないが、本部は情報の精度を確認済みだそうだ」

 

「これは厄介ですね………!」

 

クリスとジルは緊張し始めるが、アリサはついてこれずにオロオロし始めた。

俺はタバコの紫煙を吐き出しながらアリサに訊く。

 

「おまえは戦争が終わってから生まれたんだったな?」

 

「はい。戦争のことはお父さんの話でしか知りません」

 

「なら、そこまでわからないかもしれないが、この町に堕天使の幹部が来てやがる」

 

「………え!?」

 

俺が憎々しげに言うと、アリサもついに驚愕の声を出した。そのままアリサが訊いてくる。

 

「そ、それで、幹部の誰が………?」

 

俺は右目の痛みを堪えるように息と紫煙を吐き、タバコを乱暴に携帯灰皿に押し込むと、アリサに視線を向けながら憎々しげに言った。

 

「コカビエルだ。堕天使の幹部でも特にイカれた戦闘狂だよ………!」

 

俺とコカビエル、戦争中から続く俺たちの因縁は、俺の妹たちを巻き込む形で続いているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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