グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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Extra life02 人魚のために

そんなこんなで海の上。

俺━━ロイは小型のヨットの上でタバコを吸いながら、前方の海賊船を睨んでゲーム開始を待っていた。

俺たちのゲームを仲を取り持つポセイドンは、でかい亀の上に乗り、リリティファもその横に座っていた。

本当、どうしてこうなっちまったのか………。

俺は紫煙と同時にため息を吐き、ゲームの開始を待っていると、ポセイドンが声高々と説明を始める。

 

「このポセイドンが合図をしたら戦闘開始だ!ルールは簡単!全滅したほうの負け!殺し合いにならぬよう、その辺はだけは気をつけぃっ!」

 

全滅って、俺が倒れたら負けってことだよな………。本当、面倒なことになりやがったな………。

俺は再び紫煙を吐き出し、銃剣を取り出した。少しぐらい、体をほぐしておけば良かったな。

俺はなんてことを思いながら軽く伸びをする。ストレッチは大事だが、何もかも面倒になってきた………。

ボケッとしている俺に、チョウチンアンコウが言う。

 

「グレモリー家の脇役!我が眷属は海上でのバトルに秀でた猛者揃いよ!怖くなったら帰ってもいいのだぞ!ぐははははは!」

 

不敵に高笑いするチョウチンアンコウ。俺は紫煙を吐き出し、そいつに言う。

 

「チョウチンアンコウ、あまり舐めるなよ?こう見えても、戦争は経験しているんだ。戦いには慣れてる」

 

「チョウチンアンコウ言うな!私はキャプテン・グラッグだ!そして、勝つのは我々だ!」

 

チョウチンアンコウはそう言いながら部下たちに何か指示を出していく。いいよな、仲間がいるって。な、なんか切なくなってきた………!

その思いを振り切るように紫煙を吐き出し、タバコを携帯灰皿に押し込んだ瞬間、

 

「はじめーいっ!」

 

ポセイドンが大声を張り上げて合図した!同時に海賊船の大砲が火を吹き、弾が発射された!弾は近くの海面に着弾、大きな水しぶきをあげる!

 

「……ったく、大砲を積んでやがるのか!面倒だな!」

 

俺は愚痴りながら翼を展開、ヨットを乗り捨てて一気に飛び出す!俺を撃墜しようも大砲の弾が放たれるが、遅いし的外れだ!

大砲の弾を避けながら、俺は銃剣の引き金を引く!滅びの弾丸が次々と放たれ、船体に小さな穴を開けていく。

十発ほど撃ち込むだところで射撃を止め、指を鳴らす。すると、船体を貫くように滅びの刃が何本も生えてくる!

フェンリルにやったものの応用だ。生物でなくても、十分なダメージを与えられる。現に、帆柱が折れ、海賊旗もボロボロになっていく。

 

「ぬがぁぁぁっ!私のフライング・ダッチマン号がぁぁぁっ!」

 

「キャプテン!次から次への刃が、ギャア!?」

 

 

次々と生える滅びの刃に、チョウチンアンコウたちは軽くパニックとなっていた。が、チョウチンアンコウの号令で落ち着きを取り戻していく。

 

「おまえたち、落ち着くのだ!海賊は狼狽えない!」

 

滅びの刃が出尽くしたところで、チョウチンアンコウは上空の俺にサーベルの切っ先を向けて叫ぶ。

 

「おまえたち、奴を落とせ!」

 

「水よ!蛇となって奴を()め!」

 

剣士風の下僕Aから蛇の形をした水の波動が放たれ、俺に向かってくる!

俺は銃剣でそれを斬り伏せ、非殺傷モードでその下僕を射撃。下僕はそれを避けられずに眉間に直撃、気絶した。

 

「いでよ、烈風の魔獣!」

 

魔法使い風の下僕Bは自分の影から魔物を召喚し、俺に攻撃するように命じてくるが………。

 

「遅い!」

 

俺は一気に落下しながら射撃。魔物と下僕Bを無力化し、船上のちょうど中央に降り立つ。

残った下僕たちが俺に攻撃しようとするが、一瞬躊躇う。理由は簡単、俺は船上のほぼ中央、万が一撃てば必ず同士討ちになる位置を陣取ったのだ。

俺は二挺の銃剣を前後左右に撃ちまくる!放たれた弾丸は全弾敵に直撃し、次々と撃破していく!

