グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life04 切り裂き魔VS聖槍

「ふぅー………」

 

ため息と一緒にタバコの紫煙を吐き出しながら、俺━━ロイは周囲に気を配る。

警備に参加してからざっと七時間。リアスたちのゲームが始まってから二時間程。

俺の背後にあるアグレアス・ドームからは絶えず歓声が聞こえてくる。

 

「ふぅー……」

 

短く紫煙を吐き、タバコを携帯灰皿に押し込む。これを何度繰り返したか、数えるのもバカらしくなってきた。退屈だ、いや、いいことではあるがな。

俺は時計を確認する。リアスたちのゲームのルールが何かはわからないが、『短期決戦(ブリッツ)』なら、そろそろミドルゲーム━━中盤戦の終わりぐらいか。

次のタバコを取りだし、口にくわえて火をつける。再び紫煙を吐き出すと、紫煙とは別の煙、いや濃い霧が頭にかかった。

気持ちの悪い霧に体を包まれ、それが晴れるころにはアグレアス・ドームの前にいた。いや、アグレアス・ドームと言ったら違うな、あの疑似京都と同じ作りもの………。

ってことは、つまりそういうことか。

俺は紫煙を吐き、目の前に立つ右目に眼帯をつけた青年を見る。

 

「………ったく、まさか来るとはな」

 

「今回はあなたに用がありましてね」

 

目の前に立つ青年、曹操が槍で肩を叩きながら言う。

俺はタバコを携帯灰皿に押し込み、その代わりに銃剣を取りだし、銃口を曹操に向ける。

その瞬間、俺の真横に白い閃光と共に何かが降り立った。

 

「言ったはずだ、邪魔をするなと」

 

鎧を身にまとったヴァーリだ!こいつも本当に来やがった!

 

「ヴァーリ、マジで来たのか………」

 

「ああ、自分で言ったことだからな」

 

驚く俺をよそに、ヴァーリは冷静に返してヴァーリは構える。俺も続くように構え、曹操を睨む。

 

「やれやれ、来てしまったのなら仕方ないか」

 

曹操は息を吐くと、槍の石突きで地面を叩く。すると、どこからか大量のアンチモンスターがわき出てきた。俺とヴァーリを囲み、不気味な唸り声をあげている。

 

「色々と出てきたが、ヴァーリ、他のメンバーはどうした?」

 

「ここに飛び込めたのは俺だけだ。あいつらは周囲を固めているころだろう」

「逆に言えば、曹操は一人、いや、ゲオルグもどこかにいるのか」

 

「そうだろうな」

 

ヴァーリは頷くと、俺に言ってくる。

 

「俺はゲオルグを叩く。そうすれば、この空間も解除されるからな」

 

「任せた。ゲオルグってか、結界系の神滅具(ロンギヌス)を相手にできないからな」

 

「任せろ」

 

ヴァーリはそう言うや否や、高速で動きだしてアンチモンスターを蹴散らしながらどこかに行ってしまう。

俺は息を吐き、曹操に言う。

 

「まったく、俺は面倒が嫌いなのによ。何をしに来た」

 

「あなたと手合わせしたくなっただけですよ。小次郎には悪いと思いましたが、あなたと戦ってみたくなった」

 

「変な奴に興味を持たれるな。なんかうぜぇ」

 

「そうですか?ですが、私も急いでいますので、ゲオルグが見つかる前に始めましょうか」

 

曹操はそう言うと、器用に槍を回して構えを取る。

静寂が俺と曹操の間を支配し、それを破るのは………。

 

「━━━ッ!」

 

もちろん俺だ。俺は弾丸を放ちながら高速で飛び出し、一気に曹操との距離を詰めていく!

曹操はそれを読んでいたかのように、全ての弾丸を弾き、突っ込んでくる俺に合わせて突きを放ってきた!

