俺━━ジャックとカテレアが待機すること数分。
俺とカテレアの視線の先では大量の魔術師たちが、たった一人の男によって蹂躙されていた。
白い軌跡を残しながら高速で動き回るそれは、先日俺が交戦した『
俺はアルビオンの動きを目で追いながらカテレアの指示を待つ。カテレアはただ魔術師が殺られていくところを見ているだけだ。
すると、カテレアが口を開いた。
「さて、行きましょうか。転移する先は敵陣の真ん中になります。準備はいいですね?」
「いつでも………」
俺はそう返しながら深く息を吐く。
行く先には確実に兄さんがいる。最悪、兄さんに銃を向けなければならなくなる。兄さんなら避けてくれると信じてはいるが、少し不安だ。
俺の胸中を知らないカテレアは俺たちを囲むように転移魔方陣を展開し始める。光が強くなっていき、視界がふさがれていった━━━。
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リアス部長とイッセーくんが、敵に利用されてしまった僕たちの仲間━━ギャスパーくんを助けに向かった直後、僕たちの前に転移魔方陣が現れた。
それを見たアザゼルは笑い、サーゼクス様は苦虫を噛み潰したような表情をされていた。
「━━レヴィアタンの魔方陣」
サーゼクス様はそう呟かれたが、僕は自分の耳を疑った。僕の知るレヴィアタン様の魔方陣ではないのだ。
僕の疑問に答えるように僕の隣に立つゼノヴィアが言った。
「ヴァチカンの書物で見たことがあるぞ。━━あれは旧レヴィアタンの魔方陣だ」
なるほど、冥界の僻地に追われたという旧魔王のものということか。
魔方陣の光が弾け、そこから現れたのは一人の女性と………、
「なっ!?」
ゼノヴィアが驚愕の声を漏らした。当たり前だろう、女性と共に現れたのは、特徴的な二丁の銃剣を手にする男性。そう、コカビエルを撃破したあのヒトだったのだから!その男性は僕たちを一瞥すると興味なさげに視線を外した。
僕たちの驚愕と警戒をよそに女性が言う。
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
不敵な物言いで、女性はサーゼクス様にあいさつをする。
「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」
サーゼクス様はそう言われる。やはり、旧魔王の一族!
女性━━カテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う。
「旧魔王派は『
『
「カテレア、それは言葉の通りと受け取っていいのだな?」
「その通りです。今回の攻撃も我々が受け持っています」
「━━クーデターか」
旧魔王派による反乱、しかもテロリストにも手を貸している。
「カテレア、なぜだ?」
「我々はあなたと逆の考えに至っただけです。神も魔王もいないのならば、この世界を変革すべきだと………」
「オーフィスの野郎はそこまで考えているか?そうとは思えないんだが」
口を挟んだのはアザゼルだ。オーフィスというのは『
「彼は力の象徴としての役を担ってもらうだけです。彼の力で一度世界を滅ぼし、もう一度構築します」
こんなことが起こるなんて。外の魔術師たちも、そしてあの男性も賛同者というわけだ。各勢力のはぐれ者たちが集まっているとなると、堕天使や天使のなかにも反逆者が出ていることになる。
和平がそんなに嫌なのか………?サーゼクス様は皮肉げに笑う。
「各勢力の反逆者を集めて、自分たちだけの世界、自分たちが支配する新しい世界を欲したわけか………」
そして、そのトップとなるのがオーフィス。神すらも恐れた二天龍よりも強いと言われるドラゴン。
「カテレアちゃん!どうしてこんな!」
セラフォルー様の叫びにカテレアは憎々しげに睨みを見せる。
「私からレヴィアタンの座を奪っておいて、ぬけぬけと!私こそが魔王に相応しかった!」
「カテレアちゃん………」
「セラフォルー、安心なさい。この場であなたを殺して、私がレヴィアタンを名乗ります。あなたたちの時代は終わるのです」
今の発言に男性はちらりとカテレアを見るが、すぐに視線を前に戻した。何か引っかかることでもあったのだろうか?
