地面から出てきた英雄派の面々。
曹操は服についた土を払い、あごに手をやりながら笑む。
「いやー、いいね♪」
本気で楽しそうな一言だ。こいつ、今の状況を心底楽しんでいやがる。
「よく旧魔王派の連中はキミたちをバカにしたものだね。まあ、ロイ殿がそうけしかけたのかもしれませんが………」
「いや、それはない。あいつらは下から来る奴が見えていなかっただけだ。ヴァーリに見放されるわけだよ」
「そうですか。それはそれとして、実験を始めよう」
曹操は清々しくそう言うと、槍の石突きで地面を叩く。すると、九尾の御大将が輝きだした!
「九尾の狐を使い、グレートレッドを呼び寄せる。ゲオルグ!」
「了解」
制服にローブを羽織った青年、ゲオルグが様々な魔方陣を展開して高速で動かし始める。
魔方陣の数はロスヴァイセといい勝負だな。
「魔方陣から察するに、北欧、悪魔、堕天使、黒、白、精霊、なかなかの種類を扱えるようですね」
ロスヴァイセが目を細目ながらつぶやく。やはり、優秀な魔法使いのようだな。あいつが『
御大将の足下に魔方陣が展開された。あいつらの口振りからして、召喚術式か何かだろう。
オォォオオオォォォンッ!
御大将が雄叫びをあげる。双眸が大きく見開き、危険な色を含み始めている。全身の毛も逆立ちはじめた!
見てわかるほどに異常な状態だ。助けるんなら急がねぇと!
ゲオルグが言う。
「魔方陣と贄の配置は良好。あとはグレートレッド次第だ。龍王と天龍がいるのは案外幸いかもしれない。曹操、悪いが自分はここを離れられない。魔方陣の制御がまたキツくてねぇ」
ゲオルグの言葉に曹操は手を振って了承しているようだ。
「了解っと。さーて、外でも連合軍とやりあっているし、彼らがどこまでやれるかわからないところもある。━━━ジャンヌ、ヘラクレス」
「はいはい」
「おう!」
曹操の呼び声に金髪の女性と、二メートルはあろうかという巨体の男が前に出る。
「彼らは英雄の意志━━魂を引き継いだ者たちだ。ジークフリート、おまえはどれとやる?」
曹操の問いにジークフリートと呼ばれた白髪の青年が剣を抜き放ち、その切っ先を木場とゼノヴィアに向ける。
それを見たジャンヌとヘラクレスは顔を笑ませる。
「じゃあ、私は天使ちゃんにしようかな。かわいい顔してるし」
「俺はそっちの銀髪の姉ちゃんだな。随分、機嫌悪そうだけどよ!」
「放っておいてください!」
ヘラクレスの言葉にロスヴァイセが返す。言葉には隠そうともしない怒気が含まれている。さっきのあれを引きずっているようだ。
それは置いておいて、俺の相手は、
「うむ、お
「ああ。面倒だからな、ここで終わらせる!匙、おまえは九尾の御大将だ!一誠は俺が戻るまで曹操をどうにかしろ!」
「「はいっ!」」
一誠と匙は返事と共にその場から離れていく。これで、それぞれの相手は決まったな。
俺の言葉を受けた小次郎が不敵に笑む。
「『俺が戻るまで』━━か。それは拙者を倒せるという絶対的な自信からくるものか?」
「まあ、そうでも言わないと一誠が困るだろうからな」
「そうか」
俺は銃剣を再び剣モードにして二刀流に構え、小次郎も太刀を引き抜いて構える。
「あの時は要らぬ邪魔が入ったのでな。今回は拙者の全力をお見せしよう」
睨みあう俺と小次郎。お互いの隙を伺い、静寂が訪れる。そして━━━、
オォォオオオォォォンッ!
ジャアアアアァァァァッ!
龍王となった匙と御大将が激突した!
それと同時に俺と小次郎は飛び出した!お互いの間合いに入った瞬間、得物同士がぶつかり合い激しく火花を散らす!
お互いの突き、袈裟斬りを払いながら一撃を入れる隙を探していく。だが、こいつ、昼よりも動きがいい!
お互いの全力で放った剣撃が激突し、つばぜり合いになる。
「おまえ、昼は手を抜いてやがったのか!」
「いやなに、あの時も全力だったが、昼の自分を越えているだけよ」
━━━ッ!
たかが数時間で昼よりも強くなっているってのか!?こいつ、本当に人間か!?
俺は驚愕しながらも剣に力を込めていき、無理やり押しきり太刀を上に弾く!
小次郎は太刀を手放さなかったが、生まれた僅かな隙を突こうとするが、とっさに放ったであろう柄頭が俺の眼前に迫ってきていた!
俺は舌打ちをしながらもスウェーしてそれを避け、蹴りを放つが、小次郎は後ろに飛び退いて避ける。
やっぱ、こいつやりずれぇ!人間って鍛えるとこのまでなるのか!?
俺は驚愕しながらも剣を握り直すと、ジークフリートの方から強力なプレッシャーが放たれる!
小次郎は笑むとそちらに目を向ける。俺もつられるようにそちらに目を向けると、
「僕の『
阿修羅のように六本の腕を生やしたジークフリートが木場とゼノヴィアを睨んでいた。あいつ、
俺が小次郎に視線を戻すと、今度はジャンヌの声が耳に届く!
「お姉さんの能力は『
ジャンヌの楽しそうな声。見るとジャンヌの背後には聖なるオーラを放つ巨大なドラゴンが現れていた!
「これが『
あっちも
俺が周りの心配をしていると、今度は狂喜を感じさせる笑い声が聞こえてきた!
「ハッハッハーッ!いいねぇ!いい塩梅の魔法攻撃だ!」
ロスヴァイセのフルバーストをくらったヘラクレスだ!あいつ、効いてないのか!?
ヘラクレスが拳を振るとその度に爆発が起こる!あれがあいつの能力か!
「俺の能力は攻撃と同時に相手を爆破させる『
ヘラクレスが叫ぶと、その巨体が輝き始める!腕や背中から肉厚の何かが形成されていく!あれは、ミサイルか!?
「これが俺の
ヘラクレスはそのミサイルをロスヴァイセに向けて一斉に放っていく!それを察したロスヴァイセはこの場から離れてるように退避していく。
ロスヴァイセには悪いが、あいつの能力は周囲への被害が出すぎちまう。やるならここから離れてもらわないとならない。
ヘラクレスはそれを理解してなおロスヴァイセを追いかけていく。
俺は改めて小次郎に目を向ける。奴は対してやることもなさそうに太刀を肩に担いでいた。
「おまえは
俺の質問だ。英雄派の構成員の大半は
小次郎は少し笑むと口を開く。
「使わないのではない。そもそも持っていないのだ。拙者の武器はこの太刀と己の技のみ……」
太刀の切っ先を天に向けながらそう言う小次郎。そして、再び構えて宣言した。
「拙者はこの二つのみでどこまで行けるのかを試したい。英雄派にいるのもそのためよ。ロイ・グレモリー殿、改めて始めよう。拙者はお主を越えねばならぬ!」
一切の曇りがない瞳。あいつは自分の思いをぶちまけたようだな。なら━━━、
「俺にも守らなきゃならないものがある。それは譲れねぇし、譲る気もねぇ。だから━━━」
俺も剣を握り直し、まっすぐと小次郎を睨む。
「おまえを━━殺すッ!」
俺と小次郎は同時に飛び出し、お互いの得物を激突させた!
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