グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life07 決戦中盤

新たに現れた二匹の狼、いや、あれは!

 

「フェンリルだと!?こんな時に増援って、空気読めよ!」

 

その二匹のフェンリルの登場に驚いていたリアスたちに変わって俺が声を出した。ヴァーリだけは楽しそうにしているがな。

ロキは新たに現れたフェンリル二匹を従えながら言う。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて交わらせた。親よりもスペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、貴様らを葬れるだろう」

 

フェンリルの子供か。情報がないものに対策はできないが、どうせぶっつけ本番なんだ、やるしかないか!

俺が覚悟を決めた矢先、ロキがフェンリルに指示を飛ばす。

 

「さあ、スコルとハティよ!父を捕らえたのはあの者たちだ!その牙と爪で食らい千切るがいいっ!」

 

ロキの指示を受けた二匹が音もなく動きだし、一匹は俺とリアスたちの方に、一匹はヴァーリチームの方に分かれて向かってくる!

 

「おまえら、やるしかねぇぞ!」

 

『はい!』

 

俺は二挺の銃剣の銃口をフェンリルに向け、フルオートで弾丸をばらまく!フェンリルは右に左に避けながら減速する気配はない!

 

「チッ!避けてくるよな!」

 

俺は銃剣のグリップを撃鉄の方に曲げる。銃剣は光を放ちながら直接剣へと変わった。

つい先日見つけたパターンだ。グリップを曲げてみたら変わった。

俺は左手の剣を逆手持ちにし、木場とゼノヴィアに声をかける。

 

「木場、ゼノヴィア、イリナ!仕掛けるぞ!リアスたちは援護だ!」

 

「わかりました!」

 

「任せろ!」

 

「はい!」

 

「わかりました!朱乃、アーシア、あなたたちは私と支援を!小猫と隙を見て攻撃に参加して!ギャスパーは体をコウモリにしてフェンリルの視界を奪って!」

 

『はい!』

 

俺、木場、ゼノヴィア、イリナが同時に飛び出して子フェンリルに挑んでいく!一撃でもくらえば死ぬかもしれない。すべて避けるしかない!

 

「ハァ!」

 

木場が真っ先に仕掛け、子フェンリルに斬りかかる。高速から放たれた一撃はフェンリルを捉えるが、少し浅かったようで横腹に小さな傷ができただけのようだ。

 

「ならば、これで!」

 

ゼノヴィアがデュランダルから大質量のオーラを子フェンリルに向けて放つ!フェンリルはそれの軌道を見切り、余裕で避けるが、

 

「オラッ!」

 

「えいっ!」

 

余裕際に生まれた小さな隙をついて俺とイリナが斬りかかる!俺とイリナの攻撃は腹部に大きな傷をつけるが、致命傷には遠い!

俺たちは素早く後ろに飛び退く。すると子フェンリルが凪ぎ払うように爪を振ってきた!俺たちに当たることはなかったが、掠めただけの地面に切り傷が生まれた!

直撃はアウトかと思ったが、掠めただけでアウトだな!考えを訂正しなければ………。

吸血鬼の能力でコウモリとなったギャスパーがフェンリルの視界を少しだけ奪う。俺はその隙に素早く剣を銃剣に戻して再びフルオートで連続発射。フェンリルは再びそれを避けようとするが、その瞬間━━━、

 

ドコンッ!

 

凄まじい打撃音が響き渡る。見ると、子フェンリルに先ほどできた傷を抉るように小猫がパンチを放っていた!

小猫には猫耳と尻尾と思われるものが生えている。小猫は猫又、もっというと猫魈(ねこしょう)と呼ばれる一族であり、仙術というものを使うことができる。仙術は体の中を流れる魔力とは違うオーラのようなものを扱う技や術のことだ。

小猫の攻撃で驚くように目を見開くが、素早くその場を飛び退いた。少し息が荒くなっているように見えるな。

小猫が俺たちの方に近づき、ホッと息を吐く。

 

「で、どんな感じだ?」

 

「少しではありますが、気の流れを狂わせました。いくらフェンリルでも回復には時間がかかる筈です」

 

「それなら上々だ。少しは楽ができるかな……」

 

正直、あんなのと真っ向勝負はしたくない。命が足りないとかではなく、魔力が足りない。削りきる前にこっちが魔力切れで倒れる可能性が高い。

だが、それは一人で挑んだ時の話だ。今はリアスたちがいるわけだからな、どうにかなるだろう。

俺が深く息を吐き、再び銃口を向けようとすると子フェンリルが俺たちのいない方向に駆け出した。木場たちは警戒して身構えるが、俺は全力で子フェンリルを追う!