警戒を最大にする僕たちをよそに、一人だけ愉快そうに笑む人物がいた。
「くっ………。くっくっくっくっ」
ただ一人だけ、悪童らしい邪悪な笑みを見せていた。
「アザゼル、何がおかしいのです?」
カテレアは怒りを隠そうともせずに声の主、アザゼルを睨む。
「おまえら、こぞって世界の変革かよ」
「そうです。この世界は━━」
「腐敗している?おいおい、今時流行らないぜ?」
腹を抱えて笑い始めるアザゼル。カテレアは目元を引きつらせ、男性は黙ってアザゼルの言葉の続きを待っている様子だ。
「アザゼル、あなたもあなたですよ。今の世界に満足など………」
「言ってろ。おまえらは陳腐で酷すぎる。なのにそういう奴らに限って強いんだよな。レヴィアタンの末裔、おまえのセリフ、真っ先に死ぬ敵役のそれだぜ?」
「アザゼル!あなたはどこまで私たちを愚弄する!」
カテレアは激怒し、全身から魔力のオーラを迸らせる。男性は落ち着いた様子で息を吐き、殺気を濃密にしていく。
カテレアもあの男性もやる気のようだ。
「おまえら、手を出すなよ?カテレアは俺が殺る」
アザゼルも薄暗いオーラを放ちながら立ち上がった。
「……カテレア、降るつもりはないのだな?」
サーゼクス様の最後通告にカテレアは首を横に振った。
「ええ、あなたはいい魔王でした。けれど、最高の魔王ではない。だから、私たちは新しい魔王を目指します」
「そうか。残念だ」
その確認を見ると、アザゼルは窓際の壁を吹き飛ばした!同時に十二もの黒い翼を展開して宣言した。
「旧魔王レヴィアタンの末裔。『終末の怪物』の一匹。相手としては不足はない!」
「望むところよ!堕ちた天使の総督!」
アザゼルとカテレアはこの場から飛び立ち、校庭のはるか上空で攻防を繰り広げ始めた。
一人残された男性は懐からタバコを取りだし、一本を口にくわえた。
「やれやれ、あのヒトはすぐに熱くなる。悪い癖だ」
他人事のように言いながらタバコに火をつけ、一度紫煙を吐き出した。再びタバコをくわえた瞬間、ゼノヴィアがデュランダルで斬りかかった!
大上段から振り下ろされた一撃を、男性は指に挟んで受け止めた!?
「なに!?」
「おまえさん、動きが単調だな!」
そう言いながらゼノヴィアを蹴り飛ばす男性。僕が加勢しようとすると、先ほど開けられた穴に向かって跳躍。穴から飛び出した瞬間に銃剣の銃口をサーゼクス様に向けられた!
そこから放たれる二発の魔力弾。サーゼクス様に吸い込まれるように進むそれは、サーゼクス様の横に控えていたグレイフィアさんが魔方陣で防御する。
男性は一瞬だけ笑みを浮かべると、そのまま重力に身を任せて落下していく。僕は立ち上がったゼノヴィアと頷きあうとその男性を追って飛び降りた。
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俺━━ジャックは地面に着地を決めて、先ほどの事を思い出していた。
カテレアがセラを殺すと言った時はヤバかったが、どうにか堪えることが出来た。兄さんの暗殺失敗の流れを作ることも出来た。あとは………。
俺は先ほど飛び降りた穴に目を向けると、そこから二人の
俺はタバコを携帯灰皿に押し込み、銃剣を両剣モードに、そこから二刀流モードに切り替える。それと同時に聖魔剣の少年が落下のエネルギーをのせた突きを放ってくる!
俺は校舎から離れるように転がってそれを避けると、回避先に待ち受けていた少女が持つデュランダルが振り下ろされてくる!
それを剣をクロスするようにしてそれを受け、その少女に物申す。
「見聞を広めろとは言ったが、悪魔になるとはな」
「少々やけくそ気味だったが、後悔はしていない!」
力を込めて俺を押しきろうとしてくるが、俺は無防備な腹に蹴りを入れる。
一瞬力が抜けた瞬間にデュランダルを押し返し、そこに上段から一撃!入れようとしたら聖魔剣の少年が背後から斬りかかってきた!
いい速度、だが!
俺は上段に振り上げていた剣をそのまま背中に回して聖魔剣を防ぎ、一瞬だけ全身から魔力を解放。その風圧で二人を吹き飛ばす!
吹き飛ばされた二人はうまく体勢を整えると、俺を睨んでくる。
「どうした?リアス・グレモリーの『
俺が挑発するように両手を広げながら言うと、聖魔剣の少年が俺に言ってくる。
「あなたは、あの時から旧魔王派に与していたんですか!?だとしたら、なぜ僕たちを助けたんです!」
確かに、それは疑問に思うだろうが、下手な事を言うと兄さんの信用に関わってくるからな………。
「あの後にオファーを受けてな。ちょうど現魔王にも不満が溜まっていたもんだから、乗らない選択肢はないだろ?」
俺の回答に二人は苦虫を噛み潰したような表情になる。命の恩人が敵になっているんだ、当然か………。
俺は剣の引き金を引いて銃剣モードに、そして俺を挟むように立つ二人に一丁ずつ銃剣を向けて引き金を引きまくる!
音もなく放たれる魔力弾を二人は
俺は二人の動きを読むようにして射撃、放たれた魔力弾は━━━、
「ぐっ!」
「がっ」
「ほーら、直撃だ。この先、生き残れないぞ?」
見事に二人の足を撃ち抜いてみせた。
足を撃ち抜かれて倒れる二人。俺はそんな二人をさらに挑発するが、『
俺が深く息を吐くと、上空で戦っていたカテレアのオーラが急激に膨れ上がった!おそらく、オーフィスの蛇を使ったのだろう。
オーフィスの力を圧縮したそれを飲み込めば力が格段に増す。一気に決めるつもりのようだ。
俺がそう思った矢先、横合いから飛んできた何者かにアザゼルが殴り飛ばされた!
俺はアザゼルを殴り飛ばしたそいつを見て目を見開いた。アザゼルを殴ったその人物は━━、
「アルビオン………!」
アザゼルの腹心である筈の白龍皇━━アルビオンだった。
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