俺は右の銃剣でそれを反らし、左の銃剣で斬ろうとすると、曹操は素早くその場を飛び退く。

空を切った左の銃剣の銃口を曹操に向け、引き金を引く。放たれた弾丸はまっすぐ曹操に向かうが、槍で弾かれて俺の足元に着弾、小さく地面を抉る。

やはり、遠距離攻撃には対策済みか。

俺は銃剣を変形させ、二刀流の構えに変える。

それを見た曹操は、待っていたと言わんばかりに笑むと槍を握り直す。

俺は短く息を吐き、一気に飛び出す!

一気に肉薄した俺に、曹操は槍を右から横凪ぎに振り抜いてくる!俺はそれを右の剣で受け止めると、そのまま上に弾きあげて左の剣で斬りにいくが、素早く戻された槍に阻まれる。

ぶつかり合う剣の刃と槍の柄が激しく火花を散らし、俺と曹操は睨みあう。

 

「その目、やはりダメだったようだな」

 

「ええ。フェニックスの涙はありましたが、これは己への戒めとして残しておきました。代案は考えています」

 

「そりゃ、怖いな!」

 

俺はそう言いながら曹操を押し返し、そのまま至近距離での攻防となった!

鎧のような防御手段のない俺だと、聖槍のオーラを掠めただけでも重症になる。本体とオーラの間合いを計り、確実に避けていかなければならない!

俺は冷や汗を流しながら、曹操の攻撃を捌き、こちらも攻撃を打ち込んでいく!一瞬の油断が命取りになるな!

曹操の振り下ろしを、俺は頭上で剣をクロスするようにして受けると、爪先に滅びの刃を生成して曹操に蹴りを放つ!

曹操は目を見開きながら、それを避けるために後ろに跳ぼうとするが、俺はギリギリで刃を伸ばして距離を稼ぐ!すると、

 

「チッ………!」

 

曹操は舌打ちをして、大袈裟に後ろに飛び退く。見ると、腹の右には血が滲んでいた。少し浅かったが、当たったようだな。

俺は不敵に笑み、曹操に言う。

 

「やりにくいが、()れなくはないな。悪いが、ここで死んでもらうぜ?」

 

「まだ死ぬわけにはいかないな…………!」

 

曹操は静かに、それでいて力強く言うと、槍が纏う聖なるオーラが大きくなる。ここからが本気のようだな。

俺は剣の柄頭を合わせて両剣モードに、そしてそれを投げつける!

高速回転しながら飛ぶそれを、曹操は余裕で避けてこちらに突貫してくる!俺は両手に直刀を生成してそれを迎え撃つ!

聖槍が残すオーラの残光と、俺の直刀が残す紅の残光が火花を散らしながら激突していく!どこをどう打ち込んでも捌かれ、俺も当たりそうなものだけ素早く捌いていく!

俺が左の直刀で突きを放つと、曹操はそれを弾かずに、俺の背中を取るように避けた!

曹操がその隙を見逃すわけもなく、俺の背中に聖槍を突き刺そうとする!

俺は翼を展開し、そこに刃を生成、無理やり聖槍の一撃を止める!

曹操は驚きながらも聖槍のオーラを解放、俺に浴びせようとしてきていた!

俺は直刀を大剣に変更、そのままオーラを纏わせて地面を殴りつける!

砂塵と共に微量の滅びが宙を舞い、曹操を下がらせることには成功したが、一応その場を飛び退く。その瞬間、俺のいた場所に聖なるオーラが放たれ、地面が抉りとられた!

危ねぇ、あと少しで消し炭になるところだった………。

俺は少し荒れた息を整え、聖なるオーラを頼りに曹操の場所を特定し、そちらに目を向ける。

曹操も肩で息をしているようだ。戦闘時間こそ短いが、ここまで疲れる戦闘もないな。

俺は息を吐き、曹操に言う。

 

「ったく、本当に面倒な奴だな。こっちは当たっただけでアウトだってのによ」

 

「異形からも恐れられたあなたに言われるのなら、それは本当なのでしょうね。一応、褒められていると受け取っておきます」

 

「面倒だな………」

 

