グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life02 相談

一誠と模擬戦を行った次の日。

俺━━ロイは冥界グレモリー領の高級ホテルに来ていた。

リアスたちのインタビューを見学しにきたのだ。そんなわけで、俺は記者たちの後ろの壁に寄りかかっていた。

サイラオーグとその眷属たちは既に会場入りしており、リアスたちの入場を待つかたちになっている。サイラオーグが無意識に放っている闘気をビリビリと感じる。記者たちは気づいていないがな。

それはそれとして、今のうちに一服しに行けばよかった。

俺がそんなことを思った矢先に進行役のヒトの声が届く。

『お着きになられたようです。グレモリー眷属の皆さんの登場です』

 

拍手の嵐が巻き起こり、リアスたちがスタジオに入ってくる。リアスと朱乃を始めとしたメンバーは落ち着いた様子だが、一誠とアーシアの表情は固く、ギャスパーに関しては涙目だ。大丈夫だろうか。

 

『両眷属の皆さんがそらったところで、記者会見を始めたいと思います』

 

俺の心配をよそに、記者はが始まったのだった。

ゲームの概要、日取りが改めて通達され、その後に『(キング)』であるリアスとサイラオーグが意気込みを語っていく。

二人とも堂々としており、妹の成長をまた違う形で感じることができた。まあ、まだまだ甘いところが目立つがな。

サイラオーグには会ったことはなかったが、なかなかすごい奴ってのはわかった。絶対的な自信と、それを納得させる迫力を持っている。

その後、それぞれの眷属たちへのインタビューも始まり、一誠に質問がとんだ。

 

『兵藤一誠さん。今回もリアス姫の胸をつつくのでしょうか?つつくとしたら、どの場面で?』

 

…………アホか。

俺は記者の質問にため息を吐いた。『おっぱいドラゴン』のせいもあるが、まさか堂々とこんな質問がとぶことになるとは………。

 

「………え、えーと………」

 

質問を受けた一誠は顔を引きつらせてそれだけ絞り出した。それでも記者の質問は続く。

 

『特撮番組同様、リアス姫のお乳をつつくとパワーアップするという情報を得ています。それによって何度も危機を乗り越えたと聞いているのですが?』

 

その情報は筒抜けなんだな。間違いではないが、リアスの兄としてあれはどうかと思う。

一誠は言葉に困っていたが、何か返そうと思ったのか口を開く。

 

「えーとですね。ぶ、ぶ、ぶちょ、じゃなくて」

 

一誠はリアスのことをいつものように「部長」と呼ぼうとしたらしいが、緊張で噛んでしまったのか、場所を考えて呼び方を変えようとしたのか、変な言葉を口にしてしまった。

それに記者が食いつく。

 

『ぶちゅう!?いま、ぶちゅうと言おうとしてませんでしたか!?それって、つまり、吸うんですか!?』

 

そして一斉にたかれるフラッシュ。記者たちもざわつきだした。

まったく、また変な噂が流れちまうな。

俺は一誠の発言と記者たちの反応に頭を抱えた。ダメだ、変な奴しかいねぇ。

俺は変に絡まれないうちに会場を後にした。明日の朝刊が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「………で、どうした?」

 

「いや、あの、少しいいですか?」

 

珍しく俺の部屋に客が来ていた。少し元気がなさそうな様子の一誠だ。

 

「とりあえず入れよ。廊下で立ち話もなんだ」

 

「はい、失礼します」

 

この部屋に誰かを入れるなんて初めてかもしれないな。

なんて思いつつ、一誠を部屋の中に。俺の部屋を見渡した一誠が言う。

 

「なんか、最低限のものしかありませんね」

 

「まあ、ほとんど寝るためだけの場所だからな。変に物を置きすぎても片付けが面倒だ」

 

俺の部屋にはテーブル一つと椅子が二脚。滅多に使わないコーヒードリップもそのテーブルに置いてある。後はベッドぐらいか。………って、本当に何もねぇな。

とりあえず一誠と向かい合うように席につき、一誠が座ったことを確認して訊く。

 

「で、こんな時間にどうかしたか?リアスは?」

 

一誠とリアス、アーシアは基本的に一緒に寝ているのだ。それでも手を出さない一誠の精神力は素直にすごいと思う。

俺の質問に一誠が表情を暗くする。

 

「その、部長を怒らせて、いや、泣かせてしまいまして………」

 

「泣かせたって、それは後だ。で?」

 

「部屋に入れなくなりました」

 

だったらなんで俺の部屋に?とも思ったが、それは置いておき、さらに説明を求める。

 

「リアスはなんで泣いたんだ?」

 

「部長とサウナで会ったんですけど、その時に色々とありまして………」

 

「何があったかは別として、何か言われたか?」

 

「『あなたにとって、私は何』と………」

 

「で、おまえはどう返した」

 

「部長は部長ですって、返しました」

 

俺は小さくため息を吐く。こいつ、絶望的に鈍いのか、それとも何かトラウマでも抱えているのか………。

 

「一誠、おまえはリアスのことをどう思うよ」

 

「ぶ、部長は俺にとって最高の『(キング)』だと━━━」

 

「違う、そうじゃない」

 

俺の遮りに一誠は驚き、黙りこむ。

俺は改めて一誠に訊く。

 

「一誠、おまえは『一人の男として』リアスをどう思う」

 

