グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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mission03 戦いを求める者

ジャックチームが作戦の準備を進めているなか、アリサに『正真正銘のバカ』と呼ばれた男子悪魔━━兵藤一誠は、彼の主にあたる女子悪魔━━リアス・グレモリー、そして、彼と同じくリアスの眷属であり、先日ジャックとアリサとすれ違った女子悪魔━━アーシア・アルジェントはいつものように寝床につこうとしていた。

 

 

 

━━━━

 

 

 

俺━━兵藤一誠は、俺のご主人様である部長ことリアス先輩と、俺の妹的存在であるアーシアと一緒に寝ようとしていたが、かつてないプレッシャーを感じて家の外に目を向ける。

そこには俺の家の前に立ち、こちらを見上げてくる神父の姿が━━━。

 

「……クソ神父ッ!」

 

俺たちに挑戦的であり、同時に下品な笑みを浮かべているのは、今日の放課後に俺たちを襲ってきた神父━━フリードだ。

あの野郎!逃げた思ったらこれだ!あのあと何があった?あいつらは?

俺がフリードを追っていったあいつらのことも気になるが、フリードは俺たちに手招きをするとどこかに向かって駆け出した。

 

「………堕天使か」

 

部長が指を鳴らすと服が寝間着から学生服へ変わる。俺とアーシアも頷きあうと、フリードを追って家を飛び出した!

 

 

 

 

「やっほー、イッセーくん、アーシアたん。ご機嫌麗しいねぇ。元気にしてた?」

 

追うこと数分。道の真ん中でフリードがふざけた口調で話しかけてきた。

 

「何か用か?」

 

俺が問うがフリードは嘲笑しながら肩をすくめただけだ。

さっき感じたプレッシャーはこいつのか?でも、あの時感じたのはもっと圧倒的な………。

俺が疑問を抱いていると、部長が何かに気づいたように空を見上げた。

月をバックに空に浮かんでいるのは……漆黒の翼を生やした男の堕天使!

いち、に、さん………翼が九枚!?

装飾の凝った黒いローブに身を包んだ堕天使は、部長を捉えると苦笑する。

 

「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ………」

 

その堕天使はそう言うと、縦に入った左目の傷をなぞり、憎悪の対象を見るように言った。

 

「忌々しい兄君たちを思い出して反吐が出そうだよ」

 

いきなりの物言いに俺は驚くが、同時にある疑問を抱いた。

これまで聞いた話だと、部長のお兄様は現ルシファーであるサーゼクス様だけの筈。でも、あの堕天使は『たち』って、一体どういうことだ?

俺は疑問を抱きながらも部長を見る。部長は見たことがないほど冷淡な表情を浮かべていた。

 

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部━━コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。もう一つ付け加えさせてもらうなら、グレモリー家と我らが魔王は最も近く、最も遠い存在。この場で政治的なやり取りに私との接触を求めるなら無駄だわ」

 

コ、コカビエル!?コカビエルって、聖書とかにも名前が載っている本物さん!?

よく見ると、コカビエルは腕に何かを抱えていた。あれは、人か?

 

「こいつは土産だ」

 

コカビエルはそう言うとこちらにその誰かを投げてくる。

 

「おわっ!」

 

俺は即座に反応してその誰かを受け止める。そして顔を確認すると、

 

「イ、イリナ!?」

 

先日、コカビエルに奪われた聖剣を奪い返しにきた紫藤イリナだった!血まみれで息も荒い!あのあとフリードたちを追ってこうなったのか!?

 

「お、おい!しっかりしろ!」

 

俺が呼び掛けても苦しそうに呻くだけだ。これは、ヤバイんじゃないのか!?

 

「俺たちの根城まで来たのでな、歓迎させてもらった。まぁ、二匹逃がしたがな」

 

コカビエルは嘲笑しながら言う。奴の話だとあの二人は逃げられたらしいな。

 

「アーシア!」

 

道にイリナを降ろし、アーシアに治療してもらう。アーシアの神器(セイクリッド・ギア)聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)と呼ばれる、傷を瞬時に治せるというものだ。

アーシアは体から緑色のオーラを発し、イリナの体がそのオーラに包み込まれていく。徐々にイリナの表情も緩和していき、呼吸も落ち着いてきた。

俺とアーシアがホッと息を吐くと、コカビエルは話を続ける。

 

「魔王と交渉などというバカげたことはしない。まぁ、妹を犯してから殺せば、サーゼクスとあの男が出てくるかもしれん。いや、サーゼクスなどどうでもいい!俺はあの男と戦えればそれでいいのだ!」

 

コカビエルは左拳を握りながら、まるで昔を思い出して興奮するように叫んだ。あの男って、一体誰だ?

部長は侮蔑したような、同時に怒りを込めたような目でコカビエルを睨む。

 

「コカビエル、あなたはロイお兄様との決着のために再び戦争を起こそうというの?」

 

「ああ。だが戦争の勃発は奴と戦うための一つの手段だ。だからエクスカリバーを奪ったのだが、天界は何もしてこなかったからな」

 

コカビエルはそう言うと、部長を睨みながら憎々しげに続ける。

 

「俺はあの男との、ロイ・グレモリーとの決着がつけられれば十分だ!戦争がどうなろうが、俺と奴が殺しあい、どちらかが死ねば、それで構わん!」

 

部長とコカビエルの話から察するに、そのロイっていうヒトが部長のお兄さんで、コカビエルとの何かしらの因縁があるのか?

