グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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放課後のラグナロク
life01 テロリスト狩り


俺━━ロイが教師になってからは兵藤一誠の家に世話になっている。一応家を用意してもらおうと思ったのだが、一誠が気を利かせてくれたのだ。

そんなわけで俺はありがたく兵藤家にお世話になっているのだが、この家はやたらと大きい。現に俺は、地下一階にいた。

 

『ふはははは!ついに貴様の最後だ!乳龍帝よ!』

 

『何を!この乳龍帝が貴様ら闇の軍団に負けるはずがない!』

 

見るからに悪人の言葉に赤い鎧を纏った一誠にそっくりの少年が返す。正確にはそっくりではなく、加工で一誠の顔を役者に当てているんだがな。

地下一階の大広間で『乳龍帝おっぱいドラゴン』を観賞していた。俺の回りにはリアスとその眷族一同、転生天使のイリナ、堕天使総督のアザゼルがおり、全員で見ているわけだ。

ちなみに、転生天使とは転生悪魔の天使版だ。悪魔がチェスなのに対してトランプがモチーフになっているとのこと。

………で、俺はそのおっぱいドラゴンを見ていて一つ思ったことがある。

まずは意外とクオリティが高いこと。ストーリーも簡単なもの(いわゆる勧善懲悪)になっているため子供に受けそうであり、王道と言えば王道だ。

そして、もうひとつは━━━、

 

『おっぱいドラゴン!来たわよ!』

 

リアスことスイッチ姫だ。もちろんそれも役者ではあるが、見ていて少し胸に引っかかるものがある。それは、

 

『おおっ!スイッチ姫!これで勝てる!』

 

おっぱいドラゴンがスイッチ姫の胸に触れる。すると、おっぱいドラゴンの鎧が赤く輝き、パワーを取り戻した様子だ。

 

「味方側にスイッチ姫がいてだな、おっぱいドラゴンがピンチになると駆けつけてあんな感じに助けるんだ。そうすることで、おっぱいドラゴンは無敵のヒーローになる!って感じだな」

 

どや顔をしながら解説するアザゼル。俺とリアスは同時にハリセンを取り出して振りかぶり、

 

スパン!

 

スパァァァァンッ!

 

「いってぇぇぇっ!?」

 

頭を押さえてうずくまるアザゼル。俺とリアスは嘆息しながはハリセンをしまう。

リアスの一撃と比べて、俺がやったときはすごい音が出たな。

 

「アザゼル、聞いたわよ?ス、スイッチ姫の案を出したのはあなたよね?おかげで私が、こ、こんな………」

 

「妹が泣きそうなのでもう一発っ!」

 

スパァァァァンッ!

 

「ギァ!?」

 

俺が再び取り出したハリセンの追撃を受け、アザゼルは動かなくなった。リアスは顔を真っ赤にしながら怒りに耐える。

 

「まあ、子供層からの人気が高まったのは事実だ。だが、これだと、な?」

 

「……もう、冥界を歩けないわ」

 

俺が次の言葉を探しているとリアスが続けてくれた。本当にその通りだ。リアスが「スイッチ姫だ!」とか言われて子供たちに群がられる………。微笑ましいな。

 

「簡単な変装ぐらいなら教えるが、どうする?」

 

「お願いします……」

 

俺とリアスは小声でそんな事を話しているとイリナの叫びにも似た声が聞こえてきた。

 

「イッセーくんったら、そうやってリアスさんたちを口説いたのね!?堕ちちゃう!私、堕天使になっちゃうぅぅぅぅっ!」

 

イリナが天使の羽を点滅させていた。戦争中のガブリエルもあんな感じになっていたな。確か、天使が堕天しそうになるとあんなことになるんだったな。

 

「ミカエル直属の部下なら大歓迎だ。VIP待遇にしてやるよ」

 

「いやぁぁぁぁっ!ミカエル様、お助けくださぁぁぁぁぁいっ!」

 

涙目になりながら天に祈りを捧げている。

 

「なんか、戦争中を思い出すな」

 

「そうなのですか?」

 

「ああ。まあ、色々あってな。あの時は━━━」

 

「ロイ、ストップだ!それ以上は言わせん!」

 

アザゼルがイリナへの勧誘を中断して俺の口を押さえてきた。

俺は鼻で息をしながらアザゼルを睨んでいると朱乃が一誠に絡んでいた。それを見たアーシアやリアスが不機嫌そうにしている。

俺はそれを無視してアザゼルの手を外して小声で言う。

 

「いきなり何しやがる!ビビるだろうが!」

 

「それを言わせるわけにはいかないんだよ!主にイリナとイッセーのためにな!」

 

「は?」

 

俺が間抜けな顔をするとアザゼルが続ける。

 

「今のイリナに言ったらマジで堕ちる。イッセーに言ったら後が面倒だぞ?」

 

「あー、なるほど」

 

一誠は今さらだが変態だ。俺がガブリエルの胸を揉んだ話をしたら、無駄に食いついてきそうだ。

俺たちが話しているうちに一誠たちの話も終わったようで、とりあえず、今日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

ある日の放課後。

俺は部室でコーヒーを飲みながらリアスたちと話をしていた。

 

「修学旅行か、面白そうだな」

 

「ロイ先生も行くんですよね?」

 

「ああ、そうなるだろうな」

 

もうすぐ一誠たち二年生組は修学旅行だ。行き先は京都、俺も教員として引率することになる。だが、その学校はハードスケジュールだ。修学旅行が終わるとすぐに学園祭だ。準備は始めておかないとな。

 

「で?去年は何をやったんだ?」

 

「去年は本物を使ってお化け屋敷をやりました」

 

「ちょっと待て、本物を使ったのか?」

 

「はい」

 

俺はリアスの言葉で頭を右手で抱える。妹が自由すぎる……、本物を使うってズルくないか?