あいつが向かった方向には………!

負傷しているにも関わらず、脅威的な速度で子フェンリルは戦場を駆け抜け、そこに向かう。

俺は銃口を向けて三点バーストで弾丸を放っていくが、子フェンリルは被弾しながらもそこに到着してしまった。

親フェンリルを捕らえるグレイプニルを前にして、子フェンリルは小さく唸る。そして、一気にグレイプニルにかじりつき、傷から血を吹き出しながら強引にグレイプニルを引きちぎった!

クソッ!間に合わなかったか………!

俺は素早く減速して集中、そして一気に横に飛び退いた!一瞬後、俺がいた所の地面が抉りとられた!親フェンリルの一撃か!子供とは桁違いじゃねぇか!

俺は驚愕しながらも周囲を見渡す。親フェンリルは神速で接近し、ロキに攻撃を放とうとしていたヴァーリに噛みついた!

 

「ふははははっ!白龍皇を噛み砕いたぞ!」

 

ロキが哄笑をあげる。あの野郎、真っ先にヴァーリを狙いやがったな!

俺は舌打ちをしながらカバーに入ろうとするが、俺の行く手を子フェンリルが阻む。木場とゼノヴィアが俺の横に駆けつけてくれるが、状況が一気に最悪になっちまった!

焦る俺たちに追い討ちをかけるようにロキは言う。

 

「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」

 

ロキの影が広がり、そこから五匹の巨大な蛇のようなものが現れる。いや、あれはドラゴンか!?

 

「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」

 

タンニーンが憎々しげに叫ぶ。まさか、龍王を量産したのか!?さっきから状況が好転しないな、クソッ!

子フェンリルが待避した矢先、その量産型ミドガルズオルムが一斉に火を放ってくる!

俺たちは素早く待避してそれを避け、俺は銃口を量産型に向ける。少しばかり貫通力が必要だな。

俺は浅く息を吐きながら左右で一発ずつ弾丸を放つ。その弾丸は二匹の量産型の細長い腹部を撃ち抜き、血を吹き出させる。

よし、効いてる。量産型にはすぐに対処できそうだ。

俺はそう判断して視線を子フェンリルに向ける。リアスたちとヴァーリチームの面々はうまくやっているようだ。これだけサポートがいるならあれをやれるな。

 

「タンニーン!量産型は任せる!」

 

「わかった!おまえは子フェンリルをどうにかしろ!」

 

「言われなくても!」

 

俺は走りながら二挺の銃剣に魔力を込めていく。それを行いながら全員に聞こえるように叫ぶ!

 

「おまえら!子フェンリルの動きを止めろッ!一撃で決める!」

 

「お兄様!大丈夫なのですか!?」

 

リアスが心配そうに聞いてくるが、俺は自信満々に頷いてやる。まぁ、半分懸けのようなものだがな。

 

「わかりました。皆、やるわよ!」

 

『はい!』

 

再びコウモリとなったギャスパーがフェンリルの視界を奪い、ゼノヴィアがオーラを飛ばす!

子フェンリルはそれを避けようとすると、木場がそいつの足元に大量の聖魔剣が出現させて一時的に足を止める。ゼノヴィアが放ったオーラがフェンリルを直撃し、子フェンリルは煙に包まれた!

俺はその隙に気配をできるだけ消し、一気に子フェンリルの懐に飛び込む!大量の魔力を込めた右手の銃剣をまっすぐ右の眼球に突き立てる!

眼球を貫かれた子フェンリルは苦しそうに暴れ始めるが、俺は必死にしがみついて引き金に指をかける。

 

「━━━ッ!」

 

歯を食い縛りながら引き金を絞り、銃口から滅びの弾丸が吐き出された!その反動で俺は吹き飛ばされ、子フェンリルから離れることになった。

俺は空中で翼を展開して態勢を整え、地面に着地する。

俺は長く息を吐き、右目から大量の血を流す子フェンリルに目を向けながら言う。

 

「俺は滅びを兄さんほど器用に動かせないし、リアスほど派手でもない。だが━━━」

 

俺は言葉を区切り、右手で指を鳴らす。その瞬間━━。

グシャ…………!

