就寝時間を間近にして、一誠の部屋に俺、リアス眷属とイリナ、ソーナ眷属、アザゼル、セラが集まっていた。
これから大事な話し合いをするのだが、正直言っちまうと狭い。ざっと八畳の場所に十人以上があるんだから当たり前ではあるがな。
ゼノヴィアとイリナは押し入れの中から参加しており、あんなに酔っぱらっていたロスヴァイセは顔を真っ青にしながら参加している。酔い覚ましの薬を調合して飲んだそうだが、しばらく体調が優れないらしい。
それはそれとして、俺を見るたびに顔を赤くしないでもらいたい。あの時のパーカーも洗ってから返すと言い出したし、お姫様抱っこしたことは言わないでくれとも言われたしな。
アザゼルが室内の全員を見渡して口を開く。部屋の中央には京都の全体図が敷いてある。
「では、作戦を伝える。現在は二条城と京都駅に非常警戒態勢を敷いた。今もこの地区のスタッフ総動員で怪しい輩を探してる。京都の妖怪にも協力して貰ってな。今のところ英雄派は動きを見せていないが、二条城に不穏な気が流れていることが計測できている」
木場がアザゼルに訊く。
「不穏な気、ですか?」
「ああ、京都ってのは古来、陰陽道、風水に基づいて創られた術式都市だ。それゆえ、いわゆるパワースポットが多い。それらから二条城に気が流れているんだよ」
「ど、どうなるんですか?」
匙がビビりながらの質問に俺が答える。
「ろくでもないことが起こることは確実だな。実験とか言ってやがったし、それを止めてみろとも言ってきやがった」
「ロイの言うとおりだ。それを踏まえて作戦を伝える」
アザゼルの言葉に全員が頷く。それを確認したアザゼルが改めて口を開く。
「まずシトリー眷属。おまえたちは京都駅周辺で待機。このホテルを守るのもおまえたちの仕事だ。いちおう、このホテルは結界を張っているため、最悪の事態だけは避けられるだろう。それでも何かあったらシトリー眷属が対処してくれ」
『はい!』
アザゼルの指示にソーナの眷属たちが返事をする。
「次にグレモリー眷属とイリナ、ロイ。いつも悪いが、おまえたちはオフェンスだ。この後、二条城に向かってもらう。正直、相手の戦力が未知数な分、危険な賭けになるかもしれないが、最優先は
曹操、英雄派のトップであり、最強の
「戦力的には不安、それにフェニックスの涙も三つしか確保できなかった。各地でテロが起こりすがているせいで需要が大変なことになっているそうだ」
俺の言葉に少し不安そうになる一同。何が起きるのかわからないのに、フェニックスの涙が決定的に不足している状況だ。厳しい戦いになることは間違いない。
俺はいちおう、最後にいい知らせってやつを追加しておく。
「まぁ、代わりと言っちまったらなんだが、増援は来てくれるそうだ。そいつは俺よりもマジで別次元に強いから安心してくれていい」
「ロイ先生よりも別次元って、何者なんですか?」
俺の追加情報に一誠が質問してくる。だが、
「それはまだ言えないな。万が一、敵に心を読む的な能力持ちがいたら大変だ」
「な、なるほど」
一誠が頷くと、アザゼルがフェニックスの涙を支給する。
「てなわけで、フェニックスの涙はグレモリー眷属に一つ、シトリー眷属に一つ、ロイにも一つだ。使いどころを間違えるなよ?」
『はい!』
「わかってるさ。使わないに越したことはないがな」
俺はそう漏らしながらフェニックスの涙を銃剣同様の異空間にしまう。
アザゼルが匙に視線を移す。
「匙、悪いがおまえもオフェンスに参加してくれ」
「俺もっすか!?」
匙は自分を指差しながら驚いていた。が、すぐに理由を理解できたのかアザゼルに訊く。
「……龍王、ですか?」
「ああ、そうだ。おまえのヴリトラ━━龍王形態は使える。ロキ戦のようにサポートしてやってくれ」
「そ、それはいいんですけど、あれって下手したら暴走するんですけど………」
「そこはイッセーが何とかしてくれる筈だ。最悪ロイが殴って止めてくれるだろうよ」
途端に不安そうになる匙。そんな匙を一誠が励ます。
「匙、任せとけよ!しっかり繋ぎ止めるからさ!」