俺の質問に一誠は答えない。いや、答えは決まっているのだろうが、口にできないと言うべきか………。

俺はため息を吐き、厳しい声音で一誠に言う。

 

「これに即答できないようじゃ、おまえにリアスを預けられない。兄さんや父さんがおまえをどう思っているかはわからないか、今のおまえを認めるわけにはいかない」

 

俺の言葉を受けた一誠は飛び出そうなほど目を見開いた。俺が励ましてくれるか、何かしらヒントをくれると思っていたのかもしれない。

俺は続ける。

 

「おまえに何があったのか、俺は知らねぇ。だが、いつまでも過去に縛られているようじゃ、そいつに未来はない。そいつと共に歩もうとする奴の未来もなくなりかねない」

 

一誠は怯えるように小さく体を震わせている。何か思い出してしまったようだ。相当なトラウマを抱えているな。

俺は一誠の肩に手を置いておき、言葉を続ける。

 

「おまえに何があったのかはわからない、だからおまえを助けられない。自分で乗り越えるか、その『何か』を知っている誰かに助けてもらわないとな」

 

一誠は俺を見る。普通からは想像できない弱々しい目だ。

俺はその目をしっかりと見ながら言う。

 

「何かしてやりたいが、俺には無理だ。すまねぇ」

 

「………いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

 

一誠はそう言って立ち上がり、部屋を出ていった。少し追い詰めすぎたような気もするが、下手に頼られても何もしてやれない。一思いに突き放してやった方がいいと判断した。

俺はため息を吐き、背もたれに体を預けて天井を見上げる。

一誠に何があったのか、俺は知らない。知っているとしたらアーシアや朱乃たちだろう。あいつらに頑張ってもらうしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

空気が重い。その原因は一誠とリアスなわけだが、一誠に関しては俺のせいだ、許せ。

俺が心の中で謝っていると、小声で小猫が訊いてくる。

 

「(………あの、ロイ先生)」

 

「(ん?)」

 

「(………部長とイッセー先輩に何かあったんですか?)」

 

「(昨日何かあったらしいが、詳しくは聞いていないな)」

 

「(………そうですか)」

 

小猫は心配そうにリアスと一誠をチラリと見た。ゲーム前にこんな調子で大丈夫だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。

アザぜルを中心としたゲーム前のミーティングが行うことになった。リアスの機嫌はいまだに悪く、一誠の雰囲気も朝と比べればましではあるが、いつもと比べて暗い。

 

「ミーティング前に一つ言っておくことがある。ちょいと厄介なことになりそうでな」

 

「どういうことですか?」

 

木場が訊くとアザぜルは続ける。

 

「英雄派の連中が禁手(バランス・ブレイカー)について研究し、その結果を出していることは知っているな?」

 

禁手(バランス・ブレイカー)に至るまで強者にぶつけ続けるという荒業をやったんだったな。

 

「あいつらはそれを色々な場所に流し始めているとのことだ」

 

その方法を改良したのか?それって、かなりヤバイことになるんじゃないのか?

俺と同じ事を考えたのか、メンバーの表情が固くなる。

アザぜルはそれを見ると、言葉を続ける。

 

「それがどういう結果を生むか。わかるだろ」

 

「悪魔が全員いい奴でもないからな。理不尽な思いをしてる眷属も多いだろうからな」

 

だから俺のはぐれ狩りという仕事をしていたわけだからな。

俺の言葉にアザぜルが続く。

 

「そんな奴らが圧倒的な力を手に入れればどうなるか」

 

アザゼルが言葉を切ると、全員がシンと静まりかえる。

 

「使う、だろうな。復讐や報復に」

 

俺が続きを口にすると、

 

「怖い、ですね」

 

一誠が呟き、アザぜルが頷く。

 

「確かに怖いことだ。これから起きていくことは英雄派にとってはひとつの成果なんだろうな。いつ暴動が起きてもおかしくない」

 

「してやられたな。人間のおそろしさってやつを改めて思い知ったぜ」

 

俺が返すがどうなっていくのやら。これから面倒なことになりそうだな。

にしても空気が重い。アザぜルに目で合図し話を戻す。

 

「とりあえず、今はサイラオーグとのゲームだな」

 

「そうだったな、ロイ。そんじゃ話を戻すぜ」

 

その後、ようやくゲームのミーティングになり、話が続いていく。

ある程度ミーティングが進み、俺が締めの言葉に入る。

 

「今回のゲームは冥界中で注目されている。記者会見だけであの盛り上がりだからな、冥界の住人は次の世代の悪魔の活躍を見たがっている」

 

「もちろんだが、現トップランカーたちも注目しているだろう。今から対策が練られ、デビューするころにはそれが完成しているはずだ。だが、今までそんな事があったか?なかったはずだ。トップランカーたちはおまえたちを自分たちに届きうる脅威と判断したのさ。おもしろいじゃないか」

 

アザゼルは愉快そうに笑う。確かに、そのうち現トップランカーとゲームで競うリアスな姿は想像しただけでも興奮する。

 

「変えてやれ、レーティングゲームを。いい加減世代交代しないとつまらねぇからな」

 

俺とアザゼルの言葉に全員がやる気の表情になる。

それを見たアザゼルが頷き、再び笑んだ。それを合図にミーティングは終了となり、俺たち教師組は仕事に戻るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 




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