肉を貫くような不気味な音が周囲に響き渡る。

俺は不敵に笑みながら子フェンリルを見る。そいつからは、眉間から紅の刃が飛び出している。

 

「━━確実に殺すって意味だけなら、俺が一番かもな」

 

グシャグシャグシャグシャグシャ!

 

俺が言い切ると同時に、数十本の滅びの刃が頭蓋骨と皮膚を突き破っていく!血や脳の一部を消し飛ばしているのか、刃からは大量の煙が放たれている。

子フェンリルはびくびくと痙攣しながら地面に倒れ、動かなくなった。

 

「まずは一匹………」

 

俺はフッと息を吐き、もう一匹の方に目を向けようとすると、親フェンリルにくわえられたヴァーリのほうから強烈なオーラが発せられていた!そのオーラで軽い地震のようになる。これは、採石場全体が揺れてやがる!

ヴァーリの方に目を向けると、黒歌が展開したと思われる転移魔方陣に囲まれ、今にも消えてしまいそうになっていた!あいつ、何をする気だ!?

俺が聞く暇もなく、ヴァーリと親フェンリルはどこかに消えてしまった…………。

グレイプニルも持っていったのか?なら、大丈夫だと思いたいが………。

俺がそう判断すると、俺に大量の火炎が殺到してきた!俺は跳躍するようにしてそれを避け、空中でも殺到してくる火炎を体を捻りながら避けて物陰に待避する。

量産型ミドガルズオルムが邪魔だ!もう一匹の子フェンリルを殺りたいのに、ここで無駄な魔力を使うことになりそうだな。

俺は左手の銃剣に魔力を込めながら駆け出し、右手の銃剣で弾丸を放っていく!量産型たちはくらっても怯むことはないが、俺に注意が向いた隙にタンニーンの火炎が襲いかかる!それに合わせるようにロスヴァイセの魔術砲撃が突き刺さっていく!

俺はロスヴァイセの横につき、左手の銃剣の魔力を一旦逃がす。そして二挺撃ちで貫通力をあげた弾丸で量産型に攻撃をくわえていく。今度はしっかり効いているようだ。

だが━━━。

 

「クソッ!硬いな!量産型とはいえ龍王ってことか!?」

 

「ですが、確実に効いてはいます!このまま………」

 

「押しきるぞッ!」

 

俺、ロスヴァイセ、タンニーンは弾幕をさらに濃くしていき、量産型にダメージを蓄積させていく。

俺は銃剣を両剣に変え、ロスヴァイセとタンニーンに目で合図を送る。二人はそれを受けて小さく頷くと、ほんの少しだけ弾幕が薄くする。

俺はそれを確認して一気に駆け出し、弾幕をすり抜けながら量産型にすれ違い様に斬りつけていく!

一匹二匹と斬り、両剣を二刀流に変えてペースを上げていく!返り血を全身で浴びながら乱舞の如く斬りまくる!

そして、五匹すべてを斬り終えてロスヴァイセの横に戻る。すると、ロスヴァイセは俺の体を見ながら驚愕した。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「ああ。俺の血じゃない」

 

俺は戦争の時のように返り血で全身真っ赤になってしまった。知らない奴が見たら動揺するだろうな。

俺が息を吐くと、一誠が朱乃の方に向かって飛び出していた。

俺はハッとしながら一誠の行き先を見ると、朱乃が膝をつき、それを子フェンリルが狙っているところだった!

無防備な一誠の背中をロキが狙い撃とうするが、

 

「やらせるか!」

 

「その通りです!」

 

「当たり前だ!」

 

俺たち三人でロキに攻撃を放つ!ロキはそれを防ぎながら、こちらにも攻撃をしてきた!俺たちは散るようにしてそれを避けていくが、俺にだけ集中してないか!?

俺は必死に攻撃を避けていき、隙を見つけてはこちらも攻撃していく!ロキの野郎、楽しんでやがるな!右腕の仕返しのつもりか!?

俺は必死になって避け、物陰に隠れるとロキの攻撃が止んだ。俺は怪訝に思って顔を出すと、ロキは興味深そうに一誠のほうに目を向けていた。当の一誠は困惑気味に誰かを探しているようだ。

俺が警戒しながらも体を出すと、一誠が困惑の表情のまま俺に訊いてくる。

 

「ロイ先生!『乳神様』って、なんですか!?」

 

「…………知るかぁぁぁぁぁああああッ!」

 

戦場には似合わない絶叫が、この戦場で響き渡った。

 

 

 

 

 




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