「最悪、死ぬほど痛いが、そこは頑張ってくれ」
俺の言葉を受けた匙が一誠に掴みかかりながら言う。
「兵藤!本当に頼むぞ!ロイ先生にKOされて戦線離脱はしたくない!」
「だから任せろって!」
やれやれ、元気なことだな。
俺が一度咳払いをすると、一誠と匙が姿勢を正す。
「京都の外にはセラの指揮で包囲網が構築されている。ここで英雄派をやれるだけ削るつもりだ。だろ?」
「ええ☆外の指揮は任せてね☆」
いつも通り明るく言うセラ。まぁ、こいつにかかればだいたいの敵はどうにかなるだろう。
「それと、ソーナには連絡した。あっちもあっちで動いてくれるそうだ」
俺が言うと、一誠が手を挙げる。
「ロイ先生、部長たちは?」
「ああ、ちょっとタイミング悪かったみたいだ。リアスたちはグレモリー領にいる」
「何かあったんですか?」
一誠の質問に俺は頷く。
「グレモリー領のとある都市部で暴動が起きたらしくてな、それの対応に出ているらしい」
俺の言葉に一誠が心配そうな表情になるが、アザゼルが苦笑しながら言う。
「旧魔王派の一部が起こした暴動だ。『
「それに、
「『
「セラ、声がマジだぞ………」
「あはは………」
二人して恐怖を誤魔化すように笑っていると、一誠が言う。
「グレモリー家の人たち、二つ名が物騒すぎませんか!?『
「……おまえも将来大変だな」
アザゼルが一誠の肩に手を置きながら頷いていた。だが、一誠はよくわかっていない様子だ。
アザゼルはそんな一誠に構わずに続ける。
「っと、だいぶ脱線しちまったな。作戦は以上だ。俺も上空で待機しているから、一時間後までにポジションについておいてくれ。怪しい者を発見したら、即連絡だ。━━━最後に、絶対に死ぬな。帰るまでが修学旅行だからな」
『はい!』
「任せとけ」
こうして、俺たちの作戦会議は終了、各々待機となった。
会議が終わった直後。俺とセラはホテルから出てのんびりと夜風に当たっていた。
「ロイ、死なないでね」
「ああ、わかってるさ」
行動開始前だからあんまりのんびりもしてられないがな。
俺は息を吐き、夜空を見上げる。星が綺麗だが、これから戦闘か。戦闘前のタバコは吸わない、横にセラがいるからな。
「もう、のんびりロイとデートもできなかったわね」
「そうだな。まぁ、そのうちまた来ようぜ?」
「それもそうね」
お互い笑みを浮かべながら見つめあっていると、
「キャァァァァァァッ!」
突然の悲鳴が耳に届いた!場所はかなり近い、目の前の角を曲がったところだな!
「ロイ、行くわよ!何かあったみたい!」
「わかってるさ!」
その悲鳴の主がいると思われる場所に到着すると、
「お、おっぱいを、おっぱいを!」
痴漢をしたと思われる男性が数人の男性に取り押さえられていた。
俺とセラは同時に溜め息を吐いた。慌てて損したぜ。
「戻りましょう。何事もなくて良かったわ」
「それはそうだな」
言い切った矢先に、俺の背中に小石か何かが当たったような感覚を感じた。同時に足がふらついてしまい、体を支えるように壁に手をつく。
「ロイ?大丈夫?」
セラが心配そうに顔を覗きこんできた。だが、俺は無意識の内にセラの胸に視線がいってしまう。な、なんだこれ、視線を外せないとかじゃなく、むしろ━━━、
「ロイ?」
無性にセラの胸を、おっぱいを━━触りたい!
疑問符を浮かべるセラの胸にゆっくりと手が伸びていく。動いているのは自分の手の筈なのに、まるで他人事のように思えてしまうのはなぜだろう。
俺の体が無意識の内に動いてしまっていが、まさに触れようとした瞬間にハッとして手を引っ込める。
俺は自分の手を押さえながらセラに言う。
「だ、大丈夫だ。ちょっと疲れてるみたいだから休んでくる」
「わかったわ。ギリギリまで一緒にいてあげる」
「ありがとうな」
「これぐらい朝飯前よ☆」
こうして、俺は謎の衝動に襲われながらも、セラに支えられながら体力を温存するために部屋に戻ったのだった。
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