 

「まあ、何だ。今年は新しい何かをやってみたらどうだ?」

 

俺の提案にリアスたちが頷くと俺たちのケータイが同時に鳴る。俺たちは顔を見合わせて頷く。

リアスは息を整えて表情を引き締めると眷族たちに言う。

 

「━━行きましょう」

 

 

 

 

 

 

町にある廃工場。俺たちが使っていたものとは別のものだ。

すでに日が落ちていて、空が暗くなり始めている。薄暗い工場内に気配が複数。殺気を放ちながらリアスたちを無視して俺を睨んできている。

 

「━━ジャック、いや、ロイ・グレモリー。我々は裏切りを許さない」

 

「許してくれと言った記憶はないがな」

 

俺は銃剣を取り出して不敵に笑む。リアスが俺の横に立って冷たい声音で訊く。

 

「『禍の団(カオス・ブリゲード)』━━英雄派ね?ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。この町を任されている上級悪魔よ」

 

「ああ、存じ上げておりますとも。我々は目的は貴様たち悪魔を浄化し、町を救うことだからな」

 

俺たちをゴミを見るように見てくる。やはり、英雄派の構成員。最近こいつらによるテロが増えてきているな。

俺たちの後ろに控えていた一誠が禁手(バランス・ブレイカー)となって前に出た。それに聖魔剣を持った木場が続く。ゼノヴィアも一誠からアスカロンという聖剣を受け取ってそれを構える。

俺は銃剣を構えながら三人の少し後方、小猫とイリナ、ギャスパーと共に中衛を務める。まぁ、正確には遊撃として様々こなさないといけないがな。そして、アーシア、リアス、朱乃が後方からの支援に徹する。

敵は俺たちが陣をとったことを確認すると、黒いコートを着た男性が手から白い炎を出現させる。

 

「また神器(セイクリッド・ギア)持ちか、面倒だな」

 

英雄派はそのほとんどが神器(セイクリッド・ギア)所有者だ。これの相手が面倒極まりない。

そして、そんな彼を囲むように黒い異形が現れる。いわゆるザコ敵だ。実際にそこまで脅威ではない。

炎を出現させた男が行動を起こそうとした瞬間に一誠が突撃した!俺はそれを援護するように滅びの弾丸を連続で放つ!

音もなく放たれた弾丸は黒い異形に突き刺さっていき、直撃した異形は霞のように消えていく。

炎を出す男はうまく横に転がって一誠の攻撃を避けていたが、俺はその男が態勢を整える隙に弾丸を放つと、それが直撃する瞬間に消えた!いや、影に飲み込まれたのか!?

奥にいたサングラスと男が笑みを浮かべている。やったのはあいつのようだ。

木場がその男に斬りかかるが、聖魔剣の刀身が影に飲まれた!次の瞬間、木場自身の影から刀身が勢いよく飛び出した!木場はそれを避けて距離をとる。

 

「テクニックタイプか、面倒だな」

 

影で飲み込んだものが影から飛び出してくるってことは、俺の弾丸も出てくるわけだろ?つまり………。

俺は少し集中して弾丸の魔力を感じとり、影から飛び出してきた瞬間に弾丸を当てて撃墜する。

 

「ゼノヴィア、後衛の防御に回れ!雑魚は俺が殺る!」

 

「わかった!」

 

俺とゼノヴィアは素早く持ち場を交代して俺は雑魚掃除を始める。黒い異形と一定の距離をとりながら銃撃して数を減らしていく。

俺の視界の端で民族衣装の男が青い光の弓を構えて、今にも光の矢をこちらに放とうとしていた!

俺は左手の銃剣で雑魚を迎撃しつつ、右手の銃剣で民族衣装の男性に牽制射撃を行う。

いくら俺たちでも悪魔である以上光は苦手だ。

 

「イリナさん!あいつの相手をお願いするわ!天使ならある程度大丈夫でしょ!?」

 

「はい!悪魔ほどのダメージは受けません!」

 

リアスの指示を受けたイリナはそう言いながら民族衣装の男性に攻撃していった。俺が言おうとしたらリアスが代わりに指示をだしてくれたな。

俺は妹のちょっとした成長を見ながら雑魚掃除に集中し、ペースをあげていく。相変わらず、数だけは多いな。

なんて思っていると俺の影から氷の槍が飛び出してくる!俺はそれを余裕で避けて影に向かって銃撃してみるが、弾丸が飲み込まれただけで何も起きない。ダメージを与えるためには撃ち返すだけでは足りないようだ。

俺は雑魚を射撃しながら一誠に叫ぶ。

 

「一誠、雑魚を一気に屠る!俺によこせ!」

 

「はい!」

 

一誠が素早く俺の横について右肩に手をのせる。同時に俺にオーラが高まった!

