グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

29 / 219
体育館裏のホーリー
mission01 決戦に向けて


俺━━ジャックと俺の部下たちは休暇を終えても本部に留まっていた。

駒王町近くに構えていたアジトは撤収の時に処理を終えているし、そもそもあの町にもう用はない。なので、俺たちは本部に居るしかないのだ。

その本部の連中は作戦を変えて、魔王本人ではなく、その親族を狙ってテロを起こすようになっていた。

現にグラシャラボラス家の次期当主が暗殺されてしまったのだ。俺やジルまで話が来てくれないと対応しきれん!

俺は愚痴りながらシャルバの横に待機している。ジルたちは別室待機だ。

俺たちは俺の予想通りにこいつの部下となり、基本的に俺はこいつの側を離れられない。情報はジルが送ってくれていると信じるしかない。

俺がそんな事を思っていると、シャルバが書類を確認しながら険しい表情になる。

 

「シャルバ様、いかがされましたか?」

 

「ジャック、これを見ろ」

 

シャルバは俺に書類を渡してくる。俺はそれを受け取るとざっと目を通す。

 

「ディオドラ・アスタロトがレーティングゲームで『蛇』を使用………!あのバカが…………ッ!」

 

俺が憎たらしそうに言うと、シャルバは頷く。俺が書類を返すとシャルバが言う。

 

「これで我々の計画がバレた可能性もある」

 

「どうされます、このまま続行ですか」

 

俺がわざとらしく訊くと、シャルバは不敵に笑んで俺に言う。

 

「ああ、今さら止めん。この程度は想定の範囲内だ」

 

シャルバはそう言うが、それを裏切り者に言っていることは想定の範囲内なのか?

俺はそう思ったが、「了解しました」と返してそのまま訊く。

 

「仕掛けるのはどのタイミングでしょうか?」

 

「それも決定している。ディオドラの小僧とリアス・グレモリーのゲームの時だ。今回は忌まわしい現ルシファーの妹を殺す!ディオドラもその妹の『僧侶(ビショップ)』を欲しがっているからな」

 

「………またあいつらですか」

 

俺は心の中で溜め息を吐きながらそう呟いた。今年に入ってからリアスと会う回数が増えてきたな………。

 

「作戦は三日後。貴様は隊に戻って準備を進めておけ、いいな?『英雄派』への連絡は済んでいるが、詳しくは当日まで言えん。理由はわかるな?」

 

「もちろんです。では、失礼します」

 

俺はシャルバに礼をして退室する。英雄派、神器(セイクリッド・ギア)などの異能を持った人間のみで構成された『禍の団(カオス・ブリゲード)』の派閥の一つか………。

俺はそれを思い返しながら腕輪のスイッチを押して兄さんに通信を送る。

 

『ロイ、どうかしたか?』

 

『リアスとディオドラ・アスタロトのゲームの時に仕掛ける。何か作戦があるようだが、それはいまだに不明。それと、ディオドラはこちらと繋がっているから警戒しておいてくれ』

 

『………ッ!そうか。アスタロト家、アジュカの所の次期当主が………』

 

『ああ、その通りだ』

 

『そうか、助かるよ。その時に戻るんだろう?』

 

『ああ、シャルバは今回で決めるつもりだ。本人は認めないが、かなり焦ってきているからな。三竦みの和平から広がっている他の神話勢力との協力態勢。それが完璧になる前に仕掛けたいんだろ』

 

『そうか、わかった。備えておこう』

 

『じゃ、切るぞ?』

 

『また頼むよ』

 

『次があったら、その時が最後だと思うがな』

 

その言葉を最後にスイッチを押して通信を切る。兄さん、ディオドラの話をした時に結構ショックを受けた感じの声になっていたな。

まあ、当たり前か、アジュカ様の親族が裏切っていたんだからな。

俺は次の作戦がどんなものかを予想しながら歩き、隊が待機している部屋に到着する。

 

「あ、隊長!お帰りなさい!」

 

「アリサ、元気そうだな」

 

「はい!元気が取り柄ですから!」

 

隊に当てられた部屋に入ると、アリサが真っ先に俺に気づいて声をかけてきた。

俺はそれを適当に返して空いていた椅子に座る。ジルは読んでいた本から目をはずし、クリスが奥から現れる。少し髪が湿っているところを見ると、またシャワーを浴びていたのだろう。

俺は全員が揃ったことを確認すると、全員に伝える。

 

「さて、次の作戦が決まった。三日後だ」

 

俺の言葉に三人は頷き、今日の日付を確認する。カテレアが死んでから約二ヶ月。あの時は夏の始めだったが、今は秋の始めか………。

俺はそんな事を考えていたが、浅く息を吐いて切り替える。

 

「目標はリアス・グレモリー。容姿は言わなくてもわかるな?」

 

「「「はい」」」

 

「ならいい。作戦には英雄派の支援があるらしいが、細かくは当日になってからわかる。ようはいつも通りだ」

 

俺が皮肉げに言うと、アリサは苦笑し、クリスは溜め息を吐き、ジルは小さく微笑む。

 

「さて、三日あるからな、各々準備を整えておけよ?俺は少し休む。最近働きっぱなしだったからな」

 

俺が言うと三人は揃って苦笑した。本当に、シャルバは人使いが、特に俺の扱いが荒い。たまには休ませて欲しいし、他の奴でもできそうなものもかなりあったから、余計に面倒だった。

俺は席を立ち、部屋に備え付けられている二段ベッドの下の段に倒れこむ。ちなみに、俺の上はクリスだ。いびきがうるさいが、もう慣れた。 ちなみに女性陣は二人用の二段ベッドがある。まあ、目の前だがな。

時間は人間界でいう深夜に当たる。いくら悪魔でも眠いものは眠いのだ。

俺は眠気に任せて目を閉じた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何時間寝たのだろうか。俺は近づいてくる気配を感じて目を覚ました。

俺が目を開けて気配のした方に目を向けると、寝間着姿のジルが視界に入る。彼女は俺が起きたことを確認すると、ゆっくりと近づいてきながら人差し指を立てて静かにするように伝えてきた。

俺はそれに頷いて上体をゆっくりと起こし、十分近づいたところで声を小さめにして訊く。

 

「で、二人はどんな感じだ?」

 

「ああ、大丈夫だろう。こいつらは旧魔王よりもおまえを信頼している。おまえが『投降しろ』と命じれば折れるぐらいにな」

 

「そうか、悪いな、面倒を押しつけちまって」

 

「いいさ、面倒は嫌いじゃない」

 

ジルはそう言うと笑み、俺に顔を近づけてきた。俺は少し顔を後ろに下げて距離をとるが、構わずにジルは言う。

 

「まぁ、とにかくだ。お互い最後の作戦は死なずに終わらせよう。ここで死んだら笑い者だ」

 

「ああ、わかってるさ」

 

「ならいい」

 

ジルはそう言うと二段ベッドに戻っていく。次の作戦で俺とジルのやってきた全てが決まる。今まで完璧とは言えなかったが、終わり良ければ━━とも言うからな。

それに、アリサとクリスの運命も次の作戦で決まるわけか………。

俺は三日後の作戦のことを考えながら再び目を閉じる。どちらにせよ、俺は俺のやるべきことをやるだけだな………。

柄にもなく真面目なことを考えていたが、やはり襲ってくる眠気には勝てず、俺の意識はすぐに闇に落ちていったのだった。

 

 

 

 

 




誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。