コカビエルは興奮を落ち着かせるように息を吐き、部長に目を向けた。

 

「奴が今どこにいるかはわからん。だが、妹である貴様を殺せば、奴のことだ、すぐさま現れるだろう。あの時のようにな………」

 

コカビエルはまるで懐かしむように言った。こいつ、昔に何があったんだ?

疑問が続出する俺の前で、部長が俺に聞こえるほどの舌打ちをした。部長がこんなことをするなんてよほどぶちギレている証拠だ。

コカビエルはその舌打ちを無視して俺に目を向けた。凄まじいプレッシャーだ。マジで全身が震え始める。だが、俺は強気の姿勢だけは崩さずに問う。

 

「………俺に何か言いたいことでもあるのか?」

 

「いいや、だが、アザゼルなら何か言うかもしれんと思っただけだ。あいつのコレクター趣味は異常だ」

 

━━アザゼル?確か、堕天使の総督だったな。神器(セイクリッド・ギア)を集めているのか?

 

「どちらにしろ、俺はおまえの根城で暴れさせてもらうぞ、リアス・グレモリー。戦争の、いや、あの男との決着のためにな!忌々しい奴の妹、そして、レヴィアタンの妹、それらが通う学び舎だ。戦場としてはちょうどいい」

 

こいつ、無茶苦茶だ!そのロイってヒト、コカビエルに何をしたんだ!?

 

「ひゃははは!最高でしょ?俺のボスって。イカレ具合が素敵に最高でさ。俺もついつい張りきっちゃうのよぉ」

 

フリードは心底おかしそうに哄笑をあげている。そんなフリードを見ながらコカビエルが言う。

 

「バルパーの研究、ここまでくれば本物か。俺の作戦に付いてきたときは正直怪しいところだったがな」

 

コカビエルとバルパーは手を組んでいるってことか。バルパーが絡んでいるってことは、あいつもきっと━━。

俺がこの場にいない部長の『騎士(ナイト)』の事を一瞬考えると、コカビエルは九枚の翼を羽ばたかせて学園の方に体を向けた。

 

「さぁ、戦争だ!リアス・グレモリー!『切り裂き魔(リッパー)』のように俺を楽しませろ!」

 

フリードの野郎が懐から目眩まし用のアイテムを取り出し、それを地面に叩きつける!

閃光が俺たちの視界を奪い、回復した頃にはコカビエルもフリードも消えていた!

あいつらの話だと、あいつらの向かう先は━━━!

 

「イッセー、学園に向かうわよ!」

 

「はい!」

 

堕天使幹部との決戦が始まろうとしていた!

 

 

 

━━━━

 

 

 

俺は木に背を預け、耳に装着した小型のインカムから聞こえるアリサの声に意識を向ける。

 

『隊長、聞こえますか?』

 

「ああ、聞こえるぞ。そっちの準備は?」

 

『はい!離脱用魔方陣の準備は出来ました!魔方陣をルシファーのものに似せるのには苦労しましたけど………』

 

「ならいい。俺の合図を待て………」

 

『わかりました!』

 

俺は溜め息を吐き、視界の先にある学園に目を向ける。コカビエルが入っていったそこに結界が張られたことは確認できた。あとは、中に入るだけだ。

インカムの周波数を変え、ジルにコールする。

 

「ジル、どうだ?」

 

『はい、即興にしてはいい結界です。が、まだまだ年同様の甘さが目立ちます。すり抜ける術式もすぐに完成させますので、もう少しお待ち下さい』

 

「わかった、急げよ」

 

ジルの言葉に返し、そのままクリスにコールする。

 

「クリス、そっちは?」

 

『はい。どうやら、他の班に違う指令が飛ばされたようで、到着して早々にどこかにいってしまいました。内容を聞こうと思ったら、「これは我々の任務だ、そちらはそちらの仕事をしろ」と返されてしまいました』

 

「なら、仕方ないか……」

 

俺は溜め息を吐くと周波数をチーム共有のものに変更し、三人に聞こえるように言う。

 

「さて、諸君。腕の見せ所だ、派手に行こう………」

 

『派手にやるのは隊長だけですけどね!』

 

「………アリサ、後で覚えていろよ?」

 

『え!?』

 

『リーダー、死なないでくださいよ?』

 

「クリス、俺はそこまで弱くないさ……」

 

『違いないです』

 

『リーダー、どうかご無事で………』

 

「ああ、任せろ」

 

『ま、待ってください!わ、私は………』

 

俺は三人の言葉に返すと、アリサの言葉を最後まで聞かずにインカムの電源を切る。

そして着ているローブのフードを深く被り、学園の方に視線を戻す。

 

「さて、コカビエル。決着をつけるか………」

 

俺の呟きは誰にも聞こえることはなく、夜風にのって静かに消えていった━━━━。

 

 

 

 

 

 

 

 




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