そして、

 

「ギィッ!?」

 

ラストの一人を倒したところで、銃剣で十字を作るように構えを━━━。

 

「うっ!」

 

とろうとして頭痛に襲われた!悪魔が神に祈りを捧げたり、十字を切ったり、目の前で切られたりすると頭痛に教われるのだ!なんで十字なんてやろうと思ったんだ!?

俺が痛む頭を押さえていると、

 

「きゃー!」

 

リリティファの悲鳴が上がる!見れば、リリティファがタコ的な何かの足に巻かれていた!

 

「ぐははははは!」

 

この下品な笑い声は、チョウチンアンコウか!

笑い声の主がわかった瞬間、水柱を立てながら巨大なイカが現れた!チョウチンアンコウはそのイカの頭の上に立っている。

 

「こいつは我が忠実なる使い魔、クラーケン!海の魔物よ!ぬふふふ、この人魚はもらい受けるぞ!」

 

「チョウチンアンコウ!違う体系とはいえ、神の前でリリティファに手を出すとはふざけてんのか!」

 

俺はそう言いながらポセイドンに目を向ける。が、

 

「ぐごごごぉぉぉぉ……………」

 

立ったまま寝ていた!亀の上で器用に立ちながら寝てやがる!つ、疲れてんのか?

俺が困惑していると、チョウチンアンコウが言う。

 

「神が見ていないので隙ありということだ!」

 

チョウチンアンコウが何て言っているが、さっさとリリティファを助けるか。

俺がそう決めて一気に飛び出そうと構えた瞬間……。

 

「おっと、動くな!動いたらこの人魚がエロいめにあうぞ!」

 

何て言いながら、いやらしい眼でリリティファを見るチョウチンアンコウ。本当に下品な野郎だ。でも、下手に動いたらリリティファが色々とされちまう。さて、どうしたもんか。

俺が思慮していると、俺の足に何かが巻き付いた。見てみると、それは巨大なイカの足。つまり、クラーケンの足だ。クラーケンは俺を巻きつけた足を高く挙げる。

俺は体を逆さまにしながらも、銃口を亜空間にしまいながら歯を食い縛り、次に起こることに備えた!

その瞬間、クラーケンは俺を海面に叩きつける!

高所から勢いよく海面に叩きつけられる、言えば簡単だが、着水姿勢もままならないこの状況ではめっちゃ痛いっ!

そこから、三度同じように叩きつけられ、俺の全身は赤くなり始めた。すごいヒリヒリする………。

 

「いい加減、負けを認めたらどうだ?この人魚は、私が可愛がってやるぞ?」

 

チョウチンアンコウは勝ち誇ったように言ってきた。

 

「ロイ様!もういいですっ!私がこのヒトの眷属になれば、それで済むことなんです!」

 

リリティファが俺を心配してくれたのか、目に涙を溜めながらそう言った。それを聞いたチョウチンアンコウは下品に笑う。

 

「ぐははははははっ!そうか、そうか!分かってくれたか!では、早速、この『女王(クイーン)』の駒を━━」

 

と、言いながらリリティファに駒を差し出すチョウチンアンコウ。

俺は逆さまの態勢のまま、手元にナイフを生成、それをチョウチンアンコウの手元に投げつけた!

チョウチンアンコウはリリティファに伸ばしていた手を咄嗟に引っ込め、俺を睨んできた。

 

「貴様!この人魚の話を聞いていなかったのか!?」

 

「聞いてたさ。リリティファ、おまえはどうしたい?俺はこの際どうなってもいいさ。だから、おまえはどうしたいんだ?」

 

イッセーたちが聞いたら驚きそうなほど優しい声音でリリティファに問いかけた。

この状況からの逆転はまだまだ狙える。だが、助けたいヒトが助かりたいと思っていなければ、どう頑張っても助けられない。

 

「わ、私は━━━」

 

「ええい!貴様は黙っていろ!この人魚は私の眷属となるのだ!クラーケン!」

 

チョウチンアンコウの指示を聞いたクラーケンは、再び俺を海面に叩きつけ始めた!縦だけではなく、横にも振り回して勢いをつけ、執拗に海面に叩きつけ続ける!

