グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life06 悪神迎撃

「おっぱいメイド喫茶━━━」

 

「「却下」」

 

一誠の意見を俺とリアスは同時に否定する。

決戦を間近に控えた俺たちは学園祭の出し物を考えていた。正確にはリアスたちが考え、俺がいけるかの合否を出すのだ。

 

「一誠、おまえな。もっと健全なものを考えろ。その前に、リアスたちの胸を赤の他人に見せていいのか?」

 

「━━━ッ!そ、それは、そうですね」

 

衝撃を受けた様子で動揺する一誠。こいつの変態度は相当なものだ。

俺は額を押さえながら溜め息を吐く。こいつが俺たちの切り札ってのが何ともいえないというか、情けないというか…………。

一誠は一度息を吐いて真剣な顔になる。珍しいその表情を見ていると、ぼそりと漏らす。

 

「……オカ研の女子で誰が一番人気か、とか?」

 

その一言で女子たちが顔を見合わせる。

 

「二大お姉様のどちらが人気か気になりますぅ」

 

ギャスパーが小声でそう漏らすと、その二大お姉様であるリアスと朱乃が顔を見合わせていた。

 

「「私が一番に決まってるわ」」

 

リアスと朱乃の声が重なった。そして二人は睨み合いを始めてしまう。二人とも笑っているが迫力のあるオーラを放っている。

 

「あら、部長。何かおっしゃいました?」

 

「朱乃こそ、聞き捨てならないことを口にしなかったかしら?」

 

朱乃の様子が何となく戻っている感じがする。バラキエルが来てからは『関わらないでくれオーラ』というものを放っていたが、それが薄れた感じか。

なんてことを思っている矢先からリアスと朱乃が口喧嘩を始めてしまう。これで修学旅行までに決めるってのは無理かもしれないな。

俺は再び溜め息を吐き、珍しく静観していたアザゼルを見る。当のアザゼルは窓の外の夕暮れを見て、ぼそりと呟いた。

 

「………黄昏か」

 

それを聞いた俺たちの表情が引き締まる。あと数時間で決戦だ。

俺たちの耳に部活終了のチャイムが届く。

 

神々の黄昏(ラグナロク)にはまだ早い。━━おまえら、気張っていくぞ」

 

『はい!』

 

「ああ」

 

アザゼルの言葉にリアスたちは気合いを入れるように、俺はいつもの通りに返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、決戦の時。すでに日は落ちて夜となっている。

俺たちはオーディンと日本の神たちが会議を行うという、都内の高層高級ホテルの屋上にいた。

高所で遮るものがないためか、風が強く吹き付けてくる。

俺は風下の位置に立ち、懐からタバコを取り出して口にくわえる。そして周囲を見渡━━。

 

「油断も隙もありません!」

 

「………クソッ!」

 

どこからか現れたロスヴァイセにタバコを奪われた。こいつ、俺が吸おうとする度に奪いやがって!戦闘前に一服ぐらいさせろって!

 

「ロスヴァイセ、たまには吸わせてくれ。戦闘前のリラックス、いや、ルーティーンなんだ」

 

「それでもダメです!私が近くにいる限りは吸わせません!」

 

こいつ、早く帰ってくんないかな。俺のリラックス方法がひとつ潰されているんだが………。

俺は溜め息を吐きながら再び懐から『それ』を取り出して口にくわえる。それを見たロスヴァイセが額に青筋をたてながら奪おうとした瞬間━━。

 

ガリッ!

 

「え?」

 

ロスヴァイセは間抜けな表情になる。それはそうだろう。俺は『それ』を噛み砕いたのだから。

俺はどや顔をしながら『それ』の入れ物を懐から取り出してロスヴァイセに見せる。ロスヴァイセはそれを奪い取りながらそれを凝視する。

 

「………ココア、シガレット?」

 

「タバコじゃないぜ。お菓子だぜ」

 

俺が取り出したのは『ココアシガレット』だ。ようするに、タバコそっくりのお菓子だな。あんまりこういうのは好きじゃないが、ロスヴァイセをからかうためだけに買った。

 

「あなたはぁぁぁぁッ!」

 

「まあまあ、落ち着けって」

 

ココアシガレットの箱を握りつぶした拳を震わせながら、俺を睨んでくるロスヴァイセ。俺はそれを適当に流しながら周囲を見渡す。

屋上の周辺には匙以外のソーナの眷族たち。上空にはタンニーン。アザゼルは会議に参加するんで、その代わりにバラキエルが参戦する、と。リアスたちも問題なく、ヴァーリたちもいるな。

俺は腕時計を確認する。

 

「そろそろだな」

 

何事もなければ会議が始まった筈だ。で、ロキの野郎は……。

 

「小細工なしとは、恐れ入るな」

 

「ああ、まったくだ」

 

俺とヴァーリはほぼ同時に苦笑した。一誠はまだ気づいていないようだな。

 

バチッ!バチッ!

