リアスと一誠の儀式当日。
当事者である二人よりも前に俺は会場となる遺跡に来ていた。正確には、俺だけではなく
と、冷静に言ってはみたものの、どうしてこうなったのやら………。
「さて、みんなに来てもらったのには
兄さんが真面目な顔でそう言うが、兄さんのことだ、変なことを考えているに違いない。
俺が半目になりながら兄さんを見る。義姉さんも溜め息を吐きながら言葉の続きを待っている。
「今回、みんなには儀式の監督役を任せたいんだ」
「………それだけか?」
俺は意外に思いながら訊く。兄さんは頷くが、イタズラっぽい笑みを浮かべると何かを取り出した。
見た感じだと、戦隊もののコスプレスーツのように思えるが、まさか━━━!
「まさか、それを着ろとか言わないよな!?」
「うん、ロイは察しが良くて助かるよ」
マジかよ!いい年こいてコスプレしなきゃならないのか!?セラには言えないが、恥ずかしくないのか!?
俺はその言葉を飲み込んで溜め息を吐いた。義姉さんは少し顔を赤くして羞恥心と戦っているようだ。
「ロイ、たまにはいいじゃない☆こういうこともしておくべきよ☆」
「ああ、ロイくんには厳しい任務を頼んでばかりだ。たまには息抜きをしたらどうだ?」
「俺はどうでもいいけどねー」
ファルビウム様以外からは勧められたが、息抜きか……。
俺は再び溜め息を吐き、兄さんに言う。
「………了解です。義姉さんはどうしますか?」
「……わ、わかりました。私だけがやらないわけにはいきません」
「よし、決まりだ!みんな、受け取ってくれ!」
俺と義姉さんが折れたことを確認した兄さんはコスプレスーツを配り始める。
赤が兄さん、青がアジュカ様、緑がファルビウム様、ピンクがセラ、黄が義姉さん、そして━━、
「俺は黒か。好きな色ではあるが……」
「そう言うと思ってね。黒にしたんだ」
笑顔の兄さんがそう言う。俺のことをよく知っているな、まったく。
それはそれとして、
「これを着てリアスたちの前に出るのか?さすがに、引かれると思うぞ」
「だ、大丈夫だ!きっとリアスは気づかない!」
兄さんは強がるように言う。いくらリアスでも、気づかと思う、てか気づいてくれないとそれはそれで困る。
コスプレスーツを受け取った俺たちに兄さんは言う。
「さて、早速着替えてくれ。これから準備をしなければならない」
「準備って、着替える前でいいだろ?」
「いいや、着替えてからでないとできないものなんだ」
「………よくわからないが、わかった」
そんな訳で、男女に別れて着替えタイムとなった。
着替えを終えた俺たちは遺跡の入り口を前にして兄さんの前に並ぶ。俺たちの前に立つ兄さんはノリノリで言う。
「さて、準備といったけど、これからやることは━━━」
言葉を切った兄さんは謎のポーズを決める!
「みんなにはポーズを覚えてもらう!」
「「………はぁ……………」」
俺と義姉さんは何度目かの溜め息を吐いた。俺と義姉さん以外は存外ノリノリそうだ。マスクで表情はわからないがな。
「ミリキャスと一緒に考えたんだ!さあ、しっかり覚えてくれよ!」
「あの子ったら………」
謎のハイテンションの兄さんと、息子が関わっていると知って額を押さえる義姉さん。きっと青筋が立っててキレているか、顔を真っ赤にして恥ずがっているのだろう。
「ま、甥っ子が考えてくれたんならやるしかないか。で、俺のポーズはどんなんだ?」
「ふふふ。では、いくぞ!」
ここまできたら吹っ切ろう。俺の黒歴史とかになるだろうが、今は考えたら駄目だな。
俺とセラの時とか、兄さんと義姉さんの時とかは真面目な感じだったのに、母さんたちは何を考えているのやら━━。
━━━━━
俺━━兵藤一誠と部長が転移してきたのは、グレモリー領の山岳地帯にある遺跡だった。格好はいつもの学園の制服だ。
ここに来たのは俺と部長だけ、他のみんなは留守番だ。ロイ先生だけは今日一日見ていないけど、どこかで俺たちを見ているのかもしれない。
「事を急に進めて、この子に嫌われたらどうするのよ………」
俺の隣で深い溜め息を吐く部長。何て声をかければいいか分からないが、サーゼクス様は通過儀礼っておっしゃっていたし、何かさせられるのかな?
「部長、大丈夫です。俺がついていますから、大船に━━━」
「とう!」
俺がカッコつけようとした時、謎の声が耳に届く!声の主を探して見上げてみると━━━!
空高くで何かがキラリと光った。あれは、人か?まさか、敵襲!?
俺は部長の盾になるように前にでて籠手を出現させる。それと同時にその誰かが落下してきた!何か、戦隊ものの衣装に身を包んでいるんですけど!?しかも六人!