再びリリティファの前に俺を移動させるクラーケン。本当、地味に痛いな………。

俺は痛みの表情を出さないように気にしながら、リリティファに笑みを向けた。

 

「なあ、リリティファはどうしたいんだ?」

 

「貴様!まだ言うか!」

 

グラッグが再びクラーケンに指示を出そうとした瞬間、リリティファが叫んだ!

 

「わ、私は!自由に生きたいです!こんなヒトに会うことがない、平和な場所で暮らしたいです!」

 

リリティファの叫び、確かに聞いたぞ!

 

「その言葉、待ってたぜっ!」

 

俺は素早く直刀を生成、リリティファを拘束している足に斬撃を飛ばして切断、彼女を解放する!

 

「しまった!」

 

グラッグが驚愕しているが、その隙が命取りだ!

ブレードを大剣に変更し、そこにオーラを溜めていき、突きを放つ要領で解放する!

 

「一昨日来やがれ、くそったれがッ!」

 

紅のオーラを至近距離で食らったグラッグとクラーケンは━━━。

 

「ぎゃぁぁあああっ!」

 

『…………ッ!』

 

一発で撃沈。クラーケンは少しずつ海に沈み始めた。━━が、そこで問題が起こった。クラーケンが俺を離さなかったのだ!ヤバイ!このままだと一緒に沈む!

そう思った時にはもう遅く。俺たちは完全に沈んでしまった!

水中でどうにかクラーケンの足を斬ろうとするが、水の抵抗のせいで満足に勢いがつけられず、さっき大技をしてしまった影響で切れ味が悪い!

ヤバイ………もう………意識が…………。

消えかける俺の視界に、こちらに手を伸ばす誰かの姿が映った…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ━━じょ━━す━━!」

 

誰かの声が聞こえる。聞き覚えがあるし、さっきまで聞いていた声だ。

 

「大丈夫ですか!」

 

俺はゆっくりと目を開き、その誰かを確認する。

緑色の髪をした女性、リリティファだ。彼女は身を乗り出して俺の顔を覗きこんでいた。

俺は笑みを浮かべて、彼女に言う。

 

「ああ、久しぶりに死にかけたけどな………」

 

俺はゆっくりと体を起こして、周囲を確認する。

先程のヨットの上のようだ。グラッグとクラーケンは確認できない。沈んだようだ。まあ、あいつらなら大丈夫だろう。

 

「にしても、どうやって俺を助けたんだ?」

 

俺が訊くと、リリティファは顔を真っ赤にしながらもじもじとし始めた。なんだ?何か恥ずかしいことでもあったのか?

俺が首を傾げていると、リリティファが口を開いた。

 

「その………私が口移しで……酸素を…………」

 

「………えと、ありがとうな」

 

リリティファの言葉を聞いて、俺は苦笑した。まさか、リリティファを助けるつもりが、彼女に助けられることになるとは………。

 

「で、ポセイドンは?」

 

「ロイ様に巻きついていたクラーケンの足を切り落としたのはポセイドン様です。私だけではどうにもできませんでした………」

 

なるほど、あのヒトもあのヒトなりに助けてくれたんだな。

一通り話を聞けた俺は、改めてリリティファに問う。

 

「で、これからどうする?要望があるなら、できるだけの配慮をさせてもらうが」

 

俺が訊くと、リリティファは再び恥ずかしそうにもじもじし始めた。だが、彼女のこの反応にはもう慣れた。

リリティファは大きく深呼吸をすると、口を開く。

 

「でしたら━━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺の仕事は無事に完了した。

リリティファの要望、それは『グレモリー領の湖に住みたい』というものだった。

とても簡単な願いではあったが、それが了承された時の喜ぶ顔は、多分忘れることはないだろう。

いや、昔から助けてきたヒトたちの笑顔は、絶対に忘れなれないものだったな………。

 

 

 

 

 

 

「………で、リアス。偽物って何者だったんだ?」

 

「それが、正体はヴァーリチームだったんです。どうやらクロウ・クルワッハを捜索していたところ、魔龍で困っているグレモリー領の村に行き着き、そのまましばらくお世話になったらしく、その一宿一飯の恩を返すためにイッセーと私の姿を借りたそうです」

 

「そうか、存外いい奴らなのかもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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