 

ホテル上空の空間が歪み、大きな穴が開いていく。

そこからはロキとフェンリルが現れた。ロキの右腕はついている。神様だけあってあのあとにどうにか繋いだようだ。

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルが小型の通信機からそう言うと、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開される。ソーナたちが俺たちを転移させるための魔方陣を展開したのだ。

ロキはそれを感知するが、不敵に笑むだけでなにかしてくることはなかった。

俺たちは転移の光に包まれていった。

光が止むと、そこは古い採石場跡地だった。予定通りに転移できたようだ。

リアスたちはいる。バラキエルもいる。ヴァーリチームもいる。ロスヴァイセは俺の目の前にいる。無事に全員転移できたようだ。

俺はそれを確認すると、ロキとフェンリルに視線を移す。

 

「たいした度胸だ。逃げないとはな」

 

俺が挑発するように言うと、ロキは笑う。

 

「逃げる必要はない。どうせ抵抗されるのだったら、ここで始末してその上であのホテルに戻ればいいだけだ。遅いか早いかの問題でしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく。それに、おまえを殺すと言った筈だ」

 

ロキはそう言いながら俺を睨んでくる。俺は不敵に笑いながら軽く肩をすくめてやる。

 

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 

バラキエルがそう言う。

 

「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと………。元はと言えば、貴様ら三大勢力が手を取り合ったことから、すべてが歪みだしたのだ」

 

「もういい、言葉は既に意味を持たない。やるしかないぜ?」

 

俺は確認するようにバラキエルに言う。それを聞いたバラキエルは頷き、手に雷光をまとわせ始めた。俺も銃剣を取り出して銃口をロキに向ける。

それと同時に一誠とヴァーリが閃光と共に鎧を身に纏った。これでこちらの準備はできた。

ロキの前に立つ二天龍を見てあいつは歓喜の表情を浮かべる。

 

「これは素晴らしい!二天龍がこのロキを倒すべく共同するというのか!こんなに胸が高鳴ることはないぞッ!」

 

ヴァーリが最初に仕掛けた!高速でジグザグに動いてロキとの間合いを積めていく!一誠はそれに合わせて突撃した!

 

「赤と白の競演ッ!こんな戦いができるのはおそらく我が初めてだろうッ!」

 

ロキは嬉々としながらそれを受け入れた!イカれてるだろいつ!二天龍と真っ向勝負ってか!

俺たちは巻き込まれないように物陰に待避し、戦いの様子を見る。

ヴァーリの手元に北欧のものと思われる魔方陣が展開される。そして、

 

「まずは初手だ」

 

バァァァァァァアアアアアアッ!

 

一気に掃射した!一誠が巻き込まれそうになるが、ギリギリ退避できたようだ。てか、採石場の三分の一が飲み込まれたぞ!?なんて規模だよ!

攻撃が止むと、そこには底の見えない穴が生まれていた。一点集中にしたんだろうが、それでもこの威力か。恐ろしい奴だ。

俺がヴァーリの強さに感心していると、煙の中からロキが現れる。ローブが所々破れているが、本人は無傷なようだ。

一誠はミョルニルを構えて一気に殴りにいくが、あっさり避けられた。

ミョルニルを取り出した瞬間にロキは表情を引きつらせたが、すぐに余裕そうなものに戻る。

それよりも、肝心の雷が出てなかったな。出る気配すらしなかったぞ。

 

「残念だ。ミョルニルは力強く、そして純粋な心の持ち主にしか扱えない。貴殿には(よこしま)な心があるのだろう。だから、雷が生まれないのだ。本来ならば、重さすらも無く、羽のように軽いと聞くぞ?」

 

邪な心か。一誠に扱える筈がないな!オーディンはなんであいつに託したんだ!?

 

「さて、こちらも仕掛けようか!」

 

ロキは宣言すると共に指をならす。今まで様子を見ていたフェンリルが動きだそうとする。

 

「神を殺す牙。それを持つ我が(しもべ)フェンリル。おまえたちが勝てるというのならばかかってくるがいいッ!」

 

ロキが指示を出した瞬間、俺は手を挙げる。

 

「にゃん♪」

 

黒歌がそれを確認してから笑むと、彼女の周囲に魔方陣が展開される。そして、そこから巨大な鎖━━グレイプニルが出現する。それを各々で掴み、フェンリルに投げつける!

 

「グレイプニルの対策など、とうの昔に━━」

 

ロキは余裕そうに言ったが、ダークエルフにより強化されたグレイプニルはフェンリルを拘束した!フェンリルの苦しそうでありながら、どこまでも透き通った鳴き声が周辺に響き渡る。

 

「━━捕縛完了だ」

 

俺はフェンリルが身動きが取れなくなったことを確認してそう口にした。あとは、ロキを何とかすれば………。

俺はロキの様子を見る。焦っていると思ったが、存外余裕そうだ。なぜだ?

俺が嫌な予感とともに怪訝に思っていると、ロキは両腕を広げた。

 

「スペックは落ちるが━━」

 

ロキの両脇の空間が歪み始める。なんか、そこから何か出てくるような雰囲気が………。

俺がそう思ってしまったからか、空間の歪みから灰色の毛を生やした大きな狼が現れた。

 

「スコルッ!ハティッ!」

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

採石場跡地に、新たな獣たちの咆哮が響き渡った。

 

 

 

 

 

 




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