俺が呟くと、曹操の後方から両刃剣が戻ってくるが、それも読んでいたかように避けられた。やはり、ロキみたいにはいかないか。

俺は両刃剣をキャッチし、改めて二刀流の構えを取る。

俺が曹操を睨むと、曹操はやる気を失ったように槍を肩に担ぐ。

 

「もう少しやりたいところですが、そろそろゲオルグが見つかったころでしょう」

 

それを合図にしたように、ゲオルグが短距離転移で曹操の横に現れる。ローブがボロボロになっており、肩で息をするほど消耗しきっているようだ。相当暴れたらしいな。

ゲオルグを追うように現れたヴァーリも俺の横につく。目立ったダメージはなさそうだ。そこまで心配はしていなかったがな。

 

「やれやれ、アンチモンスターが倍は必要だったな」

 

「いや。数は関係ないよ、彼には………」

 

曹操が言うと、ゲオルグは苦笑しながら頷く。

俺は構えを解かずに曹操に言う。

 

「で、まだやるか?俺は構わないが」

 

「俺もだ。おまえとも戦いたいからな、曹操」

 

俺とヴァーリの視線を受けた曹操は苦笑し、首を横に振る。

 

「いえ、先程も言いましたが、ここまでです。今日は退かせてもらいます」

 

曹操が言うや否や、俺たちを霧が包み始める。

俺たちを転移させるつもりか!逃がすかよッ!

俺とヴァーリが飛び出すと、曹操が聖槍をかざして閃光を溢れさせる!

俺とヴァーリは閃光による目眩まし、聖なるオーラによるダメージで一気に減速する。てか、これ以上近くに行ったら、体が耐えられずに消し飛んじまう!

閃光と霧が晴れると、そこは風景は変わらないアグレアス・ドーム前だった。変わったことがあるとしたら、歓声が聞こえるってぐらいか。

で、ヴァーリは白い閃光となって、どこかを目指して急速に離脱していった!今いけば、追いつけるかもしれねぇな!

俺が翼を展開、飛び出そうとすると、

 

「ロイ、待て!」

 

突然の制止の声に、俺は驚きながらも声の主に目を向ける。

 

「アザゼル、どうしてだ!?今いけば………」

 

「まぁ、待てって。次は敵とは限らねぇだろ?」

 

「次こそ敵かもしれねぇだろうが!あー、くそ!」

 

どこかずれているアザゼルに愚痴りつつ、俺はヴァーリが消えた方向に目をやる。もう見えなくなってるな。

アザゼル的には助けてくれたという恩を、見逃すという恩で返すつもりかもしれないが、バカじゃないのか!?

俺はため息を吐き、怒気を込めてアザゼルに言う。

 

「あのな、あいつはテロリストだぞ!?助けてもらったとはいえ、敵だってことに変わりはない!」

 

「どーせ、すぐに会うことになるさ。そんな予感がするんだよ」

 

「ったく。で、ゲームはどうなった?」

 

俺は気分と共に話題を変える。気になっていたことだしな。

 

「リアスたちが勝ったよ、ギリギリだったがな。イッセーは新しい力に目覚めた」

 

「そうか」

 

俺は返事をしながらタバコを取りだし、それをくわえて火をつける。

俺が紫煙を吸い込んだ矢先、

 

「あと、イッセーがリアスに告白したぞ」

 

何てことを言ってきやがった!

 

「ゴホッ!!ゲェホッ!」

 

思わず紫煙を吸い込みすぎて、途端にむせかえる。あいつ、告白したのか!?こんな大舞台でやらなくてもいいだろうが!

俺は涙ぐむ目を擦りながら、アザゼルに言う。

 

「マジかよ、ちょっと見に行けば良かったな………」

 

「ま、そのうちちゃんとやるだろうよ。その時に何か言ってやれ」

 

「ああ、そうするよ」

 

俺は返事をしながら改めて紫煙を吸い、ゆっくりと吐き出す。やれやれ、明日の新聞が楽しみだな。

何てことを思いつつ、俺は治療中と思われるリアスたちとは別に帰路につくことにした。

曹操とヴァーリ、次はいつ会うことになるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 




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