そいつらは華麗に着地すると、ポージングを決める!
ドォォォォォォォォォンッ!
彼らの後ろで謎の派手な爆発とカラフルな煙が上がる!妙にこった演出だな!
「な、何者?」
部長も当然のように警戒していた。いや、いきなり現れた謎の集団は誰だって警戒しますよ!
真ん中の赤い衣装の人がキレキレの動きでポーズを決め、叫ぶ!
「我こそは謎の魔王━━」
スパン!
黄色の人がハリセンで赤い人を殴った。………って、今の声は!
「すまんすまん。改めて!我らは魔王戦隊サタレンジャー!私はリーダーのサタンレッド!」
「同じくサタンブルー!」
「めんどいけど、サタングリーン」
「レヴィア━━━」
スパンッ!
何かを言いかけたピンクの人を黒い人がハリセンで殴った!黄色の人よりもいい音しましたけど!?
「サ、サタンピンクよ☆」
ピンクの人がちょっと痛そうに頭を押さえながらポーズを決める。だ、大丈夫だろうか…………。
「………はぁ、えーと、サタンイエローです」
「サタンブラック!」
黒い人のポーズは戦隊じゃなくて仮面◯イダーブラッ◯です!間違えてますよ多分!
それはそれとして、この人たちって、明らかに四大魔王様じゃねぇかっ!何やっているんですかこの人たち!
「まったく。ピンク、ブラック、ポーズは合わせてくれ」
「何よ!こっちの方がかわいいわよ!」
「俺はやりたいようにやるだけだ」
な、何か今にもブラックが裏切りそうなんですけど!?いや、多分ロイ先生だから大丈夫だとは思いますけどね。
それはそれとして、冥界は平和ですね!涙が出てきそうです!いや、もう泣けてきましたよ!どうすればいいかわからなくなってきた…………。
「ぶ、部長、どうします?」
一応部長に訪ねてみる。お兄様方がこれじゃ、さすがの部長も………。
「な、何者かしら?強大な魔力を感じるわ。魔王戦隊……?魔王クラスが六人集まったとでもいうの?」
き、気づいてねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
ぶ、部長!それはまずいですよ!?致命的ですよ!気づいて!あれ、お兄さんたち!すっげー格好とポーズをしているけど、二人を除いて魔王です!その二人も部長のお
部長の怪訝な表情を見てサーゼクス様━━サタンレッドが言う。
「我々はグレモリー家に雇われたのだ。この遺跡には三つの試練がキミたちを待ち受けている。それを見事突破してみせるのだ!」
「『騙して悪いが━━』はないから安心してくれ。ん?謎の飛行物体を発見!」
「なに!みんな、いくぞ!『
「『
「えーい、『
「……とりゃー、。アスモデウス的な攻撃ぃ」
「えーと、いちおう、イエローショットで」
「『
チュドオオオオオオオオンッ!
見たことがないほどの大爆発が空中で巻き起こる!
魔王クラスの総攻撃の余波は俺たちだけじゃなく、この山岳地帯全体を揺らし、空気が震え、近くの森に住む動物たちが一斉に逃げていく。
空が割れて不気味な次元の狭間が広がっていくぞ………。それなオーロラまで、いったい何が起こっているのやら。
それはそれとして、サタンブラックは『(仮)』まで言わなくても良かったと思いますよ!技名とか特に考えずに銃剣から波動砲みたいなのぶっ放したんですか!?何となくお兄さんを意識しているような感じはしたけどさ!
「なんだ、ただの悪霊じゃないか、驚かすな、ブラック」
「すまん。報告する癖が抜けていないみたいだ」
悪霊に集中攻撃って、なんというオーバーキル………。もうやだ、この人たち!ロキもあんたたちが倒してくれれば良かったんじゃないですか!?
「それで、試練とは?」
部長は何事もなく話を戻す。部長も部長でずれているような気がします………。
「ぶ、部長、あれを見なかったんですか?」
「落ち着いてイッセー。悪霊は倒すべきだわ」
「それはそうですけど!あー、もういいです!」
わかりましたよ!このノリについていけばいけばいいんでしょ!?もう、魔王の皆様ノリよすぎですよ!まぁ、それはロイ先生にも言えることですけどね!
「我々は各試練を受け持つ!グレモリーを受け継ぐ若き二人よ!見事、三つの試練を超えてみせるのだ!それでは、我々は一足先に各セクションで待っているぞ!フハハハハハ!」
レッドが素早く遺跡に入っていき、それに残りの五人が続いていく!
残された俺と部長は何とも言えない空気になってしまった。とりあえず、その先には魔王様が待っているんですね。
「さて、イッセー!行きましょう!私とイッセーがどれだけ深い仲か彼らに見せてあげましょう!」
何だかんだで気合いのスイッチが入ったようだ。俺も頑張らないと!
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