 

「ありがとよッ!」

 

礼を言いながら右手の銃剣から弾丸を放つ!放たれた弾丸は速度こそ遅いが縦横無尽に廃工場内を飛び回って雑魚たちを次々と撃ち抜いていく!同時に木場が影使いに斬りかかっていた!

その聖魔剣が俺の影から飛び出してくるが、俺はそれを避けて残しておいた譲渡分を乗せた弾丸を影に撃ち込む!

 

「祐斗!影の中の弾丸を斬って!」

 

「ッ!はい!」

 

リアスの指示に木場は素早く反応して聖魔剣で影の中を斬った!すると、

 

ドオオオオンッ!

 

「ぐわっ!?」

 

爆発音と悲鳴。見ると影使いがボロボロになっていた。

 

「ビンゴだ。影の中で攻撃が弾けるとダメージは通るようだな」

 

俺はリアスにサムズアップをするとリアスは不敵に笑む。兄妹だからな、このぐらいの作戦なら話さなくてもわかる。

俺がサムズアップをしているとどこからか緑色の光の矢が飛んでくるが、まだ真横にいた一誠がそれを弾きおとした。

 

「まだいるか。まだ影の能力が消えてないな」

 

「そちらは私がやろう。小猫、付いてこい。相手の気は探れるな?」

 

「………はい、ゼノヴィア先輩」

 

ゼノヴィアと小猫がそちらの対応に動き始める。同時に一誠が炎使いに詰め寄ろうとしていた!炎使いが両手から巨大な炎を塊を放とうとしている!

 

「ギャスパーッ!止めてみせろっ!」

 

「はいぃぃぃぃぃっ!」

 

俺の言葉への返事と共にギャスパーの両目が怪しく光り、炎使いの男を止めた!よし、成功!

止まった男の顔面に一誠の拳が鈍い音と共に突き刺さる!そして、少し時間を置いてから、

 

「ッ!?があああああっ!」

 

炎使いの男が吹き飛ばされた!後は青い光使いだが……、

 

「ふー!終わったわ!」

 

イリナに捕縛されており、気を失っているようだ。俺たちが伏兵がいないか警戒していると、

 

「……ぬおおおおおおおっ!」

 

影使いの男がフラフラと立ち上がりながら絶叫した!途端に男の体を黒いモヤが包んでいく。それはさらに広がって工場内を包み込もうとしている。

………これは、ヤバイな!

俺は即そう判断して影使いの男に弾丸を放つ!弾丸は男の眉間を撃ち抜いて後ろの壁にめり込んだ!だが、

 

「ぬおおおおおおおっ!」

 

男の叫びがさらに強くなっていく!直撃したどころか貫通したはずなのに効いていない!?

俺が再び攻撃しようとすると、男は転移用と思われる魔方陣に囲まれる。悪魔とも堕天使、天使とも違う、オリジナルのものだ。

魔方陣から一瞬の閃光が放たれ、その光が止むと、その男がそこから消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「終わった、か」

 

俺たちは戦闘体制を解いて一息ついていた。俺はテロリストのあと処理をリアスたちに任せて一足先に廃工場から出てタバコで一服させてもらっていた。

廃工場の外壁に背を預けて紫煙を吐き出す。あの影使いが見せたあれは、何か危険なものを感じた。やつらの狙いは……なんだ?神器(セイクリッド・ギア)使いをぶつけてきて、決戦を仕掛けてこない。まるで、当たるかもわからない賭けをさているような。━━まさか!?

俺の頭に最悪のシナリオが浮かんだ。神器(セイクリッド・ギア)使いを俺たちにぶつけて禁手(バランス・ブレイカー)にさせるつもりか!?いや、いくらなんでもそれは……。

俺は思考を切り上げて再び紫煙を吐き出すと夜空を見上げる。やはり、空は星がある方がキレイだ。

俺はそんなことを思った自分に苦笑しながら、タバコを携帯灰皿に押し込んでリアスたちの元に戻る。すると、全員が少し驚愕を感じているような表情になっている。

 

「どうかしたか?」

 

俺が訊くとリアスが答える。

 

「最後にあの男が見せたものは、もしかしたら禁手化(バランス・ブレイク)の兆候だったのかもしれません」

 

「おまえらもそう思ったか……」

 

俺の一言に全員が頷くと、俺は続ける。

 

「だが、あくまで予想だ。詳しくは今度アザゼルに訊いてみようぜ?おまえらでもそこまで予想できたんだ、あいつならもっと知ってるだろう」

 

「そうですね」

 

こうして、俺たちは無事に部室に戻ったのだが、朱乃の「イッセーくんとデート」発言で修羅場になりかけた。朱乃は多分、この状況を楽しんでいるな………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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